内装の打ち合わせが3回目に入っても、看板の話が一度も出てこないことがあります。けれど看板は、内装工事の途中でしか入れられないものを含みます。

電源が来ていなければ、壁や天井を開け直すことになります。下地が入っていなければ、外壁に穴を開けて金物を打つ。内装工事の途中なら数万円で済んだ作業です。

確認することは7つ。条例の規制、許可の手続き、建物と道路の制約、看板の種類、発注先、決める時期、そして予算。どれも図面が固まる前に確かめられます。

この記事でわかること

  • 名古屋市屋外広告物条例で自分の看板が許可の対象になるかどうかを、条文と面積の上限から自分で判定する手順
  • 袖看板(突出広告物)の道路上への出幅と、路面からの高さの下限が施行細則で何メートルと定められているか
  • 許可の申請者・許可期間・手数料の金額・更新の期限と、それを工事の工程表のどこに置くか
  • 道路上へはみ出す看板に必要な道路占用許可と道路使用許可の二段構えと、それぞれの根拠条文
  • 看板の種類ごとに「何の店でいくらか」が読み取れるかを検算する考え方と、距離ごとの情報の振り分け方
  • 内装会社への一括発注・看板会社への直接発注・設計者の指定という3つの発注区分の見分け方と、契約前に確定させる項目
  • 看板の予算を内装費と分けて確保する方法と、維持費・電気代・更新手数料まで含めた見積もり方
遠くからはファサード看板や袖看板で店名と業種、中距離では袖看板やテントで業種の具体と雰囲気、近距離ではスタンド看板でメニューと価格、入口では扉まわりのサインで支払方法などを伝える。
1枚の看板で、すべてを担うことはできません|遠くで読めるのはごく短い語句までです。完成予想図を縮小印刷して、腕を伸ばした距離から店名が読めるかを確かめてください。

看板の話が最後まで出てこない理由

内装会社の工事範囲に入っていないことが多いからです。誰の担当でもない状態で時間だけが過ぎます。

看板の検討が後回しになる4つの事情と、そこで実際に起きること
後回しになる事情 結果として起きること 打ち合わせの場で自分から聞くこと
内装会社にとって看板は協力会社への発注 図面に「サイン別途」と書かれたまま、内容も金額も決まらずに着工する。誰の担当かが曖昧なまま工事が進む 「見積書のどこに看板が入っていますか。入っていない場合、別途の金額はいつ出ますか」と、初回の見積提示の時点で聞く
発注する側が「最後の飾り」だと考えている 電源と下地が図面に反映されず、天井と壁が塞がったあとで工事のやり直しが発生する 実施設計の図面をもらったら、外壁の立面図に看板の位置と寸法が描かれているかを自分の目で確かめる
屋外広告物の窓口が営業許可と別 保健所と消防には相談したのに、屋外広告物の担当課にだけ相談していない。許可が要ることに気づくのが遅れる 物件の住所を控えて、市区町村の屋外広告物の担当課に電話し「この住所で看板を出す場合、許可は必要ですか」と聞く
前のテナントの看板枠が残っている 「前の店が出していたから大丈夫」と判断し、表示内容を変えたことで新たに許可が必要になっていることに気づかない 居抜きで引き継ぐ看板枠について、前テナントの許可書の写しと許可番号を貸主または前テナントに求める

看板を縛る法令は1本ではない

屋外広告物条例だけではありません。建築基準法、道路法、道路交通法、景観条例。5本が同時にかかります。

落下事故を受けて、安全点検が義務づけられてきた経緯もあります。設置したら終わりではありません。

店舗の看板にかかる5つの法令と、それぞれが定めていること(条文はe-Gov法令検索で確認)
法令 何を定めているか(条・項・号) 自分で確認すること
屋外広告物法 第2条第1項で屋外広告物を「常時又は一定の期間継続して屋外で公衆に表示されるもの」と定義。第3条で禁止できる地域と物件、第4条で許可制にできること、第5条で形状・面積・色彩・意匠の基準を、いずれも条例に委ねている この法律自体は具体的な数値を定めていない。数値は必ず条例側にあると理解し、店舗所在地の自治体名と「屋外広告物条例」で検索して条例本文にたどり着く
道路法 第32条第1項第1号で「広告塔その他これらに類する工作物」を道路に設けて継続して使用する場合に道路管理者の許可(道路占用許可)を要すると定める。第39条第1項で占用料を徴収できると定める 看板が敷地の境界線を越えて道路の上空へ出るかどうかを、実測した図面で確認する。少しでも出れば占用の対象になり得る
道路交通法 第77条第1項第2号で「道路に石碑、銅像、広告板、アーチその他これらに類する工作物を設けようとする者」に所轄警察署長の許可(道路使用許可)を要すると定める。同項第1号は道路上の工事・作業も対象 設置工事で高所作業車を歩道に停めるか、歩道を占有するかを施工会社に確認する。占有するなら道路使用許可の申請者は誰かを決める
建築基準法 第88条第1項で、政令で指定する工作物に確認申請などの規定を準用する。施行令第138条第1項第3号が「高さが四メートルを超える広告塔、広告板、装飾塔、記念塔その他これらに類するもの」を指定している 広告塔・広告板の高さが4メートルを超えるかを図面で確認する。「4メートル以上」ではなく「4メートルを超える」と書かれている点に注意する
景観法 第8条第2項第4号イで、景観計画に「屋外広告物の表示及び屋外広告物を掲出する物件の設置に関する行為の制限に関する事項」を定められるとする。第16条第1項第2号で工作物の建設等に届出義務を課す 店舗の所在地が景観計画区域や景観形成地区に入っていないかを、自治体の景観担当課に住所を伝えて確認する
看板の安全点検が義務づけられていく経緯(国土交通省の公表資料で確認)
時期 何が起きたか・何が定められたか 店舗側にとっての意味
平成27年2月15日 札幌市中央区で、ビル4階の外壁から突出看板の一部が約15メートル下の歩道に落下。歩行中の女性が頭と首の骨を骨折し重体 自分の店の袖看板が同じ構造でないかを確認する。壁面との取り合い部分の写真を、設置時に撮っておく
平成27年2月17日 国土交通省住宅局建築指導課が「広告板の調査について」を公表。原因として外壁緊結部の腐食と強風を挙げる 金属の緊結部は腐食するという前提で、防錆処理の仕様を見積書に書いてもらう
平成27年4月27日 国土交通省が「広告板の調査結果の公表について」を発表。全国調査の中間結果を公表(数値は本文に記載) 築年数の経った建物に付いている既存看板は、引き継ぐ前に状態を確認する
平成28年4月28日 国土交通省が屋外広告物条例ガイドライン(案)を改正(国都景歴第3号)。所有者等の管理責務の明記、有資格者による点検の義務規定、許可更新時の点検結果提出を追加 この改正が各自治体の条例に反映されていく。自分の自治体の条例に点検の条があるかを確認する
平成29年7月 国土交通省都市局が「屋外広告物の安全点検に関する指針(案)」を公表。安全点検報告書の点検項目を16項目に細分化した様式(案)を提示 点検を依頼するとき、何を見てもらうのかを16項目の枠組みで確認する
令和5年1月5日 屋外広告物条例ガイドライン(案)の最新改定(国都景歴第51号)。第19条の2で有資格者による点検、第15条第2項で許可等の期間は3年を超えることができないとする 許可が3年で切れる前提で、更新の手間と費用を開業時から工程表に入れておく

