保育施設の内装は、意匠を決める前に子ども1人あたりの面積基準が 定員そのものを決めます。基準を満たさないと、そもそも認可・届出が通りません。

児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(国の基準)では、乳児室・ほふく室・保育室・ 屋外遊戯場のそれぞれに、子ども1人あたりの下限面積が定められています。自治体が 条例でこれより厳しい基準を上乗せしている場合もあります。

物件を選ぶ前に、決めておくことは6つあります。

この記事でわかること

  • 認可・小規模保育・認可外という施設類型の選び方
  • 乳児室・ほふく室の面積基準
  • 保育室・屋外遊戯場・調理室・便所の設置基準
  • 避難経路と内装材の安全性の考え方
  • 自治体の上乗せ基準を確認する必要性
  • 午睡・食事・遊びのゾーニングの考え方

学習塾・教室系のスクールは学習塾・教室・スクールの内装で決めること で扱っています。この記事は乳幼児を対象とする保育施設に絞ります。

保育所の設備基準で定められた、子ども1人あたりの面積を比較した図。乳児室は1.65平方メートル、ほふく室は3.3平方メートル、保育室・遊戯室と屋外遊戯場はいずれも3.3平方メートルから1.98平方メートルという幅を示している。
年齢が上がるほど、1人あたりの面積基準も設備の組み合わせも変わります|定員を先に決めてから逆算すると、必要な床面積が具体的な数字で見えます。

決め1|認可保育所・小規模保育・認可外、どの類型で内装基準が変わるか

保育施設には、認可保育所、地域型保育(小規模保育など)、認可外保育施設といった 類型があります。適用される基準や手続き先の窓口は類型によって異なります。

物件を選ぶ前に、どの類型で開設するかを決めてください。類型が変われば、 適用される面積基準や設備要件、手続きの窓口(都道府県・市区町村)も変わります。

決め2|乳児室1.65平方メートル、ほふく室3.3平方メートルという下限

児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第32条では、乳児(またはほふくしない 幼児)1人につき乳児室1.65平方メートル以上、ほふくする乳児・幼児1人につき ほふく室3.3平方メートル以上と定められています。

この面積は「子ども1人あたり」の下限です。定員を先に決めてから、 必要な床面積を逆算してください。物件の面積から定員を後付けで決めると、基準を 満たせないことがあります。

保育所の設備基準(児童福祉施設の設備及び運営に関する基準第32条)
部屋1人あたりの面積確認すること
乳児室1.65平方メートル以上0歳児クラスの定員から逆算する
ほふく室3.3平方メートル以上はいはいをする月齢の定員から逆算する
保育室・遊戯室1.98平方メートル以上満2歳以上のクラス定員から逆算する
屋外遊戯場3.3平方メートル以上近隣の代替地での確保も検討する

数値は国の基準です。自治体が条例でこれより厳しい基準を定めている場合があるため、開設予定地の自治体窓口で最終確認してください。

決め3|保育室・遊戯室と屋外遊戯場の面積、そして調理室・便所の設置

満2歳以上の子どもを対象とする施設には、保育室または遊戯室、屋外遊戯場、調理室、 便所の設置が求められます。屋外遊戯場は、敷地内に確保できない場合、代替となる 公園等を屋外遊戯場に代えることが認められる場合があります。

屋外遊戯場を近隣の公園で代替する場合は、経路の安全性や利用の可否を、自治体の 担当窓口に事前に確認してください。内装の計画だけでは完結しません。

決め4|避難経路と、転倒・誤飲を防ぐ内装材の選び方

乳幼児が自力で避難できない前提で、避難経路の確保と、転倒時の衝撃を抑える床材、 誤飲につながる小さな部材を使わない什器選びが求められます。

意匠性の高い建材の中には、角の鋭さや素材の安全性が保育施設に向かないものが あります。什器・建材を選ぶ段階で、保育施設向けの安全基準を満たすかを確認して ください。

決め5|自治体の上乗せ基準が、国の基準より厳しい場合がある

児童福祉施設の設備及び運営に関する基準は国の基準ですが、都道府県や市区町村が 条例でこれより厳しい基準を定めることができます。国の基準だけで内装計画を 進めると、自治体の条例に抵触することがあります。

開設予定地の自治体(保育担当課)に、条例上の面積基準・設備基準を事前に確認して ください。認可の審査でも、この条例基準への適合が確認されます。

決め6|午睡・食事・遊びのゾーニングと生活音の抑え方

同じ室内で午睡・食事・遊びを行う場合、活動の切り替えごとに家具の配置を変える運用に なりがちです。可動間仕切りや収納の配置を工夫すると、保育士の負担を減らせます。

生活音は近隣対応にも直結します。窓・外壁の遮音性能や、屋外遊戯場と 隣地境界の距離は、着工前に確認してください。近隣対応の進め方は 内装工事前後の近隣対応で決めることで 扱っています。

保育施設の内装で内装会社に伝えること
  • 開設する施設類型(認可・小規模保育・認可外)
  • 年齢別クラスの定員と必要面積
  • 屋外遊戯場を敷地内で確保するか、近隣の公園で代替するか
  • 調理室・便所の設置場所
  • 避難経路と内装材の安全性
  • 自治体の上乗せ基準の有無

よくある質問

乳児室とほふく室は、両方とも必要ですか?

ほふくしない乳児・幼児には乳児室、ほふくする乳児・幼児にはほふく室が必要とされています。対象となる子どもの月齢構成によって、どちらか一方または両方が必要になります。

屋外遊戯場が確保できない場合はどうすればよいですか?

近隣の公園等を屋外遊戯場に代えることが認められる場合があります。経路の安全性や利用の可否について、開設予定地の自治体窓口に事前に確認してください。

国の基準さえ満たせば開設できますか?

国の基準は下限であり、都道府県や市区町村が条例でより厳しい基準を定めている場合があります。開設予定地の自治体(保育担当課)で条例上の基準も確認してください。

内装材は何でも使えますか?

意匠性の高い建材の中には、角の鋭さや素材の安全性が保育施設に向かないものがあります。転倒・誤飲を防ぐ観点から、保育施設向けの安全基準を満たす什器・建材を選んでください。

認可保育所と認可外で、内装基準は同じですか?

適用される基準や手続き先は施設類型によって異なります。どの類型で開設するかを先に決め、それぞれの基準を開設予定地の自治体窓口で確認してください。

まとめ|面積基準が、定員そのものを決める

保育施設の内装|6つの確認のまとめ
決めること基準・根拠確認すること
決め1 施設類型認可・小規模保育・認可外類型を先に決め手続き先を確認する
決め2 乳児室・ほふく室1.65㎡/3.3㎡(1人あたり、第32条)定員から必要面積を逆算する
決め3 保育室・屋外遊戯場1.98㎡/3.3㎡(1人あたり)、調理室・便所代替地の可否を自治体に確認する
決め4 避難・内装材避難経路の確保、転倒・誤飲対策保育施設向けの安全基準を確認する
決め5 自治体の上乗せ条例による国基準への上乗せ開設予定地の担当課で確認する
決め6 ゾーニング午睡・食事・遊びの切り替えと生活音可動間仕切りと遮音性能を検討する

保育施設の内装は、子ども1人あたりの面積基準が定員と間取りの両方を 決めます。この記事の決め2・決め3を先に固めてから、物件探しと内装会社への相談を 進めてください。

面積基準は国の基準に加えて自治体の条例が上乗せされる場合があります。着工前に、 開設予定地の自治体窓口への確認を必ず行ってください。

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