「原状回復はスケルトン戻しです」と言われ、見積は300万円。この300万円には、売上という戻りがありません。造作譲渡は、その支出を減らす手段です。

うまくいけば、原状回復費を払わずに済むうえに譲渡料が入ってくることもあります。出ていく300万円が、プラスに転じることもある。

確認することは7つ。契約書、承諾、仕分け、値付け、譲渡契約書、借地借家法33条、そしてお金の処理。

この記事でわかること

  • 原状回復して出る場合と造作譲渡が成立した場合で、手元に残るお金がいくら変わるかを自分の物件の数字で計算する手順(試算の型を一つ通しで示します)
  • 解約予告期間から逆算して、退去の何か月前に誰へ何を聞くかを並べた時系列表と、造作譲渡を諦める判断日の決め方
  • 契約書のどの条項を読めば、造作を残せる契約なのかが分かるか。無断で譲渡したときに何が起きるか(民法612条)
  • リース物件・所有権留保・ローン中の設備・建物に付合したものを含めて、譲れるものと譲れないものを仕分ける方法
  • 造作譲渡料を決めるときの3つの手がかりと、譲渡契約書に必ず入れる7項目(撤去義務が誰に残るかを含む)
  • 借地借家法33条の造作買取請求権が特約で外せる規定である理由と、譲渡代金の消費税・除却損の扱い
原状回復して出る場合はマイナス320万円、造作譲渡が成立すればプラス250万円、譲渡先を探して決まらず遅延した場合はマイナス380万円。
いちばん損をするのは、決めずに探し続けた場合|造作譲渡が成立すれば570万円ぶん違いますが、相手が見つかって初めて成立します。「この日までに決まらなければ原状回復に切り替える」という締切日を紙に書いてから探し始めてください。

造作譲渡とは、何を売る取引なのか

まず「原状回復」が何を指しているかを確かめます。スケルトン戻しか、入居時の状態か、現状有姿か。3つの水準で、負担がまったく変わります。

「原状回復」が指しうる3つの水準と、契約書で確認する場所
水準 求められる状態 契約書のどこを見るか
スケルトン返し 内装・造作・設備をすべて撤去し、躯体(コンクリートの床・壁・天井)と一次側の配管配線だけの状態に戻す 原状回復条項に「スケルトン」「躯体」「引渡し時の状態」という語があるか。引渡し時の状態を示す図面や写真が契約書に添付されているか
入居時の状態に戻す 前の借主が残した造作は残したまま、自分が加えた部分だけを撤去する 「賃貸借開始時の原状」と書かれている場合、その原状が何かを示す資料(引渡し時の写真・図面・仕様書)が特定されているか
通常損耗を除く損傷の補修 民法621条の原則どおり、経年変化と通常損耗を除いた損傷だけを直す 原状回復条項に通常損耗・経年変化を借主負担とする特約がないか。特約があれば、その範囲がどこまで具体的に書かれているか

