葬儀社・葬祭ホールの内装は、式場となる部屋の面積によって、建築基準法 上の扱いが大きく変わります。意匠を決める前に、この分かれ目を理解しておく必要が あります。

一般的な運用では、1室が200平方メートル以上であれば、固定席の有無にかかわらず 集会場として扱われます。200平方メートル未満であれば、原則として集会場としては 扱われません。この違いが、用途地域による立地制限や必要な設備に影響します。

着工前に決めておくことは6つあります。

この記事でわかること

  • 式場の面積が「集会場」の扱いを分ける仕組み
  • 用途地域による立地制限の確認方法
  • 消防法上の用途区分と必要な設備
  • 遺族・会葬者・搬送の動線を交差させない設計
  • 家族葬専用ホールという選択肢
  • 近隣対応を着工前から進める理由

近隣対応の一般的な進め方は内装工事前後の近隣対応で決めること で扱っています。この記事は葬祭施設に固有の分かれ目に絞ります。

葬祭場・セレモニーホールの建築基準法上の扱いを示した図。1室が200平方メートル未満は集会場として扱われないのが原則、200平方メートル以上は固定席の有無にかかわらず集会場として扱われるという分かれ目を示している。
「1室200平方メートル」が、扱いの分かれ目になります|式場の面積を決める前に、特定行政庁・審査機関への確認が欠かせません。

決め1|式場の面積が、建築基準法上「集会場」に当たるかを分ける

葬祭場・セレモニーホールが建築基準法上の集会場(特殊建築物)として扱われるかは、 1室の床面積と固定席の有無によって判定されます。一般的な運用では、1室が200 平方メートル以上であれば、固定席の有無にかかわらず集会場として扱われます。

200平方メートル未満であれば、原則として集会場としては扱われません。 ただし、この扱いは審査機関・特定行政庁の判断によるため、式場の規模を決める前に 必ず確認してください。

葬祭場・セレモニーホールの建築基準法上の扱い(一般的な運用)
1室の床面積固定席の有無扱い
200平方メートル未満問わない原則として集会場として扱わない
200平方メートル以上固定席なし集会場として扱う(法の単体規定のみ適用の運用もある)
200平方メートル以上固定席あり集会場として扱う

具体の利用形態に応じて個別に判断されるため、この表は一般的な傾向です。着工前に、建築確認の審査機関・特定行政庁への確認を必ず行ってください。

決め2|用途地域による立地制限を、物件探しの前に確認する

葬祭場は、用途地域によって建築できるかどうかが分かれる建築物です。候補地を 決める前に、その土地の用途地域で葬祭場が建築可能かを確認してください。

集会場として扱われる規模になると、用途地域の規制がより厳しく適用される場合が あります。決め1の面積判定と、用途地域の確認はセットで進めてください。

決め3|消防法上の用途区分と、必要な消防設備

葬祭場は、消防法施行令別表第一の用途区分の当てはめによって、必要な消防設備が 変わります。集会場に類する用途として扱われる場合、自動火災報知設備や誘導灯の 設置基準が、一般の店舗より厳しくなることがあります。

用途区分の判定は所轄の消防署が行います。式場のレイアウトを確定する 前に、消防署への事前相談を行ってください。

決め4|遺族・会葬者・搬送の動線を交差させない

葬祭ホールでは、遺族の控室、会葬者の動線、遺体の搬送動線をそれぞれ独立させる 設計が基本です。これらが交差すると、会葬者の目に触れさせたくない場面が生じ やすくなります。

搬送用の出入口は、正面玄関とは別に確保するのが一般的です。物件の 構造上、別動線を確保できるかを、内覧の段階で確認してください。

決め5|家族葬専用ホールという扱いで、規模を抑える選択肢

当該地区外から一時に多数の人が集まるおそれがないと判断できる、地区の住民等を 対象とした施設は、地区集会場として扱われる場合があります。家族葬のみを専用に 扱う施設についても、これと同等の扱いができる場合があります。

大規模な式場を目指すのではなく、家族葬に特化することで、規模と規制の両方を 抑える選択肢もあります。事業計画の段階で、想定する葬儀の規模を明確にして ください。

決め6|近隣対応は、着工前の説明が特に重要になる業態

葬祭施設は、近隣から反対の声が上がりやすい業態の1つです。着工前の説明を丁寧に 行うかどうかが、開業後の運営のしやすさに直結します。

搬送車両の出入りの時間帯、駐車場の配置、外部への音漏れ対策など、一般の店舗より 具体的な説明が必要になります。近隣対応の進め方は 内装工事前後の近隣対応で決めることも あわせて確認してください。

葬儀社・葬祭ホールの内装で内装会社に伝えること
  • 式場1室あたりの想定面積と固定席の有無
  • 候補地の用途地域と立地制限
  • 消防法上の用途区分の事前相談状況
  • 遺族・会葬者・搬送の動線分離の方針
  • 家族葬専用にするか、大規模式場にするかの方針
  • 近隣説明の実施予定

よくある質問

式場は200平方メートル未満にすれば、規制を避けられますか?

一般的な運用では200平方メートル未満は集会場として扱われない傾向がありますが、扱いは審査機関・特定行政庁の判断によります。規模を決める前に必ず確認してください。

葬祭場は、どの用途地域でも建築できますか?

用途地域によって建築できるかどうかが分かれる建築物です。候補地を決める前に、その土地の用途地域で葬祭場が建築可能かを自治体の窓口で確認してください。

家族葬専用ホールにすると、規制は変わりますか?

地区外から多数の人が集まるおそれがないと判断できる施設は、地区集会場として扱われる場合があります。家族葬専用の施設も同様の扱いができる場合がありますが、個別の判断が必要です。

遺体の搬送動線は、必ず正面玄関と分ける必要がありますか?

法令で一律に義務づけられているわけではありませんが、会葬者の目に触れさせたくない場面を避けるため、搬送用の出入口を正面玄関とは別に確保するのが一般的です。

近隣説明は、どのタイミングで行えばよいですか?

着工の前に行うのが基本です。搬送車両の出入りの時間帯や駐車場の配置、音漏れ対策など、一般の店舗より具体的な説明が必要になります。

まとめ|式場の面積が、立地と設備の両方を決める

葬儀社・葬祭ホールの内装|6つの確認のまとめ
決めること基準・根拠確認すること
決め1 集会場の判定1室200㎡が扱いの分かれ目(一般的な運用)審査機関・特定行政庁に確認する
決め2 用途地域用途地域による立地制限候補地決定前に自治体窓口で確認する
決め3 消防設備消防法施行令別表第一の用途区分レイアウト確定前に消防署へ相談する
決め4 動線分離遺族・会葬者・搬送の独立動線搬送用出入口の確保を内覧時に確認する
決め5 家族葬特化地区集会場と同等の扱いの可能性想定する葬儀の規模を明確にする
決め6 近隣対応反対の声が上がりやすい業態特性着工前の丁寧な説明を計画する

葬儀社・葬祭ホールの内装は、式場1室の面積という決め1が、立地の 可否と必要設備の両方を決めます。この記事の決め1・決め2を先に固めてから、内装 会社への相談を始めてください。

建築基準法上の扱いは、具体の利用形態に応じて個別に判断されます。着工前に、 審査機関・特定行政庁への確認を必ず行ってください。

名古屋の店舗内装業者を比較する