「駐車6台」と資料に書いてあっても、その6台が実際に停められるとは限りません。寸法と車路の幅を満たしていない図が、普通に流通しています。
台数が足りないと、ピーク時にお客様が入れずに帰ります。入れなかった人は、二度目を試しません。そして駐車場は、開店後にいちばん直しにくい部分です。
決めることは7つ。条例の付置義務、必要台数、寸法と車路、車椅子使用者用、出入口、仕上げ、そして持てない場合の選択肢。すべて図面を描いてもらう前に確かめられます。
この記事でわかること
- 自分の敷地に駐車場条例の付置義務がかかるかどうかを、駐車場法第20条と名古屋市駐車場条例第3条の条文から判定する手順
- 出典のない業界の目安を使わずに、ピーク時の来店組数・滞在時間・自動車での来店割合から必要台数を逆算する計算のしかた
- 駐車ますの長さと幅、天井の有効高さ、車路の幅員を、国土交通省の駐車場設計・施工指針の数値で確認する方法とその限界
- 車椅子使用者用駐車施設が必要になる規模と幅3.5メートルという寸法の根拠、そして愛知県と名古屋市の上乗せ規定
- 出入口を設けてはいけない道路の部分と、隅切り・見通し・歩道の切り下げについて誰にいつ相談するか
- 舗装・ライン・輪止め・照明・排水をどこまでやるかを決める順序と、費用を来店組数に翻訳する計算例
- 敷地内に持てない場合に、近隣の月極を借りる・コインパーキングと提携するという選択肢の契約上の注意点と案内表示の作り方
物件そのものの見極め方は店舗物件の選び方|内装工事の視点で内覧時に確認する10のポイント、 段差や通路など建物側のバリアフリーは店舗のバリアフリーで決める8つのこと|法令の義務と、実際に使えるかは別の話、 看板や外観の考え方は店舗の看板・外装で確認する7つのこと|屋外広告物条例・発注区分・予算の別枠、 開店後の集客は開業直後の店舗集客でやること|内装が仕上がってから打つ7つの対策で扱っています。 これらの記事も駐車場に軽く触れていますが、いずれも本題は別にあります。 この記事は駐車場そのものの計画だけに絞り、 台数の決め方、寸法、法令、出入口、仕様、代替手段という7つの論点を順番に扱います。
「何台あればよいのか」に答えが出ない理由
困り方は4つの型に分かれます。台数が足りない、停めにくい、入りにくい、案内が分からない。原因が違うので、対策も違います。
| 型 | 店内からは見えない形で起きていること | 自分で確かめる方法 |
|---|---|---|
| 絶対数が足りない | ピークの1時間だけ満車になり、入れなかった車がそのまま通過する。売上には「来なかった人」として記録されないため、原因として特定されない | ピークの曜日・時間に、店の外に立って15分間、駐車場の入口まで来て入らずに出ていった車の台数を数える。2回以上、別の日に行う |
| 区画が狭くて使われない | 端の1台分や柱際の1台分がいつも空いている。実際の稼働台数が図面の台数より少ない | 満車に近い時間帯に写真を撮り、いつも空いている区画がどれかを特定する。その区画の実測幅を測る |
| 出入りしにくい | 入るために本線を止めるので、後続車に気を使うお客様が敬遠する。右折で入れないため、実質的に片側からしか来店がない | 自分の車で、店の前を両方向から走って入ってみる。切り返しが必要か、後続が詰まるかを体感で記録する |
| 停めたくない | 夜に暗い、雨の日にぬかるむ、隣の車と近すぎて傷が心配、といった理由で敬遠される。苦情ではなく「来なくなる」形で表れる | 日没後に自分の車で来店し、降車位置から店の入口までを歩く。足元が見えるか、水たまりを避けて歩くことになるかを確認する |
どれだけのお客様が自動車で来るのかを、統計で確かめる
名古屋圏には中京都市圏パーソントリップ調査があります。地域と目的ごとの自動車分担率が出ているので、「うちの客は車で来るのか」を感覚ではなく数字で置けます。
| 区分 | 自動車の代表交通手段分担率(第5回→第6回) | 自店で確かめること |
|---|---|---|
| 都市圏全体 | 61.4パーセント→58.7パーセント。調査開始以来はじめて減少した | まず全体の目盛りとして頭に置く。ただし自店の立地に直接当てはめない |
| 名古屋市 | 41パーセント→38パーセント。鉄道が21パーセント、徒歩が21パーセントと高い | 市内の駅から徒歩圏で出店する場合の目安。駅からの距離と最寄り駅の乗降人員を地図で確認する |
| 愛知県(名古屋市を除く) | 67パーセント→64パーセント。鉄道は7パーセント | 県内の郊外市町で出店する場合の目安。想定商圏内に鉄道駅があるかを地図で確認する |
