見積が予算を200万円超えている。「減額してください」と言う前に、どこを削れば効くのかを知っておく必要があります。

止まっている間にも費用は動きます。家賃20万円の物件で着工が1か月遅れれば、それだけで20万円が消えます。

減額には効く順番があります。面積、設備、仕上げ、什器。この順で手を付けないと、削った割に総額が下がりません。

この記事でわかること

  • 予算が足りないときにどの層から削ると総額が動くかを、面積・設備・仕上げ・什器の4層に分けて判断する手順
  • 物件の状態(居抜き・スケルトン・現況有姿)が工事費のどこに効くかと、内覧で写真に撮っておくべき項目
  • DIY・施主施工で資格がなければ違法になる工事を、電気工事士法・液石法・特監法・消防法の条文と罰則で確認する
  • 中古機器とリースを「壊れたときに営業が止まるか」で3群に分ける方法と、契約前に確認する項目
  • 段階投資で先にやる工事と後に回す工事の分け方を、「あとから仕上がった面を壊すかどうか」という一つの基準で決める
  • 削ってはいけない7項目と、それが見積書のどの行に入っているかの確かめ方
  • 削りきれない分を融資と補助金でどこまで埋められるかと、交付決定前に発注してはいけない理由
削減効果は、条件の良い物件を選ぶことが数十万〜百万円単位で最も大きく、面積を絞る、工事範囲を絞る、造作を減らす、仕上材のグレードを下げる、施主支給や中古の活用、照明器具や金物のグレードを下げる、と続く。
効くのは、工事の中身より物件選びと面積|上位2つは内装会社に相談する前に決まってしまうことです。仕上材のグレードから削り始めると、削れる幅は数万円単位にとどまります。図の金額の幅は編集部が相対的な大きさを示すために整理したもので、出典のある統計値ではありません。

「200万円足りない」と言われてから起きること

減額の型は3つです。範囲を狭める、仕様を落とす、あとに回す。総額への効き方が違います。

減額の3つの型と、総額への効き方
減額の型 総額への効き方と、起きること 自分で確かめること
値引き 工事の中身は変えずに金額だけを下げる。動かせる幅は小さく、無理に通すと材料の等級・工程・検査の密度のどこかで帳尻が合わされる 値引き後の見積書で、材料の品番・数量・工期が前の版から変わっていないかを1行ずつ突き合わせる
仕様変更 同じものを安い材料・工法で作る。数万円から十数万円の単位で効く。面積の大きい床・壁で効きやすく、点数の少ない部位では効かない 変更前と変更後の品番を並べ、耐用年数・清掃のしやすさ・内装制限への適合が変わらないかをメーカーの資料で確認する
範囲変更 やらないと決める。数十万円から百万円単位で効く。ただし「やらない」と決めた部分が、あとから必要になったときの復旧費まで含めて考える必要がある 削る候補ごとに「あとから足すとき、仕上がった面を壊すか」を業者に一言で答えてもらう。壊すものは削らない

開業費用の統計で、自分の予算の位置を確かめる

日本政策金融公庫の調査では、開業費用の中央値は600万円でした。分布を見れば、自分の予算が特別に少ないのかどうかが分かります。

平均値と中央値の推移も載せました。年々上がっています。数年前の記事の金額は使えません。

開業費用の分布(日本政策金融公庫総合研究所「2025年度新規開業実態調査」/回答2,165社)
開業費用の区分 構成比と、そこから読めること 自分の予算をこの表に置く方法
250万円未満 20.1%。5社に1社がこの水準。2000年度調査では5.3%だった区分で、25年で約4倍に増えている 内装費・什器・機器・運転資金・保証金をすべて足した金額で比べる。内装費だけを見て「250万円未満」に入れない
250万〜500万円未満 21.7%。250万円未満と合わせると41.8%となり、500万円未満の開業が4割を超える 自分の合計額がここに入るなら、規模を落とす方向ではなく「何を先にやるか」を組み替える方向で考える
500万〜1,000万円未満 29.7%。最も多い区分。中央値600万円もこの区分に入る ここに入るなら、削るより「削ってはいけない線」を先に引くほうが効く。判断6を先に読む
1,000万〜2,000万円未満 18.5%。長期的には低下傾向にある区分 厨房設備や医療機器など、内装以外の設備が重い業種かどうかを切り分けて考える
2,000万円以上 10.0%。1991年度調査では20.8%あった区分で、構成比はおよそ半分に下がっている この規模なら、削る判断より工程と契約条件の管理のほうが総額に効く
開業費用の平均値・中央値の推移(同調査。単位は万円)
調査年度 平均値と中央値 この動きから読めること
1991年度 平均1,440/中央値970 調査開始年。いまの平均のおよそ1.5倍で、中央値は現在の1.6倍だった
2010年度 平均1,289/中央値620 この時点で中央値はすでに現在の水準に近い。平均だけが高いのは大型案件の影響
2020年度 平均989/中央値560 平均値が調査開始以来はじめて1,000万円を下回った年度
2024年度 平均985/中央値580 資材価格の上昇局面でも、平均値は1,000万円を下回ったまま推移している
2025年度 平均975/中央値600 最新値。平均は下がり中央値は上がっており、分布が中央に寄る動きが出ている

