「用途変更の確認申請が要るかもしれません」と言われて止まる。確認申請がかかるのは工事の内容ではなく、用途です。内装をどれだけ触るかとは、別の話です。
30坪・月30万円の区画で、開業が3か月遅れれば90万円が売上ゼロのまま出ていきます。申請が要るかどうかは、契約前に判定できます。
確認するのは7つの場面です。200平方メートルを超えるか、類似の用途か、検査済証があるか。この3つで、たいていは分かれます。
この記事でわかること
- 用途変更の確認申請が必要かどうかを、建築基準法第87条第1項と第6条第1項第1号、別表第一(い)欄から自分の計画に当てはめて判断する順序
- 200平方メートルという線の数え方と、区画面積ではなく「その用途に供する部分の床面積の合計」で見るとはどういうことか
- 建築基準法施行令第137条の18の「類似の用途」11のグループと、どの組み合わせなら確認申請が要らなくなるのか
- 検査済証がない建物で何が起きるか。国土交通省「既存建築物の現況調査ガイドライン」が示す調査1・調査2の流れと、その結果で分岐する三つの道
- 既存不適格の建物で遡って適用される規定はどれか(法第87条第3項が名指しする条文)と、店舗で実際に問題になる箇所
- 申請の実務。誰が申請者になり、どの書類が要り、審査に何日かかり、名古屋市の手数料がいくらになるか(条例の一覧表から実額で計算)
- 用途変更が不要でも別枠でかかる消防法・食品衛生法・条例の手続きと、間に合わないときの物件選びの判断基準
物件を内覧するときの一般的な確認項目は店舗物件の選び方|内装工事の視点で内覧時に確認する10のポイント、 スケルトンと居抜きの費用差はスケルトンと居抜きの違い|費用・工期・退去で変わる7つの判断材料、 居抜きで引き継げる設備の見極めは居抜き物件の設備は流用できるか|判定する7つの視点と設備別の一覧で扱っています。 賃貸借契約書の条項は店舗の賃貸借契約書で確認する9つの条項|内装工事の前に読む、 開業に必要な届出全般は店舗開業に必要な届出と許認可|内装の着工前に確認する9つの手続き、 バリアフリー関係の義務は店舗のバリアフリーで決める8つのこと|法令の義務と、実際に使えるかは別の話にあります。 この記事はそれらに重ならないよう、建築基準法上の「用途変更の確認申請」という一点に絞ります。 内装の意匠やレイアウトの話は一切しません。
確認申請は「工事」ではなく「用途」にかかる
混同されやすい手続きが複数あります。用途変更、大規模の修繕、増築、そして消防の届出。それぞれ根拠も窓口も違います。
法第87条第1項は、用途変更に建築確認の規定を準用すると定めています。だから「工事をしないから不要」とはなりません。
| 手続き | 何にかかるか | 自分で確かめること |
|---|---|---|
| 用途変更の確認申請 (法第87条第1項) |
変更後の用途が別表第一(い)欄で、その用途に供する部分の床面積の合計が200平方メートルを超えるとき。工事の有無や規模は要件に含まれない | 変更後の用途と、その用途に使う部分の床面積の合計を平面図に色分けして書き出す。区画の契約面積ではなく、実際にその用途で使う床面積を拾う |
| 建築の確認申請 (法第6条第1項) |
新築・増築・改築・移転と、大規模の修繕・大規模の模様替。用途を変えなくても対象になり得る | 間仕切りを撤去する計画が、主要構造部(壁・柱・床・はり・屋根・階段)の過半に及ばないかを設計者に確認する |
| 用途地域の制限 (法第48条・法第87条第2項) |
その用途をその地域で営めるかどうか。面積の大小にかかわらず用途を変更する場合に準用される | 物件の住所から用途地域を調べ、計画している業態が建てられる用途に入っているかを都市計画の窓口で確認する |
| 既存不適格建築物への準用 (法第87条第3項) |
現行規定の適用を受けていない建物の用途を変更する場合に、耐火・内装制限・避難などの規定が準用される | 建物の建築年と、その後の増改築の履歴を貸主に確認する。古い建物ほどこの項が効いてくる |
| 消防用設備等の基準 (消防法第17条の3) |
防火対象物の用途が変更されたときの消防用設備等。建築基準法とは別の法律で、面積の線も別 | 所轄の消防署の予防担当に平面図を持参し、変更後の用途と面積で必要になる設備を口頭で確認する |
| 営業許可の施設基準 (食品衛生法など) |
営業を始めるための許可。建物の手続きが終わっていることとは別に、施設の構造設備が基準を満たす必要がある | 保健所の事前相談で、シンクの数・手洗い・区画など施設基準の該当箇所を平面図に落とす |
| 準用される規定 | 条文が定めている内容 | 店舗の実務ではどう効くか |
|---|---|---|
| 法第6条 (第3項・第5項・第6項を除く) |
工事に着手する前に確認申請書を提出し、建築基準関係規定に適合することについて建築主事等の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない | 確認済証が出る前に工事に着手できない。工事のスケジュールは確認済証の交付日から逆算せず、交付日を起点に組む |
| 法第6条の2 (第3項を除く) |
