契約書に書いてあるのは「解約する場合は6か月前までに書面で通知する」の一行だけ。その6か月で何をどの順番で終わらせるかは、どこにも書かれていません。
移転では3つの現場が同時に動きます。旧オフィスの原状回復、新オフィスの内装工事、そして引越し当日。日程を握っている相手が、それぞれ違います。
新規開業との違いは、やめる側の日程があることです。解約予告の期限から逆算しないと、二重家賃が膨らみます。
この記事でわかること
- 自社の賃貸借契約書から解約予告の起算日と期限を読み取り、そこから逆算した日程表を自分で作る手順
- 二重家賃の期間を感覚ではなく3つの日程の差として計算し、社員1人あたりの月額に翻訳する方法
- 旧オフィスの原状回復について、解約を通知する前にやっておくことと、指定業者がいる場合の見積の見方
- 新オフィスの工事で移転特有の論点になる既存什器の実測、電気容量、間仕切りと排煙、消防の確認順序
- 移転でいちばん遅れやすい回線工事と電話について、申込時に相手へ聞いておくこと
- 引越し当日に両方のビルで確認しておくことと、什器と書類が産業廃棄物と事業系一般廃棄物のどちらになるかの分け方
- 登記・税務署・年金事務所・労働基準監督署・ハローワーク・郵便について、それぞれの提出期限を条文と公式ページで確認した一覧
移転は2つの工事が同時に進む
旧と新、両方の工事の日程が噛み合わないと、どちらかで待ち時間が生まれます。その待ち時間が、そのまま二重家賃です。
| 現場 | 日程を握っているのは誰か | 自分で先に確かめること |
|---|---|---|
| 新オフィス | 自社と内装会社。ただしビル管理会社の内装工事申請と、回線事業者の工事日は相手が決める | 賃貸借契約書の工事に関する条項と、ビルの内装工事に関する規定を、申込みの前に写しでもらう |
| 旧オフィス | 貸主。予告期間、明け渡しの期限、指定業者の有無がすべて契約書で決まっている | 解約条項と原状回復条項を、日付の入る形(何月何日までに何を終える)に書き直してみる |
| 会社の登記・届出 | 法令。移転日を起点に5日、10日、2週間という期限が別々にかかる | 移転日を仮に置き、5日後・10日後・14日後の3つの日付をカレンダーに先に書き込む |
| 項目 | 移転では何が変わるか | 自分でやっておくこと |
|---|---|---|
| 日程の起点 | 開業日ではなく、旧オフィスの明け渡し日が起点になる。後ろへずらす自由がない | 契約書の予告期間から明け渡し日の候補を2〜3案作り、それぞれの二重家賃を計算しておく |
| 什器・備品 | ゼロから選ぶのではなく、持っていくものと処分するものの仕分けが先に来る | 持っていく什器を1点ずつ実測し、幅・奥行・高さを一覧にして内装会社へ渡す |
| 業務の継続 | 営業を止められない。ネットワークと電話が止まる時間の上限が制約になる | 業務が止まってよい時間帯(休日か夜間か)を役員に確認し、日程の前提として文書化する |
| 費用の出方 | 新オフィスの工事費と旧オフィスの原状回復費が近い時期に重なる | 支払時期を月単位で並べた資金繰り表を作り、いちばん厚い月がいつかを確認する |
| 住所の情報 | 登記・届出・名刺・取引先・地図情報まで、住所が載っているものすべてを直す必要がある | 会社の住所が載っている媒体を洗い出す。名刺、封筒、請求書、ウェブサイト、地図情報など |
| 原状回復の相手 | ビル指定業者が定められていると、相見積もりが取れないことがある | 契約書に指定業者の定めがあるかを確認し、あれば概算の依頼を早い段階で出す |
統計で確かめる|事務所の量と、空室
法人土地・建物基本調査に、法人が所有する建物の利用現況と空室の割合が出ています。移転先の探しやすさの目盛りになります。
| 利用現況 | 件数と延べ床面積 | 移転を考えるときに使えること |
|---|---|---|
| 事務所 | 25.7万件(18.3%)/393平方キロメートル(15.7%) | 件数は最多だが面積では2位。自社が探す区画は数が多く小さい市場にあると理解して、探す期間を長めに取る |
| 住宅 | 25.3万件(18.1%)/247平方キロメートル(9.9%) | 同じ建物に住宅が入っている場合、搬出入時間や騒音の制約が強くなる。内覧時に上下階の用途を確認する |
| 工場 | 20.7万件(14.8%)/662平方キロメートル(26.5%) | 1件あたりが大きい。工場に併設された事務所区画を借りる場合は、電気の契約種別が事務所向けか確認する |
| 店舗 | 18.8万件(13.4%)/316平方キロメートル(12.6%) | 店舗ビルの上層階を事務所として借りる場合、下層階の営業時間が搬出入の時間帯を縛る |
| 倉庫 | 15.4万件(11.0%)/242平方キロメートル(9.7%) | 倉庫併設の事務所は空調と断熱が弱いことがある。内覧は真夏か真冬の同じ時間帯に行う |
| 医療施設・福祉施設 | 10.0万件(7.2%)/216平方キロメートル(8.7%) | 同居する場合は静粛性の要求が高い。会議室の位置と防音を設計の早い段階で相談する |
| 圏域 | 空室の割合と貸付可能延べ床面積 | 移転先を探す側の読み方 |
