内覧の持ち時間は、たいてい30分ほどです。その30分で見落としたものは、契約後には取り返せません。
図面に書いてあるのは坪数と間口と奥行きだけ。自分の業態がこの区画で成立するかは、どこにも書いていません。
確認することは8つ。持ち物、搬入経路、厨房の位置、排気、給排水、電気とガス、業態別の重点、そして写真。順番も決まっています。
この記事でわかること
- 内覧に何を持って行けば、その場で判定できるようになるか。メジャー・照度計・カメラ・図面・チェックリストの5点を、それぞれ何に使うかまで
- 面積より先に搬入経路を測る理由と、エレベーター・階段・建具のどこを何ミリ単位で記録するか
- 厨房の広さを「全体の何割」ではなく、労働安全衛生規則第600条の気積から自分の業態で逆算する手順
- 排気ダクトのルートを点検口から目で追う方法と、名古屋市火災予防条例第5条の2が排気用ダクトに求めている構造
- 既存の排水口・グリース阻集器・パイプスペースを床の上を歩いて探す順番と、名古屋市がグリース阻集器の容量をどう扱っているか
- 分電盤とガスメーターを触らずに、表示だけを読んで写真に残す方法と、そこから何が分かって何が分からないか
- 撮った写真をもとに、その場で外してよい物件と条件付きで残す物件を仕分ける一次判定の基準
内覧で見落とすと、契約後には取り返せない
契約後に条件不足が判明したとき、取り得る選択肢は限られます。工事費で埋めるか、業態を変えるか、手放すか。それぞれの代償を表にしました。
| 判明したこと | 契約後に取り得る選択肢と代償 | 内覧の現地でできること |
|---|---|---|
| 排気を屋外へ出す経路がない | 火を使わない業態へ変更するか、物件を手放すか。ダクトの経路は借主が単独で作れないため、工事費で解決できない | 天井の点検口を開けて懐中電灯で照らし、ダクトが抜けている方向を写真に撮る。建物の外に回って排気口の位置を探す |
| 排水立て管が厨房予定地から遠い | 床を上げて勾配を確保する。段差とスロープが生まれ、天井高が実質的に下がる。工事費は上がるが可否の問題にはならない | 床の排水口の位置に実際に立ち、そこから厨房を置きたい場所までメジャーで距離を測る |
| 大型機器が搬入できない | 分解搬入できる機種に変更するか、クレーンなどの特殊搬入を手配する。機種変更は仕込みの手順そのものに影響する | エレベーターのかご内寸と入口建具の開口幅を測り、機器リストの最大寸法と突き合わせる |
| ガスの引き込みがない | 電気での調理に切り替えるか、ガス会社に引き込みを打診する。引き込みは道路の状況次第で不可となることがある | 屋外にボンベがあるかを見る。ガスメーターの有無と号数表示を撮る。なければ「ない」と記録する |
| 電気の容量が足りない | 増設を申し込む。電力会社の工事を伴うため、費用よりも日程がスケジュールを縛る | 分電盤の主幹ブレーカーのアンペア表示と、電力量計の個数を撮る。扉は開けない |
| グリース阻集器の置き場所がない | 屋内の床下に納めるか、屋外に埋設する。どちらも取れない場合は、油を出す業態そのものが成立しない | 床の点検口の蓋を探す。屋外の敷地に金属製の蓋がないか、建物の周囲を一周して確かめる |
内覧の現場で効いてくる法令を、4系統に分ける
食品衛生・消防・建築・給排水。この4つが、現地では別々の形で見えます。
名古屋市の「営業施設の基準」のうち、内覧で目視できる項目を抜き出しました。その場で当てはめられます。
| 系統 | 根拠と、その中身 | 内覧の現地でできること |
|---|---|---|
| 食品衛生 | 食品衛生法第54条により、施設基準は都道府県等の条例で定める。参酌基準は食品衛生法施行規則別表第十九(共通基準)と別表第二十(業種別基準) | 床・内壁・天井の材質、手洗い設備の水栓の形、便所の位置、更衣場所が取れそうかを見る。判定は保健所が行うので、写真で残すだけでよい |
| 建築 | 建築基準法施行令第20条の3が火を使用する室の換気設備を、第129条の2の4第3項が排水のための配管設備を定める | 給気口と排気口が室内のどこにあるかを見る。排気筒が屋外へ直接開放されているかを、外から確かめる |
| 消防 | 消防法施行令別表第一(三)項ロが「飲食店」。名古屋市では火災予防条例第5条の2がちゅう房設備の基準を定める | 既存フードにグリスフィルターが入っているか、自動消火装置のノズルが見えるかを写真に撮る。建物全体の延べ面積を不動産会社に聞く |
| 下水道 | 建築基準法施行令により阻集器の設置が求められる。排除基準は下水道法と各市の下水道条例。名古屋市の基準は上下水道局が公表している | 床の点検口と屋外の埋設蓋を探す。既存のグリース阻集器があれば、蓋を開けずに位置と大きさを撮る |
| 項目 | 基準の内容(要約) | 内覧の現地でできること |
|---|---|---|
