内装が仕上がって写真も撮った。そのあと店の評価を決めるのは、他の方が書いた文章です。口コミには、選んだ照明も壁の色も席の間隔も写り込みます。

だからといって、集め方を間違えると命令が出ます。★4以上と引き換えに割り引いた店に、実際に措置命令が出ています。

線引きは7つ。そのうち6つは「やらないこと」です。

この記事でわかること

  • お客様に投稿をお願いするとき、どこからが「事業者の表示」になるか
  • ★の数や書く内容を伝えることが、なぜ2つのルールの両方に触れるのか
  • 次回割引券を渡す方法が、法律とGoogleで扱いが分かれる理由
  • 「PR」と書けばよいわけではない、明瞭さの基準
  • 集めた口コミを自分のサイトに載せるときに効いてくるもの
  • 事実でない口コミへの削除の申出と、判断が返ってくるまでの期間
お礼を渡さず投稿をお願いするのは景品表示法の対象外でGoogleも認めている。投稿のお礼に次回割引券を渡す方法は運用基準では自主的な投稿とされる例だが、Googleは報酬と引き換えを禁止。★4以上を条件に代金を割り引く方法は措置命令の実例があり、Googleも禁止。内容の指定、広告と書かない依頼投稿も同様に問題になる。
法律に触れなくても、Googleのポリシーには触れます|見るルールは2つあります。お礼を渡した時点で、Google側は禁止です。集めた口コミが消される可能性まで含めて判断してください。

★4以上と引き換えに割り引いた店に、命令が出ています

関わるのは景品表示法とプラットフォームのポリシーの2つ。どちらに当たるかで、起きることが違います。

7つの線引きと、どちらのルールに関わるか
線引き関わるルール解説
1. 対価と引き換えに投稿を頼まない景品表示法/Googleくわしく
2. ★の数と書く内容を指定しない景品表示法/Googleくわしく
3. 良い評価だけを選んで集めないGoogleくわしく
4. 自分と身内のアカウントで投稿しない景品表示法/Googleくわしく
5. 依頼した投稿には「広告」と書く景品表示法くわしく
6. 自分のサイトへ載せるときも同じ景品表示法くわしく
7. 事実でない口コミへの対応を知るGoogle/情報流通プラットフォーム対処法くわしく

出典:消費者庁「医療法人社団祐真会に対する景品表示法に基づく措置命令について」(2024年6月7日公表)、「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」。告示は令和5年内閣府告示第19号、施行は2023年10月1日です。

線引き1|対価と引き換えに、投稿を頼まない

割引も、1品サービスも「対価」です。何が当たるかを表にしました。

「対価」に当たるもの
渡すもの起きること代わりにできること
その場の代金の割引措置命令の実例がある。Googleのポリシーでも禁止割引は口コミと切り離す。会計と投稿のお願いを同じ場面で結びつけない
無料の一品、ドリンクサービス金銭でなくても対価に当たる来店へのお礼として渡し、口コミの話をしない
抽選への参加権投稿を条件にすれば同じ構造になる投稿を条件にしない形にできるかを、先に考える
今後の取引をにおわせる言葉明示の依頼がなくても、事業者の表示とされることがある「書いていただけたら次回も」のような言い方をしない

出典:消費者庁「ステルスマーケティング」の運用基準、Google「禁止または制限されているコンテンツ」。

線引き2|★の数と、書く内容を指定しない

「★5でお願いします」は完全に外です。言い方を比べた表を用意しました。

声のかけ方を、言い方で比べる
言い方扱い理由
「よろしければ、Googleに感想をいただけると嬉しいです」問題なし対価がなく、内容にも触れていない。Googleも認めている形
「★5でお願いします」避ける評価の内容を指定している。Googleのポリシーで禁止
「担当した◯◯の名前を入れてください」避ける書く内容の指定に当たる
「いま、この場で書いていただけますか」避けるその場での投稿の要求に当たる
「投稿していただいたら、次回100円引きです」避ける対価と引き換えの依頼。措置命令の実例がある形

出典:Google「クチコミを増やすためのヒント」、消費者庁の運用基準。Googleは「インセンティブを提供せず、内容に影響を与えようとせずに、実際の体験にもとづく投稿を促すこと」は認められるとしています。