|---|---|---|
| 全国計 | 9.9%(貸付可能延べ床面積568平方キロメートルに対して) | 全体としては1割前後。自社の希望条件が特殊なほど、この平均から離れると考える |
| 三大都市圏 | 10.2%(貸付可能延べ床面積335平方キロメートル、全体の59.0%) | 貸しビルの量そのものは三大都市圏に集中している。候補エリアを広げれば選択肢は増える |
| 名古屋圏 | 8.6%(貸付可能延べ床面積39平方キロメートル、全体の6.9%) | 三大都市圏でいちばん空きが少ない。内覧の予約が取れるまでの日数を日程に織り込む |
| 東京圏 | 9.7%(貸付可能延べ床面積203平方キロメートル、全体の35.7%) | 母数が大きいぶん、条件に合う区画は見つかりやすい。支社移転の比較材料になる |
| 大阪圏 | 12.1%(貸付可能延べ床面積93平方キロメートル、全体の16.3%) | 三大都市圏でいちばん空きが多い。条件交渉の余地は相対的に大きいと考えられる |
| 地方圏 | 9.2%(貸付可能延べ床面積225平方キロメートル、全体の39.6%) | 郊外への移転を検討する場合、区画の空きよりも駐車場と通勤手段のほうが制約になりやすい |
| 用途 | 令和6年度計の受注高と前年度比 | 見積を取るときに使えること |
|---|---|---|
| 事務所 | 2兆2,053億円(対前年度比10.8%減)。非住宅の用途別で最大 | 事務所の改装を手がけている会社は多い。3社以上から見積を取り、比較できる市場だと考えてよい |
| 生産施設(工場、作業場) | 2兆475億円(同13.8%増) | 工場併設の事務所は、工場側の実績がある会社のほうが電気と動力の相談がしやすい |
| 物販店舗 | 8,358億円(同13.8%減) | 店舗系の会社にオフィスを頼む場合、事務所の実績件数を必ず個別に確認する |
| 医療施設 | 4,216億円(同1.6%増) | 静粛性や区画の要求が近い。医療施設の実績は、会議室の遮音を頼むときの参考になる |
| 学校の校舎 | 3,876億円(同21.9%減) | 研修スペースを持つオフィスでは、什器の可動性と電源計画の考え方が近い |
| 非住宅建築物 計 | 9兆6,984億円(同7.7%増) | 全体は増えている。工事会社の手が埋まりやすい時期があると想定し、早めに声をかける |
確認1〜2|解約予告の期限と、二重家賃
物件探しより先に、契約書を読んでください。予告期間と、起算日の基準。「発信の日」か「到達の日」かで1か月ずれます。
二重家賃が伸びる原因は決まっています。新オフィスの工事の遅れと、原状回復の着工待ち。短くする手段も表にしました。
| 場面 | 条文と内容 | 自社の契約書で確かめること |
|---|---|---|
| 期間の定めがない契約を借主が解約する | 民法第617条第1項第2号。建物の賃貸借は解約の申入れの日から三箇月を経過することによって終了する | 契約書に契約期間の定めがあるか。あればこの条文は直接は使えないので、次の行を確認する |
| 期間の定めがある契約を借主が中途解約する | 民法第618条。一方または双方が期間内に解約をする権利を留保したときは前条の規定を準用する | 「本契約は◯か月前までに書面で通知することにより解約できる」という趣旨の条項があるかを探す |
| 貸主から解約を申し入れられた | 借地借家法第27条第1項。解約の申入れの日から六月を経過することによって終了する | この六月は貸主からの申入れの場合。自社が出ていく場合の期間と混同していないか確認する |
| 貸主が更新を拒絶してきた | 借地借家法第26条第1項(期間満了の一年前から六月前までの通知)、第28条(正当の事由) | 通知の日付が一年前から六月前までの範囲に入っているかを、受け取った書面の日付で確認する |
| 契約が定期建物賃貸借だった | 借地借家法第38条第1項・第3項・第6項。更新がなく、期間満了で終了する旨をあらかじめ書面で説明する必要がある | 契約時に更新がない旨の説明書面を受け取っているか。中途解約の特約が入っているかを確認する |
| 敷金が返ってくるか | 民法第622条の2第1項第1号。賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたときに残額を返還する | 敷金・保証金の額と、償却(返還しない部分)の定めがあるかを金額で書き出す |
| 決めること | 曖昧なままだと何が起きるか | 自分で確認・実行すること |
|---|---|---|
| 通知の宛先 | 管理会社に出したが契約上は貸主宛てだった、という理由で受理が遅れる | 契約書の通知条項を読み、宛先と住所を書き写す。不明なら書面で問い合わせて回答をもらう |
| 起算日 | 発信日か到達日かで、明け渡し日が数日から1か月ずれる | 契約書の文言を確認し、到達日基準なら配達の記録が残る方法で送って到達日を控える |
| 通知の方法 | 口頭やメールで伝えたつもりでも、書面と定められていれば効力が問題になる | 契約書が書面と定めているなら書面で出す。控えを取り、送付方法と日付を残す |