確認1〜2|名古屋市の屋外広告物条例と、許可の手続き

名古屋市は市域全域が許可の対象です。禁止の3類型があり、自家用広告物には面積の上限があります。

許可には期間があり、更新が要ります。手数料も面積で変わります。設置後も続く費用として、予算に入れてください。

名古屋市屋外広告物条例が定める禁止の3類型(第6条・第6条の2)
類型 条文と内容 自分で確認する方法
禁止地域 第6条第1項の10号。第1種・第2種低層住居専用地域、風致地区、特別緑地保全地区、文化財の指定建造物とその周囲50メートル以内で市長が指定する地域、都市公園、公共施設の敷地、社寺の境域、墓地・火葬場の境域など 物件の住所から用途地域と風致地区の指定を、名古屋市の都市計画情報で調べる。低層住居専用地域や風致地区に当たる場合は、看板の計画を立てる前に担当課へ相談する
禁止物件 第6条第2項の8号。橋りょう・高架道路・高架鉄道、街路樹・保存樹、信号機・道路標識・さく・車止め・パーキングメーター、郵便ポスト・公衆電話ボックス・公衆便所、送電塔・照明塔、煙突・水道タンク、形像・記念碑・噴水施設など 店の前にある構造物に何かを貼ろう・取り付けようと考えたら、まずこの一覧に当たらないかを確認する。街路灯柱と電柱には別の規格が定められている
禁止広告物 第6条の2の5号。著しく汚染・退色し、または塗料等がはく離したもの、著しく破損し、または老朽したもの、倒壊または落下のおそれがあるもの、信号機・道路標識に類似し効用を妨げるおそれのあるもの、道路交通の安全を阻害するおそれのあるもの 設置時ではなく設置後に効いてくる規定。退色と塗装のはく離は年数とともに必ず進むため、外装の塗り替え時期を看板とセットで計画する
名古屋市の適用除外広告物と面積の上限(条例第7条・施行細則第7条)
区分 上限と条件 自分で確認すること
自家用広告物(禁止地域内) 表示面積の合計5平方メートル以下。赤色ネオンサイン・点滅する電気照明・回転灯は使用不可 ファサード看板・袖看板・ウィンドウサインの表示面積を全部足す。「合計」なので、1枚ずつが小さくても足して超えれば許可が必要になる
自家用広告物(それ以外の地域) 表示面積の合計10平方メートル以下 10平方メートルは、たとえば高さ1メートル×長さ10メートルの帯。ファサードが広い店ほど、意外に早く超えることを図面上で検算する
都市景観形成地区で5平方メートル超10平方メートル以下 条例第5条の2および施行細則第5条の2により届出。表示・設置期間が30日を超えるものが対象で、設置の2週間前までに第3号様式の2で届け出る 久屋大通・広小路・大津通・名古屋駅・四谷・山手通・築地の各地区に当たるかを、住所から確認する
管理用広告物 条例第7条第1項第3号。施行細則により3平方メートル以下、赤色ネオンサイン等は使用不可 「関係者以外立入禁止」「駐車場」などの表示がこれに当たる。店名を入れると自家用広告物の面積に算入される可能性があるため担当課に確認する
寄贈者名等の表示 条例第7条第1項第7号。施行細則により、当該施設・物件の外郭線内を一平面とみなした大きさの10分の1以下かつ0.5平方メートル以下、1施設または1物件につき1個 ベンチや灰皿に店名を入れる場合の上限。1個までという個数制限があることに注意する
表示期間が5日以内のもの 条例第7条第3項。施行細則第7条第2項により、掲出日・氏名・住所を明記することが条件で、第4条(許可)を適用しない オープン告知の短期の掲出に使える枠。ただし5日を超えれば許可の対象になるため、掲出日を記録しておく
名古屋市の主な規格(施行細則 別表第1)。かっこ内は条例第7条第1項第2号の自家用広告物の場合
種類 住居系地域/商工業系地域の上限 図面で確かめること
地上に設置する広告塔・広告板 住居系=高さ地上10メートル以下(自家用は15メートル以下可)、表示面積1基50平方メートル以下/商工業系=高さ地上15メートル以下(自家用は20メートル以下可)、表示面積1基100平方メートル以下 ポール看板の全高を、地盤面から看板の上端まで実寸で確認する。裏面・側面・脚部の塗装と、基礎コンクリートへの定着も規格に含まれる
建築物の屋上に設置するもの 共通=上端の高さは地上60メートル以下、耐火・不燃構造の建築物の屋上では当該建築物の高さの3分の2以下/住居系=高さ10メートル以下(自家用は15メートル以下可)/商工業系=高さ15メートル以下(自家用は20メートル以下可) 屋上を構成する外壁を超えて設置しないこと、木造建築物では棟の高さを超えないことが定められている。既存ビルに載せる場合は建物側の構造検討も必要になる
壁面を利用するもの(ファサード看板) 住居系=一つの広告物の表示面積30平方メートル以下。ただし階数3以上または高さ11メートル以上の建築物では、一壁面の表示面積の合計は壁面面積の10分の2以下/商工業系=一つの広告物の表示面積100平方メートル以下 設置する壁面の上下端・両側端を超えないこと、窓や開口部をふさがないことが共通の条件。地上60メートルを超える壁面には自家用広告物以外は表示できない
側面に突出する形式のもの(袖看板) 住居系=一つの広告物の表示面積20平方メートル以下、取付壁面からの出幅2メートル以下/商工業系=道路境界を超える表示面積は一つの広告物につき20平方メートル以下 道路にかかる部分の制限は【確認3】で扱う。まず自分の物件が住居系か商工業系かを確定させてから寸法を検討する
立看板 表示面は横0.9メートル以下、縦1.8メートル以下。脚の長さ0.3メートル以下。立て掛ける場合は定着物に3点以上を緊結し、表示面を努めて垂直にする A型看板やイーゼルを買う前に、この寸法に収まる製品かを確認する。既製品には0.9メートルを超える幅のものもある