線引き3|良い評価だけを、選んで集めない

満足した方にだけ声をかけるのも、集め方によってはポリシー違反になります。

集め方と、Googleのポリシーでの扱い
やり方扱いやること
全員に同じ案内を出す(レシート、卓上のPOP、名刺サイズのカード)認められている案内の文面から「★」「高評価」といった語を外す
満足度の高い方だけをGoogleへ誘導する禁止アンケートと口コミの案内を、同じ流れにつなげない
不満のある方に「直接お聞きします」と言って投稿を止める禁止(投稿を妨げる行為)直接の対応と、投稿の可否を切り離す
否定的な口コミに返信する勧められている投稿された方の個人情報を出さず、個人攻撃をしない。直接の連絡で解決を図る

出典:Google「禁止または制限されているコンテンツ」「クチコミを増やすためのヒント」。返信にはビジネスプロフィールのオーナー確認が要ります。

線引き4|自分と身内のアカウントで投稿しない

ゼロのときにできることはあります。写真を増やす、投稿を出す、質問に答える。表にしました。

口コミがゼロのときにできること
やること中身効いてくるもの
写真を先に揃える外観、店内、メニュー、席からの眺め。口コミがなくても、写真は自分で載せられる口コミが出てくるまでの間、判断の材料になる
投稿の案内を全員に置くレシートの末尾、卓上のPOP、名刺サイズのカードにQRコードを載せるお願いの回数を増やす。内容には触れない
最初の1件に丁寧に返信する短くてよい。書いてくださった内容に触れて返す返信のある店だと分かると、次の投稿が出やすくなる
開店の告知を先に出すプロフィールの情報を埋め、営業時間と写真を先に整える来店そのものを増やす。口コミは来店の後にしか出ない

線引き5|依頼した投稿には「広告」と書く

事業者の表示だと分かる書き方が要ります。書かないとステルスマーケティングになります。

「事業者の表示」だと分かる書き方
書き方運用基準での扱い依頼するときに伝えること
冒頭に「広告」「PR」と置く明瞭な例として挙げられている投稿の冒頭に置くこと、本文と同じ大きさにすることを、依頼の条件に入れる
「◯◯から提供を受けて投稿しています」と文章で書く明瞭な例として挙げられている店名を入れた一文を、こちらから渡す
大量のハッシュタグの中に「#PR」を混ぜる不十分な例タグではなく本文に置くよう伝える
周りより小さい文字、薄い色で書く不十分な例大きさと色を本文と揃えるよう伝える
投稿の末尾に置く視認しにくい位置として挙げられている冒頭に置くよう伝える
動画で一瞬だけ表示する不十分な例表示し続ける時間を指定する

出典:消費者庁「ステルスマーケティング」の運用基準(令和5年3月28日消費者庁長官決定)。運用基準は、事業者でない方が行う行為は告示の対象外としています。依頼した側が責任を負う形です。

線引き6|自分のサイトへ載せるときも、同じルールが効く

良い口コミだけを選んで載せるのも表示です。違反したときに何が起きるかを表にしました。

景品表示法に違反したときに起きること
処分などステマ告示の違反での扱い根拠
措置命令対象になる。行為の差止め、再発防止、周知徹底を命じられ、名称と内容が公表される景品表示法第7条第1項
課徴金納付命令対象から除かれている(第5条第3号にかかるものを除く、と消費者庁が明記)消費者庁の説明による
確約手続是正措置の計画が認定されれば、措置命令などの適用を受けない。2024年10月1日から同法第26条から第33条
直罰(100万円以下の罰金)消費者庁の説明では、対象は優良誤認表示と有利誤認表示と記載されている同法第48条(2024年10月1日施行)

出典:消費者庁「景品表示法違反行為を行った場合はどうなるのでしょうか?」、「【令和6年10月1日施行】改正景品表示法の概要」。「ステマ告示は直罰の対象外」と明記した記述は、消費者庁の資料には見当たりませんでした。2つの資料の記載から読み取れる範囲として書いています。

線引き7|事実でない口コミには、削除の申出がある

感想は消せませんが、事実でないものは申し出られます。返信で反論するより先に、手順を踏んでください。

事実でない口コミへの対応
手段できること注意
Googleへ報告する口コミの横の報告アイコンから、理由を選んで報告する。審査は通常数日却下された場合の再審査は1回まで。内容への不満だけでは通らない
返信して事実を書く削除できない口コミにも、事実関係を落ち着いて返せる個人情報を出さない。個人攻撃をしない
削除の申出(情報流通プラットフォーム対処法)大規模な事業者には、申出の受付方法を整えて公表する義務がある。判断の結果は申出を受けてから14日以内に通知するとされているやむを得ない理由がある場合などの例外がある。総務省のページで最新の運用を確認する
発信者情報の開示を求める同法に手続が定められている弁護士に相談する場面です。この記事では手続の詳細を扱いません