| 記載する明け渡し日 | 原状回復の完了日なのか鍵の返却日なのかが曖昧で、賃料の締めがずれる | 「原状回復工事を完了し、鍵を返却する日」として日付を1つ明記する |
| 撤回できるか | 新オフィスの契約が流れても、解約は取り消せないことがある | 新オフィスの賃貸借契約書に署名してから解約通知を出す。この順序は入れ替えない |
| 原状回復の着手日 | 明け渡し日の直前まで自社が使っていて、工事が入れない | 通知書または別紙で、原状回復に着手する予定日を先に共有しておく |
| 原因 | なぜ期間が伸びるか | 先に決めておくこと |
|---|---|---|
| 契約開始日と着工日が離れている | 賃料は契約開始日から発生するのに、工事が始まらない空白の期間ができる | ビルの内装工事申請にかかる日数を管理会社に確認し、契約開始日を申請完了の見込みに合わせて交渉する |
| レイアウトの確定が遅れる | 図面が決まらないと着工できない。什器の発注も止まり、納期がさらに後ろへずれる | レイアウトの決裁者を1人に決め、決裁の期限日をカレンダーに入れる |
| 回線工事の日程が後ろになる | 工事日が事業者の都合で決まるため、内装が終わっていても引越しできない | 物件が決まった時点で申込を出し、工事希望日に対する回答をいつまでにもらえるかを確認する |
| 原状回復の着手が引越しの後になる | 引越し当日まで旧オフィスを使っていると、そこから工期の日数がまるごと乗る | 引越しの翌営業日に着手できるよう、原状回復の業者と日程を先に押さえる |
| 什器の納期が読めていない | 工事が終わっても什器が入らず、引越しできない日が発生する | 発注前に納期を書面でもらい、工事完了日の何日後に搬入できるかを確認する |
| 搬出入できる曜日・時間が限られる | ビルの規定で土日や夜間しか作業できず、1回で終わらない | 両方のビルの搬出入ルールを内覧の段階で書面でもらい、必要な作業日数を計算する |
| 手段 | どの程度効くか・いつまで有効か | 実行すること |
|---|---|---|
| フリーレントを交渉する | 工事期間中の賃料が免除されれば、その月数がそのまま二重家賃から消える。契約締結後は交渉できない | 条件交渉の段階で工事期間中の賃料の扱いを議題に出す。口頭で終わらせず契約書に書き込む |
| 契約開始日を後ろにずらす | 着工できる日と契約開始日をそろえれば、空白の期間が消える | 内装工事申請にかかる日数を管理会社に確認し、その日数を根拠に開始日を提案する |
| 原状回復を引越し翌日に始める | 旧オフィスの賃料が止まる日が、工期のぶんだけ前倒しになる | 引越し業者と原状回復業者を同席させ、鍵の受け渡しと着手日を1枚の紙で共有する |
| 造作を減らす設計にする | 間仕切りを可動式にするなど、工期そのものを短くできる。設計の初期にしか選べない | 基本設計の段階で「工期を短くするなら何を変えられるか」を設計者に質問する |
| 引越しを分割する | 什器を先に入れ、書類とパソコンを後日にすると、業務停止時間を短くできる | 両方のビルの搬出入可能日を並べ、2回に分けたときの追加費用を引越し業者に見積らせる |
| 工期を無理に詰める | 割増費用と手直しが発生する。金額として逆転することがあり、対策としては最後の手段 | 詰めた場合の追加費用を必ず金額で出してもらい、削れる賃料と並べて比べる |
解約予告の期限から逆算する手順
- 賃貸借契約書の解約条項を読み、予告期間(◯か月)と起算日の基準(発信か到達か)を書き出す。
- 原状回復条項を読み、回復すべき範囲と、明け渡しの期限が予告期間の満了日なのか、その前なのかを確認する。
- 原状回復にかかる工期の概算を、業者に現地を見てもらったうえで日数で出してもらう。
- 明け渡し日から原状回復の工期を引いて、旧オフィスを空にしなければならない日を出す。
- その日から逆に、引越し当日、什器の搬入日、新オフィスの工事完了日を並べる。
- 新オフィスの工事完了日から工期を引いて、着工日を出す。
- 着工日から、実施設計・見積確定・工事請負契約・ビルへの内装工事申請に必要な日数を引く。
- そこからさらに、レイアウト確定・什器の選定・回線の申込に必要な日数を引く。
- ここまで引いて出てきた日付が、新オフィスの賃貸借契約を結ぶべき日のおよその目安になる。
- その日付から予告期間を足した日が、解約通知を出す日です。カレンダーに印を付けて、社内で共有する。
確認3|旧オフィスの原状回復
条項の書きぶりで、範囲がまったく変わります。「原状に復して」だけの一文でも、指定業者の定めがあれば金額は動きません。
見積を比べるには、先に情報をそろえます。入居時の写真、工事の履歴、図面。これがないと、どこまでが自分の負担か分かりません。
| 契約書によくある書き方 | 何が決まっていないか | 貸主・管理会社に確認する言い方 |
|---|---|---|
| 「入居時の原状に復して返還する」 | 入居時の状態が記録されていなければ、どこまで戻すかが決まらない | 「入居時の引き渡し図面と写真をお持ちでしたら共有をお願いします」と書面で依頼する |