判断1〜2|削減効果の大きい順と、物件の選び方

削減は4層に分かれます。いちばん効くのは面積。1坪減らせば、床も壁も天井も設備も同時に減ります。

物件の状態も工事費を決めます。スケルトンか居抜きか、設備が生きているか。内覧で撮る7項目を表にしました。

削減の4層と、なぜその順に効くか
層 なぜその順に効くか 自分で確かめる方法
1|面積 ほぼすべての費目の掛け算の相手になっている。1坪減らすと十数個の費目が同時に減る。さらに家賃・共益費・保証金・光熱費に開業後もずっと効き続ける 見積書の中で「数量」の欄に平方メートルまたは坪が入っている行を数える。行数が多いほど、面積を削る効果が大きい
2|設備 位置を動かすと、床や天井を開ける工事と復旧工事が連鎖する。逆に動かさなければ、この連鎖がまるごと発生しない 図面で、既存の給排水・分電盤・排気口の位置と、新しく置きたい位置の距離を測る。1メートルでも動かす予定があれば理由を確認する
3|仕上げ 単価×面積なので、面積の大きい部位でしか効かない。床と壁の広い面がほぼすべて 見積書の仕上材の行を数量順に並べ替え、上位3行だけを検討対象にする。それ以外は触っても総額が動かない
4|什器 1点あたりの金額×点数。点数の多い業態でなければ動かない。ただし後から買い足せるため、時間をずらす対象としては使いやすい 什器の一覧を作り、「開店初日に無いと営業できないもの」に丸をつける。丸のつかないものが、後回しの候補になる
削減効果の大きい順に並べた7つの手段(編集部の整理)
順位と手段 効き方と、いつまでに決めるか 自分で確かめること
1|条件の良い物件を選ぶ 電気容量・水回りの位置・排気ルートが整っていれば、設備工事の連鎖がまるごと起きない。効く幅は数十万〜百万円単位。物件契約前にしか実行できない 内覧のとき、分電盤の主幹ブレーカーの数値、給排水の立ち上がり位置、排気を外に出せる経路の3点を写真に撮る
2|面積を絞る 坪数×すべての単価で、効く幅は坪単価×削った坪数。工事費だけでなく家賃と光熱費にも効く。物件契約前にしか実行できない 必要な席数から逆算した面積を紙に書き、候補物件の面積との差を出す。差が3坪以上あるなら、物件を再検討する
3|工事範囲を絞る 既存を活かす、間仕切りを減らす、水回りを動かさない。効く幅は数十万円単位。設計段階なら実行できる 図面に赤ペンで「触らない範囲」を囲み、その範囲の工事が見積書から消えるかを業者に確認する
4|造作を減らす 造作家具を既製品に置き換える。効く幅は十数万〜数十万円。寸法の自由度は下がるが、発注前なら差し替えられる 造作の行ごとに、既製品で代替できる寸法かを測る。壁に固定するものと置くだけのものを分ける
5|仕上材のグレードを下げる 面積の大きい床・壁から。効く幅は数万〜十数万円で、発注前なら差し替えられるが、動く金額は小さい 候補材の耐用年数と、清掃・張り替えの手間を確認する。安い材料が5年で張り替えになるなら、差額は消える
6|施主支給・中古の活用 効く幅は機器の内容による。大きく効く場合もあるが、寸法・仕様が図面と合わないと現場が止まり追加費用になる 支給予定の機器の寸法・電源・給排水の仕様を 内装会社に先に渡し、受け入れ可能かを書面で確認する
7|照明器具や金物のグレードを下げる 点数×単価で、効く幅は数万円。もっとも動かない層だが、手間もかからないので最後の調整には使える 器具の一覧で、お客様から見える位置にあるものと見えないものを分ける。見えないものだけを候補にする
物件の状態が工事費のどこに効くか
物件の状態 工事費への効き方と、低予算のときの注意 内覧で確認すること
居抜き(同業態) 設備の位置がそのまま使えるため、判断1の第2層(設備)の連鎖が起きない。低予算でいちばん有利になり得る。ただし設備の残存年数が短ければ、開業直後に更新費が来る 厨房機器・空調・給湯器の製造年を銘板で確認して写真に撮る。10年以上前のものは更新費を別枠で見込む
居抜き(異業態) 残っている設備が使えず、撤去費と処分費が上乗せされる。造作譲渡料を払ったうえで撤去するなら、二重の支出になる 譲渡対象の一覧をもらい、「使う」「撤去する」を自分で仕分ける。撤去する行の合計が譲渡料に見合うかを計算する
スケルトン ゼロから作るため工事量は最大だが、撤去費と処分費が発生しない。設計の自由度が高く、面積の使い方で削減を作りやすい 床・壁・天井の下地の状態と、コンクリートの不陸(平らでない度合い)を確認する。不陸が大きいと下地の調整費が乗る
現況有姿 前の使用状態のまま引き渡される。何が残るかが契約書の別紙で決まるため、「残るもの」と「自分で処分するもの」の境目が曖昧だと追加費用になる 契約書の別紙に、残置物の一覧と数量が具体的に書かれているかを確認する。「一式」としか書かれていないなら追記を求める
内覧で写真に撮る7項目と、その理由
撮る対象 なぜ工事費に効くか 写真の撮り方と、あわせて記録すること
分電盤の中と扉の表示 主幹ブレーカーの容量が足りなければ、引込みからの増設工事が必要になる。建物全体の容量に空きがなければ、そもそも増やせない 扉を開けて主幹の数値(アンペア)と回路数を撮る。単相か三相かの表示も撮る。管理会社に「建物全体の余力」を口頭で聞いて記録する
給排水の立ち上がり位置 水回りを動かすと床を開けることになり、勾配の作り直しと段差が発生する。動かさなければゼロ 床から立ち上がっている配管の位置を、壁からの距離をメジャーで測って撮る。排水の口径も分かれば記録する
排気を外に出せる経路 厨房の排気ルートがない物件では、ダクトを長く引くか、そもそも出店できない。飲食では最大の分岐点になる 外壁の開口、シャフト、屋上への経路を撮る。既存のダクトがあれば、その口径と経路を端から端まで撮る
天井の高さと、天井裏の空き ダクト・配管・配線は天井裏を通る。空きがないと、天井を下げるか経路を変えることになる 点検口があれば開けて中を撮る。無ければ、天井高をメジャーで測って記録する
室外機を置ける場所 置き場所がなければ、屋上への搬送や架台の設置が必要になる。冷媒配管が長くなると能力も落ちる 屋外の空きスペースと、そこまでの配管経路を撮る。他店の室外機がすでに埋めていないかを確認する
搬入経路の幅と高さ 厨房機器や大型什器が入らなければ、分解搬入か、クレーンによる吊り上げが必要になる 入口の幅と高さ、廊下の曲がり角、エレベーターの内寸を測って撮る。階段のみの物件は特に注意する
前の店の看板と、外装の状態 看板の下地や電源が残っていれば流用できる。無ければ新設になり、外装の補修も同時に必要になる 看板の設置面と、そこまでの電源の有無を撮る。屋外広告物の許可が要る地域かどうかを、あとで市の窓口に確認する

