「2週間は閉めていただくことになります」。その2週間を受けるかどうかは、気持ちではなく2つの金額を並べれば決まります。

比べるのは、休業して失う粗利と、営業を続けることで増える工事費です。どちらも計算できます。計算していないから、判断が止まります。

判断材料は6つ。逸失額、工事の内容、工期の差、お客様への影響、スタッフと近隣、そして告知。順に埋めれば、答えは自動的に出ます。

この記事でわかること

  • 休業による損失を「日商×粗利率×休業日数」で金額に翻訳する手順と、固定費を足すと二重計上になる理由
  • 営業しながら成立しやすい工事と、設備を止めるため休業が前提になる工事を、3つの判定軸で切り分ける方法
  • 分割施工・夜間施工・時間帯施工にすると工期がどう延びるかと、見積書と工程表のどこを見れば延びる分が読めるか
  • 中途半端な状態で来ていただく損失を、音・臭い・粉じん・動線・安全の5つに分けて自店で判定する方法
  • 名古屋市で夜間・早朝の作業にどこまで制約がかかるかを、騒音規制法と条例の規制基準から確認する方法
  • 休業中のスタッフの給与について、労働基準法第26条の休業手当が定めていることと、下限を守るだけでは足りない理由
  • 再開日と告知の出し方、そして離れたお客様が戻る経路を工事期間中に用意しておく手順
区画を分けて順に施工する方法は面積に余裕がある場合に向くが席数が減る。夜間・定休日の施工は短時間で区切れる工事に向くが割増費用がかかる。短期集中は連休や閑散期に向くが職人を多く投入するため費用が上がる。
比べるのは工事費どうしではありません|どの方法も休業して一気にやるより工事費は上がります。見るべきは「上がった工事費」と「休業して失う粗利」のどちらが大きいかです。

「営業しながら」で決めてはいけない理由

営業を続ければ売上は落ちませんが、工期が延び、夜間作業になり、工事費が上がります。どちらが得かは、店によって逆になります。

6つの判断材料と、各章で自店が用意しておくもの
判断材料 この章で決めること 読む前に手元に用意しておくもの
1|休業による粗利の逸失額 休業1日あたりいくら失うのかを金額にし、休業日数を掛けて比較の土台を作る 直近12か月の月商、月の営業日数、粗利率(原価率でも可)。会計ソフトの損益計算書か試算表
2|工事の内容 営業しながらできる工事と、設備を止めるため休業が前提になる工事を切り分ける 見積書の内訳と、工事範囲を示した図面。どの設備をいつ止めるかを書いた工程表
3|工期の差 分割・夜間・時間帯施工にした場合に何日延びるか、割増がいくらかを見積で確定させる 休業前提と営業継続前提の2通りの見積と工程表。同じ工事範囲で出してもらったもの
4|お客様への影響 工事期間中に提供できる体験の水準を決め、粗利がどれだけ落ちるかを自分で見積もる 客席のレイアウト図、時間帯別の客数、常連のお客様の来店頻度が分かる予約台帳やレジデータ
5|スタッフと近隣への影響 作業できる時間帯を法令・条例・管理規約から確定し、休業中の給与の扱いを決める 賃貸借契約書と管理規約、就業規則と雇用契約書、物件の用途地域が分かる資料
6|告知と、離れたお客様の戻り方 再開日を確定させ、告知の順序と媒体を決め、工事期間中の発信内容を用意する 自店のウェブサイト、地図サービスのプロフィール、SNSアカウント、予約システムの管理画面

