調剤薬局とドラッグストアは、どちらも「薬を扱う店舗」に見えますが、調剤を行うかどうかで薬機法上の許可区分が変わり、必要な内装の基準も変わります。

調剤を行う店舗には調剤室が要り、面積・区画の基準を満たさないと薬局開設許可が下りません。調剤を行わない店舗は、別の許可区分で医薬品の陳列区分を満たす内装にします。

着工前に決めておくことは6つあります。

この記事でわかること

  • 調剤の有無で変わる薬機法上の許可区分
  • 調剤室の面積・区画の考え方
  • 医薬品の陳列区分(要指導・第1類〜第3類)
  • 薬剤師・登録販売者の配置基準
  • クリニックとは違う来店客の動線設計
  • 医薬品の保管基準に合わせた設備

クリニックの受付・待合の動線設計はクリニックの動線設計で決める7つのことで扱っています。この記事は薬局・ドラッグストア特有の基準に絞ります。

調剤薬局とドラッグストア(店舗販売業)の許可区分の違いを示した図。調剤を行う場合は薬局開設許可、調剤を行わない場合は店舗販売業の許可が必要で、調剤室の設置義務の有無が分かれる。
「調剤をするかどうか」で、必要な許可も内装の基準も変わります|調剤室の設置は、薬局開設許可を取る場合にだけ必要です。

決め1|調剤の有無で変わる薬機法上の許可区分

処方箋に基づく調剤を行う店舗は、薬機法に基づく薬局開設許可が必要です。調剤を行わず、一般用医薬品の販売だけを行う店舗(多くのドラッグストア)は店舗販売業の許可を受けます。

「薬局」という名称を掲げられるのは、薬局開設許可を受けた店舗だけです。ドラッグストアの中には調剤室を併設し、両方の許可を受けている店舗もあります。

自店がどちらの許可区分に当たるかによって、次章以降の調剤室の要否・面積基準が変わります。最初に、調剤を行う業態にするかどうかを決めてください。

薬局開設許可と店舗販売業の違い
項目薬局開設許可店舗販売業
調剤可能不可
調剤室必須不要
「薬局」の名称使用できる使用できない
主な業態調剤薬局、調剤併設のドラッグストア調剤を行わないドラッグストア

決め2|調剤室の面積基準と区画の考え方

調剤室には、薬局等構造設備規則で定められた基準があります。調剤に必要な設備を置くための一定の広さが必要で、壁で区画し、みだりに人が出入りしない構造にすることが求められます。

調剤室は、売場や待合と明確に区切ります。処方箋を受け取ってから薬を渡すまでの間、患者様が調剤室の中に立ち入らない動線にしてください。

具体的な面積基準は薬局等構造設備規則に定められています。詳細な数値は、開設許可申請先の保健所(薬務担当課)に必ず確認してください。

決め3|医薬品の陳列区分(要指導・第1類〜第3類)

一般用医薬品は、リスクの高さに応じて要指導医薬品・第1類〜第3類医薬品に区分され、それぞれ陳列の仕方に基準があります。要指導医薬品・第1類医薬品は、薬剤師が対応できる場所への陳列や、購入者が直接手に取れない陳列方法が求められます。

第2類・第3類医薬品は、要指導医薬品・第1類医薬品の陳列区画から一定の距離を離すなど、区分ごとの陳列ルールがあります。什器のレイアウトは、この陳列区分を先に確定してから決めてください。

一般用医薬品の区分と陳列の考え方
区分リスク陳列の考え方
要指導医薬品特に注意が必要薬剤師が対面で説明できる場所に陳列する
第1類医薬品リスクが比較的高い購入者が直接手に取れない陳列方法にする
第2類・第3類医薬品リスクが比較的低い要指導医薬品・第1類医薬品の陳列区画と区分する

陳列区分の詳細な基準は薬機法・関連省令に定められています。什器配置の最終確認は保健所(薬務担当課)または内装会社を通じて行ってください。

決め4|薬剤師・登録販売者の配置と、店舗の営業時間

薬局・店舗販売業ともに、取り扱う医薬品の区分に応じて薬剤師または登録販売者を配置する必要があります。営業時間中、常に必要な資格者を配置できるかは、内装のレイアウトより先に人員体制で確認してください。

