コインランドリーは、利用者自身が洗濯・乾燥するという業態のため、クリーニング業のような営業許可が不要です。ただし、許可が要らないことと内装の検討事項が少ないことは別の話です。
無人営業が前提のため、電気容量・給排水・防犯という3つの設備領域を、有人店舗以上に慎重に計画する必要があります。トラブルが起きても、その場にスタッフがいません。
開業前に決めておくことを6つに整理しました。
この記事でわかること
- クリーニング業と違い営業許可が不要な理由
- 業務用洗濯乾燥機の電気容量の考え方
- 排水量・給水圧といった給排水設備の確認事項
- 防犯カメラ・非常通報の設置
- 深夜運用時の騒音・振動対策
- ガス衣類乾燥機を使う場合の配管・排気
電気容量の基本的な考え方は店舗の電気容量が足りない物件を避けるには、防犯設備は店舗の防犯対策で決める7つのことで扱っています。この記事はコインランドリー特有の論点に絞ります。
決め1|クリーニング業と異なり、営業許可は不要
クリーニング業法は、他人の衣類等を受け取って洗濯する「クリーニング所」を規制対象としています。コインランドリーは、利用者自身が機械を操作して洗濯・乾燥する業態のため、クリーニング業法上の営業許可の対象にはなりません。
ただし、設置する機械や設備によっては、別の法令(消費生活用製品安全法、ガスを使う設備ならガス事業法関連の規制等)が関わる場合があります。「許可が不要」だからといって確認すべき制度が何もないわけではありません。
決め2|無人営業ゆえの電気容量(業務用洗濯乾燥機の消費電力)
業務用の洗濯乾燥機、乾燥機は、家庭用と比べて消費電力が大きく、複数台を同時稼働させる前提で契約電力を計算する必要があります。無人営業では、電気容量が不足してブレーカーが落ちても、すぐに気づけません。
導入予定の機械の台数・仕様が決まった時点で、電力会社・電気工事業者に契約電力の見直しが必要かを確認してください。物件を契約する前に、既存の電気容量で足りるかを必ず確認することが重要です。詳しい考え方は店舗の電気容量が足りない物件を避けるにはで扱っています。
決め3|給排水設備(排水量・給水圧の確認)
業務用洗濯機は、家庭用よりも大量の水を使用し、排水量も多くなります。既存の物件の排水設備が対応できる容量かどうかを、契約前に確認してください。
| 項目 | 内容 | 確認すること |
|---|---|---|
| 給水圧 | 機械が必要とする水圧の基準を満たすか | 導入する機種のメーカー仕様と物件の給水圧を照合する |
| 排水設備の容量 | 複数台を同時稼働させた際の排水量 | 既存の排水管の口径・勾配を確認する |
| 給湯設備 | 温水洗浄を行う機種の場合に必要 | ガス・電気いずれで給湯するかを先に決める |
決め4|防犯カメラ・非常通報装置の設置
無人営業の店舗は、深夜・早朝の犯罪や利用者同士のトラブルに、スタッフが即座に対応できません。防犯カメラの設置台数・死角の有無、非常通報装置(緊急時に外部へ連絡できる設備)は、内装計画の初期段階で位置を決めてください。
自治体によっては、防犯設備の設置を推奨・努力義務とする防犯条例が定められている場合があります。物件所在地の自治体の防犯条例を確認し、条例が求める水準を満たす設計にしてください。防犯対策の基本的な考え方は店舗の防犯対策で決める7つのことで扱っています。
決め5|深夜運用時の騒音・振動対策
業務用の洗濯乾燥機は、稼働中の振動・排気音が住宅地では特に問題になりやすい設備です。24時間営業を予定する場合、深夜の稼働音が近隣にどう伝わるかを、内装計画の段階で確認してください。
防振ゴム・防振架台の使用、壁・床の遮音性能の確保が対策の基本です。近隣対応の進め方は内装工事前後の近隣対応で決めることもあわせて確認してください。
決め6|ガス衣類乾燥機を使う場合のガス配管・排気
ガス衣類乾燥機は、電気式より乾燥効率が高いため、業務用として選ばれることがあります。導入する場合は、ガス配管の引き込み容量、燃焼排気を屋外へ排出する経路の確保が必要です。
排気経路は、近隣の窓や換気口に排気が直接向かわない位置に設計してください。消防法・建築基準法上の設備基準にも関わるため、ガス会社・内装会社と合わせて確認することが必要です。
よくある質問
コインランドリーの開業に、保健所への届出は必要ですか?
利用者自身が洗濯する業態のため、クリーニング業法上の営業許可は不要です。ただし設置する設備によっては別の法令・条例が関わる場合があるため、自治体の窓口に念のため確認することをおすすめします。
業務用洗濯機の電気容量は、どのくらい見ておけばよいですか?
導入予定の機種の消費電力と台数から、契約電力を計算する必要があります。具体的な数値は機種ごとに異なるため、メーカーの仕様書と電力会社・電気工事業者への確認が欠かせません。
防犯カメラは、何台設置すればよいですか?
明確な台数の基準はなく、店内の死角の有無、出入口・両替機周辺のカバー範囲から判断します。自治体の防犯条例で推奨される設置基準がある場合は、それも参考にしてください。
深夜も営業したい場合、近隣への配慮は必要ですか?
必要です。業務用洗濯乾燥機の振動・排気音は住宅地では特に問題になりやすいため、防振対策と遮音性能の確保、必要に応じた近隣への事前説明を行ってください。
ガス衣類乾燥機と電気式、どちらを選ぶべきですか?
乾燥効率やランニングコストの違いはありますが、ガス衣類乾燥機はガス配管・排気経路の確保が別途必要です。物件のガス引き込み状況と排気経路が確保できるかを先に確認してください。
まとめ|無人だからこそ、設備計画を丁寧にする
| 決めること | 基準・根拠 | 確認すること |
|---|---|---|
| 決め1 営業許可 | クリーニング業法の対象外 | 設置設備に関わる他の法令・条例を確認する |
| 決め2 電気容量 | 業務用機の消費電力 | 契約電力の見直しを電力会社に確認する |
| 決め3 給排水 | 給水圧・排水量の機種仕様 | 既存物件の設備容量を契約前に確認する |
| 決め4 防犯設備 | 自治体の防犯条例 | カメラの死角・非常通報の位置を先に決める |
| 決め5 深夜の騒音対策 | 振動・排気音への近隣配慮 | 防振・遮音対策と近隣説明を計画する |
| 決め6 ガス設備 | ガス配管・排気経路 | ガス会社・内装会社と排気経路を確認する |
コインランドリーは、営業許可が不要な分、「決めることが少ない業態」と誤解されがちです。実際には無人営業を前提にした電気容量・防犯・騒音対策を、有人店舗以上に丁寧に計画する必要があります。
電気容量と防犯設備、深夜の近隣対策は、開業後に見直そうとすると大がかりな工事になります。物件契約前・内装計画の初期段階で確認してください。