1店舗目のコピーは、たいてい失敗します。1店舗目の設計が前提にしていたものが、2店舗目の商圏には存在しないからです。

2店舗目にかかるお金は、1店舗目より軽くなることはまずありません。内装、機器、保証金、開店前の人件費と広告費で1,000万円から2,000万円という規模になります。

判断することは7つ。売上の分解、商圏、坪数と席数、標準化の線引き、工事金額の差、人、そして資金と既存店への影響。

この記事でわかること

  • 1店舗目の売上を客数×客単価×来店頻度に分解し、そのうち内装のどの部分が効いていたのかを特定する手順
  • 2店舗目の投資額から「回収に必要な1日のお客様の人数」まで一気に落とす計算の通し方(月商・営業利益・回収年数・客単価の4つで解けます)
  • 坪数と席数を1店舗目に合わせず、坪あたり売上と従業者1人あたり売上から適正規模を逆算する方法
  • 什器・サイン・厨房機器のように型番まで揃えるものと、レイアウトのように物件ごとに変えるものの線引きと、仕様書の作り方
  • 1店舗目の見積書を2店舗目の予算にしてはいけない理由と、金額差が出る物件条件・法規・時期の見分け方
  • 既存店から店長を1人抜いて売上が5%落ちたとき、2店舗合計の利益がいくらになるかを数字で解く方法
厨房機器は型番まで揃えないとレシピが再現できない。坪数と席数は候補物件の商圏から逆算する。通行量とファサードは平日と休日の両方で実測する。既存店の店長を2店舗目に出すと既存店の運営品質が一時的に落ちる。
1店舗目の売上は、その立地の条件の上に成り立っています|通行量や歩く速度が変われば、同じ内装でも同じ結果にはなりません。客数・客単価・来店頻度に分解して、どれが立地に依存していたかを先に確かめてください。

物件内覧のときに何を見るかは店舗物件の選び方|内装工事の視点で内覧時に確認する10のポイント、 開業費用の全体像は店舗開業にかかる費用の全体像|内装費のほかに必要な8つの費目、 計画書に落とす書き方は店舗開業の事業計画書はどう書くか|数字の根拠を作る8つの記入項目、 既存店をてこ入れして売上を戻す話は店舗リニューアルで売上改善を狙うなら何を変えるべきか|効果の出る5つの対策で扱っています。 この記事は、すでに1店舗を運営している方が、2店舗目を作るときに何を持っていき、何を変えるかの判断だけに絞ります。

1店舗目のコピーが失敗する構造

1店舗目の設計は、その立地の人の流れと、そこにいた客層を前提に決まっています。前提が変われば、同じ設計は最適ではありません。

1店舗目の設計が前提にしていたことと、2店舗目で確かめる方法
前提 1店舗目では何に支えられていたか 2店舗目の候補物件で確かめる方法
お客様が店の前で立ち止まる 歩道幅と信号待ちの位置。歩く速度が遅い区間だったため、看板とメニューが読まれていた 候補物件の前に15分立ち、通行人が何人「店の方向を見たか」を数える。平日夕方と土曜昼の2回行う
滞在時間が長い 席の間隔と照明。周辺に長く座れる店が少なく、居場所として選ばれていた 徒歩3分圏内の同業態を全部書き出し、席数と平均滞在時間を実際に入って確認する
2人以上での来店が多い 4人掛けテーブルの比率。周辺に住宅とオフィスが混在し、同行者のいる来店が中心だった 候補物件の周囲200メートルの建物用途を地図上で色分けし、住宅・オフィス・店舗の比率を出す
回転が読める 厨房の作業動線と席配置。ピークが1日2回に集中し、その時間に合わせた人員で回せていた 候補物件の周辺で、昼と夜の人通りを1時間ごとに30分ずつ数え、山が何時に来るかを記録する