| 区画(第2号) | 作業区分に応じ、間仕切り等により必要な区画がされていること。住居など食品を扱わない室が同一の建物にある場合、それらと区画されていること | 厨房と客席の間に何があるかを見る。間仕切りを立てられる位置に梁や柱があるかを確かめて撮る |
| 床・内壁・天井(第3号ハ) | 清掃、洗浄及び消毒を容易にすることができる材料で作られ、容易に行うことができる構造であること | 既存の仕上げ材を手で触る。凹凸が多い、目地が深い、板が反っているといった状態をメモする |
| 不浸透性と腰張り(第3号ニ) | 清掃等に水が必要な施設では、床面は不浸透性の材質で作られ、排水が良好であること。内壁は床面から容易に汚染される高さまで不浸透性材料で腰張りされていること | 厨房予定地の床にペットボトルの水を少量こぼし、どちらへ流れるかを見る(許可を得てから行う)。壁の腰の高さの仕上げを撮る |
| 照度(第3号ホ) | 照明設備は、作業、検査及び清掃等を十分にすることのできるよう必要な照度を確保できる機能を備えること | 照度計を厨房予定地の作業面の高さに置いて数値を読み、その値と撮影時刻を記録する |
| 給水(第3号ヘ) | 水道事業等により供給される水を、施設の必要な場所に適切な温度で十分な量を供給することができる給水設備を有すること | 給水メーターの口径表示を撮る。給湯器があれば号数の表示を撮る。給湯の熱源が電気かガスかを見る |
| 手洗い設備(第3号チ) | 従業者の手指を洗浄消毒する装置を備えた流水式手洗い設備を必要な個数有すること。水栓は洗浄後の手指の再汚染が防止できる構造であること | 既存の手洗いがあれば、水栓のハンドルの形を接写する。ひねって止める丸ハンドルなら交換が要ると記録する |
| 排水設備(第3号リ) | 十分な排水機能を有し、水で洗浄をする区画の床面に設置されていること。汚水の逆流により食品を汚染しないよう配管され、施設外に適切に排出できること | 床の排水口を数え、それぞれの位置に立って写真を撮る。厨房を置きたい場所からの距離を測る |
| 便所(第3号ヲ) | 作業場に汚染の影響を及ぼさない構造であること。専用の流水式手洗い設備を有すること | 便所が厨房予定地とどう接しているかを図に描く。便所内に手洗いがあるかを見る |
| 更衣場所(第3号タ) | 従事者の数に応じた十分な広さがあり、作業場への出入りが容易な位置に有すること | 更衣に使えそうな死角を探す。柱の陰やパイプスペースの脇など、席にできない場所を測っておく |
確認1〜2|持ち物と、搬入経路
持っていくのは5点。メジャー、照度計、カメラ、図面、チェックリスト。
そして最初に見るのは搬入経路です。厨房機器が入らなければ、面積の議論は無意味になります。実測する寸法と、突き合わせる相手を表にしました。
| 持ち物 | これがないと何が判定できないか | 内覧の現地でできること |
|---|---|---|
| メジャー(5m以上) | 搬入経路の可否、排水口までの距離、梁下の有効高さ。図面の数字は現況と食い違うことがあり、実測でしか埋まらない | 入口建具の開口幅、エレベーターのかご内寸、梁下高さ、排水口から厨房予定地までの距離を測って手帳に書く |
| 照度計(スマートフォンのアプリでも可) | 厨房の作業面が暗すぎないか。名古屋市の基準は「必要な照度を確保できる機能」を求めており、数値の記録があると相談が早い | 厨房予定地の床から85センチメートルの高さに置いて数値を読む。同じ場所を昼と夕方の2回測ると、窓の影響が分かる |
| カメラ(スマートフォン) | 持ち帰ってからの相談材料。分電盤やメーターは触れないため、写真が唯一の記録手段になる | 表示部分の接写と、周辺が写った引きの2枚を組で撮る。寸法を測った箇所はメジャーを当てた状態で撮る |
| 物件図面(事前に依頼) | 柱と梁の位置、パイプスペースの位置。現地で目視できない部分の当たりをつけられる | 図面に自分で赤ペンを入れる。排水口、分電盤、点検口の位置を書き込むだけで、相談用の資料になる |
| チェックリストと懐中電灯 | 30分という持ち時間の中で、見落としを防ぐ手順。電気が止まっている物件では懐中電灯がないと天井裏が見えない | この記事の末尾のチェックリストを印刷して持参する。天井の点検口を開け、懐中電灯でダクトの向きを照らす |
| 測る場所 | 何と突き合わせるか | 内覧の現地でできること |
|---|---|---|
| 建物入口から店舗入口までの通路 | 最も幅の広い機器の奥行き。途中の段差は台車が越えられるかを決める | 通路の最も狭い場所を探して幅を測る。段差があれば高さを測り、その位置を写真に撮る |
| エレベーターのかご内寸 | 最も背の高い機器の高さと、最も長い機器の長さ。かごの奥行きより長いものは斜めにしても入らない | 間口・奥行き・高さの3方向を測る。天井の点検口が開くタイプなら、その旨をメモする |
| 階段の有効幅と踊り場 | 踊り場で機器を回転させられるか。手すりの内側の幅が実効値になる | 手すりの内側で幅を測る。踊り場の対角線の長さを測り、機器の長さと比べる |
