「工事は1か月半です」と言われても、開業までの期間はそれよりずっと長くなります。工事の期間と、開業の期間は別物だからです。

15坪の路面店を坪2万円で借りれば賃料は月30万円、共益費を足して毎月33万円。契約した日から、開店していなくてもこの額が出ていきます。日程が読めないことは、そのまま金額になります。

日程を決めているのは工事会社だけではありません。保健所の検査日、消防の届出期限、電力とガスの引き込み。相手の都合で動かせない日が、いくつも挟まっています。

この記事でわかること

  • 相談から引き渡しまでを6つの工程に分け、各工程で何が確定し、何がまだ動かせるかを区別する見方
  • 見積期間・確認審査・完了検査・消防・営業許可について、法令が定める日数を条・項・号まで特定した一覧
  • 名古屋市が公表している建築確認の実績審査日数と、飲食店営業許可・防火対象物使用開始届の申請期限
  • 変更が効かなくなる7つの分岐点と、その日が来る前に自分で確認しておくこと
  • 工事と並行して進めるべき手続き・発注・採用を、着手が遅れると何が起きるかで並べた表
  • 開店が1か月遅れたときの損失を「1日◯人分の粗利」に翻訳する計算(編集部の試算例)
  • 開店予定日から逆算して、自分の案件の日程表を自分で作る手順
店舗用途の工事は、100万円未満なら平均12.2日、100万〜500万円で30.9日、500万〜1,000万円で46.5日、1,000万〜5,000万円で61.2日、5,000万〜1億円で119.4日。
金額が上がると、工期は金額ほどには延びない|100万円未満と1,000万円台では金額が10倍以上違いますが、工期は5倍です。ただしこれは工事の日数だけで、設計・見積・契約・申請・検査は含みません。

工事の期間と、開業の期間は別物

開業までは6つの工程に分かれます。相談と概算、物件の決定と契約、基本設計、実施設計と工事請負契約、着工から工事中、検査と引き渡し。

工事に見えるのは5番目だけです。その前に4つ、あとに1つあります。

6つの工程と、それぞれで確定するもの
工程 この工程を終えると確定するもの 工程に入る前に自分で用意すること
工程1|相談と概算 依頼先の候補と、金額のおおよその桁。設計と施工を誰に頼むかの体制 業種・想定席数・営業時間・予算の上限と根拠を1枚の紙に書き出す
工程2|物件の決定と契約 立地・面積・階・天井高・電気容量・排気の経路・用途区分・原状回復の範囲。ここで選択肢の大半が消える 候補物件の図面と、電気・ガス・給排水の現況資料を先に取り寄せる
工程3|基本設計とプラン確定 壁の位置、席の数、厨房や施術室の面積配分、水回りの位置 1日の動きを時間順に書き出し、同時に何人が動くかを数える
工程4|実施設計・見積確定・工事請負契約 請負金額、工期(着手と完成の時期)、支払条件、契約不適合責任の範囲 見積書を比べる基準表を自分で作り、法定の見積期間を確保する
工程5|着工から工事中 コンセント・照明・給排水の位置、造作の寸法。壁と天井が閉じた時点で物理的に固定される 立ち会う日を先に手帳へ書き込み、現場で確認する項目を紙にしておく
工程6|検査・引き渡し・開店準備 使用開始できる日。検査済証・営業許可・届出の受理という形で確定する 検査と許可の申請期限を役所のページで確認し、逆算して日付を押さえる