判断3|DIY・施主施工はどこまでできるか

やってはいけない工事があります。電気工事と消防設備は、資格がなければ違法です。根拠条文を表に載せました。

施主ができる作業もあります。ただし、工期と保証の扱いを先に決めてください。手伝ったせいで工程が止まると、かえって高くつきます。

資格がなければ従事できない工事と、その根拠条文
工事の種類 根拠条文と、定められている内容 見積書・現場で自分が確認できること
電気工事(一般用電気工作物等) 電気工事士法第3条第2項。第一種または第二種電気工事士免状の交付を受けている者でなければ作業に従事してはならない。罰則は同法第14条(三月以下の拘禁刑又は三万円以下の罰金) 作業する人が免状を携帯しているかを確認する。同法第5条第2項は、作業に従事するときは免状を携帯していなければならないと定めている
電気工事(自家用電気工作物) 電気工事士法第3条第1項。第一種電気工事士免状の交付を受けている者でなければ作業に従事してはならない。簡易電気工事は同条第4項により認定電気工事従事者も従事できる 受電が三相200ボルトの動力を含むか、建物にキュービクルがあるかを管理会社に確認し、該当するなら第一種の免状を確認する
プロパンガスの設備工事 液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律第38条の7。液化石油ガス設備士でなければ、経済産業省令で定める作業に従事してはならない。罰則は同法第98条の2第2号(三月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金) 同法第38条の8第2項により、設備士は作業時に免状を携帯する義務がある。現場で提示を求めてよい
都市ガス機器の設置工事 特定ガス消費機器の設置工事の監督に関する法律第3条。特定工事はガス消費機器設置工事監督者の資格を有する者に実地に監督させなければならない。罰則は同法第10条(二十万円以下の罰金) 同法第6条により工事後の表示義務がある。設置した機器に工事事業者名と監督者の表示があるかを確認する
消防用設備等の設置工事・整備 消防法第17条の5と消防法施行令第36条の2。自動火災報知設備、屋内消火栓設備、スプリンクラー設備、誘導灯を除く多くの設備が対象。罰則は消防法第42条第1項第10号(六月以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金) 消防法第17条の3の2により、設置後は消防長または消防署長へ届け出て検査を受ける必要がある。検査済の書類を保管する
石綿を含む可能性のある部位の解体・改修 石綿障害予防規則第3条第1項。解体または改修の作業を行うときは、あらかじめ石綿等の使用の有無を調査しなければならない。同条第4項は、調査を厚生労働大臣が定める者に行わせなければならないと定めている 着工前の調査結果の記録を見せてもらう。同条第7項は記録の作成と保存を、第8項は掲示を義務づけている
足場の組立て・解体・変更 労働安全衛生法第59条第3項と労働安全衛生規則第36条第39号。足場の組立て、解体又は変更の作業に係る業務(地上等における補助作業を除く)は特別教育が必要 外部足場を組む工事では、施工体制と特別教育の実施状況を工事会社に確認する。施主が手伝う形は取らない
建設業法上の「軽微な建設工事」と、施主が確認すること
区分 条文が定めている金額・面積 自分で確認・計算すること
建築一式工事以外の工事 工事一件の請負代金の額が500万円に満たない工事(建設業法施行令第1条の2第1項)。店舗の内装工事は通常こちらに当たる 見積書の合計額が500万円の前後どちらかを確認する。前後する場合は、許可の有無を先に聞いておく
建築一式工事 請負代金の額が1,500万円に満たない工事、または延べ面積150平方メートルに満たない木造住宅を建設する工事(同項) 自分の工事が「一式工事」として発注されているのか、内装仕上工事などの専門工事なのかを見積書の表題で確認する
契約を分割した場合 同一の者が二以上の契約に分割して請け負うときは、各契約の合計額で判定する。ただし正当な理由に基づく分割はこの限りでない(同条第2項) 設計契約と工事契約、本体工事と追加工事のように分かれている場合、合計額がいくらになるかを自分で足す
施主が材料を提供する場合 注文者が材料を提供する場合は、その市場価格または市場価格および運送賃を請負代金の額に加えたものを請負代金の額とする(同条第3項) 施主支給する材料・機器の金額を、工事の請負代金に足した額で判定する。支給が多いほど判定額は上がる
施主が行える可能性がある作業と、その条件
作業 行える条件と、注意すること 内装会社と決めておくこと
壁の塗装 下地の状態で仕上がりが決まる。内装制限のかかる部分では、使える塗料が限られる。防炎・不燃の要求がある壁面は対象外 塗ってよい壁面を図面上で色分けしてもらう。使う塗料の品番を先に伝え、法令上問題がないかを確認する
既製什器の組み立てと配置 置くだけのものは可能。壁や天井に固定するものは、下地の位置と耐荷重の問題があるため単独では行わない 固定が必要な什器の位置を先に伝え、下地補強を工事に含めてもらう。補強の位置を写真で記録してもらう
装飾・ディスプレイ・植栽 引き渡し後に行う分には制約が少ない。ただし避難通路をふさぐ配置と、内装制限のかかる壁面への可燃物の貼り付けは避ける 消防の検査で指摘されやすい配置を、着工前に一度確認しておく
簡単な棚の取り付け 下地の位置が分かっている場合に限る。石膏ボードだけの部分にビスを打つと、荷重で抜け落ちる 下地の位置を記した図面か写真をもらう。引き渡し時に「どこに何を掛けてよいか」を一覧にしてもらう
開店前の清掃 引き渡し後であれば問題はない。ただし引き渡し前の清掃を施主が引き受ける形にすると、傷や汚れの責任の切り分けが難しくなる 引き渡し前の清掃が見積に含まれているかを確認する。外す場合は、検査の時点の状態を写真で残す
備品・消耗品の調達と設置 電源・給排水に接続しないものは施主でよい。接続が必要なものは資格の対象になる可能性がある 接続を伴う機器の一覧を作り、どれを工事に含めるかを見積の段階で決める