公的統計と法令で確かめる外枠

工期の目安は、国土交通省のリフォーム・リニューアル調査で確認できます。受注額の帯ごとの平均工期が、休業日数の当たりになります。

騒音には規制があります。名古屋市の特定建設作業の基準を見れば、夜間や早朝に何ができないかが分かります。

用途「店舗」の受注額別 平均工期と、休業日数を見積もるときの読み替え方(令和7年度計)
受注額の階級 平均工期(着工から完成まで) 休業日数の見当をつけるために自分で確認すること
100万円未満 12.2日 部分的な補修や什器の入れ替えが中心の水準。工程表を見て、電気と給排水を止める日が何日あるかを数える。0日なら休業の必要はほぼない
100万円以上500万円未満 30.9日 仕上げ中心の改装が入りうる帯。「解体」「配管」「配線」と書かれた工程が何日を占めるかを工程表で色分けし、その日数だけを休業候補として抜き出す
500万円以上1,000万円未満 46.5日 解体工事が入ることが多い帯。解体日と設備切り替え日を工程表から抜き、その前後に「粉じんが残る日」を1日ずつ足して休業候補日数とする
1,000万円以上5,000万円未満 61.2日 約2か月。この規模では全期間の休業を前提にしたほうが工程が組みやすいことが多い。全期間休業と部分休業の2案で見積を取り、日数差と金額差を確認する
5,000万円以上1億円未満 119.4日 約4か月。受注件数が少ない区分のため誤差が大きい可能性がある。同規模の実績を持つ会社に、直近の案件で実際に何日閉めたのかを聞く
名古屋市における特定建設作業の規制基準と、自店の工事に当てはめる確認
規制の種別 (1)地域における基準の内容 自店の工事で確認すること
基準値 敷地の境界線において騒音85デシベル、振動75デシベルを超えないこと 測る場所が敷地境界であることを前提に、隣接する建物との距離を図面で確認する。境界が近い物件ほど余裕がない
作業時間 午後7時から午前7時までの時間内でないこと 閉店後に作業してもらう計画が成立するかを、この時間帯と自店の営業時間を並べて確認する。夜10時閉店の店では作業時間が実質残らない
1日あたりの作業時間 10時間を超えないこと 工程表の1日あたりの実働時間がこの範囲に収まっているかを見る。基準値を超えた場合はさらに短縮を勧告・命令されうる
作業期間 連続6日を超えないこと 解体やコンクリートカッターの作業が7日以上連続する工程になっていないかを確認する。連続しない組み方にできるか業者に聞く
作業日 日曜日その他の休日でないこと 「定休日の日曜にまとめて」という計画が成立しない場合があることを前提に、定休日を工事日に充てる案を組み直す
届出 作業開始の7日前までに、元請業者または自主施工者が市町村長へ届け出る 誰が届出をするかを契約前に確認する。名古屋市では中7日前まで、建設現場の所在する区を管轄する公害対策課へ正副2部を提出する