原状回復と造作譲渡を、一つの計算で比べる

費目を並べて、3つのケースで比べます。そのまま原状回復する、譲渡が成立する、譲渡が不成立に終わる。

不成立の場合がいちばん高くつきます。時間だけ使って、結局は原状回復するからです。避けるための行動も表にしました。

試算に使う費目と、仮に置いた金額(金額はすべて例。自分の数字に置き換えて使う)
費目 仮に置いた金額 誰に何と聞いて実数に置き換えるか
原状回復工事費 320万円 施工会社に「解体・搬出・産業廃棄物処分・電気ガス水道の撤去と一次側までの復旧・仮設養生・諸経費を全部含んだ金額か」と聞き、含まれない項目を書き出してもらう
原状回復の工事期間 1か月半 同じ施工会社に「着工から立会い検査の是正完了まで何日必要か」「建物の搬出制限(曜日・時間・エレベーター)で延びる可能性はどれくらいか」と聞く
工事期間中の賃料 45万円(30万円×1.5か月) 管理会社に「賃料はいつまで発生するのか。明渡し完了日の定義は鍵の返還か、立会い確認の完了か」と聞き、契約書の明渡し条項と突き合わせる
造作の未償却残高 240万円(600万円を10年償却として6年経過) 顧問税理士に「固定資産台帳で、店舗の内装造作と厨房設備の期末簿価をこの店舗分だけ抜き出してほしい」と依頼する
造作譲渡代金 250万円(税抜) 不動産会社と居抜きを扱う仲介会社の2社以上に「この設備構成でいくらの提示が現実的か、決まるまで何か月を見込むか」を聞く
敷金 300万円 管理会社に「償却(敷引き)の有無と割合」「返還時期は明渡しから何日後か」を聞き、契約書の敷金条項の文言を確認する
三つのケースの結果と、それぞれを避ける・実現するための行動(金額はすべて仮の例)
ケース 手元の増減(仮の例) この結果に近づける/避けるために、いつまでに何をするか
A:原状回復して出る マイナス320万円 解約通知の1か月前までに、原状回復の見積もりを2社から取り、工期の実数を押さえる。これがすべての判断の基準線になる
B:造作譲渡が成立 プラス250万円 解約通知と同時に貸主へ意向を伝え、承諾の可否を1か月以内に書面で確認する。譲渡先探しはその返事が来てから本格化させる
C:探して決まらず遅延 マイナス380万円 「この日までに譲渡先が決まらなければ原状回復に切り替える」という締切日を、明渡し日から工事期間+予備2週間を引いて先に決めておく

退去の何か月前に、何をするか

解約予告6か月の契約を前提に、明渡し日から逆算した時系列を作りました。造作譲渡を狙うなら、動き出しは早いほど有利です。

解約予告6か月の契約を前提にした、退去までの時系列(明渡し日からの逆算)
時期 やること 誰に何と聞くか/どこを見るか
明渡し9か月前
(解約通知の3か月前)
契約書を通しで読み、解約予告期間・原状回復条項・譲渡と転貸の条項・敷金条項の4か所に付箋を貼る 契約書の目次から「解約」「原状回復」「明渡し」「譲渡」「敷金(保証金)」の各条を探す。文言をそのまま書き写しておく
明渡し7か月前 原状回復の概算見積もりを2社から取り、工事に必要な日数を確認する 施工会社に「スケルトン戻しの範囲で、産廃処分と設備の撤去復旧を含めた総額と工期を出してほしい」と依頼する
明渡し6か月前
(解約通知の時点)
解約通知を出すのと同じタイミングで、造作譲渡の意向を貸主へ伝える 管理会社に「造作を残して次のテナントに引き継ぐ形は可能か。可能な場合の条件と、承諾の判断にかかる期間は」と書面で照会する
明渡し5か月前 譲渡対象の目録を作る。写真・メーカー・型番・購入年・リースの有無を1点ずつ記録する リース会社に「残リース料、中途解約金、名義変更(承継)が可能かどうか」を機器ごとに確認する
明渡し4か月前 造作譲渡を断念する締切日を決めて、紙に書いて関係者に共有する 施工会社に「この日に発注すれば明渡しに間に合うという最終発注日はいつか」を確認し、その2週間前を締切日にする
明渡し3か月前 譲渡先の候補と条件交渉に入り、譲渡契約書の草案を用意する 弁護士に「撤去義務の帰属、不具合が見つかったときの扱い、支払時期の3点を確認してほしい」と依頼する
明渡し2か月前 貸主の承諾書、造作譲渡契約、新テナントの賃貸借契約の3点を同時期に成立させる段取りを組む 管理会社に「3者の書面をどの順番で、いつまでに揃える必要があるか」「立会いは誰が行うか」を確認する
明渡し1か月前〜当日 引渡しの立会いを行い、目録と現物を1点ずつ照合して署名する 譲受人に「引渡し後何日以内に不具合の申し出をしてもらうか」を決め、契約書の条項と一致させる