| 都心部(20,000人/平方キロメートル以上) | 23パーセント→20パーセント。鉄道が42パーセントで最多 | 自敷地の町丁目の人口密度を国勢調査の統計で調べ、どの区分に入るかを特定する |
| 都市部(4,000〜20,000人) | 50パーセント→48パーセント。鉄道15パーセント、徒歩19パーセント | 徒歩と自転車での来店が一定数あることを前提に、駐輪スペースも同時に計画する |
| 都市近郊部(500〜4,000人) | 69パーセント→67パーセント | 自動車を前提に台数を計算する。バスの本数を時刻表で確認し、非自動車の来店を見積もる |
| 郊外部(500人未満) | 77パーセント→75パーセント | 自動車以外の来店をほぼ見込まない前提で計算する。従業員の通勤も自動車になる可能性が高い |
決めること1|条例の付置義務がかかるかどうか
駐車場法第20条を受けて、名古屋市には駐車場条例があります。用途と床面積と地区で、必要台数が決まります。義務がかかるかどうかは、住所と面積から自分で判定できます。
| 判定要素 | 条文で定められている内容 | 自分で確かめる方法 |
|---|---|---|
| 敷地要件 | 駐車場整備地区、商業地域、近隣商業地域のいずれかの中にあること(条例第3条第1項の表の左欄) | 名古屋市の都市計画情報で敷地の用途地域を調べる。敷地が地区の内外にまたがる場合は、条例第3条の5により面積の過半を占める地区にあるものとみなされる |
| 建物要件 | 特定部分の床面積+非特定部分の床面積×4分の3の合計が1,500平方メートルを超えること(同表の中欄) | 計画中の建物の用途別床面積を一覧にして、駐車場部分を除いたうえで計算する。1,500平方メートルを超えなければ対象外 |
| 台数の算定 | 劇場等350平方メートル、事務所500平方メートル、その他の特定用途650平方メートル、非特定用途900平方メートルごとに各1台。合計して端数切り上げ(同表の右欄) | 市が公開している「附置義務駐車場台数算定書」の様式で計算する。着工時期によって様式が分かれているため、該当する年次のものを使う |
| 荷さばき用の台数 | 倉庫2,500平方メートル、百貨店その他の店舗5,000平方メートル、その他の特定用途1万平方メートルごとに1台。端数切り捨て、10台が上限(条例第3条の3) | 納品車が停まる位置を平面図に書き込む。荷さばき用の台数は条例第3条の3第2項により附置義務台数に含めることができる |
| 増築・用途変更 | 増築後または用途変更後の建物を新築した場合の台数から、変更前の台数を減じた台数を新たに附置する(条例第3条の2) | 居抜きで用途を変える場合は、変更前後の用途区分が「劇場等」「事務所」「その他の特定用途」のどれに移動するかを確認する |
| 違反したとき | 市長が期間を定めて附置・設置・原状回復その他必要な措置を命ずることができ(条例第8条)、命令違反は50万円以下の罰金(条例第11条第1項) | 設計段階で市の交通企画・モビリティ都市推進課に相談し、算定結果を確認してもらう |
決めること2|必要台数を自分で計算する
条例の台数は最低限であって、商売に必要な台数ではありません。計算に使うのはピーク1時間の来店組数と平均滞在時間です。
ここでピークを取り違えると、全部ずれます。平均ではなく、いちばん混む日の、いちばん混む時間を取ってください。
| 業種 | 駐車需要としての性格 | 自分で数字を取る方法 |
|---|---|---|
| 飲食店(ランチ主体) | 滞在時間は短いが、11時30分から13時に極端に集中する。同じ1台が2回転する時間帯と、まったく動かない時間帯の差が大きい | 1週間ぶん、11時から14時を15分刻みで来店組数を記録する。もっとも多い連続60分を特定する |
| 飲食店(ディナー・宴会) | 滞在が2時間を超えることがあり、その間まったく回転しない。運転しない同乗のお客様が増えるため1台あたりの人数が多くなる | 予約台帳から、1組の滞在時間と人数を20組ぶん書き出して平均を出す。乗り合わせの有無も聞いて記録する |
| カフェ・喫茶 | 滞在時間のばらつきが最も大きい。長時間滞在のお客様が数人いるだけで実質的な台数が減る | ピーク時に、1時間以上停まり続けている車が何台あるかを2回数える。それを固定分として台数から差し引く |
| 美容室・サロン | 1組あたりの滞在が長く、予約で来店時刻が分散する。予約枠の設計で駐車需要をある程度制御できる | 予約管理システムから、同時進行の施術が最大何件になる時間帯かを月単位で抽出する |