指定確認検査機関による確認。建築主事の確認に代えることができる | 特定行政庁(名古屋市など)に出すか、民間の指定確認検査機関に出すかを選べる。どちらが早いかは案件による |
| 法第7条第1項 (読み替えあり) |
用途変更では「検査を申請しなければならない」が「建築主事等に届け出なければならない」と読み替えられる | 用途変更に完了検査はなく、工事完了届の提出になる。したがって検査済証は交付されない。この点は将来の売買や次の用途変更で効いてくる |
| 法第18条第1項から第4項まで等 | 国、都道府県、建築主事を置く市町村の建築物についての計画通知の手続き | 公有施設の一部を借りて出店する場合など、申請ではなく通知の形になることがある |
| 法第99条第1項第1号 (罰則) |
第6条第1項(第87条第1項において準用する場合を含む)の規定に違反した者は、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金 | 手続きを飛ばすことは、行政指導で済む話ではなく罰則の対象。金融機関や保険、フランチャイズ本部の審査でも問題になり得る |
用途変更を伴う工事は、どれくらいあるのか
建築着工統計に用途変更の項目はありません。確かめられることと、確かめられないことを表に分けました。
| 知りたいこと | 統計で分かるか | 代わりに自分で確かめる方法 |
|---|---|---|
| 用途変更の確認申請は年間何件出ているか | 今回の調査では、これを直接示す公的統計を見つけられなかった | 物件所在地の特定行政庁の窓口で、その地域で用途変更の相談がどれくらい持ち込まれているかを口頭で聞く |
| 既存建物に手を入れる工事の市場規模 | 分かる。令和6年度計で非住宅建築物9兆6,984億円(対前年度比7.7%増) | 自分の業態が上位の用途(事務所・生産施設)に入るかを見て、施工実績のある会社が多い領域かを推し量る |
| 用途変更を目的とする工事の件数 | 調査は用途変更の有無を集計しているが、公表PDFから項目と数値の対応を確実に読み取れなかったため本記事では示さない | e-Statの当該統計表を直接開き、表2-3の該当行を自分の目で確認する |
| 自分の物件の検査済証があるか | 統計では分からない。個別の建物ごとの話 | 貸主に検査済証の写しを求め、なければ特定行政庁で建築確認台帳記載事項証明や概要書の閲覧を申請する |
| 用途変更にかかる設計料の相場 | 公的に定められた基準がなく、一次情報で確認できなかった | 設計事務所2〜3社に、同じ図面と条件を渡して見積りを取り、業務範囲の内訳を比べる |
場面1〜2|200平方メートルと、類似の用途
別表第一(い)欄の用途に変え、その部分が200平方メートルを超えると確認申請が要ります。面積の数え方に迷いやすい論点が5つあります。
施行令第137条の18が定める11の類似用途グループの中での変更なら、除外されます。よくある転用パターンごとに、当たりの付け方を表にしました。
| 項 | 掲げられている用途と、政令で加えられるもの | 自分の計画がここに当たるかの確かめ方 |
|---|---|---|
| (一)項 | 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場その他これらに類するもので政令で定めるもの | レンタルスペースやイベントスペースを計画している場合、集会場に当たるかを特定行政庁に照会する。座席を並べて不特定多数の方を集める形なら該当を疑う |
| (二)項 | 病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る。)、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、寄宿舎。施行令第115条の3第1号により児童福祉施設等が加わる | クリニックなら、病床を置くかどうかを先に決める。無床なら(二)項ではないが、消防や保健所の扱いは別に確認する |
| (三)項 | 学校、体育館。施行令第115条の3第2号により博物館、美術館、図書館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場、スポーツの練習場が加わる | パーソナルジムやスタジオは「スポーツの練習場」に当たるかを照会する。学習塾は法第2条第2号の「学校」に含まれるかが論点になるため自己判断しない |
| (四)項 | 百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場。施行令第115条の3第3号により公衆浴場、待合、料理店、飲食店、物品販売業を営む店舗(10平方メートル以内を除く)が加わる | 飲食店・物販店はほぼここに入ると考えて面積を数える。テイクアウト専門や小売併設など複合形態は、どの部分が何平方メートルかを図面上で分けて書く |
| (五)項 | 倉庫その他これに類するもので政令で定めるもの | 物件の登記や確認申請上の用途が倉庫になっていないかを貸主に確認する。倉庫からの転用は変更前の用途としても重要な情報になる |
| (六)項 | 自動車車庫、自動車修理工場。施行令第115条の3第4号により映画スタジオ、テレビスタジオが加わる | 駐車場付きの区画で、駐車場部分の床面積が建物の中にある場合は、その面積の扱いを設計者に確認する |