確認1〜3|契約書・承諾・仕分け

読むのは5つの条項です。解約予告、原状回復、譲渡と転貸、敷金、そして造作の所有。

そして貸主・管理会社の承諾を先に取ります。承諾なしに話を進めると、買い手が見つかってから壊れます。

譲れるものと譲れないものの区分も要ります。リース物件と、貸主の設備は譲れません。

造作譲渡を検討するときに読む5つの条項と、読んだあとにやること
条項 何が書かれているか 読んだあとにやること
解約予告条項 解約の申し入れから契約終了までの期間。多くは3か月から6か月。予告期間分の賃料を支払えば即時解約できる旨が併記されていることもある 通知の方法(書面か内容証明か)と、期間の起算日(到達日か翌月1日か)を確認し、カレンダーに明渡し日を書き込む
原状回復条項 どの状態に戻して返すか。スケルトンか、引渡し時の状態か。工事業者の指定があるか 指定業者がある場合は、その会社に見積もりを依頼する。指定がなければ2社以上から相見積もりを取る
造作・設備の設置と撤去に関する条項 借主が設置した造作の所有権が誰にあるか。退去時に撤去する義務があるか。残置が認められる場合の手続 「賃貸人の承諾を得て」設置したことを示す資料(工事の承諾書・工事届・図面)を探し、ファイルにまとめる
譲渡・転貸の禁止条項 賃借権の譲渡・転貸に貸主の承諾が必要である旨。承諾料の定めが置かれていることもある 承諾料の有無と算定方法を確認する。定めがあるなら、その金額を試算の費目に必ず加える
敷金・保証金条項 返還の時期と条件、償却(敷引き)の有無と割合、原状回復費を敷金から控除する旨の定め 管理会社に「造作譲渡が成立して原状回復が不要になった場合、敷金は全額返るのか」を書面で確認する
承諾を取るまでの3段階と、それぞれで確認すること
段階 この段階で決まること 誰に何と聞くか
第1段階:可否の確認 そもそも造作を残す形が認められる物件かどうか 管理会社に「造作を残して次のテナントに引き継ぐ形をご検討いただけますか。難しい場合は理由も教えてください」と書面で聞く
第2段階:条件の確認 どんな相手なら承諾されるか。承諾料がかかるか。原状回復はどこまで免除されるか 管理会社に「入居可能な業態の範囲」「譲渡先に求める審査資料」「承諾料の有無と金額」「免除される原状回復の範囲」を1問ずつ確認する
第3段階:書面化 合意した内容が、後から動かない形で残るか 管理会社に「承諾書を発行していただけますか。原状回復の免除範囲を明記した文面にしてください」と依頼する
譲れるもの・譲れないものの区分と、確認のしかた
区分 具体例と注意点 誰に何を確認するか
自分が買って設置した動産 冷蔵庫、製氷機、什器、テーブル、椅子、レジ、券売機など。所有権が自分にあるので、原則として譲渡できる 購入時の請求書と保証書を探す。固定資産台帳に載っているものは、税理士に簿価を出してもらう
リース物件 厨房機器、空調、POSレジ、複合機などに多い。所有権はリース会社にあり、勝手に譲渡できない リース会社に「残リース料」「中途解約金」「譲受人への名義変更が可能か」を機器ごとに書面で照会する
所有権留保・割賦の残っている設備 分割払いの途中で、完済まで所有権が売主に留保されている契約。契約書の所有権留保条項に定めがある 販売会社に「残債の額」「完済前に第三者へ譲渡してよいか」「一括清算した場合の金額」を確認する
融資の担保に入っている資産 設備資金の借入れで動産譲渡担保が設定されている場合、担保権者の同意なく処分できない 金融機関の担当者に「この設備は担保の対象に含まれるか。譲渡する場合の手続は何か」を確認する
建物に付合したとみられるもの 床仕上げ、壁天井の下地と仕上げ、埋設した給排水管、電気の二次側配線など。取り外すと価値を失うものは扱いが難しい 貸主に「これらは残置扱いでよいか、それとも譲渡対象に含めるか」を確認し、承諾書に区分を書いてもらう
前の借主から引き継いだもの 自分が居抜きで入ったときに引き継いだ造作。前回の譲渡契約書に撤去義務の定めが残っている場合がある 自分が入居したときの造作譲渡契約書を探し、撤去義務が誰に帰属すると書かれているかを読み直す
【確認2】貸主・管理会社の承諾を先に取る
  1. 解約の意向と、予定している明渡し日を先に明示する(貸主にとって一番知りたい情報を先に渡す)
  2. 造作を残して次のテナントに引き継ぐ形が可能かどうかを、明確に質問する
  3. 可能な場合の条件(業態の制限、譲渡先の審査、承諾料の有無、原状回復の免除範囲)を列挙して尋ねる
  4. いつまでに回答がほしいかを書く(回答が遅れると原状回復に切り替える必要があることも添える)