| 物販店 | 滞在は短いが組数が多く、出入りの頻度が高い。車路の通りやすさが台数以上に効く | レジの時刻データから、1時間あたりの会計件数がもっとも多い時間帯を3か月ぶん抽出する |
| クリニック・治療院 | 診療開始前に集中し、待ち時間が滞在時間の大半になる。予約制の有無で必要台数が大きく変わる | 受付時刻と会計時刻の差を30人ぶん記録し、平均と最大を出す。予約制に変えた場合の試算も同時に行う |
| 学習塾・教室 | 生徒さんの滞在は長いが、送り迎えの車の滞在は数分。コマの切り替わり時刻に瞬間的な集中が起きる | コマの開始5分前から終了5分後までの10分間に、何台が出入りするかを実測する |
| 従業員・納品 | 営業時間中ずっと固定で占有される。お客様用の台数からは必ず切り離して数える | シフト表からもっとも人数が多い時間帯を特定し、自動車通勤の人数を確認する。納品業者に到着時刻と停車時間を聞く |
| 取り違え | 起きること | 記録の取り方 |
|---|---|---|
| 1日の来店数で考える | 1日100組を12時間で割って「1時間8組」と考えてしまい、実際の集中時間帯に必要な台数の半分以下しか用意できない | 会計時刻を1時間刻みで集計し、棒グラフにする。最大の1時間と平均の比率を計算する |
| 平日で測ってしまう | 平日の実測をもとに設計し、土日に毎週満車になる。買物目的の自動車分担率は休日のほうが高い | 平日1日と休日1日の両方で測り、大きいほうを採用する。休日は連休でない日曜を選ぶ |
| 季節変動を無視する | 12月や年度末など特定の月だけ需要が跳ね上がり、その期間中ずっと機会損失が続く | 同業他店の繁忙月を業界団体の資料や取引先に確認し、その月に実測を行う |
| 同乗者を数に入れる | 「4人来店だから4台」と誤って多く見積もり、必要以上に土地を駐車場に割いて売場や客席が狭くなる | 組数(車の台数)と人数を分けて記録する。1台あたり何人で来ているかを平均で出す |
必要台数を自分で計算する手順
- ピーク時の同時在車台数を計算する。ピーク1時間の来店組数、平均滞在時間、自動車での来店割合の三つを紙に書き、掛け合わせる。開業前なら同業他店で実測する。
- 従業員用と荷さばき用を別枠で数える。もっとも人数の多いシフトの自動車通勤者数と、納品業者の到着時刻・停車時間を確認して足す。
- 敷地の用途地域と駐車場整備地区の指定を市の窓口で確認する。付置義務がかかるなら条例の算定書で台数を出す。かからないなら1で出した台数が計画値になる。
- 前面道路の幅員と、出入口を設けられない位置を現地で実測する。幅員6メートル未満か、交差点や横断歩道や学校の出入口が近くにないかを確かめる。
- 歩道の有無と高低差を確認する。切り下げが必要なら、所管の土木事務所に電話して事前相談の日程を取る。ここまでを物件の契約前に済ませる。
- 区画の割り付けを図面上で確認する。普通乗用車で幅2.5メートル、車路は車室に面する部分で5.5メートル以上を確保できるか。端と柱際の区画に余裕があるか。
- 車椅子使用者用または幅の広い区画を1台以上入れる。幅3.5メートル、店の入口までの経路がもっとも短い位置。段差がないことを実際に歩いて確認する。
- 排水の経路と照明の位置を舗装前に決める。集水桝の位置、接続先の管、灯具の配線ルートを平面図に描き込む。
- 不足分の確保方法を決める。近隣の月極、コインパーキング提携、従業員を外に出す。契約書の使用目的と区画番号を確認する。
- 案内表示を4か所ぶん作る。道路から見える位置、敷地入口、店頭、ウェブサイトと地図サービス。開店前に完成させる。
決めること3〜4|寸法・車路・車椅子使用者用
国土交通省の駐車場設計・施工指針に、駐車ますの大きさと車路の幅員、天井の高さが示されています。幅を削ると、停められても降りられません。
車椅子使用者用の駐車施設は、幅が広いだけではありません。入口までの経路と、屋根の有無まで含めて考えます。
| 設計対象車両 | 長さ/幅(この値以上とすることを原則とする) | 自店で使う場面と確認すること |
|---|---|---|
| 軽自動車 | 長さ3.6/幅2.0 | 軽自動車専用として明示する区画にのみ使う。全区画をこの寸法にすると普通車が停められない。路面に「軽」と表示する |
| 小型乗用車 | 長さ5.0/幅2.3 | 名古屋市駐車場条例第3条の6第1項の附置義務の規模と同じ。最低ラインとして使い、これを下回らないことを確認する |