| 店舗入口の建具 | 最も大きい機器の幅と高さ。扉を外せば数センチメートル稼げることがある | 開口の幅と高さを測る。扉の丁番の形を撮り、外せる構造かを内装会社に判断してもらう |
| 厨房区画の天井高と梁下 | レンジフードの設置高さ。天井高ではなく、梁の下端が有効高さになる | 梁の下端から床までを測る。梁が何本あり、どの向きに走っているかを図に描く |
| 床の耐荷重に関わる情報 | 重量のある機器の設置可否。判定は構造の専門家が行うが、材料は集められる | 建物の構造(木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造)と階数を不動産会社に確認して記録する |
確認3〜4|厨房の位置と、排気のルート
厨房の場所は、床の上で確かめる位置から決まります。既存の排水口、点検口、床の段差。
排気はいちばん重い項目です。名古屋市火災予防条例第5条の2がダクトに求めるものと、ルートの型ごとの判定のしかたを表にしました。
最初の3分で天井の点検口を開けてください。既存ダクトの有無で、その物件の可否がほぼ決まります。
| 確かめるもの | なぜ厨房の位置を縛るのか | 内覧の現地でできること |
|---|---|---|
| 床の排水口(ドレン) | 排水は自然の勾配で流すため、ここから離れるほど床を上げる必要が出る。複数あればレイアウトの自由度が上がる | 排水口の位置に立って足元を撮る。区画の隅からの距離を2方向から測り、図面に赤で書き込む |
| パイプスペース(PS) | 排水立て管が通る場所。厨房から遠いと横引きが長くなり、勾配を取るために床が上がる | PSの扉や点検口を探し、位置を測る。扉が開けられるなら、中の配管の本数と太さを撮る |
| 既存の給水位置 | 給水は圧力で送れるので排水ほど縛られないが、近いほど工事は減る | 壁から出ている給水管の位置と高さを測る。止水栓が室内にあるかを確かめる |
| 既存のフードとダクトの立ち上がり | ここに厨房を置ければ、排気の工事が最も小さく済む。動かすと天井裏の工事が発生する | フードの真下に立ち、そこから区画の隅までの距離を測る。フードの外形寸法も測る |
| 分電盤の位置 | 厨房から遠いと、幹線を長く引くことになる。動力の盤が別にある場合は特に | 盤の位置を測り、厨房予定地からの距離を記録する。盤の扉は開けない |
| 床の勾配と既存防水 | 前も飲食店なら勾配と防水が生きている可能性がある。平らな床なら勾配をつくる工事が加わる | 床にビー玉や水を少量置き、どちらへ動くかを見る(不動産会社の許可を得てから行う) |
| 条例が求めること | 内覧での意味 | 内覧の現地でできること |
|---|---|---|
| 直接屋外に通ずるものとし、他の用途のダクト等と接続しない(第2項第1号エ) | 厨房専用の経路が要る。既存の空調ダクトへの合流や、共用排気への相乗りは認められない | 天井の点検口を開け、ダクトが単独で外壁またはパイプスペースへ向かっているかを懐中電灯で照らして撮る |
| 曲がり及び立下りの箇所を極力少なくし、内面を滑らかに仕上げる(同号カ) | 厨房予定地から外壁までの距離と、その間の障害物の数が、そのままダクトの難易度になる | 厨房予定地から最も近い外壁までの直線距離を測る。その途中に梁や他の配管があるかを見る |
| 可燃性の部分および可燃性の物品との間に0.1メートル以上の距離を保つ(同号ア) | 天井裏に余裕がないと、この距離が取れない。天井懐の高さが効いてくる | 点検口から天井裏を覗き、天井仕上げ面から上のスラブまでの高さを目測またはメジャーで測る |
| 油脂成分を含む蒸気を発生するフードにグリス除去装置を設ける(第2項第2号ア) | 揚げ物や炒め物を扱うなら、グリスフィルター等が要る。既存フードに入っていなければ追加になる | 既存フードの下から見上げて、金属のフィルターが並んでいるかを撮る。油の付着の程度も一緒に写す |
| 排気用ダクトへの火炎の伝送を防止する装置を設ける(第2項第2号ウ) | ダクトを使う以上、原則として必要になる。フードから直接屋外へ排気する構造などは例外 | フードの内側に配管やノズルが見えるかを撮る。ある場合は自動消火装置が入っている可能性がある |
| 一定の防火対象物では火炎伝送防止装置を自動消火装置とし、燃料供給を停止する装置を設ける(第2項第2号エ) | 延べ面積1,000平方メートル以上の建物などが対象。自分の区画ではなく建物全体の規模で決まる | 建物全体の延べ面積を不動産会社に聞いて記録する。分からなければ「要確認」と書いて持ち帰る |
| ルートの型 | 特徴と、想定される制約 | 内覧の現地でできること |
|---|---|---|