判断4|中古機器とリースの判断

新品・中古・リースは、性格が違います。中古は安いかわりに保証がなく、リースは総額が高いかわりに初期費用が要りません。

機器を3群に分けて、群ごとに調達方法を決めます。止まると営業できないものは、新品か保証付きです。

新品・中古・リースの性格と、契約前に確認すること
調達方法 初期費用と、その後に効いてくること 契約前に確認すること
新品購入 初期費用は最も大きい。その代わりメーカー保証が付き、残りの耐用年数が読める。修理の窓口が最初から決まっている 保証期間と、保証の対象範囲(部品のみか出張費を含むか)を書面で確認する。故障時の代替機の有無も聞く
中古購入 初期費用は下がるが、残存年数が読めない。保証が短いか無い場合が多く、故障時の修理先が決まっていないことがある 製造年を銘板で確認する。整備の履歴と、故障したときに修理を受け付ける事業者があるかを、購入前に文書でもらう
リース 初期の支出は軽いが、契約期間の総支払額は購入より大きくなることが多い。所有権はリース会社に残る 総支払額(月額×回数)を計算して購入額と比べる。中途解約の条件と、契約満了時の扱い(再リース・買取・返却)を確認する
機器を3群に分けて調達方法を決める
群 該当する機器の性格と、選ぶ方向 自分の店で仕分ける方法
A|止まると営業が止まる 冷蔵庫・冷凍庫・製氷機・給湯器・メインの加熱機器・主要な施術機器。新品またはリースを検討する。初期費用を優先すると、故障時の損失のほうが大きくなる 「この機器が朝から動かなかったら、今日は営業できるか」と一つずつ自問する。できないものがA群
B|止まると一部の商品が出せない サブの加熱機器・特定メニュー専用の機器・予備の機器。中古とリースの両方が候補になる。代替手段があるかで決める その機器が使うメニューの売上構成比を出す。構成比が小さいものは中古の候補にしてよい
C|止まっても営業は続く 作業台・シンク台・収納棚・カート・椅子など、可動部や電気を持たないもの。中古で十分なことが多い 可動部と電気・ガス・水の接続がないものを抜き出す。それがC群で、中古市場での価格差が最も出やすい
施主支給を決める前に渡す情報と、確認すること
渡す情報 なぜ必要か どこに書いてあるか・どう確かめるか
機器の外形寸法と質量 設置スペースだけでなく、搬入経路と床の耐荷重に関わる。重量物は下地補強が必要になることがある メーカーの仕様書(カタログのスペック欄)をそのまま送る。中古なら型番を伝えてメーカーサイトで確認する
電源の相・電圧・容量 単相100ボルトか単相200ボルトか三相200ボルトかで、必要な回路も分電盤も変わる。合計容量が主幹を超えると引込みの増設になる 仕様書の「電源」欄と「消費電力」欄。すべての機器を足した合計を出し、分電盤の主幹容量と比べる
給排水の口径と接続位置 接続位置が想定と違うと、配管の経路を変えることになる。排水は勾配が取れるかどうかで床の高さが変わる 仕様書の接続図。給水・給湯・排水の3つを分けて確認する
放熱・排気に必要な離隔距離 壁との距離が足りないと、機器の能力が落ちるか、火災の原因になる。加熱機器では消防の指導対象になることもある 仕様書の「設置上の注意」欄。壁からの最小距離と、上部の空きの指定を確認する
納品日と、保管場所の有無 現場に置き場がないと、納品日を工程に合わせるしかない。ずれると仮置きの費用や再搬入の費用が出る 工程表の「機器搬入」の日付を確認し、発注時にその日を指定する。前倒しの納品を受けない