| 論点 | 条文からの考え方 | 図面を渡す前に自分でやること |
|---|---|---|
| 契約面積か、実際に使う面積か | 条文は「その用途に供する部分の床面積の合計」。契約面積は共用部の按分を含むことがあり、条文の数え方とは一致しないことがある | 平面図をコピーし、その用途で使う部分だけを蛍光ペンで塗り、面積を書き込む。塗った範囲を設計者に見せて認識を合わせる |
| 複数階・離れた区画の扱い | 「合計」であるため、同一用途に使う部分は建物内で足し上げる考え方になる | 借りる区画が2つ以上あるなら、それぞれの床面積を書き出して足す。足した数が200平方メートルを超えたらすぐ相談に行く |
| 厨房・バックヤード・トイレ | 営業に使う付随部分をどこまで算入するかは、計画の内容と所管の判断による | 厨房・更衣室・便所・倉庫まで含めた面積と、客席だけの面積の両方を出しておき、どちらでも答えられるようにしておく |
| 「超える」と「以上」 | 法第6条第1項第1号は「二百平方メートルを超えるもの」。200平方メートルちょうどは含まれない | 面積が195〜205平方メートルの範囲に入るなら、実測して小数点以下まで確定させる。図面の寸法と現況が違う建物は珍しくない |
| 建物全体か、借りる部分か | 判定はその用途に供する部分の床面積で行うが、建物全体の用途構成は法第87条第3項や消防法の判断に影響する | 同じ建物に他にどんなテナントが入っているかを一覧にする。物販・飲食・事務所の比率が分かる表を作って持参する |
| 号 | 同じグループに入る用途 | 出店の場面での読み方 |
|---|---|---|
| 第1号・第2号 | 劇場、映画館、演芸場/公会堂、集会場 | 2つのグループは別。映画館を集会場にする変更は、同じグループ内の移動ではない |
| 第3号 | 診療所(患者の収容施設があるものに限る。)、児童福祉施設等 | 有床診療所と保育所などが同じグループ。ただし第一種低層住居専用地域などにある場合は但し書きで除外される |
| 第4号・第5号 | ホテル、旅館/下宿、寄宿舎 | 宿泊系も2つに分かれている。ホテルを寄宿舎にする変更は同一グループ内ではない |
| 第6号 | 博物館、美術館、図書館 | 展示系の施設。第一種中高層住居専用地域などにある場合の但し書きに注意が必要 |
| 第7号 | 体育館、ボーリング場、スケート場、水泳場、スキー場、ゴルフ練習場、バッティング練習場 | 運動施設が広くまとめられている。ただしフィットネスクラブやパーソナルジムがここに当たるかは条文に明記がなく、照会が必要 |
| 第8号 | 百貨店、マーケット、その他の物品販売業を営む店舗 | 物販どうしの業種変更はこの号で除外される可能性が高い。物販から物販への転換を計画しているなら、まずこの号を確認する |
| 第9号・第10号 | キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー/待合、料理店 | 接待を伴う業態と料理店は別グループ。なお第9号は準住居地域・近隣商業地域にある場合、但し書きで除外される |
| 第11号 | 映画スタジオ、テレビスタジオ | 撮影スタジオの転用を計画する場合に確認する。配信スタジオなどの新しい業態は個別に照会する |
| 変更前 → 変更後 | 条文から見た当たり | 窓口で聞くときの質問の形 |
|---|---|---|
| 事務所 → 飲食店 | 事務所は別表第一(い)欄に掲げられていない用途。飲食店は施行令第115条の3第3号により(四)項に取り込まれる。類似用途の各号に事務所は現れない | 「事務所から飲食店に変更し、その用途に供する部分の床面積の合計が○○平方メートルになります。法第87条第1項の確認申請は必要でしょうか」 |
| 倉庫 → 物販店 | 倉庫は(五)項、物品販売業を営む店舗は(四)項。項が異なり、第137条の18の同一号にも並んでいない | 「(五)項の倉庫から(四)項の物品販売業を営む店舗への変更で、面積は○○平方メートルです。類似の用途に当たらないという理解でよいでしょうか」 |
| 物販店 → 物販店(業種変更) | 第137条の18第8号に「百貨店、マーケット、その他の物品販売業を営む店舗」が並ぶ | 「物品販売業を営む店舗のまま取扱商品が変わります。第137条の18第8号の類似の用途相互間として、確認申請は不要という整理でよいでしょうか」 |
| 物販店 → 飲食店 | いずれも(四)項に取り込まれる用途だが、第137条の18で同一の号に並んではいない | 「同じ(四)項の中での変更ですが、第137条の18の類似の用途に当たるかどうかの判断を伺いたい」と、判断そのものを求める形で聞く |
| 事務所 → 無床クリニック | 患者の収容施設のない診療所は(二)項の括弧書きから外れる。ただし建物全体の用途や条例で別の規制がかかることがある | 「無床の診療所を計画しています。別表第一(い)欄(二)項には当たらないという理解でよいか、また他にかかる規制はあるか」 |