電光表示装置等 表示面は信号機から5メートル以上離す。信号交差点とその各側の歩道、道路境界から5メートルの区域には設置不可(表示面下端が道路面から15メートル以上で近隣商業・商業地域の場合等を除く)。第1種・第2種住居・準住居では一つの表示面積5平方メートル以下で壁面と一体、屋上は不可 デジタルサイネージを外向きに設置する計画があるなら、信号機との距離を現地で実測する。名古屋市から愛知県警察本部への協議が入るため、審査に時間がかかる
名古屋市の屋外広告物許可申請で提出する書類(名古屋市「屋外広告物の許可申請」ページで確認)
書類 部数と、そこに示す内容 誰が用意するか・確認すること
屋外広告物許可申請書(第1号様式) 1部。申請者・管理者・広告物の種類・表示面積などを記載。広告物の種類ごとに別々に作成する 申請者欄に書かれるのは店舗側の名前。看板会社に作ってもらう場合も、記載内容を自分で読んで確認する
屋外広告物許可書(第2号様式) 1部。第1号様式とは別に、それぞれに図面を添える 令和6年4月から許可証(許可シール)と証印は交付されなくなった。許可を受けた証拠として何が手元に残るかを窓口で確認する
名古屋市屋外広告物チェックリスト 1部。規格への適合を自己点検する様式 このチェックリストの項目が、そのまま【確認1】の検算表になる。設計の初期段階で一度通してみる
位置図・配置図 各2部。位置図は方位および行為地の周辺がわかる図面。配置図は敷地の境界線と、広告物・掲出物件の位置 敷地境界線が図に入る。ここで境界を越えていれば道路占用の話になるため、【確認3】と同時に見る
立面図・意匠着色図・構造図 各2部。立面図は建築物全体の寸法と設置位置、意匠着色図は仕上げ方法と色彩、構造図は基礎の構造と建築物への取付方法 構造図は看板会社にしか作れない。内装会社に一括で頼む場合も、この図面の作成者が誰かを確認しておく
その他の添付書類 1部。工作物確認済証の写し、道路占用許可申請証の写し、屋外広告物安全点検報告書、手数料減免申請書など、該当するもの ここに他法令の許可書の写しが並ぶ。つまり他の許可が先で、屋外広告物の許可が後という順序になる
名古屋市の許可期間と許可手数料(名古屋市「許可期間・許可手数料」ページで確認。かっこ内は1年許可の場合)
区分 許可期間と手数料 自分で計算してみること
広告板・広告塔(地上・屋上・壁面・突出) 3年以内(1年以内も可)。表示面積5平方メートルごとに1,300円(1年許可は600円) 自分の看板の表示面積を5で割って切り上げ、1,300円を掛ける。表示面積10平方メートルなら3年で2,600円
同上・電光表示装置等を利用するもの 3年以内(1年以内も可)。表示面積5平方メートルごとに1,900円(1年許可は1,200円) デジタルサイネージにすると手数料の単価が上がる。電気代とあわせて、通常の看板との差額を数年分で比べる
建築物・工作物に直接表示するもの 3年以内(1年以内も可)。表示面積5平方メートルごとに1,300円(1年許可は600円)。電光表示装置を利用するものは1,900円(1年1,200円) 壁面に直接塗装・シート貼りする場合もこの区分。ただし直接塗装・シート貼りは後述の安全点検の対象外になる
立看板・広告旗 3か月以内。1個150円 年4回更新する前提で、150円×4=年600円。金額より、3か月ごとに手続きが発生することの手間を見積もる
広告幕・アドバルーン 3か月以内。広告幕は1個500円、アドバルーンは1個700円 オープン時の垂れ幕を出す場合、掲出期間が5日以内なら条例第7条第3項の適用除外に当たる可能性がある。期間で判断する
はり紙・はり札等 3か月以内。100枚400円 枚数単位の課金であることに注意。単位に満たない端数は1件とみなされる
車体広告(広告宣伝用自動車を除く) 3年以内。表示面積3平方メートル以下のものまたは乗合自動車で枠方式のものは車体1台900円、その他は車体1台4,500円 社用車にロゴを入れる場合の区分。表示面積3平方メートルという境目で金額が5倍変わる
名古屋市の屋外広告物の安全点検(条例第13条の2・施行細則第13条の2)
区分 頻度・対象・実施できる人 開業時にやっておくこと
通常点検 1年に1回。表示・設置期間が1年を超えるすべての屋外広告物が対象。平成29年10月から大きさに関わらず義務化。点検する人の資格は問われない 店の年間の予定表に「看板点検」の月を入れる。点検した日と結果を写真つきで残す様式を最初に作っておく
特別点検 3年に1回、通常点検に代えて実施。平成30年4月から義務化。対象は広告塔・広告板・壁面利用・突出形式のうち、高さが4メートルを超えるもの、または一つの広告物(広告塔・広告板は1基)の表示面積が10平方メートルを超えるもの。許可が不要な広告物も対象 自分の看板が高さ4メートル超か、表示面積10平方メートル超かを図面で確認する。該当するなら、有資格者に依頼する費用を維持費に組み込む
特別点検の有資格者 屋外広告士、建築士(木造建築士を除く)、特定建築物調査員資格者証の交付を受けている者、電気工事士、第1種から第3種の電気主任技術者、市長が認めた者 設置を依頼する看板会社に、有資格者が在籍しているかを最初に聞く。いなければ、3年後に別の会社を探すことになる
点検の対象外 壁面に直接塗装するもの、シートを貼るもの、投影するもの。また1年以内に除却されるもの 直接塗装やシート貼りを選べば点検義務は生じない。ただし退色・はく離は条例第6条の2の禁止広告物に当たり得るため、別の管理が必要
継続許可申請時の報告 平成30年10月から、継続許可申請時に点検結果の報告が義務 更新の3か月前を点検の目安にする。要修理の判定が出た場合の修理期間を確保するため