| 普通乗用車 | 長さ6.0/幅2.5 | ロードサイド店舗の標準として狙う値。図面の寸法線を実測し、外側の縁石やフェンスまでの余裕も確認する |
| 小型貨物車 | 長さ7.7/幅3.0 | 納品車が停まる荷さばき用の区画。名古屋市駐車場条例第3条の6第2項は幅3メートル・奥行7.7メートル、または幅4メートル・奥行6メートルと定めている |
| 大型貨物車およびバス | 長さ13.0/幅3.3 | 大型車の納品がある業種で必要。取引先に車両の型式を聞き、実際の全長・全幅を確認してから区画を決める |
| 車路の区分 | 数値 | 図面で確認すること |
|---|---|---|
| 車室に面した車路(望ましい値) | 歩行者用通路なし7.0/あり6.5(乗用車の場合。指針表-2.4.3) | 駐車ますの先端から反対側の駐車ますの先端まで、あるいは壁までの距離を図面上で測る |
| 車室に面した車路(やむを得ない場合) | 歩行者用通路なし5.5/あり対面5.5・一方通行5.0(同表) | この値まで縮小する場合、区画の幅を2.5メートル確保しているかを同時に確認する。両方詰めると切り返しが必ず発生する |
| 車室に面していない車路(対面通行) | 乗用車5.5/小型貨物車5.9/大型貨物車・バス6.5(指針表-2.4.4) | 敷地の奥へ通り抜ける通路の幅を測る。納品車が通るなら小型貨物車の値を使う |
| 車室に面していない車路(一方通行) | 乗用車3.5/小型貨物車3.7/大型貨物車・バス4.0(同表) | 一方通行にする場合、入口と出口を別に設ける余地が敷地にあるかを先に確認する |
| 駐車場法施行令の車路幅員 | 一方通行で料金徴収施設あり・歩行者非通行なら2.75以上、その他の一方通行3.5以上、それ以外5.5以上(令第8条第1項第2号) | 駐車の用に供する部分が500平方メートル以上になるかを先に判定する。該当すれば法令上の義務になる |
| 屈曲部の内法半径 | 軽・小型・普通乗用車および小型貨物車5.0以上、大型貨物車・バス8.2以上(指針表-2.4.5)。建築物である路外駐車場は5メートル以上(令第8条第1項第3号ロ) | 敷地の角を曲がる箇所に半径5メートルの円を図面上で描いてみる。収まらなければ切り返しが発生する |
| 車路の縦断勾配 | 12パーセント以下が望ましく、普通乗用車以下でやむを得ない場合は17パーセントまで(指針2.4.5)。建築物である路外駐車場の傾斜部は17パーセントを超えないこと(令第8条第1項第3号ハ) | 道路面と敷地面に高低差がある場合、擦り付けの距離が取れるかを断面図で確認する。前後を擦る車が出ないかも見る |
| 設計対象車両 | 車路/車室 | 確認すること |
|---|---|---|
| 軽自動車・小型乗用車 | 2.3/2.1 | ピロティや屋根の下を使う場合、梁やダクトなど最も低い箇所の実測値を確認する。看板や照明の下端も測る |
| 普通乗用車 | 2.4/2.2 | ルーフキャリアやアンテナを付けた車も想定し、入口に高さ制限のバーと表示を設けるかを決める |
| 小型貨物車 | 3.7/3.5 | 納品車が敷地に入る経路の最低高さを実測する。取引先に車両の全高を書面で確認する |
| 大型貨物車およびバス | 4.1/3.9 | 大型車が入らない場合の荷下ろし場所を、道路上ではない位置に用意できるかを検討する |
| 根拠 | 対象と基準 | 自分で確かめる方法 |
|---|---|---|
| バリアフリー法施行令第18条第1項 | 駐車施設200以下は2パーセント(端数切り上げ)以上、200超は1パーセント(端数切り上げ)+2以上 | 計画台数を2パーセント倍して切り上げる。50台なら1台、100台なら2台になる |
| バリアフリー法施行令第18条第2項 | 幅は350センチメートル以上。利用居室までの経路の長さができるだけ短くなる位置 | 平面図で、区画の中心から店の入口までの距離を測り、他の区画と比べる。いちばん近いかを確認する |
| バリアフリー法施行令第9条 | 基準適合義務がかかる特別特定建築物の規模は、床面積の合計2,000平方メートル(公衆便所は50平方メートル) | 計画中の建物の床面積を確認する。2,000平方メートル未満なら国の法令としての義務はかからない |
| バリアフリー法第2条第13号 | 特定路外駐車場は、駐車の用に供する部分の面積500平方メートル以上、かつ駐車料金を徴収するもの | 来客用駐車場を有料にするかどうかを先に決める。無料なら特定路外駐車場には当たらない |
