リニューアルの工程は、新装開業とは始まりが違います。最初にやるのは、 いまの店の図面を集めることです。

竣工図と設備図が残っていれば、天井裏の配管や電気の容量を開ける前に確認できます。 残っていなければ、調査そのものが工程に加わります。

そして貸主の工事承認が下りるまで、着工日は確定しません。 設計から引き渡しまでの工程は7つあります。

この記事でわかること

  • リニューアルが図面集めから始まる理由
  • 変える範囲を3段階のどれにするかの決め方
  • 貸主・管理会社の工事承認にかかる時間の見込み方
  • 変更が効かなくなる戻れない日がどこか
  • 消防設備の工事に要る着工の届出(消防法)
  • 引き渡しのあとに残る手直しの期間の見込み方

休業するか営業を続けるかの判断は店舗改装で営業を止めるべきか、 時期の決め方は店舗改装はいつ行うべきか、 新装開業の工程は店舗開業までの内装スケジュールで 扱っています。この記事はリニューアルの工程と段取りに絞ります。

店舗リニューアル工事の7工程を並べた図。現地調査と図面集め、変更範囲の決定、貸主・管理会社の工事承認、実施図面と見積もりの確定、届出と近隣への挨拶、施工、検査・引き渡しと再開の告知という順番で進む。
戻れなくなるのは工程4です|実施図面が固まったあとの変更は、追加費用と工期の延長になって返ってきます。

工程1|現地調査と、いまの図面を集める

まず、開店時の竣工図・設備図・消防の届出書類が手元にあるかを探してください。 前の借主から引き継いだ店なら、貸主か管理会社が持っていることがあります。

図面がないと、天井を開けるまで配管と配線の位置が分かりません。 調査に日数がかかるため、見つからない場合は工程を長めに見ておいてください。

工程1で集める書類
書類どこにあるか無いときにすること
竣工図・設備図開店時の内装会社、貸主、管理会社現地調査で天井裏・床下を確認する
賃貸借契約書自店の控え貸主に写しを依頼する
消防の届出書類自店の控え、消防設備業者所轄の消防署に相談する
電気の契約内容検針票、電力会社契約容量を電力会社に確認する

工程2|どこまで変えるかを決める

変える範囲は、内装の仕上げだけ、設備まで、間取りまでの3段階に分けられます。 段階が上がるほど、工期も費用も承認の手続きも増えます。

売上を戻すために何を変える必要があるのかを先に書いてください。 見た目だけを新しくして、動線と設備が同じままなら、同じ問題が残ります。

変える範囲の3段階
段階触るもの増える手続き
仕上げだけ床・壁・天井の仕上げ材、照明器具貸主の工事承認
設備まで空調・換気・給排水・電気の容量工事承認に加え、消防・設備の届出
間取りまで間仕切り、厨房の位置、トイレ上記に加え、用途や規模によっては確認申請

確認申請が要るかどうかは、建物の規模・用途・工事の内容で決まります。用途変更の確認申請が必要になる7つの場面もあわせて確認してください。

工程3|貸主・管理会社の工事承認を取る

賃貸物件では、工事の内容を書いた図面を出して承認を得る必要があります。承認が下りる までの日数は貸主によって違い、商業施設ではさらに時間がかかります。

承認が下りるまで、着工日は決まりません。先に職人の手配を進めると、 日程を組み直すことになります。契約書の工事に関する条項は 店舗の賃貸借契約書で確認する9つの条項で扱っています。

工程4|実施図面と見積もりを確定させる

実施図面は、職人が実際に手を動かすための図面です。ここが固まると、材料の発注と 職人の手配が始まります。

この日を過ぎてからの変更は、追加費用と工期の延長になります。 図面のどこを見ればよいかは店舗の図面で施主が確認する8つのことで 扱っています。見積もりの読み方は 店舗内装の見積もり比較で見る7つのポイントにあります。