判断5〜6|段階投資と、削ってはいけない線

あとに回せる工事があります。ただし、先に仕込んでおくと安く済むものもあります。配線と下地です。工事中に頼めば追加はわずかです。

削ってはいけないのは7項目。配管、電気容量、排気、防水、下地、消防、そして予備費。見積書での確かめ方も表にしました。

先にやる工事と、後に回せる工事
区分と内容 後回しにした場合に、あとで何が起きるか 図面の承認前に確認すること
先にやる|引込みと分電盤の容量 容量が足りないと、電力会社への申請、引込み線の張り替え、分電盤の交換が必要になる。建物全体に余力がなければ、そもそも増やせない 3年後に増やす予定の機器を先に一覧にして、その合計容量で主幹を決めてもらう
先にやる|壁の中と床下の配線・配管 あとから引くには、仕上がった壁や床を開けることになる。開けた部分の復旧と、その間の休業が同時に発生する 将来コンセントを増やしたい位置に、空配管だけでも通してもらえるかを聞く。費用の差を見積で出してもらう
先にやる|給排水の位置と勾配 排水は勾配で流すため、位置を動かすと床の高さが変わる。あとから動かすと段差が生じ、動線にも影響する 将来シンクや手洗いを増やす可能性のある位置を伝え、排水の枝を先に出しておけるかを確認する
先にやる|排気ルートの確保 経路そのものが取れない物件では、あとから確保する方法がない。メニューを変えられなくなる 将来扱う可能性のある調理法(揚げ物・炭火・焙煎など)を先に伝え、必要な排気量を見込んでもらう
先にやる|壁の中の下地補強 棚・モニター・什器を壁に固定するには下地が要る。あとから入れるには壁を開ける。石膏ボードだけの壁には固定できない 将来何かを掛けたい壁面を図面に印をつけ、その範囲だけでも合板下地にしてもらう。差額を確認する
後でよい|仕上材のグレード 張り替えは営業しながらでも可能な部位が多い。ただし床の全面張り替えは休業が必要になることがある あとで張り替えたい部位を決めておき、下地を張り替えに対応する仕様にしてもらう
後でよい|造作家具 当面は既製品で運用し、あとから造作に置き換えられる。入れ替えの手間は小さい 既製品で運用する期間の寸法が、将来の造作と大きくずれないかを確認する。動線が変わらなければ問題ない
後でよい|装飾・追加什器・外構 営業への支障がなく、いつでも足せる。ただし看板は集客に直結するため、後回しの対象にしない 「開店初日に無いと営業できないか」で仕分ける。無くても営業できるものだけを後回しにする
後でよい|個室化・間仕切りの追加 下地・配線・空調の吹き出し口を先に仕込んでおけば、あとから壁を立てるだけで済む。仕込みがなければ大工事になる 将来の間仕切り位置を図面に破線で入れてもらい、その線上に下地と配線を先に通してもらう
先に仕込んでおくと効くもの(工事中に頼めば追加は小さい)
仕込む内容 何のための備えか 頼むときの伝え方
空配管(電線を入れずに管だけ通す) 将来コンセント・照明・通信の配線を増やしたいとき、壁を開けずに線を通せる 「将来この位置に電源を増やしたいので、CD管だけ通しておいてください」と位置を図面で示す
分電盤の予備回路 機器を増やしたときに、分電盤を交換せずに回路を足せる 「予備回路を2回路空けておいてください」と依頼する。主幹容量に余力があるかも一緒に確認する
壁の合板下地 棚・モニター・レール・什器を、あとから好きな位置に固定できる 「この壁面は全面に合板下地を入れてください」と面で指定する。点で指定すると位置がずれたときに使えない
排水の枝と、封をした立ち上がり 将来シンクや手洗いを増やすときに、床を壊さずに接続できる 「この位置に排水の枝を出して、いまは封をしておいてください」と伝える。勾配が取れる位置かを確認してもらう
通信・LANの配管と端子 レジ・監視カメラ・予約端末を増やすときに、無線に頼らず有線で足せる 「将来この位置に端末を置く」と伝え、配管とプルボックスを先に入れてもらう
看板用の電源と外壁の貫通 看板を後から追加・変更するとき、外壁を開け直さずに済む 「看板は後から入れるが、電源と貫通だけ先に取っておきたい」と伝える。防水処理の仕様も確認する
削ってはいけない7項目と、見積書での確かめ方
項目 削ると何が起きるか 見積書のどの行を見るか
1|電気容量と動力の確保 機器を同時に使うとブレーカーが落ちる。営業中に落ちれば、その時間の売上が消える。あとから増やすには引込みから工事し直す 「幹線工事」「引込工事」「分電盤」の行。主幹の容量(アンペア)が書かれているかを確認する
2|給排水の位置と勾配 排水が流れず、詰まりと臭いが出る。床の高さを変えることになれば、動線と段差にも影響する 「給排水衛生設備工事」の行。配管の経路長と、床を上げる工事(かさ上げ)の有無を確認する
3|換気・排気の能力 店内に熱と臭いがこもり、お客様の滞在時間が落ちる。外に出た臭いは近隣からの苦情になり、あとからダクトを引き直すことになる 「換気設備工事」「排気ダクト」の行。フードの寸法と、排気ファンの能力が書かれているかを確認する
4|動線と通路幅 お客様とスタッフがすれ違えないと、提供が遅れ、接客の質が落ちる。あとから広げるには什器と壁の位置を動かすことになる 図面側で確認する。主通路とスタッフ通路の寸法を実測し、什器を置いたあとの残り幅を計算する
5|収納とバックヤード 置き場がないと、在庫と備品が客席側にあふれる。見た目だけでなく、避難通路をふさぐ問題にもなる 「バックヤード」「収納棚」「更衣」の行。削られていないかを確認する。図面で面積も測る
6|看板と外装 何の店でいくらなのかが外から読み取れないと、通行人が入る判断をできない。開業後の売上で跳ね返る 「サイン工事」「外装工事」の行。別途になっている場合は、その別途分の金額を必ず出してもらう
7|予備費 解体後に想定外が出たときに、本体の仕様を落とすしかなくなる。いちばん削ってはいけない層から削ることになる 見積書には載らない。自分の資金計画の側で別枠として確保する。工事費とは別の行に書いておく
要望を3段階に分けて伝える
段階 何を入れるか 伝えるときの書き方
絶対に譲れない 上の表の7項目と、業態が成立しなくなる条件(席数の下限、必要な機器、法令上の要求) 項目名だけでなく「なぜ譲れないか」を1行添える。理由があると、別の方法で満たす提案が出てくる
できれば実現したい あると営業がしやすくなるが、無くても開店できるもの。造作の一部、収納の追加、照明の演出など 優先順位を数字で付ける。上から順に、予算に入るところまで採用してもらう形にする
予算次第で削ってよい 仕上材のグレード、装飾、開店後に足せる什器、外構 削ってよい行を自分から名指しする。名指しできると、相手は迷わず減額案を作れる