| 外壁を直接貫通して排気 | 経路が最も短く、条例が求める「曲がりを少なく」に合う。ただし排気口の向いた先が近隣に接していると苦情の原因になる | 厨房予定地が外壁に接しているかを見る。建物の外に回り、既存の貫通口があるかを探して撮る |
| パイプスペースを使って屋上へ立ち上げ | 臭気の出口が高くなり近隣への影響は減るが、PSに厨房排気用の空きがあるかは建物側の事情で決まる | PSの扉を開けて既存の立ち上がりダクトの本数を撮る。管理会社に「厨房排気用の空きがあるか」を聞く |
| 天井裏を横引きしてから外壁へ | 天井懐の高さと梁の位置に左右される。横引きが長いほど、天井高が下がるか勾配天井になる | 点検口から天井裏を覗き、梁がダクトの経路を塞いでいないかを懐中電灯で照らして確かめる |
| 既存の厨房排気をそのまま使う | 前テナントと同業態なら能力が近い可能性がある。ただしダクト内部の油の堆積状況で清掃か交換かが分かれる | フードの中に指を入れずに、内側を接写する。油膜の厚さが写れば、清掃で済むかの一次判断材料になる |
| 経路が見当たらない | 火を使う業態は成立しない可能性が高い。ここで無理に候補に残すと、契約後の損失が最も大きくなる | 点検口を全部開け、外壁と屋上の両方を見たうえで「見当たらない」と記録する。管理会社にも確認する |
| 排気口の先に住戸・隣店の窓・歩道がある | 臭気と騒音の苦情が起きやすい。業態によっては、これだけで候補から外す判断もあり得る | 排気口の真正面に立ち、そこから見える範囲を撮る。上階の窓とバルコニーの位置も一緒に写す |
確認5〜6|給排水と、電気・ガス
給排水は5か所を探します。既存の排水口、立管、グリース阻集器、給水の元栓、給湯器。
電気とガスはメーターと分電盤の表示を読みます。そこから分かることと、分からないことを分けました。
| 探すもの | 見つかったとき/見つからないときの意味 | 内覧の現地でできること |
|---|---|---|
| 床の排水口(ドレン) | 複数あればレイアウトの自由度が高い。1つもなければ、厨房の床排水をこれから作ることになる | 排水口の位置に立って写真を撮り、区画の隅から2方向の距離を測る。個数を数えて記録する |
| グリース阻集器(グリストラップ) | あっても、容量が自分の業態に足りるかは別問題。清掃時の動線が確保できるかも見ておく | 床の点検口の蓋と、屋外の金属製の埋設蓋を探す。蓋は開けず、位置と大きさを撮る |
| パイプスペース(PS) | 排水立て管が通る場所。厨房予定地からの距離が、横引きの長さと床上げの高さを決める | PSの扉を探し、厨房予定地からの距離を測る。開けられるなら配管の本数と太さを撮る |
| 給水メーターの口径 | 13ミリメートル、20ミリメートル、25ミリメートルといった表示がある。同時に使う機器が多いほど太い口径が要る | メーターボックスの蓋を開けずに、表示部分が見えるなら接写する。見えなければ位置だけ撮る |
| 給湯器の有無と設置場所 | 号数の表示があれば同時に使える湯量の目安になる。屋外に置ける場所があるかも重要 | 本体の銘板を接写する。屋外の場合は、設置場所の周囲に空きがあるかも一緒に撮る |
| 状態 | その先に起きること | 内覧の現地でできること |
|---|---|---|
| 屋内の床下に既存がある | 清掃のたびに床の蓋を開けることになる。厨房の動線上にあると営業時間中に開けられない | 蓋の位置が通路の真ん中か隅かを見て撮る。蓋の周囲に人が立てる余地があるかを確かめる |
| 屋外に埋設されている | 清掃がしやすく、臭気も屋内に出にくい。ただし敷地の使用について貸主の同意が要る場合がある | 建物の周囲を一周し、金属製の埋設蓋を探して撮る。蓋の上に駐車していないかも見る |
| 見当たらない | これから設置場所を確保することになる。床下にも屋外にも余地がなければ、油を出す業態は成立しない | 床の点検口を全部探し、屋外も一周したうえで「見当たらない」と記録する。管理会社にも確認する |
| 見る対象 | 分かること/分からないこと | 内覧の現地でできること |
|---|---|---|
| 分電盤の位置と数 | 店舗専用の盤がどこにあるか。複数あれば、系統が分かれている可能性がある | 盤の全景を引きで撮り、厨房予定地からの距離を測る。扉は開けない |
| 主幹ブレーカーのアンペア表示 | 引き込まれている容量の目安になる。ただし契約容量そのものではなく、確定するのは電力会社の記録 | 盤の外から表示が見えるなら接写する。見えないなら「扉を開けないと不明」と記録する |
| 電力量計の個数 | 2つあれば動力(三相200ボルト)が引き込まれている可能性がある。1つなら単相のみの可能性が高い | メーターの並びを引きで撮る。それぞれの表示面も接写する。数を数えて記録する |
| 「動力」と書かれた盤の有無 | 業務用の冷凍機や大型エアコン、大型オーブンに必要。後から引き込むと電力会社の工事を伴う | 盤の表記を撮る。動力盤が別の場所にある場合もあるので、区画の外側も一周して探す |