判断材料1|休業による粗利の逸失額

日商×粗利率×休業日数。これだけです。月商300万円・月25日営業・粗利率60%の店なら、14日の休業で失う粗利はすぐ計算できます。

休業中も出ていく費用は、逸失額に足すのではなく資金繰り表に別で書きます。混ぜると判断を誤ります。

休業による粗利の逸失額を出す4つの手順
手順 計算式と考え方 数字をどこから取るか
手順1|日商を出す 直近12か月の売上合計 ÷ 同期間の営業日数。季節性が強い店は、工事を予定している月と同じ月の前年実績を使う 会計ソフトの月次推移表、またはレジの日次売上データ。月商を営業日数で割る方法でも同じ結果になる
手順2|粗利率を出す (売上高 − 売上原価)÷ 売上高。原価率が分かっているなら、1から原価率を引いても同じ 損益計算書または試算表の売上高と売上原価。飲食店なら食材と飲料の仕入、物販なら商品仕入が売上原価にあたる
手順3|1日あたりの粗利を出す 手順1の日商 × 手順2の粗利率。これが「1日閉めるといくら失うか」の金額になる 手順1と手順2の結果を掛けるだけ。この数字を紙に大きく書いて、打ち合わせに持っていく
手順4|休業日数を掛ける 1日あたりの粗利 × 休業日数。休業日数は工期ではなく、店を開けられない日の数を工程表から数える 業者に出してもらった工程表。「解体」「配管」「配線」「設備入替」の日と、その前後の養生・清掃日を数える
休業中に出ていく費用の扱い方|逸失額に足すか、資金繰り表に書くか
費目 逸失額の計算での扱い 休業前に自分で確認すること
家賃・共益費 足さない。営業していても発生するため、逸失粗利に含めると二重計上になる 賃貸借契約書に、改装工事期間中の賃料の取り扱いを定めた条項があるか。フリーレントや減額の余地があるか貸主に確認する
正社員の給与・社会保険料 足さない。ただし休業手当のみに切り替える場合は、その差額を「休業で減る費用」として逸失額から引く 就業規則と雇用契約書の休業に関する定め。実際に手当のみにするかは判断材料5で決める
アルバイト・パートの人件費 足さない。シフトを組まなければ発生しないぶん、休業で減る費用として逸失額から引ける シフトを止めた場合に離職につながらないか。再開日に必要な人数が集まるかを事前に確認する
リース料・借入の返済 足さない。休業とは無関係に発生する 返済の据置や条件変更が可能かを、休業を決める前に金融機関へ相談する。着工後では間に合わない
水道光熱費 足さない。休業中は基本料金のみに近づくため、むしろ減る費用として扱う 休業中も冷蔵・冷凍設備を稼働させ続ける必要があるか。止める場合の食材の処分計画を立てる
食材・商品の仕入 足さない。粗利の計算で売上原価としてすでに引かれている 休業前に在庫をどこまで減らすか。廃棄が出る場合はその金額を別に見積もり、逸失額に加える
編集部の試算例|休業14日案の逸失額(月商300万円・月25日営業・粗利率60%の店を仮定)
項目 試算例の金額 自店の数字を入れる欄と、計算の仕方
日商 12万円(300万円 ÷ 25日) 直近12か月の売上合計 ÷ 営業日数。季節性が強い店は、工事予定月の前年実績を使う
1日あたりの粗利 7万2,000円(12万円 × 60%) 日商 × 粗利率。この1つの数字が、以降のすべての判断の単位になる
休業14日の逸失粗利 100万8,000円(7万2,000円 × 14日) 1日あたりの粗利 × 工程表から数えた休業日数。工期の日数をそのまま入れない
休業で減る費用 ▲9万3,000円(アルバイト人件費20万円 × 14/30) シフトを止められる人件費と、廃棄せずに済む仕入だけを引く。家賃・リース料は引かない
休業案の正味の損失 約91万5,000円 逸失粗利 − 休業で減る費用。この金額が、営業継続案と比べる相手になる
休業1日あたりの価値 約6万5,000円(91万5,000円 ÷ 14日) 正味の損失 ÷ 休業日数。休業を1日短くするために払ってよい上限がこの金額になる