| 愛知県の届出Q&A(規則第23条・第26条) | 共同住宅は来客用駐車場が25台を超える場合に必要。乗降部分は各施設で幅3.5メートル以上を確保し兼用できない | 2台並べる計画なら、それぞれに3.5メートルを取れるかを図面で確認する。合計7メートルが必要になる |
| 名古屋市駐車場条例第3条の6第3項 | 附置義務台数15台以上30台未満で1台、30台以上50台未満で2台、50台以上で3台。幅3.5メートル以上、奥行6メートル以上 | 附置義務がかかる建物なら、算定した台数を段階に当てはめる。奥行が6メートル必要な点に注意する |
| 駐車場設計・施工指針2.5 | 車椅子利用者用駐車ますの幅3.5メートル以上、そこから出入口等に至る通路の幅員1.75メートル以上、斜路の勾配は12分の1以下(高低差16センチメートル以下なら8分の1以下) | 区画から入口までの経路に段差や縁石がないかを、実際に台車を押して歩いて確認する |
決めること5〜6|出入口の位置と、仕上げ
出入口は好きな場所に作れません。駐車場法施行令第7条が、交差点や横断歩道からの距離を定めています。手続きと相談先も、名古屋市の場合を表にしました。
舗装、照明、ライン、輪止め、排水。照明は防犯と事故の両方に効きます。夜に営業するなら、ここは削らないでください。
| 制約の内容 | 条文 | 契約前に自分で確かめる方法 |
|---|---|---|
| 交差点・横断歩道等の付近 | 道路交通法第44条第1項各号に掲げる道路の部分(令第7条第1項第1号イ) | 現地でメジャーを持ち、交差点の側端や横断歩道の側端から敷地の間口までの距離を実測する |
| 横断歩道橋の昇降口 | 昇降口から5メートル以内の道路の部分(同号ロ) | 敷地の前後に歩道橋や地下横断歩道の階段がないかを、現地と地図の両方で確認する |
| 学校・保育所・児童館等の出入口 | これらの出入口から20メートル以内の部分(同号ハ)。一定の場合は反対側および左右20メートル以内も含む | 周辺の施設を地図で洗い出し、その出入口の位置を現地で確認する。通学路の指定も市に確認する |
| 橋 | 橋(同号ニ) | 川や水路をまたぐ構造物が敷地の前にないかを確認する。暗渠の上も含めて道路管理者に聞く |
| 幅員6メートル未満の道路 | 幅員が6メートル未満の道路(同号ホ) | 前面道路の幅員を実測し、市の道路認定図で認定幅員を確認する。両方の数字を控えておく |
| 急勾配の道路 | 縦断勾配が10パーセントを超える道路(同号ヘ) | 坂道沿いの敷地なら、道路管理者に縦断勾配を確認する。冬季の凍結の有無も聞いておく |
| 出入口の分離 | 駐車の用に供する部分の面積が6,000平方メートル以上なら、出口と入口を分離し、道路に沿って10メートル以上離す(令第7条第1項第3号) | 該当する規模なら、間口が10メートル以上あるかを先に確認する。名古屋市も同旨を案内している |
| 手続き | 根拠と内容 | 窓口と、自分でやること |
|---|---|---|
| 事前相談 | 申請の前に必ず行うことが求められている。専門的な知識を必要とする業務のため、あらかじめ連絡して日程を調整するよう案内されている | 所管の土木事務所へ電話し、担当者と日程を決めてから訪問する。連絡なく行くと担当者が不在の場合がある |
| 道路工事施行承認申請 | 道路法第24条。申請書1部(3枚組)と添付図書2部を所管土木事務所に提出。郵送での受付はできない | 付近見取図、平面図、断面図、構造図、敷地内利用計画図、交通対策図を用意する。図面はA4サイズに折り込む |
| 承認までの期間 | 通常10日(土日祝と年末年始を除く。書類不備の補正期間等は含まない) | 工事工程表に、この10日を余裕を見て2週間以上として組み込む。開店日から逆算して着手日を決める |
| 道路使用許可 | 道路交通法第77条第1項第1号。承認書の受け取り後、別途、所轄の警察署から受ける | 工事を請け負う会社に、道路使用許可の申請を誰が行うかを見積時点で確認し、契約書に書き込む |
| 施工業者の資格 | 施工業者は市の競争入札参加資格(一般土木工事、とび・土工・コンクリート工事、舗装工事)を持つものに限られる | 内装会社に、この資格を持つ協力会社があるかを確認する。ない場合は別途手配が必要になる |
| 費用負担 | 設置にかかる費用は申請者(利用者)の負担 | 乗入れ施設の工事費を、内装工事の見積とは別枠で確保しておく。街路樹の移設が必要な場合は明細書も必要 |