| 「スケルトン状態にして返還する」 | 天井・床・空調・分電盤のどこまでを撤去するかが幅を持つ | 撤去する範囲を、部位ごとに「残す・撤去する」の一覧にして書面で確認する |
| 「賃貸人の指定する業者により施工する」 | 相見積もりが取れない。金額の妥当性を比べる相手がいない | 指定業者名を確認し、見積の内訳に数量と単価が記載されるかを事前に聞く |
| 「通常損耗を含め賃借人の負担とする」 | 民法第621条が除いている部分まで負担する内容になっている | この条項の有無を確認し、該当する場合は費用の見込みを早い段階で概算してもらう |
| 「明け渡しまでに工事を完了する」 | いつから工事に入れるかが書かれていない。使い続けると工期が確保できない | 「◯月◯日に退去し、翌営業日から工事に入りたい」と日付を入れて申し入れる |
| 「敷金から工事費を充当する」 | 敷金を超えた分の請求時期と方法が決まっていない | 敷金の額と、超過した場合の支払期限を、概算見積を見ながら確認する |
| 集めるもの | なぜ必要か | どこから入手するか |
|---|---|---|
| 入居時の引き渡し図面 | 自社が施工した部分と、入居時から存在した部分を切り分ける根拠になる | 入居時の資料一式を探す。手元になければ管理会社に写しを依頼する |
| 入居時の写真 | 図面に出ない仕上げの状態(床材、壁の色、天井の割付)を確かめられる | 当時の担当者の記録、社内の共有フォルダ、入居時の社内報などを探す |
| 入居後に行った工事の記録 | 増設した間仕切りや配線が、自社の施工であることを特定できる | 過去の請負契約書と完成図面を経理・総務の書庫から集める |
| 現在の平面図(実測) | 数量の根拠になる。面積が違えば金額も違う | 管理会社から現状の図面をもらい、主要な寸法を自分でメジャーで確かめる |
| 工事区分の資料 | ビル側が施工する部分と自社が施工する部分の境目が分かる | 入居時に受け取った工事区分表を探す。なければ管理会社に現行のものを依頼する |
| 搬出入と作業時間の規定 | 夜間・休日しか作業できないと工期と金額が変わる | ビルの管理規則を書面でもらい、作業可能時間帯と養生の範囲を確認する |
確認4〜5|新オフィスの工事と、ネットワーク
新オフィスも決める順番があります。レイアウト、電気容量、空調、消防。決まらないと止まるものを表にしました。
ネットワークと電話は、申込みから開通までに日数がかかります。工事の日程より先に手を付けてください。
| 決めること | 先に決めないと何が止まるか | 自分で確かめる方法 |
|---|---|---|
| 持っていく什器の寸法 | レイアウトが確定しない。什器の追加発注も決められない | 現オフィスで1点ずつ実測し、幅・奥行・高さと台数の一覧を作って内装会社に渡す |
| 在席する最大人数 | 席数が決まらず、必要な電源回路数と空調の能力も決まらない | 2〜3年後の人員計画を役員に確認し、増員したときの席の追加余地を数字で置く |
| 個室・会議室の数と位置 | 間仕切りの位置が決まらず、排煙と消防の検討に入れない | 週の会議の件数と同時開催の最大数を1か月ぶん数え、必要な部屋数を根拠付きで決める |
| サーバー・通信機器の置き場 | 配線ルートが決まらず、OAフロアの高さも確定できない | 現在の機器の寸法・発熱・電源容量を控え、置き場に専用回路と換気が必要かを確認する |
| 電気の容量と回路の分け方 | 分電盤の増設が必要かどうか判断できず、着工後の追加工事になる | 現オフィスの分電盤の写真を撮り、回路数と主幹の容量を控えて新オフィスと比べる |
| 空調の系統と時間外運転 | 残業時の空調が使えるか分からず、追加の空調機が必要になる場合がある | ビルの空調が中央方式か個別方式かを確認し、時間外運転の可否と料金を書面でもらう |
| 什器の種類 | 移設で問題になりやすいこと | 自分で確かめること |
|---|---|---|
| デスク・チェア | 数が多く、運送費が積み上がる。年数が経つと座面や脚部の劣化が目立つ | 台数と購入年を一覧にし、運送費の見積と買い替えの見積を並べて比べる |
| 書庫・キャビネット | 中身を空にしないと運べない。転倒防止の固定を新オフィスでやり直す必要がある | 中身を先に整理し、移転後も残す書類の量を段ボール何箱ぶんかで数える |
| 金庫 | 重量があり、エレベーターの積載制限や床の耐荷重に引っかかることがある | 金庫の質量を本体の表示で確認し、両方のビルのエレベーター積載量と照らす |
| 複合機・大型プリンター | リース契約の移設手続きが必要。専用回路や設置スペースの条件がある | リース会社に移設の可否と手続きの期限を確認し、必要な電源仕様を書面でもらう |
| サーバー・ネットワーク機器 | 停止できる時間が限られる。移設中に業務が止まる | 停止可能な時間帯を決め、移設作業の担当(社内か委託か)を氏名で確定する |
| 造作した間仕切り・造り付け家具 | 持っていけない。撤去して原状回復の対象になる | 撤去の対象になる造作を写真で洗い出し、原状回復の見積に含まれているか確認する |