判断材料2〜3|工事の内容と、工期の差

営業を続けられるかは3つの軸で決まります。火気と水を止めるか、粉じんが出るか、動線を塞ぐか。1つでも該当すれば、その日は営業できません。

営業を続けると、養生のやり直し、材料の出し入れ、夜間の割増で工事費が上がります。2案の見積を並べるときの確認項目を表にしました。

営業継続の可否を決める3つの判定軸
判定軸 当てはまると何が起きるか 工程表と見積書のどこで確認するか
軸1|設備を止めるか 電気・水道・ガス・排気のいずれかが止まると、調理も会計も手洗いもできない。飲食店では営業許可の要件そのものに関わる 工程表の「幹線工事」「分電盤」「給排水配管」「ガス配管」「ダクト」と書かれた日。見積書の電気・給排水衛生・空調換気の項目に対応する作業日を照合する
軸2|粉じん・臭気が出るか 解体・はつり・研磨・塗装・接着剤の使用は、区画を密閉しても完全には止まらない。飲食店では衛生上、営業と両立しない 工程表の「解体」「はつり」「下地調整」「塗装」「床仕上げ」と書かれた日。塗装と接着剤は作業日の翌日も臭いが残るため、翌日も候補に入れる
軸3|お客様の動線を横切るか 資材の搬入経路や作業員の出入りがお客様の通路と交差すると、安全が確保できない。共用部を通る場合は建物側の制約も加わる 図面に搬入経路を書き込み、客席・入口・トイレへの通路と重ならないかを見る。重なる場合、営業時間外に搬入できるかを工程表で確認する
営業しながら成立しやすい工事と、成立させるための条件
工事 営業と両立させるための条件 発注前に業者へ確認すること
壁紙・クロスの張り替え 区画を分けて順に施工する。接着剤の臭いが翌営業日に残らない材料を選ぶ 使用する接着剤の種類と、施工から営業再開までに必要な換気時間。1区画あたりの作業日数
床材の張り替え(既存床の上から) 既存の床を撤去せず重ね張りできる場合に限る。撤去が必要なら軸2に該当する 下地の状態を確認したうえで重ね張りが可能か。段差が生じる場合の見切り材の処理
照明器具の交換 回路単位でブレーカーを落として作業する。営業時間外に収まる作業量に分割する 1晩で何台交換できるか。器具の納期と、全数そろってから着手するか順次かの方針
什器の追加・入れ替え 搬入経路が客席や入口を横切らない。搬入を営業時間外に行う 搬入車両の停車場所と、建物側の搬入可能時間。エレベーターの養生が必要かどうか
看板・サインの交換 外部作業のため店内への影響が小さい。高所作業車を使う場合は道路使用の手配が必要 道路使用許可が必要か、誰が申請するか。作業日の駐車・通行の扱い
部分的な塗装 水性の低臭タイプを使い、営業終了後に施工して翌朝まで換気時間を取る 塗料の種類と乾燥時間。施工箇所を区切って何回に分けるか
客用トイレの改修(複数ある場合) 1か所ずつ順に施工し、常に1か所は使える状態を保つ 給排水を止める時間帯と長さ。バリアフリー対応の便房が1つしかない場合の代替
バックヤードの改修 お客様の目に触れない範囲で完結する。音と臭いが客席に漏れない 作業中のスタッフの動線をどう確保するか。更衣・休憩の場所を工事期間中どこに置くか
休業が前提になりやすい工事と、休業日数を短くする方向
工事 なぜ営業と両立しないか 休業日数を短くするために確認すること
給排水の移設 軸1。給水と排水を止める必要があり、手洗いも調理も会計後の清掃もできなくなる 配管ルートを事前に調査済みか。床を開けてみないと分からない部分がどれだけあるか
電気容量の増設・分電盤の更新 軸1。停電を伴う。引込みから触る場合は電力会社の工事日程に縛られる 電力会社への申込みがいつ済むか。停電を伴う作業を1日に集約できるか
床の全面張り替え(既存撤去あり) 軸2と軸3。撤去時に粉じんが出るうえ、什器をすべて移動させる必要がある 什器の一時保管場所を店内に確保できるか、外部倉庫が必要か。移動の費用が見積に入っているか
天井の解体・下地からのやり直し 軸2と軸3。上部からの落下物があるため、下に人を入れられない 天井裏の設備(配線・配管・ダクト)の状態が事前調査で確認できているか
厨房設備の入れ替え 軸1。ガス・給排水・排気をまとめて触るため、調理そのものができなくなる 新しい機器の納期。搬入経路の寸法が実測済みか。ガス事業者の開栓立会いの日程