| 事務所 → 学習塾・教室 | 法第2条第2号の「学校(専修学校及び各種学校を含む。)」に当たるかで(三)項の扱いが変わる。塾は学校教育法上の学校ではないが、判断は所管による | 「学習塾を計画しています。別表第一(い)欄(三)項の学校に当たるかどうかの取扱いを教えてください」と、取扱いを尋ねる |
場面3〜4|検査済証がない建物と、既存不適格
検査済証がないと、申請の入口で止まります。その場合の道筋も表にしました。名古屋市で建物の履歴を調べる方法も載せています。
既存不適格の建物では、用途変更を機に遡って適用される規定があります。避難、内装制限、排煙。ここで工事費が跳ねます。
| 建物の状態 | ガイドラインが示す進み方 | 出店を検討している側がすべきこと |
|---|---|---|
| 直近の工事に係る検査済証がある | 調査2として簡易な現地調査を行う。既存不適格の規定には緩和を適用し、その他の不適合規定は現行の規定に適合させる | 貸主に検査済証の写しを求め、建物名・建築年・確認番号が図面と一致するかを確かめる。写しは契約前にもらう |
| 検査済証はないが、直近の建築等の工事の着手時点を特定できる | 現地調査を行い、着手時点の規定への適合状況から既存不適格の規定を特定する。既存不適格には緩和を適用できる | 建築確認済証、確認台帳の記載、建築計画概要書、竣工写真、当時の請負契約書など、着手時期を裏づける資料の有無を貸主に確認する |
| 検査済証がなく、着手時点も特定できない | 現地調査の結果、適合していない規定または適合状況が不明の規定は、現行の規定に適合させる | 是正工事の範囲が読めないため、この段階では契約しない。設計者に「最悪どこまで直すことになるか」の想定を文章で出してもらう |
| 図面そのものが残っていない | 現況調査の前提となる資料がないため、現地での実測・調査の負担が増える | 特定行政庁で建築計画概要書の閲覧を申請し、配置図・各階平面図の写しが残っていないかを確かめる |
| 増改築を繰り返している | 「直近の建築等工事」がどれかの特定が必要になり、履歴の整理から始まる | 貸主に、これまでの増築・改築・用途変更の履歴を年表の形で出してもらう。出せない場合はその旨を書面で残す |
| 方法 | 分かること・注意点 | 動くときの段取り |
|---|---|---|
| 貸主・管理会社に照会する | 検査済証、確認済証、竣工図の有無。所有者が代わっていると残っていないことがある | 申込みの前に「検査済証の写しをいただけますか」とメールで依頼し、回答を文面で残す。口頭の「あるはずです」は根拠にしない |
| 建築確認台帳記載事項証明 | 建築確認や検査の処理経過が台帳に記載されているかを証明するもの。名古屋市では令和8年7月1日から検査済証等交付済みの証明の代わりとして扱われる | 名古屋市の案内ページで必要書類と受付時間を確認し、本人確認書類や委任状を準備してから建築審査課へ行く |
| 建築計画概要書等の閲覧 | 建築主・設計者・敷地の位置・用途・面積などの概要のほか、令和8年4月1日以降に確認済証を交付した用途変更については完了届の届出日が「処分等の概要書」に記載される | 建物の地名地番と建築年のあたりを付けてから閲覧を申し込む。分からなければ、まず貸主に確認番号を聞く |
| 建築士に現況調査を依頼する | 現況調査ガイドラインに沿った調査1・調査2を行い、調査報告書を作成してもらう。報告書は確認申請図書に活用できる | 複数の設計事務所に、建物の規模・構造・建築年・図面の有無を同じ条件で伝えて見積りを取る。業務範囲の内訳を必ず書面でもらう |
| 同じ建物の他テナントに聞く | 過去に用途変更や消防の指導を受けた経験があるかどうか。制度上の証明にはならないが、実態が分かる | 内覧のときに、隣の区画の方に「入居のときに消防や建築の手続きはありましたか」と一言尋ねる。答えの温度で建物の状態が見える |
| 準用される規定 | 条文が定めていること(概要) | 店舗の計画で実際に効いてくる場面 |
|---|---|---|
| 法第27条 | 耐火建築物等としなければならない特殊建築物。別表第一の(ろ)欄・(は)欄・(に)欄の規模に当たると、主要構造部や外壁の開口部に性能が求められる | 飲食店・物販店は別表第一(四)項。3階以上の階をその用途に使う場合や、(は)欄の500平方メートル以上に当たる場合に構造そのものの話になる |
| 法第28条第1項・第3項 | 居室の採光および換気に関する規定 | 窓のない区画を居室として使う計画で問題になる。機械換気の設備計画に跳ね返る |
| 法第29条・第30条 | 地階における住宅等の居室、長屋または共同住宅の各戸の界壁に関する規定 | 地下の区画を使う計画や、共同住宅の一部を店舗に変える計画で確認が必要になる |
| 法第35条 | 廊下、避難階段、出入口その他の避難施設、消火栓・スプリンクラー等の消火設備、排煙設備、非常用の照明装置・進入口、敷地内の避難上必要な通路などに関する政令の基準 | 用途変更でいちばん多く指摘される領域。廊下幅、2方向避難、排煙、非常用照明が計画を左右する |
| 法第35条の2 | 特殊建築物等の内装。政令で定めるものについて、壁および天井の室内に面する部分の仕上げに制限がかかる | いわゆる内装制限。木や布を使いたい計画で、材料の選択肢が一気に狭まる。店舗の内装材の選び方|法規と運用コストで決まる7つの基準で扱った論点がここで効いてくる |