判断1〜2|売上を分解してから、物件を探す

直近12か月の売上を、客数・客単価・来店頻度に分けます。どれが主力かで、2店舗目に必要な条件が変わります。

商圏は4つの指標で比べます。1店舗目と候補物件を、同じ物差しで並べる。感覚で「似た立地」と判断するのがいちばん危ない。

1店舗目の売上を分解する3つの指標と、2店舗目での使い方
指標 1店舗目のどの数字を取り出すか 2店舗目の物件選びでどう使うか
客数 レジの会計件数を月別・曜日別・時間帯別に出す。組数と人数の両方を分けて集計する 候補物件の前で数えた通行量と突き合わせ、必要な入店率を計算する。1日100人が必要で通行量が1,000人なら、入店率10%が前提になると分かる
客単価 売上÷会計人数。ランチとディナー、平日と休日を分けて出す。単価の高い商品の構成比も出す 候補エリアの同業態の価格帯を実地で調べ、同じ単価が通るかを確認する。通らないなら席数か回転数で埋める必要が出る
来店頻度 会員システムやポイントカードから、同一のお客様の年間来店回数の分布を出す。無ければ顔の分かる常連のお客様の人数を数える 候補物件の徒歩10分圏の世帯数・就業者数を調べ、頻度で成り立つ規模があるかを判断する。頻度型なら通行量の多さより定着のしやすさを優先する
2店舗目の投資回収を「1日のお客様の人数」まで落とす計算(すべて仮の数値による試算例)
段階 計算 自店で入れ替える数字
1店舗目の現状 月商450万円、売上高営業利益率6% → 営業利益は月27万円 直近12か月の平均月商と、決算書の営業利益÷12。役員報酬の取り方で率が変わるため、条件を揃えて出す
2店舗目の投資額 内装・厨房機器・什器・保証金・開店前費用の合計で1,500万円 1店舗目の実績に、今回の坪数比と物価上昇分を反映させた金額。見積もりが出るまでは概算でよい
回収に必要な月次利益 1,500万円÷60か月(5年)=月25万円 回収年数は借入の返済期間に合わせる。返済期間より長い回収計画は資金繰りが破綻する
必要な月商 25万円÷6%=月商417万円 2店舗目の営業利益率は初年度は低くなるため、3~6か月は下振れする前提で見る
1日あたりの売上 417万円÷25日=1日16.7万円 営業日数は定休日と年末年始を引いた実日数で計算する
1日あたりのお客様 16.7万円÷客単価3,000円=1日56人 1店舗目の客単価をそのまま使う。エリアの価格帯が低いなら単価を下げて計算し直す
1店舗目と候補物件で比較する4つの商圏指標
指標 設計のどこに影響するか 1店舗目と候補物件で同じやり方で数える方法
通行量 ファサードの開口、看板の大きさ、入口の位置。通行量が少ないほど、通りがかりではなく目的来店を前提にした外観が必要になる 平日18時台と土曜13時台に、店前を通る人を15分ずつ数えて4倍する。同じ曜日・同じ時刻に両方で実施する
時間帯の山 厨房の処理能力、レジの台数、席の回転設計。山が1回のお店と2回のお店では、必要な厨房面積が変わる 朝・昼・夕・夜の4回、それぞれ30分ずつ通行量を数え、グラフにする。山が何時に来て何時間続くかを記録する
同行者の人数 テーブルの大きさと席構成。一人が中心ならカウンター比率を上げ、2人以上が中心なら2人掛けを可動式にする 通行量を数えるときに、1人・2人・3人以上で分けてカウントする。ベビーカーや車椅子の有無も同時に記録する
想定滞在時間 椅子の座り心地、電源とWi-Fi、照明の照度、席の間隔。滞在が長いほど1席あたりの必要面積が増える 徒歩3分圏の同業態に実際に入り、隣のテーブルが入店してから退店するまでの時間を測る。3店舗で各2回行う