| 項目 | 遅れると何が止まるか | 申込時に相手へ聞くこと |
|---|---|---|
| 建物への引込の有無 | 引込がなければ建物側の工事が先に必要になり、日程が大きく後ろへずれる | 「この建物にこの回線の引込はありますか。なければ何の工事が必要ですか」と物件確定前に聞く |
| 工事希望日への回答期限 | 回答を待つあいだ、引越し日を確定できない | 「希望日に対する可否の回答は、申込からいつまでにもらえますか」と期限を数字で確認する |
| 室内の配線工事の範囲 | 事業者の工事が壁面まで、その先は別業者、という切れ目で工事が止まる | 「事業者側の工事はどこまでですか。その先は誰が行いますか」と図面上の位置で確認する |
| 電話番号を継続できるか | 番号が変わると名刺・封筒・請求書・地図情報をすべて刷り直すことになる | 移転先の住所を伝えて「この住所で現在の番号を継続できますか」と確認し、回答を記録する |
| 旧オフィスの回線をいつ止めるか | 止めるのが早すぎると業務が止まり、遅すぎると使わない回線の料金を払う | 解約の申込に必要な日数を確認し、引越し日を基準にした解約日を先に決める |
| ビル側の設備制約 | 希望の回線が物理的に引けず、契約後に判明する | 管理会社に導入できる回線事業者と種別を書面でもらい、事業者側にも突き合わせて確認する |
| 経路 | 向いている場面・注意点 | 内覧時に確かめること |
|---|---|---|
| OAフロア(二重床)の下 | 席の移動に強い。ただし床の高さが上がるため、天井高と入口の段差に影響する | 既設のOAフロアがあるか、なければ入れられる天井高があるかを実測で確認する |
| 天井内 | 床を上げずに配線できる。天井を開ける工事が必要で、点検口の位置が制約になる | 天井を開けられるか、点検口の位置と数を管理会社に確認する |
| 壁の中(隠蔽配線) | 見た目がきれい。あとから増設できず、壁を壊すことになる | 将来の増設余地として空配管を入れられるか、設計者に確認する |
| 床上のモール | 費用が安く、あとから変更しやすい。つまずきの原因になり、見た目も落ちる | 来客が通る動線とモールの位置が重ならないか、平面図の上で確かめる |
| 柱・什器に沿わせる | 什器の配置に依存する。什器を動かすと配線もやり直しになる | その什器を今後3年動かさないと言い切れるかを、部門長に確認する |
| 無線(アクセスポイント) | 配線が減る。ただしアクセスポイントの電源と有線の引き込みは必要 | アクセスポイントを設置する天井位置と、そこまでの電源・LANの経路を図面に入れる |
確認6〜7|引越し当日と、届出
当日までに、両方のビルで確認しておくことがあります。搬入出の時間帯、エレベーターの使用申請、養生。
オフィスから出るものには廃棄物の区分があります。机や椅子は産業廃棄物です。処分先が違います。
届出には提出期限があります。行政以外にも、連絡が必要な相手が並びます。
| 確認項目 | 確認しないと当日に起きること | いつ・誰に聞くか |
|---|---|---|
| 作業可能な曜日と時間帯 | 平日昼間に作業できず、当日に人と車が待機したまま動けない | 内覧の段階で管理会社に。口頭ではなく管理規則の写しをもらう |
| 使用できるエレベーター | 荷物用がなく、来客用エレベーターも使えず、階段で運ぶことになる | 管理会社に。かご内の寸法と積載量、養生の要否まで数字で確認する |
| 養生の範囲と方法 | ビル指定の養生をしておらず、作業を止められる | 管理会社に。養生する箇所(床・壁・エレベーター)を図面上で確認する |
| 車両の駐車スペース | トラックが停められず、路上駐車で近隣から苦情が出る | 管理会社に。停められる場所と台数、時間制限を確認する |
| 事前の届出の要否 | 作業届を出しておらず、当日にビルへ入れない | 管理会社に。届出書式と提出期限(何日前までか)を確認する |
| 鍵の受け渡しと返却 | 新オフィスの鍵が当日に受け取れず、搬入できない | 貸主・管理会社の双方に。受け渡しの日時と場所、本数を書面で確認する |
| 品目 | 区分と根拠 | 自分で確認・実行すること |
|---|---|---|
| スチール製デスク・書庫・ロッカー | 金属くず。施行令第2条第6号。業種の限定なし。産業廃棄物 | 産業廃棄物処理業者に委託し、マニフェストを交付して写しを保存する |
| プラスチック製の椅子・収納 | 廃プラスチック類。法第2条第4項第1号に明記。産業廃棄物 | 金属部分と一体のものは、処理業者に品目の扱いを事前に確認する |
| ガラス製のパーティション・鏡 | ガラスくず。施行令第2条第7号。産業廃棄物 | 解体して搬出する場合は、養生と運搬の方法を業者と当日前に打ち合わせる |
| 書類・段ボール | 紙くず。施行令第2条第1号は業種を限定しており、通常の事務所は該当しない。事業系一般廃棄物 | 一般廃棄物の収集運搬許可業者に委託する。機密文書は溶解処理などの方法を選ぶ |
| 木製の家具・棚 | 木くず。施行令第2条第2号も業種を限定しており、通常の事務所は該当しない。事業系一般廃棄物 | 金属の脚が付いた木製家具は複合物になるため、区分の判断を委託先に確認する |