| 工事完了届と検査 | 工事完了時に直ちに工事完了届(検査調書を添付)を提出し、検査を受けて合格する必要がある | 完了届の提出を工事会社任せにせず、提出済みかを自分で確認する。未提出のまま不備が判明すると、やり直しや損害額の請求を求められる場合がある |
| 項目 | 決めること | 自分で確認・判断する方法 |
|---|---|---|
| 舗装の種類 | 砕石敷き/アスファルト舗装/コンクリート舗装のどれにするか。出入口部分だけコンクリートにする分割も可能 | 雨の日に同業他店の駐車場を歩き、靴が汚れるかを確かめる。大型車が出入りする箇所は轍の有無を見る |
| 排水の経路 | 水をどこへ集めてどこへ流すか。集水桝の位置、勾配の方向、接続先 | 敷地の高低差を測り、いちばん低い点を特定する。接続先の管の種別と管底の高さを市の窓口で確認する |
| 区画線(ライン) | 塗料の種類、線の幅、区画の割り付け。軽自動車専用や車椅子使用者用の表示をどこに入れるか | 割り付け図に区画番号を書き込み、いちばん使いにくい区画がどれかを図面上で特定する。その区画を従業員用に回す |
| 輪止め | 設けるか設けないか。設ける場合の位置(車の後端が壁や隣地からどれだけ離れるか) | 後ろが道路や隣地の場合は必ず設ける。位置は実車を停めて後端の位置を確認してから決める |
| 照明 | 灯具の数と位置、点灯時間の制御、隣地への光漏れ対策 | 日没後に敷地に立ち、周囲からどれだけ明かりが入るかを確かめる。隣が住宅なら光の向きを事前に相談する |
| カーストッパー・防護柵 | 建物や設備に車が突っ込まないための保護。柱まわりの防護 | 店の入口の正面に区画を向けていないかを図面で確認する。向けている場合は柵かボラードを入れる |
| 案内標示 | 入口と出口の表示、進行方向の矢印、満車・空車の掲示 | 道路を走る車から何メートル手前で入口が認識できるかを、実際に走って確かめる |
| カーブミラー | 出口から道路が見えない場合の設置。敷地内に設置するか、道路管理者に相談するか | 運転席に座った状態で、出口から左右がどこまで見えるかを確認する。塀や植栽が邪魔なら撤去を検討する |
決めること7|自前で持たない場合
敷地内に取れないなら、近隣を借りる、提携する、コインパーキングの料金を負担する。選択肢はあります。ただし、案内表示を作らないと使われません。
| 方式 | 性質と注意点 | 契約前に確認・交渉すること |
|---|---|---|
| 近隣の月極を借り上げる | 台数を固定でき、月額が読める。ただし区画が離れていると使われない。空いていない時間帯があっても増やせない | 使用目的に来客用と書けるか、区画番号を指定できるか、解約予告期間、値上げの条件、貸主が変わった場合の承継 |
| コインパーキングと提携する | 台数の上限がなく、繁忙期にも対応できる。運営会社との契約と、精算のしくみが必要になる | サービス券の単価と精算のサイクル、対象時間の上限、駐車場が満車のときの扱い、契約期間と中途解約 |
| 近隣店舗と共用する | 費用を分担でき、ピークが重ならなければ効率がよい。ピークが重なると双方が困る | 互いのピーク時間帯を数字で突き合わせる。区画の割り当てと、超過したときのルールを書面にする |
| 従業員の車だけ外に出す | 敷地内をお客様専用にできる。効果が確実で費用も限定的。もっとも取り組みやすい | 従業員に距離と徒歩時間を実際に歩いて確認してもらう。雨天時と夜間の安全も確認する |
| 条例の附置の特例を使う | 附置義務がかかる建築物のみ。敷地からおおむね300メートル以内、市長の承認が必要(名古屋市駐車場条例第5条第1項) | 事前協議票を提出して市と協議する。承認が下りなかった場合の代替案を同時に用意しておく |
| 時間貸しにして料金を取る | 近隣の無断駐車を防げるが、駐車料金を徴収すると駐車場法第12条の届出や特定路外駐車場の規制の対象になり得る | 駐車の用に供する部分の面積が500平方メートル以上になるかを先に計算する。該当するなら市の窓口へ相談する |
| 表示する場所 | 書く内容 | 自分で確認する方法 |
|---|---|---|
| 道路から見える位置 | 「第2駐車場あり」と、方向を示す矢印。走行中に1秒で読める文字数に絞る | 自分の車で法定速度で走り、看板が読めるかを助手席の人に確認してもらう |
| 敷地の入口 | 第2駐車場までの距離(メートル)と徒歩時間、簡略地図、区画番号 | 実際にその場所まで歩き、所要時間をストップウォッチで測る。曲がる回数も数える |