判断7|資金調達で埋める

削るのではなく、調達で埋める道もあります。融資と補助金は性格が違います。補助金は後払いなので、資金繰りは別に用意が要ります。

小規模事業者持続化補助金の要件も載せました。公募要領で確認できた範囲だけを書いています。

融資と補助金の性格の違い
手段 性格と、計画に組み込むときの注意 どこで確認するか
融資 借りたお金は返す。開業後に毎月の返済が発生する。着工前に資金が手元に入るため、工事代金の支払いに充てられる 日本政策金融公庫の各支店、または自治体の制度融資の窓口。着工日から逆算して申し込み時期を決める
補助金 返済は不要だが、原則として精算払い(後払い)。交付決定より前に発注・契約・支払いをした経費は対象外になる 制度ごとの公募要領。要件は回ごとに変わるため、必ず最新の公募要領の原文を読む
自己資金 返済も要件もない。ただし全額を工事に投じると、開業後の運転資金が残らない 開業から売上が安定するまでの月数を想定し、その期間の固定費を先に取り分けておく
小規模事業者持続化補助金(一般型・通常枠)の要件(2026年8月23日時点で公開されている第20回公募要領第8版による)
項目 公募要領に書かれている内容 自分で確認すること
対象経費の区分 「⑧委託・外注費」。対象となる経費例に「店舗改装・バリアフリー化工事」「利用客向けトイレの改装工事」「製造・生産強化のためのガス・水道・排気工事」が挙げられている 自分の工事が、販路開拓または業務効率化にどう結びつくかを1枚にまとめられるかを確かめる
補助率と上限額 補助率2/3(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は3/4)、補助上限50万円。インボイス特例で50万円、賃金引上げ特例で150万円の上乗せがある 上限額を先に確認し、「補助金で埋まる金額」を過大に見積もらない。工事費全体に対する比率を計算する
事前着手 不可。「交付決定前に発注・契約、購入、支払い(前払い含む)等を実施したもの」は補助対象外 物件の家賃発生日と、交付決定の見込み時期を並べる。待てないなら、補助金を前提にしない計画を作る
小規模事業者の定義 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)は常時使用する従業員の数5人以下、宿泊業・娯楽業と製造業その他は20人以下 自分の従業員数を数える。会社役員と同居の親族従業員は「常時使用する従業員」に含まれない
不動産の取得 「建物の増築・増床」や「小規模な建物(コンテナハウス等)の設置」など「不動産の取得」に係る費用は対象外 自分の工事が「増築」に当たらないかを確認する。外気分断性・土地への定着性・用途性の3要件が判定基準として示されている
処分制限 50万円(税抜き)以上の外注工事を行う場合等は「処分制限財産」に該当し、補助金の支払を受けた後も一定期間、処分が制限されることがある 短期間での閉店・移転の可能性がある場合は、この制限が問題にならないかを事前に事務局へ確認する