| パソコン・複合機などのOA機器 | 金属くず・廃プラスチック類などの混合。産業廃棄物にあたるものが含まれる | メーカーの回収窓口があるかを先に確認し、なければ産業廃棄物として委託する |
| 届出先と書類 | 期限と根拠 | 自分で用意・確認すること |
|---|---|---|
| 年金事務所|適用事業所名称/所在地変更(訂正)届 | 事実発生から5日以内。日本年金機構が提出時期として公表。提出先は変更前の所在地を管轄する年金事務所 | 法人(商業)登記簿謄本のコピーが添付書類。提出日からさかのぼって90日以内に発行されたものが必要 |
| 労働基準監督署|労働保険 名称、所在地等変更届 | 変更を生じた日の翌日から起算して10日以内。労働保険徴収法施行規則第5条第2項 | 労働保険番号を控えておく。同項は労働保険番号、変更事項と内容、理由、変更年月日の記載を求めている |
| ハローワーク|雇用保険事業主事業所各種変更届 | 変更があつた日の翌日から起算して10日以内。雇用保険法施行規則第142条第1項 | 登記事項証明書、賃金台帳、労働者名簿など変更を証明できる書類を添える。提出先は事業所の所在地の管轄 |
| 法務局|本店移転登記 | 移転から2週間以内。会社法第915条第1項、管轄外への移転は第916条 | 管轄外なら旧所在地を経由し、新旧2件の申請を同時に行う(商業登記法第51条第1項・第2項) |
| 税務署|異動届出書 | 異動後速やかに。日数の定めはない。国税庁「C1-8 異動事項に関する届出」。根拠は法人税法第15条・第20条など | 提出先は異動前の納税地の所轄税務署長。都道府県税事務所・市町村への届出も別に必要になる |
| 郵便局|転居届 | 期限はないが、転送期間は届出日から1年間(転送開始希望日からではない)。日本郵便 | 1年で切れる。更新には再度の手続が必要なので、1年後の日付を担当者のカレンダーに入れておく |
| 相手 | 伝えないと何が起きるか | いつ・どう伝えるか |
|---|---|---|
| 取引先(請求・支払) | 請求書が旧住所に届き、入金が遅れる。督促の連絡も届かない | 移転の1か月前までに書面またはメールで。新住所・新電話番号・適用開始日を明記する |
| 金融機関 | 通知物が届かず、口座の届出住所と登記が食い違う | 登記完了後すみやかに。登記事項証明書が必要になるため、取得の予定に含めておく |
| リース会社・保守契約先 | 複合機やサーバーの設置場所が契約と違う状態になる | 移転の2か月前までに。移設の可否と手続きの期限、追加費用を確認する |
| 保険会社 | 火災保険や什器の保険の対象物件が旧住所のままになる | 新オフィスの契約が決まった時点で。補償の切り替え日を移転日に合わせる |
| 印刷物(名刺・封筒・請求書) | 移転後も旧住所の書類を使い続けることになる | 電話番号が継続できるか確定してから発注する。番号未確定のまま刷ると刷り直しになる |
| ウェブサイト・地図情報 | 検索して来社した方が旧住所にたどり着く | 移転日に合わせて更新する。地図情報の運用はGoogleビジネスプロフィールで来店を増やす7つの対策|地図検索から実際の来店までを参照 |
引越し当日の順序
- 新オフィスの内装工事を完了させ、施主検査を行って手直しを終える。
- ネットワークの開通を確認する。書面ではなく、実際に通信できることを自分の目で確かめる。
- 什器を搬入し、配置図どおりに設置する。什器の設置と引越しは日を分けたほうが当日が楽になる。
- 旧オフィスで、持っていくものと処分するものを箱と札で完全に分ける。
- 引越し当日、旧オフィスから搬出し、新オフィスへ搬入する。
- 廃棄物を処理業者に引き渡し、産業廃棄物についてはマニフェストを交付して写しを保管する。
- 旧オフィスを空にして、貸主または管理会社の立ち会いを受ける。
- 翌営業日から原状回復に着手する。着手日は事前に業者と共有しておく。
- 原状回復の完了を確認し、鍵を返却する。返却日を賃料の締めと一致させる。
- 敷金・保証金の精算内容を書面で受け取り、控除された項目の内訳を確認する。
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よくある質問
オフィス移転について、編集部に寄せられることの多い質問を4つ選びました。 いずれも、日程と金額に直結するものです。
回答には、条文や公式ページで確認できた内容と、確認できなかった内容を分けて書いています。 確認できなかったものについては、その旨を明記しました。
数値を示せないところでは、代わりに自社で確かめる手順を書いています。 平均値より、自社の実数のほうが役に立つからです。
なお、契約や法令の解釈に関わる部分は個別の事情で結論が変わります。 判断に迷う場合は、契約書を持って専門家に相談してください。
以下の内容は2026年8月23日時点で確認したものです。 制度や手数料は改定されることがありますので、実行前に最新の情報を確認してください。
オフィス移転の準備は、いつから始めればよいですか?