| 第2駐車場の現地 | 店名と、使える区画番号の明示。他の契約者の区画と混同されないようにする | 貸主に表示を出してよいかを確認する。掲示できない場合は区画番号を店側で案内する方法を決める |
| 店頭・レジまわり | コインパーキング提携の場合はサービス券の条件(何分ぶんか、金額か時間か、上限) | 会計時に説明する文言をスタッフ全員で統一する。紙に書いてレジに貼る |
| ウェブサイト | 駐車場の台数、第2駐車場の場所を示す地図、混雑する時間帯の目安 | スマートフォンで自店のページを開き、駐車場の情報に何回のスクロールで到達するかを数える |
| 地図サービス | 駐車場の有無、写真、営業時間。来店前に確認されるため最優先で整える | 自店を検索し、駐車場の項目が正しく表示されているかを確認する。写真に駐車場の全景を1枚入れる |
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よくある質問
駐車場について、物件を決める前のご相談で繰り返し出てくる質問を4つ挙げます。 いずれも、条文と条例を確認すれば答えの方向は出るものの、 最終的な判断は敷地の位置と建物の規模、そして自治体の運用によって分かれるものばかりです。
駐車場に関する規制は、駐車場法と施行令という全国共通の部分と、 各自治体の駐車場条例・福祉のまちづくり条例という上乗せの部分の二階建てになっています。 ここでは名古屋市と愛知県の条例で確認できた内容を示したうえで、 どこから先が所管課への確認を要する領域なのかを明示します。
一次情報で確認できなかった数値については、その旨をそのまま書いています。 台数や費用の目安を推測で置くことはしていません。
うちの店にも、条例で決められた駐車場の付置義務はかかりますか?
多くの小規模な店舗にはかかりません。 付置義務の根拠は駐車場法第20条第1項で、 地方公共団体は「駐車場整備地区内又は商業地域内若しくは近隣商業地域内」において、 延べ面積が2,000平方メートル以上で条例で定める規模以上の建築物などについて、 条例で駐車施設の設置を義務づけることができる、と定めています。
つまり義務の中身は条例で決まります。 名古屋市の場合は名古屋市駐車場条例(昭和34年条例第9号)第3条で、 駐車場整備地区・商業地域・近隣商業地域の中にあり、 かつ特定部分の床面積と非特定部分の床面積に4分の3を乗じたものの合計が1,500平方メートルを超える建築物が対象とされています。
したがって、郊外のロードサイドで商業地域にも近隣商業地域にも駐車場整備地区にも入っていない敷地であれば、 そもそも敷地要件を満たさず条例の適用外です。 また、たとえ商業地域内であっても、床面積が1,500平方メートルを超えない規模の店舗であれば建物要件を満たしません。
ここで重要なのは、条例がかからないことは「駐車場が要らない」という意味ではまったくない、ということです。 条例は道路交通の円滑化のために市街地の大規模建築物へ課す規制であって、 あなたの店の集客に必要な台数を保証する制度ではありません。
かかるかどうかは、敷地の用途地域と駐車場整備地区の指定状況を市の窓口で確認したうえで判断してください。
「客数◯人につき1台」のような、業種ごとの必要台数の目安はありますか?
業種別の必要台数について、一次情報で確認できる公的な原単位は見つかりませんでした。 したがってこの記事では数値を示しません。
インターネット上には「飲食店は客席2席につき1台」といった数字が流通していますが、 出典が示されていないか、示されていても自治体の大規模小売店舗立地法に関する指針など、 対象と前提がまったく異なる資料であることが多く、 そのまま小規模店舗に当てはめられるものではありません。
代わりに、自分の店の数字から逆算する手順を使ってください。 第一に、ピーク時間帯の1時間に来店するお客様の組数を数えます。 第二に、1組あたりの平均滞在時間を測ります。
第三に、そのうち自動車で来店される割合を掛けます。 この三つを掛け合わせると、ピーク時に敷地内に同時に停まっている台数が出ます。 たとえばピーク1時間の来店が20組、平均滞在時間45分、自動車での来店が7割なら、 20組×0.75時間×0.7で約10.5台となり、これが同時に停まる台数の目安になります。
ここに入れ替わりのための余裕と、従業員の車と、荷さばきの車を足したものが計画台数です。 開業前で実績がない場合は、同業他店の同じ曜日・同じ時間帯を、駐車場の外から2回以上数えてください。
車椅子使用者用の駐車ますは、小さな店でも作らなければいけませんか?