確認3|建物と道路の制約

看板が道路にかかると、3つの許可が必要になります。袖看板は寸法制限もあります。

賃貸借契約と管理規約にも、看板の条項があります。出せる位置と、電源をどこから取るか。契約前に確認する5項目を表にしました。

看板が道路にかかるときの3つの許可と、それぞれの根拠条文
許可 根拠条文と窓口 自分で確認すること
道路占用許可 道路法第32条第1項第1号。窓口は道路管理者(市道なら市、県道なら県、国道なら国の出先機関)。第39条第1項により占用料が発生する 物件の前面道路が市道か県道か国道かを、住所から調べる。道路の種別で窓口も占用料の条例も変わる
道路使用許可 道路交通法第77条第1項第2号(広告板等の設置)および第1号(道路における工事・作業)。窓口は所轄警察署長 看板の設置作業で歩道や車道を使うかを施工会社に確認する。高所作業車を停める場合は第1号の対象にもなる
屋外広告物の許可 名古屋市屋外広告物条例第4条第1項。窓口は住宅都市局都市計画部ウォーカブル・景観推進課 屋外広告担当 上の二つの許可書の写しを添えて申請する。この許可がいちばん最後になるという順序を工程表に反映する
名古屋市の突出広告物(袖看板)の寸法制限(施行細則 別表第1)
項目 制限の内容 現地で確かめる方法
下端の高さ 道路境界から道路上に突出するときは、広告物の下端は道路面から4.5メートル以上。ただし歩道と車道の区別がある道路の歩道上に突出するときは、道路面から2.5メートル以上とすることができる 前面道路に歩道があるかどうかで2メートル違う。物件の前に立って、縁石で歩車道が分かれているかを確認する
道路上への出幅 道路境界から道路上に突出するときの、道路境界からの出幅は1メートル以下 敷地境界線がどこかを、物件の測量図または賃貸借契約の図面で確認する。建物の壁面と敷地境界が一致しない物件がある
表示の方向 道路の境界線に対して90度の角度を保つ 斜めに振って見せる意匠は認められない前提で計画する
上端の高さ 広告物の上端は取付壁面の高さを超えない。ただし階数2以下または高さ7メートル以下の建築物・工作物では、その広告物の長さの3分の1以内の部分を超えて取り付けられる 2階建ての物件では、屋根より少し上に出せる余地がある。建物の階数と高さを確認する
形状と材質 長方形、円形またはこれに準ずる簡単な形状で、難燃構造体であること ロゴの形に切り抜いた袖看板は認められない可能性がある。意匠を決める前に担当課へ図案を持って相談する
取付壁面からの出幅(住居系) 住居系地域では、一つの広告物の表示面積20平方メートル以下、取付壁面からの出幅2メートル以下 道路にかからない位置に出す場合でも、壁面からの出幅に上限がある。敷地内だから自由、ではない
看板について賃貸借契約と管理規約で確認する5項目
確認項目 なぜ問題になるか 契約前に確認する方法
外壁への設置の可否 外壁は共用部分または貸主の所有物であることが多く、勝手に穴を開けられない。区分所有の建物では管理組合の承認が必要な場合もある 「外壁に看板を設置してよいか」を、契約前に書面で確認する。口頭の了解だけで進めない
ビル共用サインの枠の有無 ビルの入口に各テナント名を並べた共用サインがあり、そこに枠が割り当てられていることがある。枠の大きさと位置は交渉の対象になる 内覧時に共用サインを写真に撮り、空き枠があるか、自分の区画に何階分の枠が付くかを聞く
意匠の統一ルール 商業施設や一部のビルでは、書体・色・照明の方式まで規定されていることがある。条例より厳しい場合がある サイン工事区分表・サインマニュアルの有無を聞き、あれば契約前に写しをもらう
電源の引き込み経路 看板の電源を専有部分の分電盤から取るのか、共用部分を経由するのかで、工事の可否と区分が変わる 分電盤の位置と、そこから外壁までの経路を内覧時に写真で記録する。店舗の電気容量が足りない物件を避けるには|契約前に確認する7つの設備条件とあわせて確認する
退去時の原状回復の範囲 看板本体の撤去だけでなく、アンカー穴の補修、外壁の塗装の復旧、配線の撤去まで求められることがある 原状回復の条項に看板がどう書かれているかを読む。店舗の原状回復でトラブルを避ける7つの対策|スケルトン戻しの範囲と契約書の読み方で条項の読み方を扱っている