判断3〜4|坪数と席数、標準化の線引き

坪数と席数を1店舗目に合わせないでください。必要席数から逆算すれば、借りるべき面積が出ます。

揃えるものと、物件に合わせるもの。メニューとオペレーションは揃え、間取りは合わせる。線引きを表にしました。

坪数と席数を逆算する4ステップ(試算例。数値は仮定を含みます)
ステップ 計算の内容 自店で先に用意しておく数字
1. 必要年商を出す 判断1で出した必要月商417万円×12=年商5,004万円 投資額と回収年数。借入の返済期間を先に金融機関に確認しておく
2. 坪あたり売上で割る 5,004万円÷坪あたり年商158万円(中央値水準)=約32坪 1店舗目の年商÷1店舗目の店舗面積(坪)。物件資料の面積ではなく実測値を使う
3. 席数を割り付ける 32坪のうち厨房・バックヤードを35%とすると客席は約21坪。客席1席あたり0.8坪なら約26席 1店舗目の厨房比率と1席あたり面積。図面から実測して算出する
4. 人数と突き合わせる 年商5,004万円÷従業者1人当たり年商800万円=約6.3人 1店舗目の年商÷平均従業者数(経営者本人を含む)。募集して集まる人数と比べる
2店舗目で揃えるもの・変えるものの線引き
対象 揃えるか、物件に合わせるか 仕様書に書いておくこと
厨房機器 型番まで揃える。同じ火力・同じ庫内寸法でないと、レシピの再現性と作業時間が変わる メーカー名・型番・電源仕様・給排水の位置。1店舗目の納品書をそのまま添付する
作業台・シンクの高さ 寸法を揃える。高さが変わると立ち位置が変わり、教育のやり直しが発生する 床から天板までの寸法をミリ単位で指定。1店舗目の実測値を書く
サイン・ロゴ デザインと書体は揃える。大きさと設置位置は物件の条件に合わせる 入稿データの形式、色番号、最小サイズ。屋外広告物の届出が必要な場合の想定も書く
客席のレイアウト 物件に合わせて変える。柱・梁・窓の位置が違えば、同じ配置は物理的に入らない 席数の下限、通路幅の最小値、車椅子で通れる経路の確保。配置そのものは指定しない
席構成の比率 商圏に合わせて変える。判断2で数えた同行者の人数に応じて決める 1人席・2人席・4人以上の席の比率を、候補物件の実測結果とともに書く
照明 色温度と照度は揃える。器具の形状と台数は天井高に合わせて変える 色温度(ケルビン)、席面での照度(ルクス)、調光の有無。1店舗目で照度計を当てた実測値を書く
床・壁の仕上げ 材種は揃える。下地の状態によっては同じ工法が使えないため、代替案を用意する 製品名と品番、施工方法、使えない場合の代替候補を2つ。清掃方法も併記する
バックヤードの構成 機能は揃え、配置は変える。更衣・休憩・在庫の3つが取れているかで判断する 必要な機能と最小面積。従業員数から必要なロッカー数を計算して書く

判断5〜6|同じ図面でも金額は同じにならない/人が足りるか

建物が違えば、下地も設備も違います。同じ図面で見積を取っても、金額は一致しません。差が出る要因を表にしました。

人はレイアウトを描く前に決めます。既存店から異動させるなら、その穴をどう埋めるかまで含めて。

1店舗目と2店舗目で工事金額に差が出る要因
要因 なぜ金額が変わるのか 見積もりを依頼するときに確認すること
スケルトンか居抜きか 給排水・電気・ガス・空調をゼロから引くかどうかで、設備工事費が大きく変わる 「1店舗目と同じ仕様にした場合、設備工事だけでいくら差が出るか」を金額で出してもらう
建物の階数と搬入経路 2階以上やエレベーターのない建物では、資材の搬入に人手と時間がかかり、その分が工事費に乗る 厨房機器の最大寸法を伝え、搬入可能かと、搬入費が別途かかるかを書面で確認する
既存設備の状態 居抜きでも、給排気ダクトやグリストラップが使えなければ作り直しになる 内覧に内装会社の担当者を同行させ、流用できる設備と作り直す設備を一覧にしてもらう
用途変更・確認申請 床面積や用途によっては建築確認や用途変更の手続きが必要になり、設計料と期間が増える 物件の用途地域、延べ面積、現在の用途を伝え、手続きが必要かを設計者に判定してもらう
消防・排煙の要件 建物の規模や階数によって、必要な消防設備と排煙の設計が変わる 所轄の消防署への事前相談を、契約前に内装会社と一緒に行う。指摘事項を書面で持ち帰る
ビルの入居規約 指定業者の使用、作業時間の制限、原状回復の範囲が決められている場合、工事費が上がる 契約前に工事区分表と入居規約の写しを取り寄せ、内装会社に読んでもらう
着工の時期 職人の手配が繁忙期に重なると単価が上がる。資材価格も時期によって動く 希望する着工時期を伝え、その時期の見込みと、時期をずらした場合の差額を聞く
2店舗目の人員配置と、既存店に与える影響
配置の選択肢 既存店に起きること いつまでに何を決めるか
既存店の店長を2店舗目に出す 既存店の運営品質が一時的に落ちる。常連のお客様との関係が切れると、来店頻度が下がる 物件を探し始める6か月前までに後任を指名し、3か月間は並走させる。引き継ぎ項目を書面にする
経営者が2店舗目に入る 既存店から経営者がいなくなる。数字の管理と発注の判断を誰かに渡す必要が出る 着工の3か月前までに、既存店の発注・シフト・現金管理の権限を誰に渡すかを決めて文書化する
外部から店長を採用する 既存店は維持できるが、自店のやり方を教える時間が必要。教える側は既存店の人員から出る 開店の4か月前までに採用を確定し、2か月間は既存店で研修する。研修中の人件費を予算に入れる
既存店から複数人を出す 2店舗目の立ち上がりは早いが、既存店の売上が大きく落ちる可能性が高い 着工前に、既存店の必要人時を時間帯別に計算し、何人まで抜けるかを数字で確定する