| 法第35条の3 | 無窓の居室等の主要構造部。政令で定める窓その他の開口部を有しない居室は、主要構造部を耐火構造等とする | 窓のない区画を客席や診察室にする計画で問題になる。違反した場合の罰則が所有者・管理者・占有者に及ぶ点も押さえておく |
| 法第48条第1項から第14項まで | 用途地域内における建築物の用途の制限 | その地域でその業態を営めるかどうか。第87条第2項でも準用されており、面積にかかわらず確認が必要 |
場面5〜6|申請の進め方と、別枠でかかる手続き
申請には建築士が必要です。誰が、何を、いつ、いくらで。名古屋市の手数料は面積から実額で計算できます。
確認申請が不要でも、消防・保健所・条例は別枠でかかります。「用途変更は不要です」で安心してはいけません。
| 立場 | 役割と、法令上の位置づけ | 出店者が最初に確認すること |
|---|---|---|
| 建築主(出店者) | 法第2条第16号の「工事の請負契約の注文者」。確認申請書の申請者となり、手数料を負担し、工事完了届を出す立場 | 自分が建築主になるのか、貸主が建築主になるのかを、申込みの段階で書面で確認する |
| 建物の所有者(貸主) | 建物の履歴資料を持ち、既存部分の適法性に責任を負う立場。是正工事の負担区分にも関わる | 検査済証・確認済証・竣工図の提供と、是正が必要になった場合の費用負担について、契約前に取り決める |
| 設計者(建築士) | 法第2条第17号の「その者の責任において、設計図書を作成した者」。現況調査、設計、確認申請図書の作成を担う | 用途変更と既存不適格の実績があるか、名古屋市または指定確認検査機関への提出経験があるかを面談で聞く |
| 建築主事等/指定確認検査機関 | 確認申請を審査し、確認済証を交付する。法第87条第1項は法第6条の2も準用しており、民間機関も選べる | 特定行政庁と指定確認検査機関のどちらに出すかを設計者と決め、それぞれの現在の審査混雑状況を聞いてもらう |
| 内装工事会社 | 工事施工者。確認済証の交付前に工事に着手できないため、着工日が確認の進み方に縛られる | 契約前に「確認済証の交付が遅れた場合、工期と金額をどう扱うか」を見積書または請負契約書に書いてもらう |
| 所轄消防署 | 消防用設備等と防火管理の所管。建築の確認申請とは別系統だが、同じ図面で判断される | 建築の相談と同じ週に、消防の予防担当にも同じ平面図を持って相談に行く。ここを後回しにしない |
| 工程 | 期間の根拠 | 短縮できるか/自分でできること |
|---|---|---|
| 物件の履歴調査(検査済証の有無) | 法令上の期間の定めはない。貸主の資料の残り方と、窓口の閲覧手続きの所要による | できる。申込みの前に着手すれば、契約検討と並行して進められる。ここが最も短縮効果が大きい |
| 現況調査(検査済証がない場合) | 国土交通省「既存建築物の現況調査ガイドライン」の調査1・調査2。期間の定めはなく、建物の規模と資料の有無による | 短縮しにくい。着手を早めるしかない。建物の資料を先に集めておくと調査の負担が減る |
| 設計・確認申請図書の作成 | 法令上の期間の定めはない。規模・用途・添付書類の量による | 要件を早く確定させれば短縮できる。業態・席数・厨房の有無などを先に決めて設計者に渡す |
| 事前相談 | 名古屋市は関係部署との事前打ち合わせが必要と案内。相談は事前予約制 | できる。建築(意匠)・構造・設備で担当が分かれているため、必要な担当を事前に決めて予約する |
| 確認審査 | 法第6条第4項により受理から35日以内。第6項により35日の範囲内で延長される場合がある | できない。ただし図書の不備をなくせば、追加の説明や補正で伸びる分を減らせる |
| 工事 | 法第6条第8項(第87条第1項で準用)により、確認済証の交付を受けた後でなければ工事はできない | できない。確認済証の交付日を起点に工程表を引き直す。それ以前の着工は罰則の対象 |
| 工事完了届 | 施行規則第4条の2により、工事が完了した日から4日以内に建築主事等に到達するように届け出る | できる。工事完了予定日が決まった時点で書式を用意し、当日に出せる状態にしておく |
| 用途変更する部分の床面積 | 二分の一にした床面積と、該当する区分 | 手数料(令和7年4月1日から適用) |
|---|---|---|
| 210平方メートル(約64坪) | 105平方メートル → 100平方メートルを超え200平方メートル以内 | 59,000円 |
| 300平方メートル(約91坪) | 150平方メートル → 100平方メートルを超え200平方メートル以内 | 59,000円 |
| 400平方メートル(約121坪) | 200平方メートル → 100平方メートルを超え200平方メートル以内 | 59,000円 |
| 500平方メートル(約151坪) | 250平方メートル → 200平方メートルを超え300平方メートル以内 | 101,000円 |
| 800平方メートル(約242坪) | 400平方メートル → 300平方メートルを超え1,000平方メートル以内 | 141,000円 |