低予算だと断られることがある/安さの落とし穴

断られる理由には型があります。先に予算を伝えたほうが、時間を失いません。

「安く見えるだけ」の見積も5パターンあります。その場で聞く質問を用意しました。

断られる理由と、時間を失わないための対策
断られる理由 会社側で何が起きているか 最初の問い合わせで確認すること
最低受注金額に届かない 現場管理・書類・協議の手間が総額に対して重く、採算が合わない。会社ごとに基準額が決まっていることが多い 「坪数◯坪、業種◯◯、予算◯◯万円で考えていますが、この規模で対応いただけますか」と1文で聞く
対応エリアの外 現場に通う距離が長いと、移動時間と交通費が工事費に乗る。小規模ほど比率が大きくなる 物件の住所(最寄り駅まで)を先に伝える。エリア外なら、その時点で分かる
業種の実績がない 飲食・クリニック・美容室などは、保健所・消防・行政協議の勘所が業種ごとに違う。実績がないと見積が読めない 「同じ業種の施工実績はありますか」と聞き、あれば直近の1件の規模を聞く
工期が合わない 職人の手配が先の現場で埋まっていると、希望の開店日に間に合わない。小規模案件は優先度が下がりやすい 希望の開店日を先に伝える。「その日から逆算して着工はいつになりますか」と聞く
施主支給が多すぎる 支給品の不具合・遅延の責任が曖昧になるため、受けない会社がある 支給したい機器の一覧を先に見せ、「これを支給する形で受けていただけますか」と確認する
「安く見えるだけ」の5パターンと、その場で聞く質問
見え方 実際に何が起きるか その場で聞く質問
合計金額が他社より明らかに低い 範囲が狭いだけのことが多い。設備工事、消防設備、什器、サイン、廃棄物処分費のどれかが別途になっている。最終的な支払額は変わらないか、増える 「この見積に含まれていない工事を、すべて挙げてください」と聞く。口頭ではなく書面でもらう
「一式」の行が多い 内訳が分からないため、削る相談ができない。追加が出たときに、範囲の解釈で揉める 「一式の中身を、数量と単価で出してください」と依頼する。断られた場合は、その理由を聞く
予備費を組んでいない 解体後に想定外が出たとき、本体の仕様を落とすしかなくなる。削ってはいけない層から削ることになる 「解体して想定と違った場合、どういう手順で進めますか」と聞く。手順を説明できるかを見る
工期が極端に短い 消防・保健所の検査日程を織り込んでいない可能性がある。検査が通らなければ開店できず、結局は遅れる 「消防と保健所の検査は、工程表のどこに入っていますか」と聞く。工程表に無ければ入れてもらう
「居抜きだから安い」と言われた 設備が古く業態が違えば、撤去と再設置で新装に近い費用になる。造作譲渡料を払ったうえで撤去する二重支出も起きる 「残っている設備のうち、実際に使うものはどれですか」と一覧で聞く。使わないものの撤去費も見積に入れてもらう
予算が足りないときの7つの判断
  • 判断1|削減効果の大きい順に手をつける。面積・設備・仕上げ・什器の4層のうち、上の層ほど下を巻き込むため効く。見積書の中で数量が平方メートルまたは坪で書かれた行を数えると、面積を削る効果の大きさが分かる。
  • 判断2|物件の選び方で工事費が決まる。効果の大きい上位2つは物件契約前にしか実行できない。内覧で分電盤・給排水・排気経路・天井裏・室外機置き場・搬入経路・看板下地の7点を写真に撮る。
  • 判断3|DIY・施主施工はどこまでできるか。電気工事士法第3条、液石法第38条の7、特監法第3条、消防法第17条の5が資格の線を定めており、違反には拘禁刑を含む罰則がある。施主が行えるのは、引き渡し後の装飾・什器の配置・備品の設置に限られる。
  • 判断4|中古機器とリースの判断。「壊れたときに営業が止まるか」で3群に分ける。止まる機器は確実性を優先し、止まらない機器で初期費用を削る。リースは所有権が残らないため、退去時の造作譲渡の対象にできない。
  • 判断5|段階投資という選択。「あとから足すとき、仕上がった面を壊すか」だけで分ける。壁の中・床下・天井裏を通るものは先に、置くだけ・掛けるだけのものは後に。空配管と下地の仕込みは、工事中なら小さな追加で済む。
  • 判断6|削ってはいけない線を先に引く。電気容量、給排水、換気・排気、動線、収納、看板、予備費の7項目。そのうえで「絶対に譲れない/できれば実現したい/予算次第で削ってよい」の3段階で伝える。
  • 判断7|資金調達で埋める。削ってから借りる。補助金は原則として後払いで、交付決定前の発注・契約・支払いは対象外になる。融資は着工日から逆算して申し込み、決定前に本契約を結ばない。

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よくある質問

低予算での内装について、相談の場でくり返し出てくる質問を4つ挙げます。 どれも「やっていいのか、いけないのか」がはっきりしないまま止まってしまう論点です。 とくに1つ目のDIYについては、法令の線を知らないまま進めてしまう事故がいちばん起きやすい領域です。

回答では、条文を条・項・号まで特定して書いています。 判断に迷ったときは、この記事の該当箇所ではなく、リンク先のe-Gov法令検索の本文を直接ご確認ください。 条番号は改正で変わることがあり、古い解説記事が旧条番号のまま残っていることが少なくないためです。

内装工事を自分でやって費用を抑えられますか。どこまでなら自分で手を入れてよいのですか?

一部は可能ですが、範囲は法令で切られています。 まず自分では行えないものを条文で確認してください。

電気工事士法第3条第2項は「第一種電気工事士又は第二種電気工事士免状の交付を受けている者でなければ、一般用電気工作物等に係る電気工事の作業に従事してはならない」と定めており、同条第1項は自家用電気工作物について第一種電気工事士に限っています。

違反には同法第14条で三月以下の拘禁刑又は三万円以下の罰金が定められています。

液化石油ガスについては、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律第38条の7が「液化石油ガス設備士でなければ、液化石油ガス設備工事の作業に従事してはならない」と定め、第98条の2第2号が三月以下の拘禁刑又は三十万円以下の罰金を定めています。

都市ガスの機器については、特定ガス消費機器の設置工事の監督に関する法律第3条が、特定工事をガス消費機器設置工事監督者の資格を有する者に実地に監督させなければならないと定めています。

消防用設備等は消防法第17条の5が消防設備士免状の交付を受けていない者による工事又は整備を禁じ、同法第42条第1項第10号が六月以下の拘禁刑又は五十万円以下の罰金を定めています。

一方、引き渡しを受けたあとの装飾、既製什器の組み立てと配置、備品の設置は、契約と保証の範囲を書面で切り分けたうえであれば施主が行える領域です。 工事中の現場に施主が入る形は、工程と責任の切り分けが難しいため、引き渡し後に回すのが現実的です。

中古の厨房機器を使っても大丈夫ですか。リースとどちらが得ですか?

「壊れたときに営業が止まるか」で分けてください。 冷蔵庫・冷凍庫・製氷機のように、故障がその日の営業をそのまま止める機器は、初期費用より確実性を優先したほうが結果的に安く済みます。 逆に、代わりが利く機器や稼働率の低い機器は中古の候補になります。

判断の材料は3つです。 第一に、故障したときに誰が直しに来るのかが決まっているかどうか。 中古は保証期間が短いか無いことが多く、修理の窓口が決まっていない機器は、故障した日に電話をかける先がありません。

第二に、設置と接続を内装会社が引き受けてくれるかどうか。 施主支給の機器は、寸法や電源・給排水の仕様が図面と合わなければ現場で止まり、追加費用の原因になります。

第三に、リースは所有権がリース会社に残るため、退去時に造作譲渡の対象にできず、中途解約の条件も契約書で確認が必要だということです。 なお「中古なら何割安い」という数値は、機種・年式・状態で幅が大きく、公的な統計として確認できませんでした。 相見積もりで自分の機種の実額を並べて比べてください。

予算が少ないと内装会社に断られることはありますか。予算は正直に伝えるべきですか?