空調機の更新 軸1。冷暖房が止まるため、季節によっては営業自体が成立しない 室外機の設置場所と搬入経路。工事日を空調が不要な時期に寄せられるか
排気ダクトの引き直し 軸1と軸3。厨房の排気が止まる。共用部を通る場合は建物側の承認が要る ダクトのルートが管理組合・貸主の承認済みか。承認に何日かかるか
間仕切りの解体・レイアウト変更 軸2と軸3。粉じんが出るうえ、客席の形そのものが変わるため部分営業が難しい 解体してみないと分からない部分(下地・配線・断熱)の予備日が工程表にあるか
営業を続けると工期と費用が増える要素
増える要素 なぜ増えるか 見積書・工程表のどこで確認するか
1日あたりの実働時間の減少 営業時間を避けると、作業できるのは開店前と閉店後だけになる。実働が半分になれば日数は倍以上になる 工程表に1日あたりの作業開始・終了時刻が書かれているか。書かれていなければ書き込んでもらう
養生の設置と撤去の繰り返し 営業前に必ず撤去し、作業前に再設置する。この往復が毎日発生する 見積書の「養生費」が一式なのか日数按分なのか。営業継続の見積で金額が上がっている場合、何日分かを聞く
毎日の清掃 お客様を入れる以上、粉じんと工具を毎日ゼロにする必要がある 清掃が見積に含まれているか、店側の作業になっているか。店側なら誰が何時にやるかを決める
現場管理費・諸経費 工期が延びれば、現場管理の期間も延びる。仮設の電気・水道の使用期間も延びる 見積書の諸経費・現場管理費が工事金額の比率で計算されているか、日数で計算されているか
時間外・休日の労務費 夜間や休日に作業する場合、職人の手配条件が変わる 労務費の単価が休業案と営業継続案で違うか。違う場合、どの職種のどの作業日が対象か
仮設間仕切りの費用 区画を分けて施工する場合、仮設の壁や防炎シートが必要になる。粉じんを止めるには気密も要る 仮設間仕切りが見積の項目にあるか。ない場合、何で区切るつもりなのかを図面上で確認する
材料の小分け搬入 店内に材料を置けないため、必要な分だけを都度搬入することになる 材料の一時保管場所が店内にあるか。ない場合、搬入回数が増えることが見積に反映されているか
休業案と営業継続案の見積を並べるときの確認項目
確認項目 2案で違いが出る理由 差が出ていたら聞くこと
工事範囲 本来は同じでなければならない。違っていれば比較が成立しない どの項目が営業継続案から抜けているか。抜けた工事を後日やる場合の費用と休業日数
工期(着工から完成まで) 営業継続案は作業時間が短いぶん日数が増える 何日増えるか。増えた日数のうち、待ち時間と作業時間の内訳はどうなっているか
休業日数 営業継続案でもゼロにはならないことが多い。設備を止める日は必ず出る 営業継続案で何日は閉めることになるか。その日は工程表のどこか
直接工事費 材料は同じでも、労務費と施工手間が変わる 単価が変わっている項目はどれか。数量が変わっている項目はどれか
仮設工事費 養生・仮設間仕切り・仮設照明が営業継続案で増える 仮設の項目ごとの金額と、何日分として計算されているか
現場管理費・諸経費 工期に連動して増える。比率計算だと増えないこともある 比率で出しているのか日数で出しているのか。工期が延びても増えないなら、その理由
工程表の予備日 営業継続案では想定外への対応幅が狭くなるため、予備日の重要性が上がる 予備日が何日置かれているか。予備日を使い切ったときに何が起きるか
編集部の試算例|粗利の落ち込みを何割と見るかで結論が変わる(すべて仮の数値)
前提の置き方 営業継続案の損失(見積差額50万円+粗利の減少) 休業案(約91万5,000円)と比べた結論と、自分で決めること
粗利が1割落ちると見る 約70万2,000円(50万円+7万2,000円×28日×10%) 営業継続が有利。ただし1割で済む前提が現実的かを、席数の減少率と照らして検証する
粗利が2割落ちると見る 約90万3,000円(50万円+7万2,000円×28日×20%) ほぼ互角。ここまで近いなら、判断材料4以降の定性的な要素で決めてよい
粗利が3割落ちると見る 約110万5,000円(50万円+7万2,000円×28日×30%) 休業が有利。営業継続を選ぶなら、見積差額か工期を圧縮する交渉が必要になる
粗利が5割落ちると見る 約150万8,000円(50万円+7万2,000円×28日×50%) 休業が明らかに有利。席数が半分になる計画なら、この水準を想定して比較する