日数を決めているのは、工事会社ではなく法令

「何日前までに出す」と条文に書いてある手続きがあります。これは交渉できません。早く進めても、この日数だけは縮みません。

名古屋市と愛知県で確認できた期限と受付方法も表にしました。自治体によって違うので、必ず自分の所轄で確かめてください。

法令が定める日数の一覧(条文で確認したもの)
手続き・場面 法令が定める日数と根拠条項 自分で確認すること
見積期間(500万円未満) 提示から契約・入札まで1日以上。建設業法第20条第3項、建設業法施行令第5条の9第1項第一号 自分が渡した条件書に、工事名称・施工場所・設計図書・責任施工範囲・全体工程・見積条件・施工環境の7項目が入っているか読み返す
見積期間(500万円以上5,000万円未満) 10日以上。同施行令第5条の9第1項第二号。やむを得ない事情があれば5日以内に限り短縮可(同項ただし書) 条件書を渡した日をカレンダーに記入し、10日後より前に契約日を置いていないか確かめる
見積期間(5,000万円以上) 15日以上。同施行令第5条の9第1項第三号。同じく5日以内に限り短縮可 複数社に同じ日に条件を渡し、締切も同じ日に設定する。1社だけ短くしない
建築確認の審査(第一号・第二号) 受理から35日以内。建築基準法第6条第4項。第6項により35日の範囲で延長される場合がある 自店の区画が第6条第1項のどの号に当たるかを、面積と用途から設計者に確認する
建築確認の審査(第三号) 受理から7日以内。建築基準法第6条第4項 確認済証の交付前は着工できない(同条第8項)ため、着工予定日から逆算して申請日を決める
完了検査の申請 工事完了の日から4日以内に到達。建築基準法第7条第2項。受理から7日以内に検査(同条第4項) 工事完了予定日を工事会社に書面で出してもらい、そこから11日先を「早くても使用開始できる日」と考える
中間検査 特定工程の工事を終えた日から4日以内に申請、受理から4日以内に検査。建築基準法第7条の3第2項・第4項 特定行政庁が指定する特定工程が自分の工事に含まれるかを、着工前に設計者へ確認する
検査済証前の使用制限 原則として検査済証の交付後でなければ使用不可。建築基準法第7条の6第1項。例外は同項第一号から第三号(第三号は申請受理から7日経過) 自店が同項の対象に当たるかを設計者に確認し、当たる場合は仮使用の可否も含めて開店日を決める
消防設備の着工届 工事に着手しようとする日の10日前まで。消防法第17条の14 誰が届け出るのか(甲種消防設備士)を工事会社に確認し、着工日が10日以内に迫っていないか見る
消防用設備等の設置届と検査 工事が完了した日から4日以内に届出。消防法第17条の3の2、消防法施行規則第31条の3第1項 検査の日程は消防署の都合で決まる。工事完了予定日が決まった時点で所轄の予防課へ相談する
飲食店の営業許可 都道府県知事の許可。食品衛生法第55条第1項。施設基準は同法第54条により条例で定められる 着工前に図面を持って保健センターに相談する。工事後に基準不適合が分かると作り直しになる
許可が不要な営業の届出 あらかじめ届け出る。食品衛生法第57条第1項 自分の業態が許可制か届出制かを、保健センターに業態を説明して確認する
名古屋市・愛知県で確認できた手続きの期限と受付方法
手続き 期限・日数と受付方法 自分で確認すること
建築確認申請 令和7年度の総審査日数の平均は第一号・第二号(判定不要)で35.6日、第三号で13.2日。郵送受付は行っていない 窓口へ行ける日を先に押さえる。補正で伸びるため、実審査日数ではなく総審査日数で日程を組む
防火対象物使用開始届 使用開始の日の7日前まで(名古屋市火災予防条例第66条)。手数料不要。窓口または電子申請 開店日の7日前が土日祝に当たらないかを確認し、当たるならさらに前倒しする
防火対象物工事計画届 当該工事に着手する前(名古屋市火災予防条例第66条の2)。確認申請が必要な場合は確認申請書に添付 確認申請を出す設計者に、この届出を誰がいつ出すのかを書面で確認する
消防用設備等設置届・着工届 名古屋市のページと様式には期限の記載がない。法令上は着工届が10日前、設置届は工事完了から4日以内。郵送受付は不可 所轄の消防署予防課に電話し、検査の希望日が取れるかを工事完了予定日が固まった時点で聞く
飲食店営業許可 営業開始予定日の20日前までに申請。新規16,000円。郵送不可(窓口またはオンライン) 着工前に図面を持って保健センターへ相談する。相談した日と担当者名を記録に残す
深夜酒類提供飲食店営業開始届出 営業を開始しようとする日の10日前まで。営業所所在地を管轄する警察署の生活安全課 用途地域が第一種地域に当たらないかを、物件の契約前に確認する
防火管理者選任届出 名古屋市のページに提出期限の記載はない。建物所在地の消防署本署予防課へ 講習の受講日程が先に埋まることがあるため、物件が決まった時点で受講予約を取る

統計で見る、店舗工事の工期

「開業までは平均◯か月」という数字を、この記事では書きません。開業までに要した期間を尋ねた公的な調査を探しましたが、該当する設問を持つ統計は見つかりませんでした。

代わりに使えるのは、国土交通省「建築物リフォーム・リニューアル調査」です。用途「店舗」について、受注額の階級ごとの平均工期が出ています。自分の予算規模の行を見れば、工事側の目盛りになります。ただし工事の期間であって、開業までの期間ではありません。

用途「店舗」の受注額別 受注件数と平均工期(令和7年度計)
受注額の階級 受注件数と平均工期 自分の案件に当てはめるとき確認すること
100万円未満 217,499件/平均工期12.2日 部分的な補修や什器入替の水準。自分の工事がこの規模なら、日程の主役は工事ではなく手続き側になる
100万円以上500万円未満 97,799件/平均工期30.9日 居抜きで内装仕上げが中心の工事が入りうる帯。設備を触るかどうかで大きく変わるため、見積内訳で設備工事の有無を見る
500万円以上1,000万円未満 28,623件/平均工期46.5日 この帯は建設業法施行令第5条の9第1項第二号の見積期間(10日以上)に該当する。見積依頼日から逆算する
1,000万円以上5,000万円未満 20,663件/平均工期61.2日 約2か月。この日数に、設計・見積・契約・申請・検査の日数を足したものが開業までの期間になる
5,000万円以上1億円未満 539件/平均工期119.4日 約4か月。見積期間は15日以上(同項第三号)。確認申請を伴う可能性も高く、審査日数を別途足す