確認4〜5|値付けと、譲渡契約書

値付けの手がかりは3つ。取得価額、残存年数、そして原状回復費の見積。最後のひとつが、交渉のいちばん強い材料です。

契約書には7項目を入れます。目録、引渡し日、契約不適合の扱い。確認する文言まで表にしました。

造作譲渡料を決めるときの3つの手がかりと、実際にやること
手がかり 何を意味するか 実際にやること
未償却残高(簿価) 帳簿にまだ残っている造作の価値。ここを下回ると譲渡損が出る。ただし相手には関係のない事情でもある 税理士に「この店舗分の内装造作と設備の期末簿価を、資産ごとに一覧で出してほしい」と依頼する
相手が省ける工事費 次のテナントが同等の設備を新設した場合との差。相手にとっての上限を決める数字 自分の開業時の見積書を項目別に開き、そのまま使える項目だけを合計して、当時の金額であることを明記して提示する
回避できる原状回復費と募集期間 譲渡が成立すれば工事費が消える。ただし決まらなければ家賃が上乗せされる。時間との交換になる 原状回復の見積額と、締切日までの残り日数を紙に書き、価格を下げてでも早く決めるかどうかを毎週見直す
造作譲渡契約書に入れる7項目と、確認する文言
項目 なぜ必要か 自分の契約書で確認する文言
1. 譲渡対象の目録 何を売ったかが特定されていないと、引渡し後に「これも含まれるはずだ」という主張が出る 別紙の目録が契約書と一体である旨(「本契約書別紙1記載の物件」など)が本文に書かれているか
2. 譲渡対象外の明示 リース物件や借主が持ち出すものを明示しないと、引渡し当日に混乱する 目録とは別に「譲渡対象に含まれないもの」の一覧があり、リース物件はリース会社名まで書かれているか
3. 引渡日と引渡しの方法 賃貸借の切り替え日と引渡日がずれると、鍵と責任の所在が宙に浮く 引渡日が新賃貸借契約の開始日と同じ日か、ずれる場合の空白期間の責任者が書かれているか
4. 現状有姿と不具合の扱い 中古設備は必ず不具合が出る。期間と範囲を決めないと、いつまでも請求される可能性が残る 「現状有姿で引き渡す」旨と、申し出を受け付ける期間(引渡日から◯日以内など)の両方が書かれているか
5. 将来の撤去義務の帰属 譲渡した造作を、将来誰が撤去するのか。ここを書かないと元の借主に戻ってくる可能性がある 「本物件の将来の撤去義務は譲受人が負う」旨が明記され、貸主の承諾書とも整合しているか
6. 支払時期と方法 引渡し後の入金だと、引渡してから支払われないリスクが残る 手付金と残金の割合、残金の支払日が引渡日と同日か前日か、振込先と振込手数料の負担が書かれているか
7. 貸主の承諾を停止条件とする定め 貸主の承諾や新賃貸借契約が成立しなかった場合に、契約が自動的に効力を失う仕組みが必要 「貸主の承諾および譲受人と貸主との賃貸借契約の締結を停止条件とする」旨と、不成立時の手付金の返還方法が書かれているか