判断7|資金と融資、そして既存店への影響

2店舗目を出すと、既存店の売上が落ちることがあります。同じ商圏なら、なおさらです。

5%落ちたときの2店舗合計を試算しました。合計で増えるかどうかが、判断の基準です。

既存店の売上が5%落ちたときの2店舗合計(すべて仮の数値による試算例)
項目 計算 自店で置き換える数字
1店舗目(出店前) 月商450万円、営業利益27万円 直近12か月平均の月商と、決算書の営業利益÷12
1店舗目(出店後) 売上5%減で月商427.5万円。減った22.5万円のうち、原価30%分は支出も減るため、利益の減少は22.5万円×70%=15.75万円。営業利益は27万円-15.75万円=11.25万円 自店の原価率。人件費と家賃は売上が落ちても減らないため、限界利益率で計算する
2店舗目(計画どおり) 月商417万円、営業利益率6%で25万円 初年度は利益率が下がるため、6か月目までは半分で見ておく
2店舗合計 売上844.5万円(出店前の1.88倍)、営業利益36.25万円(出店前の1.34倍) 売上の倍率と利益の倍率を必ず両方出す。この差が2店舗目の実質的な効果になる
増えた利益 36.25万円-27万円=月9.25万円 これが投資1,500万円に対する実際のリターン
実質の回収期間 1,500万円÷9.25万円=約162か月(13年6か月) 借入の返済期間と比べる。返済期間より長ければ、その計画は成立しない

2店舗目の準備は、いつ何を決めるか

4つの段階に分かれます。分解、物件探し、設計、そして人の手当て。契約前に自分で確認する項目も一覧にしました。

2店舗目の準備を4つの段階に分けた進め方
段階 この段階で決めること 1店舗目から用意する数字・書類
物件を探し始める前
(6か月以上前)
判断1と判断6。売上の分解、必要な月商と1日のお客様の人数、既存店から誰を出すか。後任の指名と育成の開始 直近12か月の月次売上と客数、会計単価、席ごとの利用率、決算書2期分、既存店のシフト表と時間帯別の必要人時
物件の契約前
(内覧から契約まで)
判断2と判断3と判断5。商圏の実測、必要な坪数と席数、物件条件による金額差の把握。相見積もりの依頼 1店舗目の平面図と実測面積、坪あたり売上、通行量の実測値、1店舗目の見積書と工事内訳書、工事区分表
着工前
(設計から契約まで)
判断4と判断6。標準仕様書の確定、揃えるものと変えるものの線引き、ピーク時の人数配置とレイアウトの確定 1店舗目の厨房機器の納品書と型番一覧、作業台の実測寸法、照明の色温度と照度、確定した人員配置表
開店前
(引き渡しから開店まで)
判断7。運転資金の残高確認、撤退・縮小の基準の文書化、既存店の売上を落とさないための体制の最終確認 資金繰り表(開店後12か月分)、既存店の直近3か月の月次推移、2店舗目の損益分岐点となる日商と客数
契約前に自分で確認する項目
  1. 直近12か月の月次売上を、客数と客単価に分けて出してある
  2. 1店舗目の売上のうち、新規のお客様と再来のお客様の比率が分かっている
  3. 候補物件の前で、平日と土曜の通行量を自分で数えた
  4. 1店舗目の坪あたり年商を計算し、必要な坪数を逆算した
  5. 2店舗目を何人で回すかを決め、そのうち何人を既存店から出すかを決めた
  6. 既存店の後任を指名し、引き継ぎの期間を確保した
  7. 内装会社の担当者を内覧に同行させ、流用できる設備を一覧にした
  8. 投資額と回収年数を決め、借入の返済期間と一致させた
  9. 既存店の売上が5%落ちた場合の2店舗合計の利益を計算した
  10. 開店後6か月分の固定費を、どこから確保するかを決めた