6つの工程で、それぞれ何が決まるか

工程ごとに「確定するもの」と「自分の宿題」があります。止まる原因のほとんどは、施主側の決めごとが遅れることです。工事会社が待っているのは、たいてい返事です。

各工程で用意しておくものと、現場に行くべき日を表に入れました。

工程1でやること・日数がかかる理由・自分の宿題
やること 日数がかかる理由 自分で先に進められること
依頼先の候補を集める 施工実績・対応範囲・体制を比べるには複数社と会う必要があり、面談の日程調整だけで日数を使う 候補を3社に絞り、面談希望日を先に3つ提示する。相手の返事待ちの日数を減らせる
与件を1枚にまとめる 与件が固まっていないと、ヒアリングが複数回に分かれて日数が伸びる 面談前に紙に書き、面談の前日にメールで送る。当日の議論が深いところから始まる
候補物件の内覧に同行してもらう 同行できる日は相手の現場都合で決まる。1週間先になることも珍しくない 内覧の希望日を仲介会社に伝える前に、工事会社の空き日を先に聞いておく
概算を受け取る 現地を見ていない段階の概算でも、面積・業種・仕様の3つがそろわないと桁が出せない 「坪単価はいくらですか」ではなく「この条件でいくらになりますか」と聞く。前者は答えが出ない
体制を決める 設計と施工を分けるか一体で頼むかで、その後の日程の組み方が変わる 設計事務所・工務店・デザイン施工一貫の違いを先に理解し、自分の案件に合う型を決めておく
物件契約で確定してしまうことと、契約前に確認する方法
契約で確定すること あとから変えられない理由と、日程への影響 契約前に自分で確認すること
用途区分と用途変更の要否 別表第一(い)欄の用途で200平方メートルを超えると建築基準法第6条第1項第一号に当たり、第87条第1項の準用により確認申請が要る。審査は35日 区画の床面積と、変更前後の用途を紙に書く。設計者と特定行政庁に契約前に相談する
検査済証の有無 検査済証がないと用途変更の手続きが進みにくく、調査から始めることになって日数が読めなくなる 貸主または管理会社に検査済証の写しを求める。「ない」と言われたら、その時点で日程を組み直す
電気の引込容量とガスの種類 容量不足は内装工事では解決できない。増設できるかどうかは建物側の事情で決まり、日数も読めない 分電盤の写真を撮り、契約電力とブレーカー容量を控える。工事会社に写真を送って判断してもらう
排気・給気の経路 ダクトを外に出せない区画では厨房が成立しない。経路の交渉は貸主と近隣の双方が絡み、日数が読めない 外壁の開口位置と、屋上への立ち上げが可能かを内覧時に目視する。写真を撮って持ち帰る
原状回復の範囲 スケルトン戻しか現状渡しかで、退去時の費用が大きく変わる。契約書の文言で決まる 契約書の原状回復条項をコピーし、「どの状態に戻すのか」を図または写真で確認する
フリーレントの期間と起算日 賃料の発生日が着工日より前だと、工事期間の家賃を自分で負担することになる 賃料発生日・引渡日・工事可能期間の3つの日付を契約書の中で突き合わせる
工事可能な曜日と時間帯 夜間のみ・日曜不可などの制約は工期をそのまま延ばす。ビルの規則で決まっており交渉が効きにくい 管理規則の写しをもらい、搬入経路・エレベーターの使用可否・養生の要否まで読む
館側の申請と承認の日数 商業施設では館への工事申請の承認を得るまで着工できない。承認までの日数は館ごとに違う 出店の説明会資料に工事日程のルールが書かれている。契約前に入手して日数を控える
工程3で決めることと、決められないまま止まる原因
決めること 決められずに止まる典型的な原因 自分で先に用意しておくこと
客席の数と配置 席数を増やしたい気持ちと通路幅の確保がぶつかり、判断が先送りされる 損益分岐に必要な客数を先に計算しておく。「何席なら成り立つか」を数字で持っておく
厨房・施術室の面積配分 機器の寸法が決まっていないため、必要な面積が出せない 入れたい機器の型番と外形寸法を一覧にする。中古で探すなら現物の寸法を実測する
水回りの位置 既存の排水経路と希望位置が合わず、床を上げるかどうかの判断が必要になる 既存の排水位置を写真で押さえ、床の仕上がり高さが何ミリ上がるかを聞く
バックヤードの広さ 売場を優先して後回しになり、最後に「余った場所」になる ストックする在庫量、スタッフの人数、着替えと休憩の場所を先に決めて面積を確保する
仕上げのグレード 予算の上限が決まっていないため、どこまで上げてよいかが判断できない 「絶対に落としたくない場所」を3つだけ決め、それ以外は標準仕様でよいと伝える
什器を造作にするか既製品にするか 造作は製作日数がかかり、既製品には納期がある。判断が遅れると両方が間に合わない 造作にする什器を先に3点だけ決め、それ以外は既製品と割り切る。判断量を減らす
工程4で確定するものと、契約前の確認事項
確定するもの 確定の根拠と、あとで揉める原因 判を押す前に自分で確認すること
請負金額 実施設計の図面と数量が前提。図面にないものは金額に入っていない 見積書の各項目に「数量」と「単位」が入っているかを見る。一式だけの行に印をつけて内訳を求める
工事着手の時期 建設業法第19条第1項第三号の記載事項。確認申請が要る工事は確認済証の交付後でなければ着工できない(建築基準法第6条第8項) 着手日が確認済証の交付見込み日より後になっているかを、日付で確認する
工事完成の時期 同じく第三号の記載事項。完成日は完了検査の申請期限(工事完了から4日以内)の起点になる 完成日から4日、さらに検査まで7日を足した日を「早くても使用開始できる日」として手帳に書く
支払条件 着手金・中間金・完成時の割合と時期。資金繰りに直結する 各支払日と、融資の実行日を並べて突き合わせる。実行前に支払期日が来ていないかを見る