判断材料4〜5|お客様、スタッフ、近隣

中途半端な状態で来ていただくと、常連のお客様が離れることがあります。1人あたりの年間粗利を出せば、離反の損失も金額になります。

休業中のスタッフをどうするかは、先に決めてください。休業手当の要否は、決め方で変わります。

近隣と建物側の制約もあります。作業できる時間帯と、共用部の使い方。契約前に確認する先を表にしました。

工事期間中にお客様が受ける5つの影響と、自店での判定方法
影響 起きていること 自店で確かめる方法
音 会話が成立しない音量では、滞在時間が短くなり、客単価が下がる。予約のお客様は次回の予約を入れない 作業日にいちばん遠い客席に座り、スタッフと普通の声で話してみる。聞き返す回数を数える。カフェや美容室のように会話が価値の一部である業種では、この1点で営業の可否が決まる
臭い 塗料や接着剤の臭いは、飲食店では料理の印象を直接損なう。臭いは記憶に残りやすく、来店をためらう理由になる 営業開始の直前に入店し、扉を閉めた状態で3分待つ。臭いを感じるなら、その日は営業できないと判断する。使用材料を低臭タイプに変えられるか業者に聞く
粉じん テーブルや什器の上に薄く積もる。飲食店では衛生上の問題に直結し、物販では商品が売れなくなる 白い布を客席のテーブルに1晩置き、翌朝に汚れが付いているかを見る。付いていれば区画の気密が不十分と判断する
動線 入口・客席・トイレへの通路が変わると、お客様が迷う。案内のたびにスタッフの手が止まる 工事期間中の動線を図面に描き、入口からトイレまでを実際に歩いてみる。曲がる回数が増えていれば、掲示だけでは足りない
安全 工具・資材・段差・電源コードがお客様の通路にあると、転倒や接触の危険がある。事故が起きれば工事の損得の話ではなくなる 営業開始前に、店内を一周して床面に何も置かれていないことを毎日確認する。確認する人と時刻を決めて記録に残す
業種別|工事期間中の営業で致命的になる要素と、代替手段
業種 致命的になりやすい要素 営業を続ける場合に検討できる代替手段
カフェ・喫茶 音と滞在環境。長く座っていただくことが商品なので、工事音は商品そのものを損なう テイクアウト専用の営業に切り替える。席を使わない形なら音の影響が小さくなる。営業時間を作業時間の前後に寄せる
レストラン・居酒屋 臭いと粉じん。料理の印象に直結し、衛生上も許容できない ランチのみ、または夜のみに営業時間を絞る。厨房を触らない日だけ営業し、触る日は完全に閉める
美容室・理容室 音と滞在時間。1人あたり1時間以上、鏡の前に座っていただく 予約枠を作業のない日に集約する。セット面の一部だけを使い、予約数を絞って営業する
クリニック・治療院 音と粉じんと動線。静穏と清潔が前提であり、患者様の安全確保も必要になる 診療日を作業のない日に寄せる。感染対策と粉じんの両立が難しいため、休診を前提に日数を詰めるほうが確実
物販店(アパレル・雑貨) 粉じんと見た目。商品に粉じんが付くと売れなくなる。工事中の外観は入店をためらわせる 売場を区画で分け、工事側の商品を移動する。オンライン販売の比重を一時的に上げる
パーソナルジム・スタジオ 音と安全。器具の使用中に工事音が入ると集中できず、床に資材があると危険 予約制の利点を活かし、作業時間と利用時間を完全に分ける。時間帯を明示して予約を受ける
学習塾・教室 音。授業と自習の両方が成立しなくなる 授業のある時間帯を工事の対象外にする。長期休暇や振替可能な期間に工事を寄せる
常連のお客様1人あたりの年間粗利を出して、離反の損失を金額にする手順
手順 計算の内容 データがない場合の代替と、注意すること
手順1|常連の人数を数える 直近12か月で3回以上ご来店いただいた方の人数を数える 予約台帳・ポイントカード・会員データのいずれかを使う。どれもない場合は、スタッフに「顔と名前が一致する方は何人か」を聞いて概数を出す
手順2|年間の利用金額を出す 手順1の方々の年間利用金額の合計 ÷ 人数 集計できない場合は、客単価 × 年間の来店回数で代用する。回数が分からなければ、来店間隔をスタッフに聞いて年換算する
手順3|粗利に換算する 手順2の金額 × 粗利率。これが常連のお客様1人を失ったときの年間の粗利の減少 粗利率は判断材料1で使ったものと同じ数字を使う。異なる数字を使うと比較できなくなる
手順4|何人までなら許容できるかを決める 休業14日の逸失額 ÷ 手順3の金額 = 「営業継続で何人失うと休業と同じになるか」 この人数が1桁なら、営業継続のリスクは高いと考える。判断材料3の落ち込み率を高めに設定し直す
休業中のスタッフの扱い|選択肢と、決める前に確認すること
選択肢 内容と、法令上の位置づけ 決める前に確認すること
通常どおり給与を支払う 休業手当の問題は生じない。人件費は休業前と変わらない 資金繰り表に休業期間の人件費が入っているか。売上の入金が止まる期間と重なるため、手元資金の確認が要る
休業手当を支払う 労働基準法第26条により、平均賃金の100分の60以上を支払う。60%は下限であり、上乗せは自由 就業規則と雇用契約書に休業に関する定めがあるか。平均賃金の算定に必要な直近3か月の賃金台帳を確認する
休業期間を業務に充てる 清掃・什器の入れ替え・研修・告知物の制作などを行えば、労働日として通常の賃金を支払う 工事期間中に店内で作業できるか。安全上の制約と、工事会社との作業区分を書面で決める
有給休暇の取得を促す 本人の請求による取得が原則。店側が一方的に指定することはできない 年次有給休暇の残日数と、取得の意向。計画的付与を行う場合の労使協定の有無を確認する
アルバイトのシフトを止める シフト制でも、労働契約の内容によっては休業手当の対象になりうる 雇用契約書に所定労働日数・時間がどう書かれているか。個別の取り扱いは労働基準監督署または社会保険労務士へ確認する
営業を続ける場合にスタッフに発生する追加業務と、決めておくこと
追加業務 なぜ必要か 着工前に決めておくこと
開店前の安全確認 工具・資材・段差が客席側に残っていると事故につながる。事故が起きれば工事の損得の話ではなくなる 確認する人、時刻、確認項目のチェックリスト。異常があったときに誰へ連絡するか
開店前の清掃 粉じんは目に見えにくいが、テーブルや商品に付着している 清掃が工事会社の作業範囲か店側の作業か。範囲を契約書または打ち合わせ記録に書く
お客様への案内と説明 動線が変わり、席数が減り、音がする。すべてに説明が要る 説明の文言をそろえる。掲示物を作り、口頭説明を最小限にする。工事の理由と再開予定を1枚にまとめる
閉店後の現場引き渡し 工事会社が作業を始める前に、客席の片付けと施錠の引き継ぎが要る 鍵の受け渡し方法、立会いの要否、店側の最終退出時刻。無人で作業する場合の責任の所在
予約と席割りの調整 使える席が日によって変わるため、予約の受け方も日ごとに変わる 日別の使用可能席数を工程表から一覧にし、予約システムに反映する担当者を決める
近隣・建物側の制約と、契約前に確認する先
制約 根拠と内容 誰にいつ確認するか
特定建設作業の時間制限 騒音規制法・振動規制法と名古屋市の条例に基づく規制基準。(1)地域では午後7時から午前7時まで作業不可 工事会社に「今回の工事に特定建設作業は含まれるか」を見積段階で確認する。含まれる場合は届出の担当も決める
建物の管理規約による作業時間 法令とは別に、建物ごとに作業可能時間が定められている。深夜の作業を禁じている建物は多い 賃貸借契約書と管理規約を自分で読み、そのうえで管理会社へ書面で確認する。物件契約の前に確認できれば最善
搬入経路と共用部の使用 エレベーター・共用廊下・荷捌き場の使用可能時間と養生の要否。使用料がかかる場合もある 管理会社に、搬入可能時間・使用申請の要否・養生の基準・費用負担を確認する。申請に日数がかかることがある
駐車・停車の場所 工事車両を停める場所がないと、搬入のたびに時間と費用が増える。路上駐車は近隣とのトラブルになる 近隣のコインパーキングの位置と料金、荷捌きスペースの有無。道路使用許可が必要な作業があるか
近隣への事前説明 法令上の義務がない場合でも、名古屋市の手引きは事前説明を求めている 誰が、いつ、どの範囲に説明するかを工事会社と決める。説明した先と日付を記録に残す
商業施設のテナントルール 館内ルールで工事日・工事時間・作業員の入退館方法が細かく定められている 施設の管理事務所に工事申請の様式と提出期限を確認する。提出から承認まで数週間かかることがある