| 系統 | 根拠と、かかる理由 | 契約前に自分で動くこと |
|---|---|---|
| 消防用設備等の遡及 | 消防法第17条の3第1項が原則を定め、同条第2項第4号が、変更後の用途が特定防火対象物の用途である場合を原則から外している | 所轄消防署の予防担当に平面図を持参し、「事務所を飲食店に変えます。必要になる設備を教えてください」と口頭で確認する |
| 防火対象物工事等計画届出 | 建物の用途変更や間仕切りの変更を行うときに、着工前に消防へ届け出る手続き。名古屋市は確認申請の主な書類の一つとして防火対象物工事計画届を挙げている | 名古屋市消防局のページから様式を入手し、いつまでに出す必要があるかを消防署に確認する |
| 用途地域の制限 | 法第48条第1項から第14項まで。法第87条第2項により、用途を変更する場合に準用される。面積の大小は関係しない | 物件の住所から用途地域を調べ、計画している業態がその地域で建てられる用途に含まれるかを確認する |
| 営業許可の施設基準 | 食品衛生法に基づく営業許可など。建物の手続きとは別に、施設の構造設備が基準を満たす必要がある | 保健所の事前相談に平面図を持って行き、シンクの数・手洗い・区画・床壁の仕上げの指摘を受けてから設計を確定させる |
| 自治体の条例 | 名古屋市は確認申請の添付書類として、文教地区建築条例、特別工業地区建築条例、中高層階住居専用地区建築条例、研究開発地区建築条例、大規模集客施設制限地区建築条例、地区計画等の区域内における建築物の制限に関する条例に関する報告書を挙げている | 物件が地区計画や特別用途地区の区域内にないかを、名古屋市の都市計画の窓口で確認する |
| バリアフリー関係 | 名古屋市は2,000平方メートルを超える特別特定建築物についての調書のほか、人にやさしい街づくりの推進に関する条例による特定施設整備計画届出書を挙げている | 計画している面積が条例の対象規模に届くかを確認する。届く場合は店舗のバリアフリーで決める8つのこと|法令の義務と、実際に使えるかは別の話を先に読む |
| 駐車場の附置義務 | 名古屋市は駐車場法・名古屋市駐車場条例に関する駐車場調書を添付書類として挙げている | 用途と面積によって必要台数が変わるため、店舗の駐車場計画で決める7つのこと|必要台数・寸法・条例の付置義務で必要台数の考え方を確認する |
場面7|間に合わないときの日程と、物件選び
申請には審査の期間があります。開店日が決まっているなら、物件選びの段階で避けるのも手です。物件のタイプ別に、リスクと判断を表にしました。
| 物件のタイプ | 起きやすいこと | 申込み前に決めておく判断 |
|---|---|---|
| 同業種の居抜き(飲食 → 飲食など) | 用途が変わらないため、法第87条第1項の確認申請は問題になりにくい。ただし間仕切りの変更が大規模の模様替に当たるかは別途確認が必要 | 変更前の用途が本当に同じかを、確認申請上の用途で確かめる。看板上の業種ではなく書類上の用途で判断する |
| 物販の居抜き → 物販 | 施行令第137条の18第8号の類似用途に当たる可能性がある。面積が大きくても除外され得る | 第8号による除外の可否を特定行政庁に照会し、回答をメモに残してから申し込む |
| 事務所ビルの1区画 → 飲食・クリニック | 面積が200平方メートルを超えると確認申請が問題になる。排水・給気排気・床荷重など設備面の制約も同時に出る | その用途に供する部分の床面積の合計を先に確定し、200平方メートルを超えるかどうかで進め方を分ける |
| 倉庫・工場の一部 → 店舗 | 別表第一(五)項から(四)項への変更で、類似用途にも当たらない。用途地域の制限にも当たりやすい | 用途地域を先に調べる。工業専用地域などでは、そもそも計画している業態を営めないことがある |
| 築年数の古い雑居ビル | 検査済証がない、図面がない、増改築の履歴が追えない。法第87条第3項の遡及適用で是正範囲が広がりやすい | 検査済証の写しを申込みの条件にする。出せない場合は、現況調査の費用と期間を貸主とどう分担するかを先に決める |
| 商業施設のテナント区画 | 建物全体の用途の中での位置づけになり、館側の工事区分やルールが優先する場面が多い | 館の担当者に、用途変更の手続きを館が行うのかテナントが行うのかを確認する。商業施設への出店で決める9つのこと|A工事B工事C工事の区分と費用の境目を先に読む |
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契約書に判を押す前にやること
変更前と変更後の用途を、書類上の言葉で書き出す。看板の業種名ではなく、別表第一の言葉に置き換えます。そこから先は、所轄に聞けば答えが出ます。
契約書に判を押す前にやる手順
- 変更前と変更後の用途を、書類上の言葉で書き出す。看板の業種名ではなく、確認申請上の用途で書きます。前の借主が何屋だったかではなく、その建物がどの用途として確認を受けているかを貸主に確認してください。