確認4〜5|看板の種類と、誰に発注するか

看板は距離で役割が変わります。遠くからは存在、近くからは業種、目の前では内容。1枚ですべてを担わせると、どれも伝わりません。

発注区分は3通り。内装会社に含める、看板会社に直接出す、設計者を通す。どれでも、書面で確定させる6項目は同じです。

距離ごとに伝えられる情報と、それを担う看板
距離の段階 この距離で伝わる情報 担う看板と、自分で確かめる方法
遠く(通りの反対側・車の中) 店があるという事実、店名、業種、明るさ。読めるのはごく短い語句まで ファサード看板・袖看板・ポール看板。完成予想図を縮小印刷して、腕を伸ばした距離から見て店名が読めるかを確かめる
中距離(同じ側の歩道を歩いてくる) 業種の具体、営業しているかどうか、店の雰囲気、価格帯の印象 袖看板・テント・ウィンドウサイン。夜に現地へ行き、隣の店と比べて自分の店の位置がどう見えるかを写真に撮る
近距離(店の前で立ち止まる) メニュー、価格、営業時間、定休日、予約の要否、中の様子 スタンド看板・ウィンドウサイン・入口の掲示。実際に立ち止まって読める文字の大きさかを、印刷して現地で確認する
入口(扉に手をかける直前) 入ってよい店かどうかの最終確認。一人でも入れるか、予約が要るか、支払方法 扉まわりの小さなサイン。ここで迷わせないことが目的なので、装飾より情報の明確さを優先する
看板の種類ごとの役割と、名古屋市で確認すべき点
種類 役割と、伝えられる情報 名古屋市で確認すること
ファサード看板(正面) 店の正面に掲げる主看板。店名と業種を、いちばん遠くまで届ける 施行細則の壁面広告の規格。住居系は一つ30平方メートル以下(階数3以上・高さ11メートル以上の建築物では一壁面の合計が壁面面積の10分の2以下)、商工業系は一つ100平方メートル以下
袖看板・突出看板 通りを歩く方に横から気づかせる。歩行者の進行方向に対して面が向くため、ファサードより早く目に入る 下端の高さ(歩道上2.5メートル以上、それ以外4.5メートル以上)、道路境界からの出幅1メートル以下、道路境界線に対して90度。長方形・円形など簡単な形状で難燃構造体
スタンド看板・A型看板 入口の前で日替わりの情報を出す。価格とメニューを載せられる可動式のサイン 立看板の規格は横0.9メートル以下・縦1.8メートル以下・脚0.3メートル以下。敷地内か歩道上かで扱いが変わり、歩道上なら道路占用・道路使用の問題になる
のれん・テント・オーニング 庇として機能しつつ店名を示す。雨よけと日よけを兼ね、入口の位置を分かりやすくする 店名等を表示すれば屋外広告物に当たる。表示面積を自家用広告物の合計に算入する。可動式のテントは開いた状態での道路への出幅を確認する
ウィンドウサイン 営業時間・メニュー・価格・雰囲気を、立ち止まった方に伝える。窓ガラスに直接貼るため下地工事が不要 ガラス面に直接貼るものも表示面積に算入される。壁面に直接シートを貼るものは安全点検の対象外だが、退色とはく離は条例第6条の2の禁止広告物に当たり得る
チャンネル文字・切り文字 立体的な文字で質感を出す。箱文字の中に光源を入れると、夜の見え方が大きく変わる 文字ごとに壁へ固定するため、下地の位置が文字の配置を縛る。内装工事の段階で下地の範囲を決めておく必要がある
電光表示装置・デジタルサイネージ 時間帯で表示を変えられる。ただし規制が最も厳しく、手続きにも時間がかかる 信号機から5メートル以上離すこと、信号交差点周辺への設置制限、住居系地域での面積制限。名古屋市から愛知県警察本部への協議が入るため審査に時間がかかる
看板の発注区分3パターン
パターン 向いている条件と、起きやすい問題 選ぶ場合に必ず確認すること
1|内装会社に一括で発注 窓口が一本になり、外装工事との取り合い・電源・下地・足場の共有を任せられる。一方で協力会社への再発注になるため、金額の内訳が見えにくくなる。看板の意匠の力量は会社によって差が大きい 見積書に「サイン工事」が一式でなく内訳で書かれているかを確認する。過去の施工写真を3件以上見せてもらい、自分の業種に近いものがあるかを見る
2|看板会社に直接発注 内訳が見えやすく、許可申請の実務に慣れた会社が多い。一方で内装会社との調整を自分で引き受けることになる。電源と下地の段取りを両者に伝える手間が生じる 電源の位置と下地の範囲を書いた図面を、看板会社から内装会社へ渡す期限を決める。特別点検の有資格者が在籍しているかも同時に聞く
3|設計者が指定し、製作を分ける ロゴやブランドのトーンを設計者・デザイナーに任せ、製作と施工は別の会社に出す。意匠の統一は取りやすいが、関係者が増え、実現可能性の検証が別途必要になる デザインデータの受け渡し形式と、条例の規格に適合させる責任が誰にあるかを契約書に書く。店舗の設計料・デザイン料で確認する8つのこと|内訳・相場・無料の理由で費用の切り分けを確認する
発注前に書面で確定させる6項目
項目 決めていないと起きること 見積書・契約書で確認する文言
屋外広告物の許可申請 誰も出していない状態で看板が完成する。設置後に条例違反を指摘される 「屋外広告物許可申請書類の作成・提出代行」が費目としてあるか。申請者名義は誰かも確認する
道路占用許可・道路使用許可 設置当日に歩道を使えず、工事が延期になる。占用料の負担者が決まっていない 「道路占用許可申請」「道路使用許可申請」の費目の有無。占用料は実費精算か込みかを確認する
看板用の電源と配線 天井と壁が塞がったあとで電源がないことが判明し、開口のやり直しが発生する 電気工事の見積内訳に「サイン電源」の回路があるか。分電盤の回路一覧表に空き回路が記載されているか
下地の補強と防水処理 看板の重量を支えられず後付けの補強が必要になる。外壁を貫通した部分から雨水が入る 「サイン下地補強」「貫通部シーリング」の有無。誰の工事区分かを工事区分表で確認する
足場・高所作業車 外装工事の足場が解体されたあとに看板が届き、足場代を二重に払う 足場の設置期間と、看板の設置予定日が重なっているかを工程表で照合する
引き渡し後の点検と更新 1年後の通常点検と3年後の更新を誰も担当しておらず、期限を過ぎる 保守の取り決めがあるか。管理者を誰にするかを許可申請書の記載と合わせて決める