| 既存のコンセントの数と位置 | 厨房で使う機器の数に対して足りているか。増設は内装工事に含められるので可否の問題ではない | 壁のコンセントを数え、位置を図面に赤で書き込む。専用回路の表示があるものは接写する |
| 引き込み線の入り方 | 建物のどこから電気が入っているか。増設のときの経路の見当がつく | 建物の外に回り、引き込み柱と電線の入る位置を撮る。近くの電柱も一緒に写す |
| 見る対象 | 分かること | 内覧の現地でできること |
|---|---|---|
| 都市ガスかLPガスか | 屋外にボンベがあればLPガス。熱量が異なるため、機器のガス種が変わる | 建物の周囲を一周してボンベの有無を確かめ、あれば本数と大きさを撮る |
| ガスメーターの号数表示 | 同時に流せるガス量の目安。火力を要する業態では、既存の号数では不足することがある | メーターの表示面を接写する。周辺が写った引きの写真も一緒に撮る |
| メーター周りの配管の口径 | 管が細ければ増径工事が必要になる可能性がある。判定はガス会社が行う | 配管にメジャーを当てて外径を測り、メジャーごと写真に撮る |
| ガスの引き込みがそもそもあるか | ないなら、引き込みの可否を道路の状況から判断することになる。可否はガス会社の領域 | メーターもボンベも見当たらなければ「引き込みなし」と明記して持ち帰る |
| 室内のガス栓の位置と数 | 既存の厨房がどこにあったかの手がかりになる。ガス栓の位置は厨房位置と一致することが多い | 壁や床のガス栓を探して位置を測り、図面に書き込む。栓の形も撮る |
確認7〜8|業態別の重点と、撮っておく写真
業態によって、最初に確かめるものが違います。ラーメンなら排気、カフェなら給排水、焼肉なら両方。
写真は9か所。その1枚が後で何に使われるかまで表にしました。内覧が終わったら、3つの箱に振り分けます。
| 業態 | 特に重くなる項目 | 内覧の現地でできること(最初の5分でやること) |
|---|---|---|
| 焼肉・炭火焼き | 席ごとの排気ダクト、ガスの容量、消防設備。天井裏に何本ものダクトを通す余地が要る | 点検口を開けて天井懐の高さを測る。梁の位置と本数を図に描き、席を置きたい列と重ならないかを見る |
| ラーメン・中華 | ガスの号数と管径、強い排気、湯を大量に使うための給排水 | ガスメーターの号数表示とメーター周りの配管の太さを撮る。厨房予定地から排水口までの距離を測る |
| 揚げ物中心 | 油煙に耐える排気能力、グリース阻集器の容量と清掃動線、フライヤーの電気またはガス | 床と屋外の両方でグリース阻集器の蓋を探す。既存フードにグリスフィルターが入っているかを撮る |
| カフェ・喫茶 | 電気(エスプレッソマシンに専用回路や200ボルトが要る機種がある)、給排水、席数に対する空調 | 分電盤の位置と主幹ブレーカーの表示を撮る。カウンター予定地から排水口までの距離を測る |
| ベーカリー・菓子製造 | 動力(三相200ボルト)、オーブンの搬入経路と重量、床の耐荷重。菓子製造業の許可が別に要る場合がある | 電力量計の個数を数える。エレベーターのかご内寸を測り、オーブンの外形寸法と突き合わせる |
| バー・立ち飲み | カウンター内の排水位置、製氷機と冷蔵の電源、深夜営業に伴う近隣への音 | カウンターを置きたい線の上を歩き、排水口が線上にあるかを見る。真上の階の用途を不動産会社に聞く |
| テイクアウト中心 | 間口と歩道からの見え方、包装作業の場所、待機するお客様の立ち位置 | 店の前の歩道に立ち、通行の流れを2分間数える。間口の幅と、扉の開く向きを測って記録する |
| 撮る対象 | その写真が後で何に使われるか | 内覧の現地でできること(撮り方) |
|---|---|---|
| 区画全体 | 広さと形の共有。3件を並べて比べるときの基準になる | 四隅から1枚ずつ、計4枚。立つ位置を図面に印で書き込んでおくと、後から向きが分かる |
| 天井 | 点検口の位置、梁の走り方、既存ダクトと配管の有無。排気ルートの検討材料になる | 真上を向いて数枚。点検口があれば開けて、懐中電灯で照らしながら中を撮る |
| 床 | 排水口の位置と個数、段差、既存防水の状態。厨房の配置を決める材料になる | 排水口ごとに真上から1枚。段差はメジャーを当てて横から撮る |
| 分電盤 | 電気容量の一次判定。触れないため、写真が唯一の情報源になる | 盤の全景(引き)と、外から見える表示(接写)の2枚。扉は開けない |
| ガスメーターと周辺配管 | ガスの号数と管径の判定。増径が要るかの見当がつく | 表示面の接写と、配管にメジャーを当てた1枚。ボンベがあれば本数も撮る |
| 給水メーター | 口径の確認。同時に使う機器の数と突き合わせる | 表示が見える範囲で接写。見えなければメーターボックスの位置だけ引きで撮る |
