ポイントカードとスタンプカード、どちらも「また来てもらう」ための仕組みですが、景品表示法での扱いはまったく別です。設計の仕方で、上限のある景品類になるかどうかが変わります。

次回以降の支払いに充当できるポイントは、「取引通念上妥当と認められる基準」に従っている限り、値引きとして扱われ、景品規制の対象外です。

一方、貯めた数に応じて粗品と交換する設計は、「総付景品」として上限額がかかります。分かれ目は4つです。

この記事でわかること

  • 支払いに充当できるポイントが、値引き扱いになる条件
  • 粗品と交換するスタンプカードが、総付景品にあたる理由
  • 総付景品の上限額(取引価額1,000円未満は200円、1,000円以上は10分の2)
  • 値引きと粗品を同じ企画で選べるようにするときの注意
  • 抽選で当たるスタンプカードにすると、ルールが変わる理由

SNSでのプレゼント企画は店舗のSNSプレゼント企画で確認すること、値下げ表示の基準は店舗の割引・セール表示で確認することで扱っています。この記事はポイント・スタンプカードの設計そのものに絞ります。

支払いに充当できるポイントは値引き扱いで上限がない。貯めた数に応じて粗品と交換する方式は総付景品にあたり、1,000円未満は200円、1,000円以上は取引価額の10分の2が上限。値引きと粗品を選べる企画は両方とも景品類にあたる。抽選で当たる方式は総付ではなく懸賞の限度額が適用される。
「現金として使えるか」が最初の分かれ目です|支払いに充当できるポイントは値引き。モノに交換する設計にした瞬間、上限のある景品類に変わります。

ポイントも粗品も、条件次第で「景品類」になる

景品表示法は、値引きそのものを規制していません。値引きと認められる経済上の利益は、景品類から外れます。

値引きと認められるための基準は、「取引通念上妥当と認められる基準に従い」対価を減額することです。複数回の取引を条件とした減額も含まれます。

ただし、値引きと認められない場合もあります。対価の減額を懸賞(抽選)で行う場合、減額分の使いみちを制限する場合、同じ企画で値引きと景品類を両方選べるようにする場合です。

4つの分かれ目
分かれ目確認することくわしく
1. 支払いへの充当次回以降の支払いに使えるかどうかくわしく
2. 交換の設計貯めた数に応じて粗品と交換するかどうかくわしく
3. 上限額総付景品にあたる場合の限度額くわしく
4. 決め方もれなく渡すか、抽選にするかくわしく

出典:消費者庁「景品類に該当しないもの」。

分かれ目1|次回の支払いに使えるかどうか

次回以降の買い物の支払いの一部に充当できるポイントは、正常な商慣習に照らして値引きと認められる経済上の利益にあたります。景品類には含まれません。

「購入金額の1%をポイント還元し、次回1ポイント1円で使える」という一般的な仕組みは、ここにあたります。上限額の規制を受けません。

ポイントの使い道と、値引きにあたるかどうか
ポイントの使い道値引きにあたるか上限額の規制
次回の支払いに充当(1ポイント1円など)あたるなし
複数回の購入を条件にした割引あたるなし
抽選で還元率が決まるあたらない懸賞のルールが適用される

分かれ目2|貯めた分を「粗品」と交換する設計にするかどうか

スタンプ10個で「粗品プレゼント」のように、モノと交換する設計にすると、値引きではなく景品類の提供にあたります。現金として使えないためです。

もれなく渡す、または来店・購入の先着順で渡す形なら、これは「総付景品」(別名:べた付け景品)にあたります。

設計の型と、扱いの違い
設計の型扱い上限額の規制
スタンプ10個で500円分の割引券値引きにあたる可能性が高いなし(割引の使いみちを限定しないこと)
スタンプ10個でオリジナルグッズと交換総付景品にあたるあり
来店ごとにノベルティをもれなく進呈総付景品にあたるあり

分かれ目3|上限額をいくらにするか

総付景品にあたる場合、取引価額に応じて上限額が決まります。取引価額1,000円未満なら200円、1,000円以上なら取引価額の10分の2です。

例えば、客単価800円の店が来店ごとに渡すノベルティは、上限200円までです。客単価3,000円の店なら、上限は600円まで広がります。

総付景品の限度額
取引価額景品類の最高額具体例
1,000円未満200円客単価800円の店なら、上限200円
1,000円以上取引価額の10分の2客単価3,000円の店なら、上限600円

出典:消費者庁「総付景品について」。根拠は一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限(昭和52年3月1日公正取引委員会告示第5号、改正平成8年2月16日公正取引委員会告示第2号)です。

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分かれ目4|抽選にすると、総付ではなく懸賞のルールになる

スタンプカードの特典を「10個貯めたら抽選で豪華賞品」のように偶然性で決める設計にすると、総付景品ではなく「懸賞」のルールが適用されます。

懸賞は総付景品より上限額が高く設定されていますが、その分、狙える対象が当選者に限られます。どちらの設計にするかは、集客の狙いに合わせて選びます。

総付景品と一般懸賞の上限額の違い
項目総付景品(もれなく・先着順)一般懸賞(抽選)
最高額1,000円未満→200円/1,000円以上→取引価額の10分の25,000円未満→取引価額の20倍/5,000円以上→10万円
対象条件を満たす全員抽選で決まった当選者のみ
根拠昭和52年公正取引委員会告示第5号昭和52年公正取引委員会告示第3号

よくある質問

共通ポイント(楽天ポイントなど)に加盟している場合も、同じ考え方でよいですか?

付与したポイントが、次回以降の支払いに充当できる仕組みである限り、値引きと同じ考え方が基本になります。ただし加盟先ごとの規約や、独自の上乗せキャンペーンがある場合は、その内容が別途「懸賞」や「総付景品」にあたらないか、個別に確認してください。

ポイントを「金券」と「粗品」のどちらかから選べるようにするのは問題ありませんか?

同じ企画で値引きと景品類を両方選べるようにすると、値引きの部分も含めて両方とも景品類として扱われます。限度額を計算するときは、この点をふまえて設計してください。

スタンプカードの粗品が、上限額を超えていた場合はどうなりますか?

総付景品の限度額を超える提供は、割引・セール表示とは別の根拠(景品類の制限及び禁止)にもとづく問題になります。内閣総理大臣(実務上は消費者庁)が、提供の制限や禁止を行うことができると定められています。

開業したばかりで取引価額が読めません。どう計算すればよいですか?

そのポイント・スタンプカードの対象になる、通常の取引の価額で計算します。全品対象なら客単価に近い額、特定商品限定ならその商品の価格が目安になります。迷う場合は、条件を絞った小規模な企画から始める方法もあります。

まとめ|「現金として使えるか」が最初の分かれ目

ポイント・スタンプカードを設計するときにまず確認するのは、「支払いに充当できるか、モノと交換する形か」の1点です。ここで値引きか景品類かが分かれます。

景品類にあたる場合は、取引価額をもとに上限額を計算し、抽選にするかどうかで、参照する告示そのものが変わります。

4つの分かれ目(再掲)
分かれ目値引き・上限なしにするなら景品類として設計するなら
1. 支払いへの充当次回以降の支払いに充当できる形にする粗品・モノとの交換にする
2. 交換の設計金券・割引券に限る(使いみちを不当に制限しない)オリジナルグッズなどモノにする
3. 上限額該当しない1,000円未満→200円/1,000円以上→10分の2
4. 決め方該当しないもれなく(総付)か抽選(懸賞)かで告示が変わる

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