工期の変更に関する定め 建設業法第19条第1項第六号・第七号が、設計変更や不可抗力の場合の工期変更の定めを求めている 契約書に「工期を変更する場合の手続き」が書かれているかを確認する。書式のひな型で済ませない
工期に影響する事象の通知 建設業法第20条の2は、注文者と建設業者の双方に、契約締結までの情報の通知を義務づけている 地中の状態や近隣の事情で知っていることを、契約前に書面かメールで相手に伝える。あとの協議の根拠になる
契約不適合責任の範囲と期間 建設業法第19条第1項第十三号の記載事項。引き渡し後の不具合の扱いが決まる 対象となる部位と期間を読む。設備機器はメーカー保証に依存するため、その期間も別に控える
工事の順序と、施主が現場に行くべき日
工事の段階 この段階で物理的に確定するもの 現場で自分が確認すること
解体・撤去 既存の状態が見える。ここで想定外(腐食、図面と違う配管、追加の撤去物)が出る 解体直後に一度見る。写真を撮って残す。追加が出たら金額と工期への影響を同時に聞く
墨出し 壁と什器の位置が床に線で引かれる。図面が実寸になる最初の瞬間 線の上を歩いてみる。通路の幅、レジ前の立ち位置、扉の開く向きを体で確かめる
下地組み 壁の位置、開口の大きさ、天井の高さが立体で決まる 必ず立ち会う。図面では分からない高さと圧迫感を確認できる最後の機会になる
電気配線・給排水配管・ダクト コンセント、スイッチ、照明、給排水、換気の位置が壁と天井の中に入る 必ず立ち会う。「ここに何を置いて、何を挿すか」を声に出しながら1か所ずつ指さして確認する
ボード張り・下地処理 壁と天井が閉じる。内部の変更はここで物理的に終わる 閉じる前日までに配線の写真を撮ってもらう。将来の改装と退去のときに必ず役に立つ
仕上げ工事 色と質感が実物で現れる。サンプルとの差が分かる 実際に営業する時間帯の明るさで見る。昼と夜の両方で1度ずつ見る
建具・造作の設置 製作物が現場に入る。寸法違いはこの時点で判明する 引き出しと扉をすべて開閉する。什器のがたつきを手で押して確かめる
機器の搬入・据付・試運転 厨房機器や設備機器が動く状態になる。電気容量の不足もここで判明する すべての機器を同時に動かしてみる。ブレーカーが落ちないかを、実際の使い方で試す
工程6で発生する検査・届出と、その期限
検査・届出 期限と根拠 自分で手配・確認すること
建築基準法の完了検査 工事完了の日から4日以内に申請が到達(第7条第2項)、受理から7日以内に検査(同条第4項)、適合なら検査済証を交付(同条第5項) 申請を誰が出すのかを工事会社に確認する。指定を受けた機関を使う場合は第7条の2の日数になる
検査済証前の使用制限 第7条の6第1項。例外は特定行政庁の認定、建築主事等または指定を受けた者の認定、申請受理から7日経過の3つ 自店が対象かを設計者に確認する。対象なら、検査済証の交付予定日を開店日の起点にする
消防用設備等の設置届と検査 工事完了の日から4日以内に届出(消防法第17条の3の2、消防法施行規則第31条の3第1項)。適合なら検査済証が交付される(同条第4項) 所轄の消防署予防課に、工事完了予定日が決まった時点で検査希望日を相談する
防火対象物使用開始届(名古屋市) 使用開始の日の7日前まで(名古屋市火災予防条例第66条)。手数料不要 開店日を決めたら、その7日前の日付をカレンダーに赤で入れる。土日祝を挟む場合はさらに前倒しする
防火管理者選任届出 名古屋市のページに提出期限の記載はない。消防法第8条に基づく届出 講習の空き状況を先に確認する。受講できる日が1か月先ということもある
飲食店営業許可(名古屋市) 申請書は営業開始予定日の20日前までに提出。申請時に施設審査の日を打ち合わせる 施設検査には責任者の立ち会いが必要。自分の予定を空けておく
深夜酒類提供飲食店営業開始届出 営業を開始しようとする日の10日前まで(愛知県警察) 営業所の平面図が必要になる。図面のデータを設計者からもらっておく
施主検査と是正 法令の定めはない。工事会社との取り決めによる 是正の完了予定日を書面でもらう。口頭の「直しておきます」は日付にならない
引き渡しと書類の受領 建設業法第19条第1項第十一号が、検査の時期・方法と引渡しの時期を契約書の記載事項としている 完成図面、機器の取扱説明書と保証書、鍵の本数、保証範囲、緊急時の連絡先を受け取ってから受領書に署名する
相談に入る前に自分で用意するもの
  1. 業種と業態(何を、いくらで、どんな方に売るのか)
  2. 想定する席数または施術台数、あるいは売場の什器台数
  3. 営業時間と、ピーク時に同時に動くスタッフの人数
  4. 希望する開店時期と、その時期にした理由
  5. 予算の上限と、その根拠(自己資金と借入の内訳)
  6. 絶対に入れたいものと、削ってよいものの区別
プランを見るときに確認する順序
  1. ピーク時に、同時に何人がどこにいるかを図面に書き込む
  2. お客様の動線とスタッフの動線が交差する場所に印をつける
  3. 荷物の搬入経路を、入口からバックヤードまで指でなぞる
  4. 手洗い・トイレ・ごみ置き場の位置を、営業中に使う頻度で見る
  5. 客席を1席増やしたら、どこが狭くなるかを確認する
  6. 3年後に業態を少し変えるとしたら、どこが動かせないかを聞く
引き渡しのときに必ず受け取るもの
  • 完成図面(実際に施工した内容を反映したもの。ボードを張る前の写真もあれば受け取る)
  • 設備・機器の取扱説明書と保証書(保証の起算日を確認する)
  • 工事の保証書(保証の範囲と期間、除外される事象)
  • 鍵の一式と本数の記録(誰が何本持っているかを紙に残す)
  • 不具合が出たときの連絡先と、対応してもらえる時間帯
  • 検査済証、消防の検査済証、営業許可証(原本の保管場所を決める)