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よくある質問

2店舗目の相談で繰り返し聞かれる4つの質問をまとめました。 いずれも、判断そのものよりもどの順番で決めるかに関わる内容です。 出す時期をどう決めるか、内装会社を変えるべきか、融資は通りやすいのか、 そして規模を1店舗目より小さくしてよいのか。

この4つに自分なりの答えを持っておくと、物件情報が出てきたときに迷う時間が短くなります。 どれも、決めないまま進むと契約後に取り返しがつかなくなる論点です。

2店舗目はいつ出すのが正しいのですか?

「1店舗目が黒字になったら」という基準だけでは足りません。 判断の材料は、直近12か月の月次で営業利益が安定して出ているか、 経営者が抜けても既存店の売上が落ちない体制になっているか、 2店舗目の投資額を何年で回収する計画かの3つです。

日本政策金融公庫総合研究所の2025年度新規開業実態調査では、 現在の採算状況が「黒字基調」と答えた割合は67.0%でしたが、 これは開業から平均15.5か月の時点での回答であり、その状態が続くかどうかは別の話です。 少なくとも決算を2期通し、季節変動を含めた1年分の数字を見てから判断してください。

時期そのものより、既存店から人を1人抜いても売上が落ちない状態を作れているかどうかが、実際の分かれ目になります。

2店舗目も1店舗目と同じ内装会社に頼むべきですか?

1店舗目を担当した会社は、あなたのお店の使い方と運営の癖を知っているという点で有利です。 ただし「同じ会社だから同じ金額でできる」とは考えないでください。 物件の条件、法規の適用、着工の時期によって工事費は変わり、同じ図面でも見積書は別物になります。

依頼するときは、1店舗目の図面と仕様書を渡したうえで、今回の物件で変わる部分だけを明示してもらう形にしてください。 もう1社に相見積もりを取ることは、既存の会社を疑うためではなく、価格差の理由を言葉にしてもらうために有効です。

2店舗目の融資は1店舗目より通りやすいのですか?

実績があるという意味で材料は増えますが、審査で見られるものが変わります。 1店舗目の開業時は事業計画と自己資金が中心でしたが、 2店舗目では既存店の決算書と試算表が主な判断材料になります。 つまり、1店舗目の数字が良くなければ、実績があること自体が不利に働く場合もあります。

既存店の借入残高、返済の実績、直近12か月の月次推移を整理し、 2店舗目を出しても既存店の返済に影響が出ないことを示せる資料を用意してください。 なお審査基準は金融機関によって異なるため、条件や必要書類は必ず取引先の金融機関に直接確認してください。

2店舗目は1店舗目より小さくしてもよいのですか?

小さくすること自体は問題ありません。 判断の基準は坪数ではなく、坪あたりの売上と、その規模を回すのに必要な人数です。

日本政策金融公庫総合研究所の小企業の経営指標調査(2025年度調査、飲食店・宿泊業)では、 一般飲食店の店舗面積3.3平方メートル当たり売上高は平均2,220千円、中央値1,579千円でした。 1店舗目の坪あたり売上がこの中央値を下回っているなら、同じ坪数を確保しても売上は伸びません。

むしろ坪数を落として家賃と人件費を下げ、坪あたりの売上を上げるほうが、2店舗目の回収は早くなります。

まとめ|2店舗目で決める7つの判断

2店舗目の投資回収も「1日のお客様の人数」まで落とせば判断できます。

まず、直近12か月の売上を分解してください。そこが分からないまま物件を見ると、1店舗目の記憶で決めてしまいます。

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