確認6〜7|借地借家法33条と、お金の処理

造作買取請求権は、多くの事業用の契約で特約により排除されています。自分の契約書がどうなっているかを確かめてください。

譲渡料には税務の処理が伴います。資産の除却と、譲渡益の扱い。税理士に確認する項目を表にしました。

造作買取請求権をめぐる3つの論点と、自分の契約書で確認すること
論点 条文が定めていること 自分の契約書で確認すること
特約で排除できるか 借地借家法37条は強行規定として31条・34条・35条だけを挙げており、33条は含まれない 契約書に「造作買取請求権を行使しない」「造作買取請求権を放棄する」といった条項がないかを探す
対象になる造作の範囲 33条1項は「賃貸人の同意を得て建物に付加した畳、建具その他の造作」と限定している 設置工事のときに貸主から出してもらった工事承諾書や工事届が残っているかを確認する
終了の原因 33条1項は「期間の満了又は解約の申入れによって終了するとき」と定めている 自分の退去が期間満了なのか、合意解約なのか、中途解約権の行使なのかを契約書と通知書で確認する
造作譲渡にともなうお金の処理と、税理士に確認すること
項目 押さえておく考え方 税理士に何と聞くか
譲渡代金の消費税 事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡は消費税の課税対象。免税事業者かどうかで納税義務の判定が変わる 「この譲渡代金は課税売上になりますか。当社(当店)は納税義務者に該当しますか。契約書は税抜・税込どちらで書くべきですか」
譲渡による損益 受け取った代金と、帳簿に残っている造作の未償却残高との差額が損益になる 「固定資産台帳から店舗分の簿価を抜き出したうえで、この金額で譲渡した場合の損益はいくらになりますか」
譲渡できず残る資産 使用を廃止して今後事業に使う可能性がないと認められる固定資産は、有姿除却の考え方で除却損を計上できる場合がある 「譲渡対象から外れたこの資産について、除却損を計上できますか。必要な資料は何ですか」
原状回復費との関係 免除されて工事をしなければ費用は発生しない。一部だけ工事した場合は、その部分だけが費用になる 「原状回復のうち一部だけ実施した場合、費用計上の時期はいつになりますか。未払計上はできますか」
個人事業主の場合 事業用固定資産の譲渡は、事業所得ではなく譲渡所得として扱われるのが原則。所得区分が変わると税額も変わる 「この譲渡代金は事業所得ですか、譲渡所得ですか。確定申告でどの欄に記載しますか」
引渡し当日に確認するチェックリスト
  • 目録の1点ごとに現物を指さして確認し、目録に確認済みの印を入れる
  • 厨房機器・空調・給湯・冷蔵設備は実際に電源を入れて動作させ、動いたことを写真か動画で残す
  • 不具合が見つかった項目は、その場で目録の備考欄に書き、双方が署名する
  • 鍵の本数を数えて引き渡し、受領書に本数を書いてもらう(スペアキーの有無も記載する)
  • 竣工図面、設備の取扱説明書、保守点検の記録、消防関係の書類をまとめて渡す
  • 電気・ガス・水道・通信の名義変更が完了しているか、各社の受付番号で確認する
  • 譲渡代金の残金の入金を確認してから、鍵を渡す順番になっているかを再確認する
  • 貸主の承諾書、造作譲渡契約書、新賃貸借契約書の3点が揃っていることを目視で確認する

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よくある質問

造作譲渡の相談でくり返し聞かれる4つの質問をまとめました。 いずれも、進め方そのものより何を前提にして計画を立てるかに関わる内容です。 貸主に断られたらどうなるのか、値段はどう決まるのか、 法律上の買取請求権は使えるのか、そして受け取ったお金にどんな税金がかかるのか。

この4つに答えを持っておくと、交渉のどこで踏ん張り、どこで切り替えるかを判断しやすくなります。 どれも、知らないまま進めると相手の説明をそのまま受け入れることになりがちな論点です。

貸主に断られたら、造作譲渡はできないのですか?