戻れなくなる日と、並行して進めること

変更が効かなくなる分岐点は7つあります。その日を過ぎると、直すのに費用と日数がかかります。いつが分岐点かを先に知っておけば、決めるべき日が決まります。

工事が終わってから始めると間に合わないものもあります。採用、仕入先、レジと決済、販促、届出。これらは工事と並行して進めるものです。

戻れなくなる7つの分岐点
何が確定するか それはいつか その前に自分で確認すること
分岐点1|立地・面積・設備の上限 賃貸借契約に署名した日。電気容量、排気経路、天井高、用途区分、原状回復の範囲がここで固定される 分電盤と外壁の開口を写真に撮り、工事会社に送って「この区画で希望の業態が成立するか」を書面で答えてもらう
分岐点2|間取りと客席の数 基本設計の平面図を承認した日。以降の見積り・実施設計・発注はすべてこの図面が前提になる 承認の前に、ピーク時の人の動きを図面に書き込む。1席増減させた場合の図面も1枚もらっておく
分岐点3|金額・工期・支払条件 工事請負契約に署名した日。着手と完成の時期は建設業法第19条第1項第三号により契約書の記載事項となる 署名前に、見積期間(施行令第5条の9第1項)を確保したか、着手日が確認済証の交付見込み後かを日付で確かめる
分岐点4|申請した計画の内容 建築確認や用途変更の申請書を提出した日。以降の変更は軽微な変更を除き計画変更の確認が必要になる 提出前に、図面と実際にやりたいことがずれていないかを最終確認する。審査は35日(建築基準法第6条第4項)
分岐点5|造作・特注品・機器の仕様 発注した日。製作と納品のリードタイムが工程に組み込まれるため、寸法と機種はここで締め切られる 発注前に、機器の外形寸法と搬入経路の幅を突き合わせる。扉と階段を通るかを実寸で確認する
分岐点6|壁の位置・開口・天井高 墨出しと下地の組み立てが終わった日。以降の変更は解体してやり直す工事になる 下地が組み上がった日に必ず現場へ行く。通路を歩き、扉を開ける動きをして、体で狭さを確かめる
分岐点7|電気・給排水・照明の位置 配線と配管が終わり、ボードで壁と天井が閉じた日。位置は物理的に固定される 閉じる前日までに、「どこに何を置き、何を挿すか」を1か所ずつ声に出して確認する。配線状態の写真をもらう
工事と並行して進めることと、着手が遅れたときの影響
並行して進めること 着手が遅れると何が起きるか いつ、自分で何をするか
許認可の事前相談 工事後に施設基準の不適合が分かると、作り直しになる。名古屋市は着工前の図面持参の相談を求めている 基本設計ができた時点で、図面を持って保健センターと消防署へ行く。相談日と担当者名を記録する
融資の実行日 着手金や中間金の支払期日に実行が間に合わないと、自己資金の持ち出しが発生する 請負契約の支払条件が決まったら、支払日と実行予定日を1枚に並べて金融機関に見せる
電気・ガス・水道の契約 開栓・供給開始の立ち会い日が取れず、試運転ができない 機器の据付日が決まった時点で申し込む。立ち会いが必要な日を工事会社と共有する
通信回線の開通 回線工事の日程は事業者側の都合で決まる。決済端末と予約システムが使えないまま開店することになる 物件が決まった時点で申し込む。工事の立ち会い日を工程表に書き込む
レジ・決済・予約システム 審査と初期設定に日数がかかる。開店当日に決済が通らないという事故が起きる 回線の開通予定日を確認してから申し込む。開店の1週間前にテスト決済を行う日を決めておく
スタッフの採用と研修 採用が遅れると研修の時間が取れず、開店直後の接客が回らない。早すぎると人件費が先に出る 引き渡し予定日から逆算し、研修に必要な日数ぶん前に入社日を置く。開店延期の可能性も伝えておく
仕入先の開拓と初回発注 取引口座の開設に日数がかかる。初回発注の納品日が開店に間に合わない 工事の中盤で口座開設を申し込む。納品日を検査完了の見込み日より後ろに置く
看板・サインの製作 製作と設置に日数がかかり、屋外広告物の手続きが必要な場合もある。開店に看板が間に合わない デザインの承認日を工程表に入れる。設置に高所作業車が要るなら道路使用の手配も確認する
地図情報・SNS・Webサイト 開店してから始めると、最初の1か月の来店が積み上がらない 工事中から発信を始める。開店日を確定して告知するのは、検査と許可の見込みが立ってからにする
各種保険の加入 引き渡し後から開店までの期間が無保険になる。什器や在庫の搬入後に事故が起きると自己負担になる 引き渡し日を保険の始期にそろえる。工事期間中の保険は誰が掛けているかを工事会社に確認する