| 既存の厨房設備 | 流用できるかの判定。銘板の型番と製造年が分かれば、部品供給の有無まで調べられる | 機器ごとに全景1枚と銘板の接写1枚。銘板は横や背面にあることが多いので探す |
| 建物の外観と排気口 | 排気の出口と、その先に何があるかの確認。近隣トラブルの予測に使う | 建物を一周しながら撮る。排気口を見つけたら、その真正面に立って見える範囲を撮る |
| 搬入経路 | 機器が入るかの判定。エレベーター、階段、建具の3か所が要点 | 各所でメジャーを当てた写真。エレベーターは扉を開けたまま、かご内から外を向いても撮る |
| 判定 | 当てはまる条件 | 内覧の現地でできること(判定の手順) |
|---|---|---|
| その場で外す | 排気を屋外まで通せる経路が見当たらず、ビル側も不可としている。火を使う業態なのにガスの引き込みがなく増設も不可。グリース阻集器の設置場所が屋内にも屋外にもない。大型機器の搬入経路がなく分解搬入もできない | 4条件のうち1つでも当てはまれば、その場で不動産会社に「見送ります」と伝える。理由も一緒に伝えると、次の紹介の精度が上がる |
| 条件付きで残す | 電気容量が不足しているが増設できる見込みがある。排水位置が遠く床上げが必要。既存設備が古く更新が要る。給気口が見当たらず、これから作ることになる | 「何を確かめれば判断できるか」を1行で書いておく。例えば「増設の可否と費用を電力会社に照会」と書き、持ち帰って照会する |
| 候補に残す | 排気・給排水・搬入経路の3つに致命的な問題がなく、電気とガスも足りそうに見える | 内装会社に同行を依頼する日程を、その場で不動産会社と調整する。写真をその日のうちに送る |
居抜きの場合に、追加で確認すること
残っている設備が使えるかは、別の判定になります。造作譲渡の対象一覧を、書面でもらえるか。ここが最初の質問です。
| 設備 | 追加で確認すること | 内覧の現地でできること |
|---|---|---|
| 排気フード・ダクト | 前の業態と自分の業態で必要な排気量が同じか。ダクト内部の油汚れが清掃で済むか交換か | フードの内側を接写し、油膜の厚さが写るように撮る。フードの外形寸法も測る |
| グリース阻集器 | 容量が自分の業態に足りるか。清掃しやすい位置か。屋内型なら床下の状態 | 蓋の位置と大きさを撮り、蓋の周囲に人が立てる余地があるかを見る。蓋は開けない |
| 手洗い設備の水栓 | 洗浄後の手指の再汚染が防止できる構造か。ひねって止める丸ハンドルは現行の基準に合わない | 水栓のハンドルの形を接写する。センサー、押しボタン、肘で操作できるレバーのいずれかかを見る |
| 厨房機器 | 銘板の製造年と型番。通電・通水して動くか。リース契約が残っていないか | 機器ごとに銘板を接写する。動作確認は不動産会社の立ち会いのもとで依頼する |
| 給排水 | 既存の排水位置が自分の厨房レイアウトに合うか。合わなければ床上げが必要になる | 自分の厨房レイアウトを床の上に足で歩いて再現し、排水口が動線上に来るかを確かめる |
| ガス | 前の業態より火力を使うなら、号数と管径が足りるか。ガス栓の位置が自分のコンロ位置と合うか | メーターの号数を撮り、室内のガス栓の位置を測る。栓の数も数えて記録する |
| 厨房床 | 防水と勾配が生きているか。劣化していれば打ち直しになる | ビー玉を数か所に置いて動く方向を見る。床の目地や継ぎ目に割れがないかを接写する |
| 造作・什器 | 寸法が自分の計画に合うか。合わなければ撤去費が発生する | 残っている造作の寸法を測る。撤去したい造作を写真に撮って、点数を数えておく |
居抜きのときに不動産会社へ聞くこと
- 造作譲渡の対象一覧を書面でもらえますか。何が含まれ、何が対象外の残置物かを、その場で明確にします。
- 残置物の処分費は誰が負担しますか。放置すると自分の負担になります。ここは契約前に決めておく事項です。
- リース契約が残っている機器はありますか。所有権が前テナントにない機器は譲渡できません。
- 前テナントはなぜ退去したのですか。立地の問題であれば、自分にも同じ条件がかかります。
- いつまで営業していましたか。長く空いている物件は、設備の状態が落ちている可能性があります。
- 建物全体の延べ面積はいくつですか。火災予防条例で自動消火装置が要るかどうかに関わります。
内覧当日の30分をどう使うか
順番が決まっています。最初の3分で天井、次に搬入経路、そして床。印刷して持参できるチェックリストも用意しました。
内覧当日の30分の使い方
- 最初の3分|天井の点検口を開ける。懐中電灯で天井裏を照らし、既存ダクトの有無と向き、天井懐の高さを確かめて撮ります。ここで排気の見通しが立ちます。
- 次の3分|床を歩いて排水口を探す。排水口を数え、それぞれの位置に立って写真を撮ります。ビー玉を置いて勾配の向きを見ます。
- 次の4分|厨房予定地を足で歩いて決める。天井高と梁下を測り、【確認3】の気積の計算をその場でします。厨房と客席の境目に立って、間仕切りを立てられるかを見ます。