確認6〜7|いつ決めるかと、予算を別枠で確保する

内装工事の段階でしか入れられないのは3つ。電源、下地、そして開口。この3つだけは、看板のデザインが決まる前でも仮で押さえられます。

看板の見積は7費目に分かれます。制作費だけを見て予算を組むと足りません。設置後も続く費用が4つあります。

内装工事の段階でしか入れられない3つと、後から入れる場合に起きること
項目 なぜ後から入れられないか 図面のどこで確認するか
看板用の電源と配線 分電盤から外壁までの経路が、壁の中と天井裏を通る。仕上げが終わってから配線を通すには、壁と天井を開けて塞ぎ直す必要がある 電気設備図の分電盤回路一覧に「サイン」「看板」の回路があるか。外壁側の配線立ち上げ位置が立面図に記入されているか
看板を固定する下地の補強 軽量鉄骨や合板の下地は、仕上げ材の裏に隠れる。仕上げ後に固定しようとすると、下地のない位置にアンカーを打つことになり保持力が落ちる 外壁の断面図・詳細図に、看板取付位置の補強材が描かれているか。補強の範囲が看板の実寸より広く取られているか
外壁貫通部の防水処理 配線や取付ボルトが外壁を貫通する部分は、外装の仕上げと一体で防水を行う。仕上げ後に穴を開けると、コーキングだけの処理になり漏水の原因になる 外装の仕様書に貫通部の処理方法が書かれているか。貫通位置が確定していない場合、いつまでに確定すればよいかを施工会社に確認する
看板に関する決定の時期と、遅れたときに起きること
時期 この時点で決めること 遅れたときに起きること
物件を契約する前 用途地域と禁止地域の該当、外壁への設置の可否、ビル共用サインの枠、前面道路の種別、貸主の承諾の見込み 外壁に看板を出せない物件を契約してしまう。契約後は物件を替えられないため、取り返しがつかない
基本設計の段階 看板の種類と設置位置、概略の表示面積、許可の要否、電源の要否 ファサードの意匠が固まってから制約が判明し、外装の設計をやり直すことになる
実施設計の完了時 電源の回路と配線経路、下地の補強範囲、外壁貫通部の位置、防水の仕様 着工後に壁と天井を開け直すことになる。仕上げ済みの部分を壊す費用と工期が上乗せされる
工事請負契約の直後 意匠の確定、製作の発注、工作物確認申請・道路占用許可・道路使用許可の申請開始 他法令の許可が下りないと屋外広告物の許可を申請できないため、開店日までに許可が揃わない
外装工事の足場がある期間 看板本体の設置。足場を共有する 足場の解体後に設置することになり、足場または高所作業車の費用が別途発生する
引き渡しの前 点灯の確認、取付部の写真の記録、管理者の登録、次回点検の予定日の設定 不具合の指摘が引き渡し後になり、修補の依頼が通りにくくなる。1年後の点検を誰もやらない
看板の見積書を分解する7つの費目
費目 何が含まれるか 見積書で確認すること
意匠のデザイン費 ロゴの制作、看板の割付、色と書体の指定、完成予想図の作成 デザイン費が製作費に含まれているか別建てか。修正は何回まで無償かを確認する
本体の製作費 看板の躯体、表示面の材料、文字の切り出しまたは印刷、光源の組み込み 材料の仕様(アルミ複合板かステンレスか、インクジェットかカッティングシートか)が書かれているか
取り付けの施工費 現地での取付作業、アンカーの打設、レベル調整、養生 作業員の人数と日数が書かれているか。夜間作業になる場合の割増があるか
下地の補強と防水 取付位置の下地補強、外壁貫通部のシーリング、防錆処理 内装工事側と看板工事側のどちらに入っているか。両方に入っていないか、どちらにも入っていないかを照合する
電気工事費 分電盤からの回路の増設、外壁までの配線、防水コンセントまたは直結、タイマーの設置 電源の一次側(分電盤から外壁まで)と二次側(外壁から看板まで)の境目がどこかを確認する
足場・高所作業車 設置作業のための仮設。外装工事と共有できれば不要になる場合がある 外装工事の足場と共有できるかを、工程表を並べて確認する。共有できるなら見積から外れるはず
許可申請の代行費と実費 屋外広告物許可申請の書類作成と提出、道路占用・道路使用の申請、手数料の実費 代行費と手数料の実費が分けて書かれているか。手数料は【確認2】の表で自分でも計算して照合する
設置後に発生し続ける4つの費用
費用 発生する時期と内容 自分で見積もる方法
電気代 電飾看板や照明を点灯している間、毎月かかる。光源の消費電力と点灯時間で決まる 看板会社に光源の消費電力(ワット数)を聞く。「消費電力×点灯時間×日数÷1000×電力量単価」で月額を計算する。単価は自分の電気料金の明細から取る
点検費用 通常点検は毎年、特別点検は3年に一度。特別点検は有資格者に依頼するため費用が発生する 自分の看板が特別点検の対象(高さ4メートル超または表示面積10平方メートル超)かを確認し、対象なら見積を取っておく
更新の手数料 許可期間の満了ごと。広告板・広告塔で3年許可なら、表示面積5平方メートルごとに1,300円 表示面積を5で割って切り上げ、1,300円を掛ける。3年ごとに繰り返すことをカレンダーに入れる
退去時の撤去費用 賃貸借契約の終了時。本体の撤去、アンカー穴の補修、外壁の復旧、配線の撤去 設置の見積を取るときに「同じ看板を外す場合の費用」も概算で出してもらう。高所なら設置と同程度になり得る