- その用途に供する部分の床面積の合計を、平面図に色を塗って算出する。契約面積ではなく、実際にその用途で使う部分を拾います。複数の区画や複数の階を借りるなら足し上げます。200平方メートルを超えるかどうかで進め方が変わります。
- 物件の住所から用途地域を調べ、建築年と検査済証の有無を貸主に照会する。この3つは電話とインターネットで済みます。検査済証の写しは、口頭の回答ではなく現物のコピーをもらってください。
- 建築・消防・保健所・都市計画の4つの窓口に、同じ平面図を持って相談に行く。名古屋市の建築審査課は事前予約制です。意匠・構造・設備で担当が分かれているため、必要な担当を伝えて予約してください。
- 用途変更が必要そうなら、設計者を先に決める。内装会社を決める前です。用途変更と既存不適格の実績があるか、名古屋市または指定確認検査機関への提出経験があるかを面談で確認します。
- 検査済証がない場合は、現況調査の見積りを取る。調査だけの金額と、設計・申請まで進んだ場合の金額を分けて出してもらいます。期間の見込みも必ず文書でもらってください。
- 確認済証の交付見込み日から逆算して、工程表を引き直す。法第6条第4項の35日、第6項の延長35日を織り込みます。工事は確認済証の交付後にしか始められません。
- 申込書または契約書に、条件と負担区分を書き込む。検査済証の提示、用途変更に関する照会結果、是正工事が必要になった場合の費用負担、手続きが不調に終わった場合の取扱い。この4つを文面にしてから判を押します。
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よくある質問
最後に、相談の場で実際によく出る質問を4つ取り上げます。 いずれも、条文を読めば方向は出るものの、 最終的な判断は物件の所在地を所管する特定行政庁と、所轄の消防署にゆだねられる領域です。 ここに書いた内容は、窓口に行く前に自分の状況を整理するための材料として使ってください。
そして相談に行くときは、変更前の用途、変更後の用途、床面積の合計、所在地と用途地域、建築年の5点を紙に書いて持参してください。 この5点があれば、その場で見当を付けてもらえる可能性が高くなります。
200平方メートル以下なら、用途変更の確認申請は要らないという理解で合っていますか?
建築基準法第87条第1項は、建築物の用途を変更して第6条第1項第1号の特殊建築物のいずれかとする場合に、 第6条などの規定を準用すると定めています。
そして第6条第1項第1号の特殊建築物とは、別表第一(い)欄に掲げる用途に供する特殊建築物で、 その用途に供する部分の床面積の合計が200平方メートルを超えるものです。 したがって、変更後の用途に供する部分の床面積の合計が200平方メートル以下であれば、 この第87条第1項の確認申請そのものは要りません。
ただし、注意すべき点が三つあります。 第一に、200平方メートルは区画の面積ではなく、その用途に供する部分の床面積の合計です。 同じ建物の中に同一用途の部分が別の階にもあれば、合算して数えることになります。
第二に、確認申請が不要でも法令の実体規定が消えるわけではありません。 第87条第2項は用途を変更する場合に第48条の用途地域の規定などを準用すると定めており、 第3項は既存不適格建築物の用途を変更する場合に第27条や第35条から第35条の3までなどの規定を準用すると定めています。
手続きが不要というだけで、基準は守る必要があります。 第三に、消防法や食品衛生法、条例に基づく手続きは建築基準法とは別枠でかかります。 面積の判定と手続きの要否は、必ず物件の所在地を所管する特定行政庁に、図面を持って事前に確認してください。
検査済証がない建物では、用途変更の確認申請はもうできないのですか?
できないと決まっているわけではありませんが、通常より手順と時間が増えます。
国土交通省は、既存建築物の改修(増改築、大規模の修繕・模様替、用途変更)をしようとする場合に、 改修を行わない既存部分の建築基準法令への適合性を確認することが難しく、 既存建築ストックの有効活用の障壁となっているという背景から、「既存建築物の現況調査ガイドライン」を策定・公表しています。
従来の「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」は、 令和7年4月1日をもってこの現況調査ガイドラインに統合・一本化されました。
ガイドラインが示す流れは、まず調査1として直近の建築等工事に係る検査済証の交付の有無と工事着手時点を調べ、 次に調査2として現地調査を行い、現行の規定への適合状況と、 直近の工事着手時の規定への適合状況(つまりどの規定が既存不適格なのか)を特定し、調査報告書を作成するというものです。
調査の結果、適合状況が「不適合」または「不明」となった規定は現行の規定に適合させる必要があり、 「既存不適格」と確認できた規定については緩和措置の適用を検討できます。 つまり検査済証がない建物では、設計に入る前に建築士による現況調査という一工程が挟まります。
この工程の費用と期間は建物の規模・構造・図面の残り方で大きく変わり、 一次情報で相場を確認できなかったため、この記事では金額の目安を示していません。 物件を決める前に、調査を引き受けられる建築士に建物の概要を伝えて見積りを取ってください。
用途変更の確認申請には、いくらかかりますか?