工程4で確定させること
確定させるもの確認すること後から変えたときに起きること
実施図面間仕切り・什器の寸法・コンセントの位置材料の再発注と、職人の日程の組み直し
仕様書仕上げ材の品番と、器具の型番納期の長い材料は工期がそのまま延びる
見積もり工事範囲と、含まれない費目追加工事の見積もりが別に立つ

工程5|届出と、近隣への挨拶

消防用設備等の工事のうち政令で定めるものは、甲種消防設備士が着手しようとする日の 10日前までに届け出ます(消防法第17条の14)。工程に組み込んでおいてください。

営業中のテナントが同じ建物に入っているなら、挨拶は着工前に済ませます。 騒音と臭いが出る日を先に伝えておくと、苦情になりにくくなります。挨拶の進め方は 内装工事前後の近隣対応で決めることで扱っています。

工程6|施工。休業するか、営業を続けるか

休業すれば工事は速く進みますが、その間の売上は止まります。営業を続けるなら、工事は 夜間や定休日に分かれ、工期は延びます。

この判断は工程2の段階でしておいてください。施工の直前に決めると、 職人の手配と工事の順番を組み直すことになります。判断の材料は 店舗改装で営業を止めるべきかで扱っています。

工程7|検査・引き渡し・再開の告知

引き渡しの前に、施主として自分の目で確認する時間を取ってください。傷や建付けの 不具合は、引き渡し後よりも前のほうが直してもらいやすくなります。

手直しの期間を、再開の日の前に確保しておいてください。引き渡しの 翌日に開けると、直す時間が残りません。確認の観点は 内装工事は着工後が勝負で扱っています。

リニューアルの工程表に書き込む日付
  1. 現地調査の日
  2. 変える範囲を決める日
  3. 貸主・管理会社へ図面を出す日
  4. 工事承認が下りる見込みの日
  5. 実施図面と見積もりを確定させる日(戻れなくなる日)
  6. 消防設備の着工届を出す日(着手の10日前まで)
  7. 近隣への挨拶をする日
  8. 着工日・完了日
  9. 施主検査の日
  10. 手直しの期間
  11. 再開の日と、告知を始める日

よくある質問

竣工図が見つからない場合はどうしますか?

貸主・管理会社・開店時の内装会社に順に問い合わせてください。それでも出てこない場合は現地調査で確認することになり、その日数を工程に足す必要があります。

工事承認にはどれくらいかかりますか?

貸主や商業施設によって幅があり、共通の目安はありません。契約書に手続きの定めがあれば確認し、無ければ図面を出す前に管理会社へ日数を聞いてください。

消防への届出は誰が出しますか?

消防用設備等の工事の着工届は甲種消防設備士が着手の10日前までに届け出ます(消防法第17条の14)。誰がいつ出すかを、契約時に内装会社と決めておいてください。

実施図面が固まった後でも変更できますか?

物理的には可能ですが、材料の再発注と職人の日程の組み直しが発生します。追加費用と工期の延長になるため、変えたいことは工程4までに出し切ってください。

引き渡しの翌日に開店しても大丈夫ですか?

手直しが必要になったときに、直す時間が残りません。施主検査から再開までの間に、手直しの期間を確保しておいてください。

まとめ|新装との違いは、最初と最後にある

リニューアル工事の7工程まとめ
工程やることその工程で決まること
工程1 現地調査竣工図・設備図・契約書を集める調査に何日かかるか
工程2 変える範囲仕上げ・設備・間取りのどこまでか工期・費用・手続きの量
工程3 工事承認貸主・管理会社に図面を出す着工日が確定する
工程4 実施図面図面・仕様書・見積もりを固めるここから変更に費用がかかる
工程5 届出と挨拶消防設備の着工届は10日前まで(消防法第17条の14)着工できる日
工程6 施工休業するか営業を続けるか工期と、その間の売上
工程7 引き渡し施主検査と手直し再開できる日

新装開業との違いは、工程1の図面集めと工程6の営業の扱いに あります。この2つが、リニューアル固有の時間と費用を生みます。

手続きに必要な日数は、貸主・商業施設・所轄の消防署によって変わります。工程表を作る 前に、それぞれの窓口に日数を確認してください。

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