内装と看板を一緒に進めるべき理由と、見落とし

別々に進めると、素材も色も照度もそろいません。外から見た印象と、入ったときの印象が違う店になります。

見落としやすい点も5つ挙げました。夜の見え方は、その筆頭です。

内装と看板の設計を一緒に進めるべき3つの理由
理由 別々に進めると何が起きるか 一緒に進めるために自分がやること
1|条例と道路の制約が外装の設計を縛る ファサードの意匠を決めたあとで、袖看板の出幅が1メートル以下だと分かる。看板の位置を変えると外装の割付が崩れ、設計をやり直すことになる 基本設計の打ち合わせに、【確認1】と【確認3】の数値を書いたメモを持って行く。設計者に「この制約の中で描いてください」と先に渡す
2|足場・電源・下地を共有できる 外装工事の足場が解体されてから看板が届き、足場を二度組む。天井が塞がってから配線を通すため、開口と復旧の費用が乗る 工程表をもらったら、足場の設置期間と看板の設置予定日を並べて確認する。重なっていなければ、重ねられないかを聞く
3|外から中への一貫性が保てる 看板から想像した店と、中に入って見た店の印象が違う。入店したお客様が期待と違うと感じ、滞在時間と客単価に影響する 外観の完成予想図と内装の完成予想図を並べて見る。色・素材・書体・明るさの4つが揃っているかを自分の目で確認する
看板で見落としやすい5つの点
見落としやすい点 何が起きるか 開業前に自分でやること
1|夜の見え方 照明のない看板は、日が落ちると存在しないのと同じになる。夜間営業がある業態では、営業時間の半分が「看板のない店」になる 契約前の物件で、夜に現地へ行く。周囲の街灯の量と、隣の店の明るさを写真に撮る。自分の看板をそこに置いたらどう見えるかを想像する
2|光源の交換と清掃 電飾の光源は切れる。屋外の看板は汚れ、色が褪せる。高所に設置したものは、清掃や交換のたびに高所作業車が必要になる 光源の交換方法を看板会社に聞く。「はしごで届くか」「高所作業車が必要か」で、数年後の負担が大きく変わる
3|退色と、条例上の扱い 色が褪せた看板は、名古屋市屋外広告物条例第6条の2第1号の「著しく汚染し、若しくは退色し、又は塗料等がはく離したもの」に当たり得る 直射日光が当たる面かどうかを、方位から判断する。南面と西面は退色が早いため、材料と色の選定を看板会社に相談する
4|表示内容を変えるときの手続き メニューや価格を看板に入れていると、変更のたびに手続きが必要になる場合がある 名古屋市では、表示内容・意匠・色彩を3か月以内に定期的に変更するものとして許可を受ければ、変更時の手続きが不要になる。該当するかを担当課に確認する
5|退去時の撤去 看板本体の撤去に加え、外壁のアンカー穴の補修、電源配線の撤去が必要。高所なら設置時と同程度の費用がかかることがある 契約期間が短い、または事業の変化が早いと見込むなら、取り外しやすい仕様を選ぶ。設置の見積時に撤去の概算も聞いておく
物件が決まってから設置までの手順
  1. 物件の住所から用途地域・風致地区・景観形成地区の指定を調べる。名古屋市の都市計画情報で確認し、禁止地域に当たらないかを判定する
  2. 前面道路の種別(市道・県道・国道)と、歩道の有無を現地で確認する。歩道の有無で袖看板の下端の高さが2.5メートルか4.5メートルかに分かれる
  3. 外壁に看板を設置してよいかを、貸主または管理会社に書面で確認する。共用サインの枠があるか、意匠の統一ルールがあるかも同時に聞く
  4. ここまでの3つに問題がなければ、賃貸借契約を結ぶ。問題があれば、この時点で物件を見直す
  5. 看板の種類・設置位置・概略の表示面積を決め、合計面積を計算する。禁止地域なら5平方メートル、それ以外なら10平方メートルの適用除外の枠に収まるかを判定する
  6. 市の屋外広告物担当課に、物件の住所と看板の概要を伝えて相談する。許可の要否、規格への適合、審査にかかる期間を確認する
  7. 電源の要否・回路・配線経路と、下地の補強範囲・外壁貫通部の位置を、実施設計の図面に反映させる。この時点で意匠は未確定でよい
  8. 発注区分を決め、許可申請・電源・下地・防水・足場・点検の6項目を書面で確定させる。【確認5】の表をそのまま使う
  9. 高さ4メートル超なら工作物確認申請、道路にかかるなら道路占用許可と道路使用許可を先に申請する。これらの許可書の写しが屋外広告物の許可申請に必要になる
  10. 意匠を確定し、屋外広告物の許可を申請する。申請者は店舗側。管理者を誰にするかも同時に決める
  11. 外装工事の足場がある期間に看板を設置する。設置後、取付部の写真を記録として残す
  12. 点灯を確認し、次回の通常点検の予定日をカレンダーに入れる。許可期間の満了日と、その10日前も同時に入れる

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よくある質問

ここでは、看板について実際によく聞かれる質問を4つ取り上げます。 いずれも、条例の条文または名古屋市の公表資料で確認できる範囲で答えます。 確認できなかったことは、確認できなかったと書きます。

とくに費用については、一次情報で確認できる相場の調査が見つかりませんでした。 そのため金額の目安は示さず、かわりに見積書を分解して確認する方法をお伝えします。 数値を作らないことが、この記事の方針です。

また、ここでの回答はすべて名古屋市の場合です。 屋外広告物法第27条により条例を定めるのは指定都市・中核市と都道府県なので、内容は自治体ごとに違います。 必ずご自身の店舗が所在する自治体の条例を確認してください。

看板を出すのに許可は必要ですか。名古屋市ではどうなっていますか?