断られることはあります。 総額の小さい案件は、現場管理と書類の手間が総額に対して重くなるため、最低受注金額を設けている会社があります。 その基準は公式サイトに書かれていないことがほとんどで、打ち合わせを重ねたあとで判明すると、開業準備の時間を丸ごと失います。

最初の問い合わせで、坪数・業種・想定予算・希望の開店時期の4つを伝え、その規模で対応できるかを先に確認してください。 断られた場合でも、対応できる会社を紹介してもらえることがあります。

予算を伝えると足元を見られるという心配については、逆に考えてください。 予算を伝えなければ、各社は標準的な仕様で見積もるほかなく、予算内に収めるための提案が出てきません。 上限額と、その中で絶対に譲れない条件を先に示したほうが、返ってくる提案は具体的になります。

あわせて、建設業法第3条第1項ただし書と同法施行令第1条の2第1項により、請負代金500万円未満の工事は建設業の許可がなくても請け負えます。 小規模な工事では許可の有無だけで会社を絞り込めないため、施工実績と保険加入の有無をあわせて確認してください。

オープン後に少しずつ手を入れる方法はありますか。先にやるべき工事はどれですか?

段階投資は成立しますが、順序を間違えると総額が増えます。 基準は「あとから手を入れるときに、仕上がった面を壊す必要があるかどうか」です。 壊す必要があるものは先に、壊さずに足せるものは後に回します。

先にやるべきものは、引込みと分電盤の容量、壁の中と床下を通る配線・配管、給排水の位置と勾配、排気ルートの確保、壁の中の下地補強、看板用の電源と貫通です。 これらを後から追加すると、壁や天井や床を開ける工事と、開けた部分の復旧工事と、その間の休業が同時に発生します。

後に回せるものは、仕上材のグレード、造作家具、装飾、追加の什器、外構です。 これらは営業しながら入れ替えられます。 設計の段階で「将来ここに追加したい」と伝えておけば、配線だけ通しておく、下地だけ入れておく、といった仕込みが可能です。

仕込みの費用は、あとから同じことをする場合よりはるかに小さく収まります。 図面の承認前に、将来の計画を一度まとめて内装会社に共有してください。

まとめ|予算が足りないときの7つの判断

200万円を「1日何人分の粗利か」に翻訳すると、削るべきか、調達すべきかが判断できます。

削る順番だけは間違えないでください。面積から、そして最後まで設備には触らない。これだけで、数年後の出費がまったく変わります。

内装費200万円を「1日何人」に翻訳する手順(編集部の試算例。数値はすべて仮の例です)
手順 計算と結果 自分の店の数字に置き換えるとき
1|回収期間を決める 200万円を60か月(5年)で回収すると決める。200万円÷60か月=月33,333円 賃貸借契約の残り期間より短い年数にする。契約が5年なら、5年を超える回収計画は成立しない
2|粗利で必要な売上に直す 粗利率を60%とすると、33,333円÷0.6=月55,555円の売上増が必要 自店の原価率から粗利率を出す。飲食なら食材原価、物販なら仕入原価を売上で割る
3|1日あたりに割る 月25日営業とすると、55,555円÷25日=1日あたり2,222円 定休日を引いた実営業日数を使う。月に何日休むかを先に決めておく
4|客単価で割ってお客様の人数にする 客単価1,200円とすると、2,222円÷1,200円=1日あたり約1.9人 想定客単価は、近隣の同業態の価格帯から出す。開店前なら、メニュー原案の平均額で代用する
5|削減額に置き換えて比べる 逆に、200万円を削れば1日あたり約1.9人分の負担が消える。ただし削った結果、来客が1日2人減るなら差し引きはゼロ 削る候補ごとに「これを削ったら、1日何人減るか」を自分で見積もる。減らないものから削る
この記事で数値を書かなかった項目と、その理由
よく見かける主張 書かなかった理由 自分で確かめる方法
「DIYにすれば◯割安くなる」 業種・面積・自分でやる範囲・かかる日数で結果が変わる。公的統計としても業界調査としても、根拠のある数値を確認できなかった 見積書の行ごとに「施主施工にした場合の減額」を出してもらう。その差額が自分の店における実額
「坪単価◯万円まで下げられる」 坪単価は分母(面積の取り方)と分子(工事費の範囲)が会社ごとに違うため、単価だけを比べても意味がない。下限を示した一次情報も確認できなかった 自分の見積書で、面積の定義と工事費の範囲を確認してから割り算する。詳しくは坪単価の記事を参照する
「中古機器なら新品の◯割」 機種・年式・状態で幅が大きく、統計として確認できるものが見つからなかった 自分が買う機種で、新品価格・中古価格・リース総額の3つを実際に見積もって並べる
「予備費は工事費の◯%」 物件の状態(スケルトンか、解体を伴うか、築年数はどうか)で必要額が大きく変わる。一律の比率を裏づける一次情報を確認できなかった 解体を伴う範囲の広さで厚さを決める。解体後に何が出たら困るかを業者に挙げてもらい、その復旧費を積む
「低予算の店舗工事は◯%が追加になる」 追加費用の発生率について、規模別に集計した公的統計を確認できなかった。国土交通省の建築物リフォーム・リニューアル調査にも該当する集計はない 契約書の「設計変更」「追加工事」の条項を読み、追加が出たときの手続きと単価の決め方を先に確認する

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