始める日を決めるのは、カレンダーではなく現契約の解約予告期間です。 まず賃貸借契約書を開き、解約の申入れについて何か月前と書いてあるかを確認してください。
事業用の建物賃貸借では、契約書の特約で予告期間が定められているのが通常です。 特約がない場合、民法第617条第1項第2号は、期間の定めのない賃貸借について建物の場合は解約の申入れの日から三箇月を経過することによって終了すると定めています。
ただし借地借家法第27条第1項が六月と定めているのは賃貸人からの解約申入れであり、賃借人側の期間は契約書の定めによります。 ここを取り違えると、逆算の起点が半年ずれます。
定期建物賃貸借(借地借家法第38条)の場合は、そもそも中途解約の定めがなければ期間満了まで解約できないことがあります。 自社の契約がどれに当たるかを、先に確認してください。
実務上の逆算では、解約予告を出す時点で新オフィスの契約が済んでいる必要があります。 そのため、予告期間よりさらに数か月前から物件探しを始めることになります。
予告期間が6か月なら、準備の開始は移転の10〜12か月前という計算です。 なお「何か月前が一般的か」という統計は一次情報で確認できませんでしたので、この記事では自社の契約書の数字で逆算する手順のほうを示しています。
二重家賃は何か月分を見込めばよいですか?
月数を先に決めるのではなく、新オフィスの賃料発生日と旧オフィスの明け渡し日の差として計算します。 重なる期間を決めているのは3つの日程です。
新オフィスの内装工事の期間、什器の搬入と引越しの日程、そして旧オフィスの原状回復に必要な日数。 この3つはいずれも見積を取れば日数が出ますので、感覚で置かずに実際の日程で計算してください。
金額の翻訳も必ず行います。 たとえば新旧とも月額60万円の事務所で、重なる期間が3か月なら180万円です。 社員20人の会社なら1人あたり月3万円、3か月で9万円という単位になります。
これは新しい椅子や什器に回せたはずの金額と直接比べられます。 総額のままでは判断できないものが、この単位なら判断できます。
短くする方法は3つです。 フリーレントの交渉、契約開始日と着工日を近づけること、原状回復を引越し翌日に着手できるよう両社の日程を先につなぐことです。
逆に、二重家賃を嫌って工期を無理に詰めると割増や手戻りが出ます。 工期ではなく契約開始日のほうを調整してください。 なお「移転費用は1人あたりいくら」という数値は出典をたどれる一次情報が確認できなかったため、この記事では書いていません。
旧オフィスの原状回復は、いつ見積を取ればよいですか?
解約を通知する前です。 通知してしまうと、明け渡し日までの残り日数が固定され、そのなかに工事期間を収めなければならなくなります。
工期が残り日数に収まらなければ、賃料を延長して払うか、割増の日程で工事を組むかのどちらかになります。 順序を逆にするだけで、この分岐は避けられます。
契約書でまず読むのは4点です。 回復すべき範囲、指定業者の定めの有無、明け渡しの期限、そして敷金や保証金の償却の有無。
ビル指定業者の定めがある場合は相見積もりが取れませんので、内訳の数量と単価の根拠を出してもらってください。 そのうえで、自社が入居後に施工した部分と、入居時から存在した部分を切り分けます。
ここで役に立つのが入居時の引き渡し図面と写真です。 手元になければ、管理会社に写しを依頼してください。
なお、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)は、同省が利用にあたっての注意として賃料が市場家賃程度の民間賃貸住宅を想定していると明記しています。 事業用のオフィスにそのまま適用されるものではありません。
住宅向けの考え方を根拠に交渉するのは避け、まず契約書の文言と現地の実測に基づいて話をしてください。 「オフィスの原状回復は坪あたりいくら」という数値は、出典をたどれる一次情報が確認できなかったため書いていません。
移転にともなう届出には、それぞれいつまでという期限がありますか?