- 次の5分|搬入経路を測る。入口建具、エレベーターのかご内寸、階段の有効幅。機器リストの最大寸法と突き合わせます。
- 次の5分|建物の外を一周する。排気口、ガスメーター、給水メーター、電力量計、グリース阻集器の埋設蓋。すべて外にあります。
- 次の5分|分電盤とガス栓を撮る。盤の全景と表示の接写、室内のガス栓の位置と数。触らず、撮るだけです。
- 最後の5分|不動産会社に口頭で聞く。建物全体の延べ面積、保証金の償却、屋上への立ち上げの可否、上下階の用途、前テナントの業態と退去理由。
内覧チェックリスト(印刷して持参する用)
- □ 天井の点検口の位置と個数( か所)
- □ 既存ダクトの有無と向き(有・無/向き: )
- □ 天井懐の高さ( ミリメートル)
- □ 天井高( ミリメートル)/梁下の高さ( ミリメートル・梁は 本)
- □ 床の排水口の個数( か所)と、厨房予定地からの最短距離( ミリメートル)
- □ 床の勾配(ビー玉の動く向き: /動かない)
- □ グリース阻集器(屋内・屋外・見当たらない)
- □ パイプスペースの位置と、厨房予定地からの距離( ミリメートル)
- □ 給水メーターの口径表示( ミリメートル/読めない)
- □ 給湯器の有無と号数(有・無/ 号)
- □ 分電盤の位置と個数( 台)/主幹ブレーカーの表示( アンペア/読めない)
- □ 電力量計の個数( 台)/動力盤の有無(有・無)
- □ ガスの種別(都市ガス・LPガス・引き込みなし)/メーターの号数( 号)
- □ 室内のガス栓の個数( か所)
- □ 入口建具の開口(幅 ×高さ ミリメートル)
- □ エレベーターのかご内寸(間口 ×奥行 ×高さ ミリメートル)
- □ 階段の有効幅( ミリメートル)/踊り場の対角( ミリメートル)
- □ 屋外の排気口の位置と、その先にあるもの( )
- □ 給気口の有無と位置(有・無/位置: )
- □ 厨房予定地の照度( ルクス/測定時刻 時 分)
- □ 手洗いの水栓の形(センサー・押しボタン・肘レバー・丸ハンドル・なし)
- □ 建物全体の延べ面積( 平方メートル/不明)
- □ 上階の用途( )/下階の用途( )
- □ 保証金の償却( か月分)/仲介手数料( か月分)
- □ 前テナントの業態( )/退去時期( 年 月)
- □ 撮影枚数( 枚)
- □ 一次判定(その場で外す・条件付きで残す・候補に残す)
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よくある質問
ここでは、内覧の進め方について実際によく寄せられる質問を4つ取り上げます。 いずれも、判断の分かれ目になりやすい論点です。
共通しているのは、「自分でどこまでやってよいのか」という迷いです。 やりすぎれば事故につながり、やらなすぎれば何も持ち帰れません。
この記事の立場は一貫しています。 触らず、測り、撮る。 判定は専門家に渡す、という線引きです。
そのうえで、専門家に渡す材料の質を上げることが、内覧でできる最大の仕事だと考えています。 写真1枚の撮り方が、後の判断の速さを変えます。
以下、順に見ていきます。
内覧に内装会社を同行してもらってもよいですか?
問題ありません。むしろ推奨される進め方です。 不動産会社に事前に伝えておけば、同行を断られることはほとんどありません。
ただし、候補が5件も6件もある段階で全部に同行してもらうのは、 相手にとっても自分にとっても効率がよくありません。 この記事の8項目は、その前段の一次スクリーニングとして使ってください。
自分で3件を1件に絞り、絞れた1件に同行してもらう。 この順序が、内装会社との関係としても現実的です。
同行に費用が発生するかは会社によって異なるため、最初の問い合わせのときに確認しておくと安心です。 物件が未定の段階から相談できるかどうかも、あわせて聞いておいてください。
なお、同行してもらう日には、 この記事の内覧チェックリストに自分で記入したものを持参すると、 相手が確認すべき点が最初から絞れます。
分電盤やガスメーターを自分で開けて確認してもよいですか?
扉を開けたりブレーカーを操作したりするのは避けてください。 感電や、他のテナントへの停電といった事故につながります。
確認するのは外側から見える表示だけにとどめ、 写真を撮って内装会社に見てもらうのが安全です。 分電盤の位置と数、主幹ブレーカーのアンペア表示、電力量計の個数、ガスメーターの号数表示。 この4点が写っていれば、多くの場合はそれで一次判定ができます。
撮るときは、表示部分の接写と、周辺が写った引きの写真の2枚を組にしてください。 接写だけだと、その盤が店舗専用のものなのか建物共用のものなのかが後から判別できません。
なお、電気の契約容量そのものは、内覧では確定できません。 確定するのは電力会社の記録であって、盤の表示は目安にすぎないためです。
上の階が住居の物件は避けたほうがよいですか?