遅れる原因は5つに分けられる

遅延には型があります。施主の決定待ち、追加工事、材料の納期、役所の日程、天候。型が分かれば、吸収のしかたも決まります。

1か月遅れたときの損失は計算できます。賃料だけでなく、人件費、販促の打ち直し、本来なら立っていた売上も失われます。

遅延の5つの型と、吸収のしかた
遅延の型 なぜ起きるか 自分でできる吸収のしかた
型1|解体後に想定外が出る 既存の状態は開けてみるまで分からない。下地の腐食、図面と違う配管、追加の撤去物が出る 解体直後に立ち会う日を最初から工程表に入れる。判断を求められたその日に決められるよう、予備費の枠を先に決めておく
型2|施主の決定が遅れる 色決め、機器の選定、造作の寸法。決めきれないまま日が過ぎ、発注が後ろにずれる 「いつまでに何を決めるか」の一覧を着工前にもらい、自分の手帳に転記する。決めきれない項目は標準仕様に落とすと先に宣言しておく
型3|納期の読み違い 特注家具、輸入機器、特殊な仕上材は納期が長い。発注日が決まらないと工程が組めない 納期が長いものを3つだけ特定し、その発注日を工程表に赤で書く。それ以外は在庫品で代替できる選択肢を先に持っておく
型4|申請・審査・検査の日程 確認申請の審査、消防や保健所の検査、ビルの工事承認。いずれも相手の日程で決まる 該当する手続きを工程表に手続きの行として書き込み、法定の日数を数字で入れる。窓口へは早めに一度顔を出しておく
型5|職人と資材の手配 年度末や年末は需要が集中する。特定の職種が押さえられず、工程の一部だけが後ろにずれる 着工前に「どの工程が遅れると全体が遅れるか」を工事会社に聞き、その工程の職人がいつ押さえられているかを確認する
試算に使う前提(編集部の試算例)
項目 試算に置いた数値 自分の数字を入れるとき見るもの
店舗の規模 15坪の路面店、客席20席 賃貸借契約書の面積と、承認した平面図の席数
賃料と共益費 賃料30万円、共益費3万円、合計33万円 契約書の賃料・共益費・賃料発生日の3つを転記する
借入の返済 1,000万円を10年、年利2%で借りた場合の元利均等返済として月約9万2千円 金融機関の返済予定表にある毎月の返済額と、初回の返済日
先に採用したスタッフ 2名、人件費の合計は月40万円 採用時に約束した入社日と、月額の支給額
その他の固定費 水道光熱の基本料金、通信、保険、リース料の合計で月5万円 各契約の請求書。基本料金だけでも発生するものを拾う
想定する月商 250万円(客単価3,500円、1日平均29人、月25日営業に相当) 事業計画書に書いた売上予測。根拠のある数字を使う
原価率 30%(粗利率70%) 仕入先から取った見積りと、想定するメニュー構成
遅延1か月の損失を単位を変えて見る(編集部の試算例)
見る単位 試算した金額・人数 この数字をどう使うか
1か月あたりの粗利 175万円 この金額と、仕様を1グレード上げる差額を並べる。上げても1か月遅れないほうが得なことがある
1日あたりの粗利 7万円 「あと3日だけ返事を待ってください」と言いたくなったとき、その3日が21万円だと知っておく
お客様の人数に換算 1日あたり約29人分 開店後に1日29人を余分に集めるより、1日早く開けるほうが簡単かを比べる
賃料と共益費だけで見た1日 1万3,200円(お客様約5人分) フリーレントの交渉で1か月延ばせるなら、いくらの価値があるかを金額で示せる
固定費の1か月 87万2千円 採用の入社日を2週間後ろにずらすだけで、いくら浮くかを計算する材料にする