行政に納める手数料は条例で決まっているため、金額を確定できます。
名古屋市の場合、建築確認申請等の手数料は名古屋市建築基準法施行条例第17条により定められており、 令和7年4月1日から適用されている一覧表では、 床面積の合計が100平方メートルを超え200平方メートル以内で59,000円、 200平方メートルを超え300平方メートル以内で101,000円などとなっています。
そして同じ一覧表の注記に、 用途変更、移転、大規模の模様替等による確認申請手数料は、変更等に係る部分の床面積の二分の一の床面積によると明記されています。
したがって、300平方メートルの区画を用途変更する場合は150平方メートルとして扱われ59,000円、 500平方メートルなら250平方メートルとして扱われ101,000円という計算になります。
なお用途変更には完了検査がなく、建築基準法施行規則第4条の2により、 工事が完了した日から4日以内に別記第20号様式の用途変更に関する工事完了届を建築主事等に届け出ることとされているため、 完了検査申請手数料はかかりません。
一方で、設計者に支払う設計料や申請代行料、検査済証がない場合の現況調査の費用は、 公的に定められた基準がなく、一次情報で相場を確認できなかったため、この記事では金額を示していません。 見積りを取って確かめてください。
用途変更が不要な規模でも、事務所を飲食店にすると消防の設備は入れ直しになりますか?
その可能性が高くなります。 消防法第17条の3第1項は、防火対象物の用途が変更されたことにより消防用設備等が技術上の基準に適合しないこととなるときは、 原則として変更前の基準を適用すると定めています。
しかし同条第2項第4号は、用途が変更され、その変更後の用途が特定防火対象物の用途である場合における当該特定防火対象物の消防用設備等については、 この原則を適用しないと定めています。
特定防火対象物は消防法第17条の2の5第2項第4号に定義があり、 百貨店、旅館、病院、地下街、政令で定める複合用途防火対象物その他多数の者が出入するものとして政令で定めるものを指します。
飲食店、物販店、診療所などはこの特定防火対象物に当たる用途であり、 事務所や倉庫からこれらの用途へ変更すると、 消防用設備等は変更後の用途を前提とした現行の基準で判断されることになります。
つまり、建築基準法上の用途変更の確認申請が不要な200平方メートル以下の区画でも、 消防の側では自動火災報知設備や誘導灯の追加が必要になる場合があります。
どの設備がどこまで必要かは面積・階数・建物全体の用途構成によって変わるため、 賃貸借契約を結ぶ前に、所轄の消防署の予防担当へ平面図を持って相談してください。
まとめ|用途変更で確認する7つの場面
開業が3か月遅れたときの損失は計算できます。賃料だけでなく、人件費と販促の打ち直しも積み上がります。
申し込みを入れる前に、変更前と変更後の用途、そして面積を紙に書いてください。この3つがあれば、所轄で当たりが取れます。
| 項目 | 計算の内訳 | 自分の店の数字に置き換える方法 |
|---|---|---|
| 営業していない期間の賃料 | 月30万円×3か月=90万円 | 契約書の賃料・共益費と、フリーレントの有無と月数を確認して掛け算する。フリーレントを遅れの吸収に使えるかを貸主と話す |
| 得られたはずの利益 | 月商225万円×貢献利益率40%=月90万円、3か月で270万円 | 客単価×1日の来客数×月の営業日数で月商を出し、原価率と人件費率を引いて貢献利益率を自分で計算する |
| 先に採用した方の人件費 | 試算には含めていない。開業日に合わせて採用していれば、遅れた期間の給与または補償が発生し得る | 採用の内定時期を、確認済証の交付見込みが立ってからに設定する。内定通知に開業日変更の可能性を明記する |
| 広告・販促の空振り | 試算には含めていない。開業告知を先に出していれば、作り直しと再出稿の費用がかかる | 開業日を確定してから告知を出す。日付を入れない事前告知にとどめておけば作り直しを避けられる |
| 借入の返済開始とのずれ | 試算には含めていない。据置期間を過ぎてから開業すると、売上がない状態で返済が始まる | 金融機関に据置期間の設定を相談する。詳しくは店舗開業の融資はどこから借りる?日本政策金融公庫と制度融資の違い|審査で見られる7つの項目の記事で扱った考え方を参照する |
| 合計 | 賃料90万円+利益270万円=360万円(他の項目は含まない) | この金額を、物件の履歴調査にかける時間と手間と比べる。比べれば、どちらを先にすべきかは自明になる |