貸主の承諾なしに造作を残して退去することはできません。 賃貸借が終了すれば借主は契約で定められた状態にして明け渡す義務を負うため、 造作を残していくこと自体が契約違反になります。

また、次のテナントがその場所を借りるには貸主と新しい賃貸借契約を結ぶ必要があり、 貸主が関与しない居抜きの引き継ぎは成立しません。

断られる理由は、建物全体の計画がある、入ってほしい業態が決まっている、 いったん原状回復を挟んで賃料条件を見直したい、といった貸主側の事情であることが多いため、 まず「なぜ難しいのか」を聞いてください。

理由が業態にあるなら別業態の譲渡先を、賃料条件にあるなら次のテナントの契約条件まで含めた提案を用意して、 もう一度相談する余地があります。 断られた場合に備えて、原状回復の見積もりと必要な工期は必ず並行して押さえておいてください。

造作譲渡料の相場はいくらですか?

造作譲渡料について、公的機関が公表している統計や相場のデータは、今回の調査では確認できませんでした。 そのためこの記事でも、根拠のない相場の数字は書いていません。

実際の金額は、設備の年式と状態、次のテナントが同じ業態でそのまま使えるか、 募集にどれだけ時間をかけられるか、そして貸主が原状回復を免除するかどうかで大きく変わります。

値付けの手がかりになるのは、自分の帳簿に残っている造作の未償却残高、 次のテナントが同等の設備を新しく入れたときにかかる工事費、そして自分が回避できる原状回復費の3つです。

この3つを自分で計算したうえで、地元の不動産会社や居抜きを扱う仲介会社に複数の意見を聞き、 募集期間の見通しとあわせて決めてください。

借地借家法33条の造作買取請求権を使えば、貸主に買い取ってもらえるのではないですか?

借地借家法第33条は、建物の賃貸人の同意を得て建物に付加した畳、建具その他の造作がある場合に、 賃貸借が期間の満了または解約の申入れによって終了するときは、 賃借人が賃貸人に対してその造作を時価で買い取るべきことを請求できると定めています。

ただし同法第37条は、これに反する特約を無効とする強行規定として 第31条、第34条、第35条の3つだけを挙げており、第33条は含まれていません。 つまり第33条は特約で排除できる規定であり、 事業用の建物賃貸借契約では造作買取請求権を行使しない旨の条項が置かれていることが少なくありません。

まず自分の契約書にその条項があるかどうかを確認してください。 仮に条項がなくても、対象は賃貸人の同意を得て付加した造作に限られ、 時価の評価でも争いになりやすいため、これを前提に退去の計画を立てるのは現実的ではありません。

造作譲渡代金を受け取ると、税金はどうなりますか?

消費税については、国税庁のタックスアンサーNo.6105が、 国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等が課税の対象になると説明しています。

同じくNo.3240では、事業に使用していた建物や機械、車両等の事業用資産を譲渡した場合も 課税の対象になるとされており、造作の譲渡もこの資産の譲渡に当たると考えるのが自然です。 したがって譲渡契約書には、代金が税込なのか税抜なのかを必ず明記してください。

法人であれば、受け取った代金と帳簿に残っている造作の未償却残高との差額が損益になり、 譲渡できずに残した部分は除却損として処理できる場合があります。

ただし個人事業主か法人か、免税事業者かどうか、簿価がどのように残っているかで扱いが変わるため、 契約に署名する前に顧問税理士へ具体的な数字を見せて確認してください。

まとめ|造作譲渡で確認する7つのこと

造作譲渡は、必ず成立するものではありません。けれども、試す価値は金額で示せます。原状回復費の見積を先に取ってください。

動き出しは解約を告げる前です。告げてしまうと、日程の余裕がなくなり、交渉の材料も減ります。

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