開店日から逆算して、自分で日程表を作る

工事会社の工程表は工事の分しかありません。開業の日程表は、自分で作るしかありません。作り方は決まっていて、開店日を1行目に置いて後ろから積んでいきます。

逆算した日程表に必ず入れる3種類の行
行の種類 なぜ工事の工程表に載っていないのか 自分で書き足すときの書き方
手続きの行 申請と検査は工事会社の作業ではないため、工程表の対象外になっていることが多い 手続きごとに1行を立て、「申請日」「審査期間」「検査日」「交付日」の4つの日付を書く
自分が決める行 施主の意思決定は工事の作業ではないため、工程表には現れない。しかし遅延の主因になる 決定項目ごとに1行を立て、締切日を書く。締切を過ぎたら標準仕様に決めると先に宣言しておく
並行して進める行 採用、回線、仕入、販促は工事会社の管理範囲外。誰も工程表に書いてくれない 申し込み日と、使えるようになる日の2つを書く。間の日数が読めないものは印をつけて目立たせる
開店日から逆算して日程表を作る手順
  1. 開店予定日を1行目に書く。ここだけは希望で決めてよい。ただし、あとで動く前提にしておく
  2. その日から逆に、許可と届出の期限を書き込む。飲食店営業許可は名古屋市なら20日前、防火対象物使用開始届は名古屋市火災予防条例第66条により7日前、深夜酒類提供の届出は10日前
  3. 検査の日を置く。完了検査は工事完了から4日以内に申請し、受理から7日以内に検査(建築基準法第7条第2項・第4項)。消防用設備等の設置届は工事完了から4日以内(消防法施行規則第31条の3第1項)
  4. 施主検査と是正の日数を入れる。法令の定めはないため、工事会社と相談して日数を決め、その日数を書き込む
  5. 工事完了日を確定させる。ここまでの日数を足すと、開店予定日から逆算した工事完了日が出る
  6. 工事期間を引く。自分の工事金額の帯にあたる平均工期(建築物リフォーム・リニューアル調査)を仮に置き、工事会社の見立てと突き合わせて決める
  7. 着工日を確定させる。確認申請が必要なら、確認済証の交付後でなければ着工できない(建築基準法第6条第8項)。消防設備の着工届は着工の10日前(消防法第17条の14)
  8. 申請と審査の日数を引く。建築確認は受理から35日以内(同法第6条第4項)。名古屋市の令和7年度の総審査日数の実績は第一号・第二号(判定不要)で平均35.6日
  9. 契約日を置く。工事請負契約から着工までに、申請の準備と職人の手配の日数が必要になる
  10. 見積期間を引く。建設業法施行令第5条の9第1項により、500万円以上5,000万円未満なら10日以上、5,000万円以上なら15日以上
  11. 実施設計と基本設計の日数を引く。ここは法定の日数がないため、工事会社に「図面が出るまでの日数」と「こちらの返事に許される日数」の両方を聞いて書く
  12. いちばん上に残った日付を見る。それが、遅くともその日までに依頼先を決めなければならない日である

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よくある質問

開業の日程について、相談の場で繰り返し出てくる質問を4つ挙げます。 いずれも「何日かかりますか」という形で聞かれるものです。

ここでは、条文と公表資料で確認できた日数だけを答えます。 確認できなかったものは、そのように書きます。

答えを読むときは、自分の案件に該当する手続きだけを拾ってください。 すべての店舗にすべての手続きが必要なわけではありません。

該当するかどうかの判断は、面積・用途・設備の3つで決まります。 判断がつかないときは、契約前に窓口へ相談するのが確実です。

なお、日数は名古屋市の運用に基づく部分があります。 他の自治体では受付方法や実績日数が異なります。

物件の契約から開店まで、どれくらいの日数を見ておけばよいですか?

「平均◯か月」と言える公的な統計は、今回の調査では見つかりませんでした。 日本政策金融公庫総合研究所の2025年度新規開業実態調査には、開業費用や開業時の年齢の設問はありますが、開業までに要した期間を尋ねた設問がありません。

そのため、平均値ではなく、自分の案件に当てはまる法令の日数を積み上げて逆算してください。 積み上げる材料は次のとおりです。

見積期間は、建設業法第20条第3項と建設業法施行令第5条の9第1項により、予定価格500万円未満で1日以上、500万円以上5,000万円未満で10日以上、5,000万円以上で15日以上です。

建築確認が必要な工事なら、建築基準法第6条第4項により、同条第1項第一号または第二号に係るものは受理から35日以内、第三号に係るものは7日以内に審査されます。 さらに第6項により、35日の範囲内で延長されることがあります。

名古屋市が公表している令和7年度の実績では、構造計算適合性判定が不要な第一号・第二号の総審査日数の平均は35.6日、第三号は13.2日でした。

完了検査は建築基準法第7条第2項により工事が完了した日から4日以内に申請が到達するようにしなければならず、第4項により受理した日から7日以内に検査が行われます。

消防関係では、消防法第17条の14により、甲種消防設備士が行う工事の着工届は着手しようとする日の10日前までです。 消防用設備等の設置届は、消防法第17条の3の2と消防法施行規則第31条の3第1項により、工事が完了した日から4日以内です。

名古屋市では、飲食店営業許可の申請書は営業開始予定日の20日前までに提出することとされています。 防火対象物使用開始届は、名古屋市火災予防条例第66条により使用開始の日の7日前までです。

これらのうち自分に該当するものを開店予定日から逆に並べると、契約日と着工日が自動的に決まります。 手順は開店日から逆算して日程表を作る手順に書いたとおりです。

着工したあとで、レイアウトはいつまで変更できますか?