出典:Google「ビジネス プロフィール上の不適切なクチコミを報告する」、総務省「令和7年版 情報通信白書」。旧プロバイダ責任制限法が改称され、2025年4月1日に施行されました。「14日以内」は総務省のガイドライン(令和7年3月11日決定)にもとづく目安で、当編集部はガイドライン本文を直接開いて確認できていません。実際に申し出るときは、総務省のページで確かめてください。

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よくある質問

お客様に「口コミを書いてください」とお願いするのは違法ですか?

違法ではありません。お礼を渡さず、書く内容にも触れずにお願いするだけなら、告示の対象になりません。

Googleも「インセンティブを提供せず、内容に影響を与えようとせずに、実際の体験にもとづく投稿を促すこと」は認められるとしています。レシートの末尾や卓上のPOPに一言添える形が、いちばん安全です。

投稿してくださった方に、次回使えるクーポンを渡すのはどうですか?

2つのルールで扱いが分かれます。消費者庁の運用基準は、投稿の内容について事業者とお客様の間でやり取りが一切なく、内容をお客様が自分で決めたと言える場合を、自主的な投稿の例として挙げています。

一方、Googleのポリシーは口コミと引き換えにインセンティブを提供することを禁じています。景品表示法に触れなくても、Googleの側で口コミが削除される可能性があります。

悪い口コミを消してもらうことはできますか?

内容が気に入らないという理由だけでは、Googleは削除しません。報告できるのは、スパムや冒とく的な表現などポリシーに反する場合です。却下されたときの再審査は1回までです。

事実でない内容で評価を落とされているなら、情報流通プラットフォーム対処法にもとづく削除の申出があります。大規模な事業者には、申出を受けてから判断の結果を通知するまでの期間の目安が示されています。

口コミには返信したほうがよいですか?

Googleは返信を勧めています。丁寧に、簡潔に、必要に応じて。すべてに感謝を書く必要はないとも案内されています。

否定的な口コミには、投稿された方の個人情報を出さず、個人攻撃をせず、直接の連絡で解決を図る形が示されています。Googleの説明では、良い口コミと悪い口コミの両方があることで、読む方は口コミを信用しやすくなると説明しています。返信にはオーナー確認が要ります。

まとめ|7つのうち、6つは「やらない」こと

割引と引き換えに200件集めたら、いくらかかるか。金額に直すと、割に合わないことが分かります。

やるべきことは1つだけ。すべての方に、同じ言い方で声をかける。それだけです。

7つの線引き(再掲)
線引きやらないこと/やること根拠
1. 対価割引・無料の一品・抽選の権利と引き換えに投稿を頼まない措置命令の実例/Googleのポリシー
2. 内容の指定★の数、書く内容、スタッフの名前を指定しない運用基準/Googleのポリシー
3. 選んで集める満足した方だけを誘導しない。否定的な投稿を妨げないGoogleのポリシー
4. 身内の投稿自分・スタッフ・ご家族のアカウントで投稿しない虚偽のエンゲージメント/事業者の表示
5. 「広告」の表示依頼した投稿には冒頭に「広告」と書く。タグに埋もれさせない景品表示法第5条第3号の運用基準
6. 自分のサイト転載するときも、出どころと対価の有無を書く同法第2条第4項
7. 事実でない口コミGoogleへ報告する。削除の申出と開示請求があるGoogleのヘルプ/情報流通プラットフォーム対処法
割引と引き換えに200件集めたときの金額(編集部の試算例・すべて仮の数値)
段階計算出る数字
割引の総額1件あたり500円 × 200件10万円
1日の粗利日商8万円、粗利率60%として4.8万円/日
何日分にあたるか10万円 ÷ 4.8万円約2.1日分の粗利
そのうえで起きること措置命令を受ければ名称と内容が公表される。集めた口コミはGoogleのポリシー上も削除の対象2.1日分を払って、口コミが消える

数値はすべて例です。出したいのは金額ではなく、「2日分の粗利を使って、消える口コミを買う」という形にすること。同じ2日分を、写真の撮り直しや返信の時間に使うほうが残ります。

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