法令上の設置義務がかかる規模は限られていますが、義務がなくても設けることを強くおすすめします。
まず建築物に附属する駐車場については、 バリアフリー法施行令第18条第1項が、 駐車施設の数が200以下の場合はその2パーセント(端数切り上げ)以上、 200を超える場合は1パーセント(端数切り上げ)に2を加えた数以上の車椅子使用者用駐車施設を設けなければならないと定めています。
ただしこの基準適合義務がかかるのは特別特定建築物のうち一定規模以上のもので、 同令第9条は法第14条第1項の政令で定める規模を 床面積の合計2,000平方メートル(公衆便所は50平方メートル)としています。
次に路外駐車場については、バリアフリー法第2条第13号が特定路外駐車場を、 駐車の用に供する部分の面積が500平方メートル以上で、かつ駐車料金を徴収するものと定義しており、 無料の来客用駐車場はここに当たりません。
一方、愛知県のいわゆる人にやさしいまちづくり条例では上乗せがあり、 県の届出Q&Aは共同住宅について来客用の駐車場が25台を超える場合に必要と説明し、 既存の駐車場がある敷地に新たに駐車場を設ける場合は既存分を含めた台数で判断すると示しています。
名古屋市駐車場条例第3条の6第3項は、 附置義務台数が15台以上30台未満なら1台、30台以上50台未満なら2台、50台以上なら3台を、 幅3.5メートル以上・奥行6メートル以上の車椅子の利用者のための駐車施設としなければならないと定めています。 寸法は幅3.5メートルが共通の基準です。
自分の敷地に駐車場を持たず、近くの月極駐車場を借りて第2駐車場にしても問題ありませんか?
運用としては成り立ちますが、契約と表示の二つで詰めておくべき点があります。
まず条例の付置義務がかかる建築物の場合、 名古屋市駐車場条例第5条第1項は、 建築物の構造や敷地の位置・形状により市長が特にやむを得ないと認めた場合に、 当該建築物の敷地からおおむね300メートル以内の場所に必要な規模の駐車施設を設けるときは、 敷地内に附置しないことができると定めています。
そして同条例第5条の2は、その場合に駐車施設の位置・台数等を記載した表示板を設置しなければならないと定めています。 つまり、離れた場所で代替するには市長の承認と表示板がセットで必要になります。 付置義務がかからない小規模店舗の場合は行政手続きの問題は生じませんが、代わりに民事の問題が残ります。
月極駐車場の契約書は通常「特定の車両を継続的に置く」ことを前提にしており、 不特定のお客様が入れ替わりで使う用途を想定していません。 契約前に、来店されたお客様が使うことを貸主に文書で伝え、使用目的として明記してもらってください。
あわせて、区画番号を指定してもらうこと、原状回復の範囲、解約予告期間、値上げの条件も確認します。 表示については、店頭・敷地入口・ウェブサイトの三か所に、第2駐車場の場所を地図と区画番号で示してください。
まとめ|駐車場で決める7つのこと
1台増やす費用は、「1日何組の来店で回収できるか」に翻訳できます。そこまで出せば、何台にするかは自分で決められます。
図面を描いてもらう前に、ピークの来店組数と滞在時間を実際に数えてください。この2つの数字がないと、台数の話は始まりません。
| 段階 | 試算例の計算 | 自店の数字に置き換える方法 |
|---|---|---|
| 1台あたりの月額費用 | 土地の賃料・工事費の按分・維持費を合わせて月2万円と仮定 | 賃料は契約書から、工事費は見積書の総額を台数で割り、償却年数で割る。維持費は年間の清掃・電気代を12で割る |
| 1台が1日に運ぶ組数 | 滞在45分+入れ替わり15分で1時間に1組。1日のうち埋まっている時間を5時間と仮定して1日5組 | ピーク日に、特定の1区画を選んで開店から閉店まで何台が入れ替わったかを数える。2日ぶん測って平均を取る |
| 月間の組数 | 1日5組×月25日営業=125組 | 自店の営業日数を掛ける。定休日と短縮営業日を除いて計算する |
| 1組あたりの負担額 | 2万円÷125組=160円 | 自店の月額費用を自店の月間組数で割る。区画ごとに稼働が違うので、いちばん使われない区画でも計算する |
| 1組あたりの粗利 | 客単価1,200円×粗利率60パーセント=720円(1組1名として計算) | 直近3か月の売上と原価から粗利率を出す。1組あたりの人数を掛けて1組の粗利にする |
| 判定 | 720円>160円なので、この1台は費用を上回る粗利を生む | 負担額が粗利を上回る区画があれば、その区画は従業員用に回すか、用途を変えることを検討する |
| 増やさなかった場合の損失 | 満車で入れずに帰る組数が1日3組なら、月75組×粗利720円=月5万4,000円の機会損失 | 入口まで来て入らずに出ていった車の台数を実測し、その数に自店の粗利を掛ける |