工事の中で変更が効かなくなる時点は一つではなく、段階的に閉じていきます。 最初に閉じるのは、建築確認が必要な工事の場合の申請です。

建築基準法第6条第1項は、確認を受けた建築物の計画の変更をして同項各号に掲げる建築物を建築しようとする場合も同様に確認を受けなければならないと定めています。 同条第8項は、確認済証の交付を受けた後でなければ工事をすることができないと定めています。

つまり申請を出したあとの間取り変更は、軽微な変更に当たらない限り計画変更の確認を取り直すことになり、その分の審査日数が丸ごと上乗せされます。 次に閉じるのが発注です。

造作家具や特注の建具、厨房機器は、製作と納品のリードタイムが工程の中に組み込まれています。 そのため、発注した日が寸法と機種の締切になります。

その次が現場です。 墨出しと下地の組み立てが終われば壁の位置と開口の大きさが物理的に決まり、電気配線と給排水配管が終わってボードが張られれば、コンセント・スイッチ・照明・給排水の位置は壁と天井の中に隠れます。

ここから先の変更は、いったん壊してから作り直す工事になり、費用と日数の両方が増えます。 したがって、着工前に「どの決定がいつ締め切られるか」の一覧を工事会社からもらい、自分の手帳に転記しておくことが、もっとも確実な対策です。

開店日はいつ告知すればよいですか?引き渡しの翌日に開けてはいけませんか?

引き渡しの翌日に開けるという組み方は、法令が定める検査と許可の日数を無視しているため危険です。

建築基準法第7条の6第1項は、同法第6条第1項第一号または第二号に掲げる建築物を新築する場合などについて、第7条第5項の検査済証の交付を受けた後でなければ建築物を使用し、または使用させてはならないと定めています。

検査済証の前に使えるのは、特定行政庁が支障がないと認めたとき、建築主事等または指定を受けた者が国土交通大臣の定める基準に適合していると認めたとき、完了検査の申請が受理された日から7日を経過したときの3つの場合に限られます。 いずれも自動的に認められるものではありません。

消防については、消防法第17条の3の2と消防法施行規則第31条の3第1項により、消防用設備等を設置したときは工事が完了した日から4日以内に届け出て検査を受ける必要があります。 検査の日程は消防署の都合で決まります。

飲食店であれば営業許可も必要です。 名古屋市は申請書を営業開始予定日の20日前までに提出するよう案内し、施設の検査日は申請時に打ち合わせるとしています。

さらに名古屋市火災予防条例第66条により、防火対象物使用開始届は使用開始の日の7日前までに提出しなければなりません。 これらはいずれも役所側の日程に依存し、こちらの都合で前倒しできません。

したがって開店日の告知は、工事の引き渡し予定日ではなく、検査と許可がすべて終わる見込みの日を起点にし、そこからさらに余白を置いた日付で行ってください。 告知を先に出してしまうと、間に合わせるために仕様を落とす、検査前に人を入れるといった無理が生じます。

見積もりを急いでほしいと頼んでも問題ありませんか?

頼むこと自体は自由ですが、注文者の側に法律上の義務があることは知っておいてください。 建設業法第20条第3項は、注文者は、随意契約なら契約を締結するまでに、入札なら入札を行うまでに、第19条第1項各号(第二号を除く。)に掲げる事項についてできる限り具体的な内容を提示しなければならないとしています。

そのうえで、提示から契約締結または入札までの間に、建設業者が見積りをするために必要な期間として政令で定める期間を設けなければならないと定めています。 その政令が建設業法施行令第5条の9第1項です。

同項は、工事1件の予定価格が500万円に満たない工事は1日以上、500万円以上5,000万円に満たない工事は10日以上、5,000万円以上の工事は15日以上と定めています。 ただし書は、やむを得ない事情があるときは第二号および第三号の期間を5日以内に限り短縮することができるとしています。

国土交通省の「発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン」第8版は、4月1日に提示した場合、500万円以上5,000万円未満なら4月12日以降でなければ契約締結または入札ができないという具体例を示しています。

なお同ガイドラインは、この見積期間の根拠を建設業法施行令第6条と表記しています。 しかし e-Gov 法令検索で確認できる現行の施行令では第5条の9が見積期間の規定であり、第6条は法第20条第5項の規定による承諾に関する手続等の規定に差し替わっています。

条番号を引用するときは、必ずe-Gov本文で確かめてください。 そして実務上の意味はもっと単純です。

期間を削ると、工事会社は現地を十分に見られず、数量を拾い切れません。 拾い切れなかったぶんは一式計上で逃がすか、着工後の追加として処理することになり、結局は自分に返ってきます。

まとめ|6つの工程

日程が読めない原因は、工事の期間だけを見ていることです。前に4工程、あとに1工程あります。

やることは、条文で決まっている日数を先に埋め、戻れなくなる日に決定を合わせ、工事と並行して進めるものを別の行に立てること。この3つで、日程表は自分で作れます。

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