あります。 しかも期限がばらばらなので、移転日を起点にした一覧を作っておくことをおすすめします。
期限の短い順に並べると、まず健康保険・厚生年金保険の適用事業所名称/所在地変更(訂正)届が事実発生から5日以内で、日本年金機構が提出時期として公表しています。
労働保険の名称、所在地等変更届は、労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則第5条第2項により、変更を生じた日の翌日から起算して十日以内に所轄労働基準監督署長または所轄公共職業安定所長へ提出します。
雇用保険の事業主事業所各種変更届も、雇用保険法施行規則第142条第1項により、変更があつた日の翌日から起算して十日以内です。 提出先は事業所の所在地を管轄する公共職業安定所の長です。
本店移転の登記は、会社法第915条第1項および第916条により二週間以内です。 他の登記所の管轄区域内へ移転した場合は商業登記法第51条により旧所在地を管轄する登記所を経由し、新旧の申請を同時に行います。
税務署への異動届出書は、国税庁が提出時期を異動後速やかにとしており、日数の定めはありません。 ただし提出先は異動前の納税地の所轄税務署長です。
郵便の転送は日本郵便の転居届によるもので、転送期間は届出日から1年間です。 1年で切れますので、更新の要否を判断する日付も先に決めておいてください。
まとめ|オフィス移転で確認する7つのこと
二重家賃は「社員1人あたりいくらか」に翻訳できます。月額賃料60万円・社員20人なら、1か月で1人あたり3万円です。
今日やることは1つだけです。賃貸借契約書を出して、解約条項を読む。そこから、すべての日程が決まります。
| 重なる期間 | 金額と、別の単位への翻訳 | 自社で計算するときの式 |
|---|---|---|
| 1か月 | 60万円。社員1人あたり3万円。年商換算で売上4.8日分 | 賃料 ÷ 社員数 = 1人あたり。賃料 ÷(年商 ÷ 営業日数)= 売上の何日分 |
| 2か月 | 120万円。社員1人あたり6万円。売上9.6日分 | 1か月分の金額に月数を掛ける。単位を変えずに掛け算するだけでよい |
| 3か月 | 180万円。社員1人あたり9万円。売上14.4日分。約3週間ぶんの売上が消える計算 | 売上の日数が2週間を超えたら、決裁の場に必ず数字を出す目安にする |
| 4か月 | 240万円。社員1人あたり12万円。売上19.2日分 | ここまで来たら、移転日を後ろへずらす案と金額で比較する |
| 6か月(予告が遅れた場合) | 360万円。社員1人あたり18万円。売上28.8日分。1か月以上の売上が空の部屋に消える | 予告期間を読み違えた場合の最大損失として、必ず一度計算しておく |
| フリーレント1か月を獲得 | 60万円が浮く。社員1人あたり3万円が戻る。デスクとチェアなら数人分に相当する | 交渉で得られる金額を、什器の点数に置き換えて社内に説明する |
| 費目 | いつ出ていくか | 先に確認しておくこと |
|---|---|---|
| 新オフィスの敷金・保証金・礼金 | 賃貸借契約の締結時。移転の数か月前にまとまって出る | 金額と、償却(返還されない部分)の割合を契約書の条項で確認する |
| 内装工事費 | 請負契約の締結時と完了時に分割されることが多い | 支払時期と回数を請負契約書で確認する。着手金の割合も併せて確かめる |
| 什器・OA機器 | 発注時または納品時。工事完了の直前に集中しやすい | 納期と支払条件を発注前に確認し、リースにできるものがあるか検討する |
| 引越し費用・廃棄費用 | 作業日の前後。廃棄は重量で変動する | 廃棄する量を箱数と重量で見積り、処理手数料の単価を委託先に確認する |
| 旧オフィスの原状回復費 | 工事完了後。敷金から充当される場合と、別途請求される場合がある | 敷金で足りるか、超過分がいつ請求されるかを、概算見積の段階で確認する |
| 重なった期間の家賃 | 毎月。見積書には載らないため、資金繰り表に自分で書き込む必要がある | 新旧の賃料と重なる月数を掛けて、資金繰り表の該当月に自分で追加する |
| 時期 | この時期にしかできないこと | 具体的にやること |
|---|---|---|
| 検討を始めた日 | 契約書を読む。ここで予告期間を読み違えると、あとの全部がずれる | 解約条項・原状回復条項・通知条項の3つを書き写し、日付の入る形に直してみる |
| 物件を探し始める前 | 原状回復の概算を取る。通知後では工期が残り日数に収まらないおそれがある | 現地を見てもらい、金額と工期(日数)の概算を書面でもらう |
| 物件の内覧時 | ビルの規定を確認する。契約後に聞くと、答えが「できません」でも逃げ場がない | 工事区分表、内装工事の規定、搬出入ルール、導入可能な回線の4点を書面でもらう |
| 条件交渉のとき | フリーレントを交渉する。契約締結後は交渉できない | 工事期間中の賃料の扱いを議題に出し、合意内容を契約書に書き込む |
| 新オフィスの契約直後 | 解約通知を出す。契約前に出すと、契約が流れたときに戻れない | 契約書に署名した日付を確認してから、通知書を作成して指定の方法で送る |
| 着工までのあいだ | 回線を申し込む。工事日は事業者の都合で決まるので、早いほどよい | 回線と電話を申し込み、工事希望日への回答期限を確認して記録する |
| 工事中 | 什器の実測と配置図を作る。当日の指示を減らせる | 持っていく什器を実測し、新オフィスの平面図に配置番号を振った図を作る |
| 引越しの1か月前 | 取引先へ連絡する。移転後では請求書が届かず入金が遅れる | 新住所・新電話番号・適用開始日を書面で通知し、送付先の一覧を作って消し込む |
| 移転日の直後 | 行政の届出を出す。5日・10日・2週間の期限が同時に走る | 年金事務所(5日)、労基署とハローワーク(10日)、法務局(2週間)を担当者に割り当てる |