避けるべきとまでは言えませんが、 排気の出口と設備の振動音について、契約前の確認が欠かせません。
名古屋市火災予防条例第5条の2第2項第1号エは、 ちゅう房設備に附属する排気用ダクトについて 「直接屋外に通ずるものとし、他の用途のダクト等と接続しないこと」と定めています。
つまり排気は必ず屋外に出さなければならず、 出した先に住戸の窓やバルコニーがあれば、そこが苦情の発生点になります。 焼き物や揚げ物のように油煙と臭いの強い業態では、この一点で業態そのものを変えることになる場合があります。
内覧では、建物の外に回って排気口が向いている方向と、 その先に何があるかを必ず自分の目で確かめてください。 あわせて、屋上への立ち上げが管理規約で認められているかを、貸主と管理会社の双方に確認しておくことをおすすめします。
音の問題については店舗の防音で決める7つのこと|苦情が出てからでは高くつく音の設計で扱っています。 上下階への振動は、壁に吸音材を貼っても止まりません。
図面がない物件はどう判断すればよいですか?
実測と写真で補います。 間口・奥行き・天井高・梁下の高さ、搬入経路の開口幅、排水口と分電盤の位置を測って記録すれば、 概算の検討まではできます。
むしろ図面があっても、既存建物の図面は現況と食い違っていることが珍しくないため、 実測は図面の有無にかかわらず必要な作業です。
ただし天井裏や床下の状態は目視できないため、 図面のない物件では調査に手間がかかり、解体してから判明する条件が増えます。 国土交通省の建築物リフォーム・リニューアル調査でも、 非住宅建築物の工事は既存の状態に左右される部分が大きく、そこが追加費用の温床になります。
図面のない物件を選ぶなら、その前提で予備費を厚めに見ておいてください。 追加費用がどこから出るかは店舗内装で追加費用が出る8つのケース|解体後に判明するものと、防げるものにまとめてあります。
なお、名古屋市に営業許可を申請する際には施設の構造及び設備を示す図面が必要になるため、 いずれにせよ図面は作ることになります。 内覧の実測は、その図面の第一稿になります。
まとめ|飲食店の物件内覧で確認する8つのこと
排気ルートが取れずに物件を手放した場合の損失も試算しました。内覧の30分は、その損失を避けるための時間です。
最初にやるのは、天井の点検口を開けることです。懐中電灯を1本持っていくだけで、判定の精度が変わります。
| 費目 | 金額と、その計算 | 内覧の現地でできること(この費目を防ぐ動作) |
|---|---|---|
| 保証金の償却分 | 60万円(賃料30万円×2か月)。契約時に決まっており、退去しても返らない | 契約前に償却の月数を確認する。内覧の場で不動産会社に口頭で聞き、その場でメモする |
| 仲介手数料 | 30万円(賃料1か月分)。契約成立時に発生し、解約しても戻らない | 手数料の金額と、返金の条件があるかを聞いて記録する |
| 判明までの賃料 | 90万円(30万円×3か月)。設計を進めながら払い続けることになる | 点検口を開けて排気ルートを確かめる。ここで見つかれば、この90万円は発生しない |
| 設計と調査の費用 | 50万円。基本設計まで進んだ段階で判明したという想定 | 内覧の写真を先に内装会社へ送る。設計に入る前に、写真だけで一次判定してもらう |
| 合計 | 230万円 | — |
| 1人分の粗利に換算 | 230万円 ÷ 2,100円 = およそ1,096人分 | — |
| 1日あたりに換算 | 1,096人 ÷ 300日(月25日×12か月)= 1日およそ3.7人分 | — |
| よく見かける数値 | 書かなかった理由 | 代わりに、内覧の現地でできること |
|---|---|---|
| 「厨房は全体の3割」といった面積比 | この比率の出所を示せる公的資料を、編集部では見つけられなかった。業態と席数によって適正値が大きく変わるため、比率で語ること自体に無理がある | 労働安全衛生規則第600条の気積を目盛りにして、同時に立つ人数と天井高から必要な床面積を逆算する(【確認3】) |
| グリース阻集器の「標準的な容量」 | 名古屋市は容量等に関する基準を設けていないと明言している。全国一律の数値も見つからなかった | 既存の阻集器の位置と大きさを撮り、容量の算出は排水設備工事の申請時に専門業者へ委ねる(【確認5】) |
| 飲食店の「必要電気容量は何キロボルトアンペア」 | 機器の構成で決まるため、業態別の代表値を示す公的資料が見つからなかった | 使用予定の厨房機器リストに消費電力を書き込み、同時に使う機器の合計を出す(【確認1】) |
| 排気ダクトの「一般的な工事費」 | 経路の長さと曲がりの数、建物の構造で桁が変わる。相場として提示できる出典が見つからなかった | 厨房予定地から最も近い外壁までの直線距離と、途中の障害物の数を測って記録し、見積もりの前提として渡す(【確認4】) |
| 「内覧同行の費用は無料が一般的」 | 会社ごとに方針が異なり、統計も業界団体の公表資料も見つからなかった | 問い合わせの時点で「内覧同行に費用は発生しますか」と直接聞いて記録する |
| 「居抜きはスケルトンより工事費が何割安い」 | 既存設備の状態で結果が反転する。裏づけとなる公的統計が見つからなかった | 残っている造作と機器を1点ずつ数え、使うもの・撤去するものに仕分けて写真に撮る(居抜きの章) |