資格者が不在の時間帯がある場合、販売できる医薬品の区分が制限されます。営業時間の設計と人員のシフトを、内装のオープン日程と合わせて計画してください。

決め5|クリニックとの動線の違い(受付から渡し口まで)

クリニックの動線は「受付→診察→会計」という一直線の流れが基本ですが、薬局は「処方箋受付→調剤の待ち時間→薬の受け渡し」という待ち時間が挟まる動線になります。

待合スペースは、調剤にかかる時間を見込んで、椅子の数と滞在のしやすさを確保してください。受け渡しカウンターは、服薬指導を行うための一定のプライバシーが保てる配置が望ましいです。

クリニックに併設する薬局(門前薬局)の場合は、クリニックの診察の流れとの動線の交差にも注意してください。クリニック側の動線設計はクリニックの動線設計で決める7つのことで扱っています。

決め6|医薬品の保管基準に合わせた温湿度・換気管理

医薬品の中には、直射日光や高温多湿を避けて保管する必要があるものがあります。空調計画は、陳列棚・在庫スペースの温湿度が保管基準を外れないように設計してください。

冷所保存が必要な医薬品を扱う場合は、専用の冷蔵設備の設置スペースをレイアウトに組み込みます。設備容量の確認は店舗の電気容量が足りない物件を避けるにはもあわせて確認してください。

よくある質問

薬局開設許可と店舗販売業、両方の許可を1つの店舗で取れますか?

調剤室を備え、薬局開設許可と店舗販売業の両方の許可を受けている店舗はあります。両方の基準(調剤室の設置と陳列区分の両方)を満たす必要があるため、内装計画の段階で両方の許可先に確認してください。

調剤室の面積は、具体的に何平方メートル必要ですか?

薬局等構造設備規則に基準がありますが、具体的な数値の適用は自治体・保健所の運用にもよるため、開設許可申請先の保健所(薬務担当課)に直接確認してください。

要指導医薬品は、絶対に手に取れない陳列にしないといけませんか?

要指導医薬品は薬剤師が対面で情報提供や指導を行うことが前提のため、購入者が自由に手に取れる陳列は認められません。薬剤師が対応できる場所への陳列が基本です。

薬剤師が不在の時間帯は、営業できませんか?

薬剤師が不在でも登録販売者がいれば、第2類・第3類医薬品の販売は可能な場合があります。ただし要指導医薬品・第1類医薬品の取り扱いには薬剤師の配置が必要です。

門前薬局の場合、クリニックと同じ内装業者に頼むべきですか?

必須ではありませんが、クリニックの診察動線と薬局の受け渡し動線が交差しないよう、両方の設計を把握した業者に相談すると調整がしやすくなります。

まとめ|内装より先に、許可区分を確定させる

調剤薬局・ドラッグストアの内装|6つの確認のまとめ
決めること基準・根拠確認すること
決め1 許可区分薬局開設許可/店舗販売業(薬機法)調剤を行うかどうかを最初に決める
決め2 調剤室薬局等構造設備規則面積・区画を保健所に確認する
決め3 陳列区分要指導・第1類〜第3類医薬品什器配置を陳列区分に沿って決める
決め4 人員配置薬剤師・登録販売者の配置基準営業時間中の資格者配置を先に確認する
決め5 動線調剤の待ち時間を含む動線待合の滞在快適性と渡し口の配置を決める
決め6 保管環境医薬品の保管基準温湿度管理・冷所保存設備を空調計画に含める

調剤薬局・ドラッグストアの内装は、意匠よりも先に薬機法上の許可区分で仕様が決まります。調剤を行うかどうかを最初に決め、調剤室の要否を確定させてから、内装会社への相談を始めてください。

医薬品の陳列区分や調剤室の基準は、保健所(薬務担当課)による最終確認が必要です。着工前に必ず個別の相談を行ってください。

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