名古屋市では、原則として市域の全域で許可が必要です。 名古屋市屋外広告物条例(昭和36年4月8日条例第17号)第4条第1項は「本市域内において広告物を表示し、又は掲出物件を設置しようとする者は、あらかじめ、市長の許可を受けなければならない」と定めています。

ただし例外があります。 同条例第7条第1項第2号は、自己の氏名・店名・屋号・商標や、自ら販売する商品の名称、自己の事業や営業の内容を、自己の居所や事業所・営業所に表示するもの、いわゆる自家用広告物について、第4条の許可と第6条の禁止を適用しないと定めています。

その面積の上限は同条例施行細則第7条第1項第1号にあります。 条例第6条第1項各号の禁止地域では表示面積の合計5平方メートル以下、かつ赤色ネオンサイン・点滅する電気照明・回転灯を使わないこと。 それ以外の地域では表示面積の合計10平方メートル以下です。

つまり、自分の店の名前を自分の店に出す看板であっても、合計面積がこの上限を超えれば許可が必要になります。 そしてこれは名古屋市のルールです。

屋外広告物法第27条により、指定都市と中核市は都道府県が処理する事務を自ら処理するため、条例の内容は自治体ごとに違います。 愛知県内でも豊橋市・岡崎市・一宮市・豊田市・小牧市は市独自の条例を持っています。 必ず自分の店舗が所在する市区町村の条例と規則を確認してください。

看板は内装会社に一括で頼むべきですか、看板会社に直接頼むべきですか?

設計は内装と一緒に考えるべきですが、発注先はどちらでも構いません。 この二つは別の判断です。 内装会社に一括で頼めば窓口が一本になり、外装工事との取り合い、電源、下地、足場の共有を任せられます。

一方で協力会社への再発注になるため、金額の内訳が見えにくくなることがあります。 看板会社に直接頼めば内訳は見えやすくなりますが、内装会社との調整を自分で引き受けることになります。

どちらを選ぶ場合でも、契約前に三つを書面で確定させてください。 第一に、屋外広告物の許可申請を誰が作成し、誰の名前で出すのか。 第二に、看板用の電源と配線が内装工事の見積範囲に入っているのか。

第三に、看板を固定する下地の補強と、外壁を貫通する部分の防水処理がどちらの担当なのか。 この三つが宙に浮いたまま進むと、工事の終盤で電源が来ていない、下地が入っていないという事態になります。

なお、看板を作って取り付ける会社は、日本標準産業分類では広告業ではなく建設業側の看板設置業に分類されます。 同じ「看板会社」でも、デザインを作る会社と、鉄骨を組んで取り付ける会社は別だという前提で相手を探してください。

看板の費用はいくら見ておけばよいですか?

金額の相場については、公的機関や業界団体が公表した調査を一次情報で確認できなかったため、この記事では数値を示しません。 二次情報にはよく金額が出ていますが、調査主体・時期・対象・件数をたどれるものが見つかりませんでした。

そのかわり、見積書で分解して確認できる形をお伝えします。 看板の金額は、意匠のデザイン費、本体の製作費、取り付けの施工費、下地の補強と防水の費用、電気工事の費用、足場または高所作業車の費用、許可申請の代行費と手数料の実費、この7つに分かれます。

相見積もりで金額が違うときは、この7つのうちどれが入っていて、どれが別途なのかを揃えてから比べてください。 一方、名古屋市に納める許可手数料は公表されています。

広告板および広告塔で許可期間3年以内の場合、表示面積5平方メートルごとに1,300円です。 表示面積10平方メートルの壁面看板なら3年で2,600円、1年あたり約867円、1日あたり約2円40銭という計算になります。

手数料そのものは判断を左右する額ではありません。 重要なのは、この手数料が3年ごとに繰り返し発生し、そのたびに安全点検の報告も必要になるという点です。

看板は設置したら終わりですか。設置後に続けてやることはありますか?

設置後にやることが三つあります。 第一に点検です。 名古屋市では平成29年10月から、大きさに関わらずすべての屋外広告物について毎年1回の通常点検が義務づけられています。

さらに平成30年4月からは、高さが4メートルを超えるもの、または一つあたりの表示面積の合計が10平方メートルを超える地上・屋上・壁面・突出の広告物について、3年に一度、屋外広告士や建築士などの有資格者による特別点検が義務づけられました。 この特別点検は、許可が不要な広告物も対象です。

第二に継続許可です。 名古屋市屋外広告物条例第5条第2項により、許可期間が満了したあとも継続して表示するには、期間満了の日の10日前までに願い出て許可を受ける必要があります。

平成30年10月からは、この継続許可申請の際に安全点検の結果を報告することが義務になっています。 更新の直前に点検を頼むと、要修理の判定が出たときに修理の時間が取れません。 点検は数か月前に済ませておいてください。

第三に退去時の撤去です。 看板は原状回復の対象になるのが一般的で、本体の撤去、外壁のアンカー穴の補修、電源配線の撤去が必要になります。

高所に設置したものは撤去にも足場や高所作業車が必要です。 設置の方法を決める段階で、外すときのことまで含めて相談してください。

まとめ|看板と外装で確認する7つのこと

看板の費用も「1日何人分の来店か」に翻訳できます。内装工事費に比べれば小さく、効果は毎日出ます。

打ち合わせで看板の話が出ないなら、こちらから「電源と下地はどうなりますか」と聞いてください。それだけで、あとからの開け直しは防げます。

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