判断材料6|告知と、離れたお客様の戻り方

告知には順序があります。常連、スタッフ、近隣、そして一般。順序を間違えると、常連が最後に知ることになります。

営業を続ける場合は、「何ができて何ができないか」を先に伝えます。来てから知ると、不満になります。

告知の順序と、各段階で伝えること
段階 伝える内容 自分で用意しておくもの
第1段階|予約が入っている方へ個別に 休業期間、その予約の振替候補日、キャンセルの場合の取り扱い。謝罪と代替案をセットで伝える 予約台帳から休業期間に重なる予約を抽出したリスト。振替可能な日時の一覧。連絡担当と期限
第2段階|定期的にご来店の方へ店頭で 休業期間と再開日、再開後に何が変わるか。会話の中で直接伝える スタッフ全員が同じ内容を言えるように、伝える文言を1枚にまとめたもの
第3段階|店頭掲示 休業期間、再開日、休業中の連絡先。通りがかりの方にも読める大きさで 入口の目の高さに貼る掲示物。営業時間の表示と並べて、閉店後も読める位置に置く
第4段階|ウェブサイトと地図サービス 営業時間の設定を休業期間に合わせて変更する。臨時休業として登録する 自店のウェブサイトの更新権限、地図サービスのプロフィールの管理権限。誰が更新するかを決めておく
第5段階|SNSとメール 休業期間と再開日に加えて、工事の目的や再開後の変化を写真とあわせて伝える 投稿の下書きと、投稿日を決めた予定表。工事期間中の投稿ネタも同時に用意する
第6段階|予約システムの設定 休業期間の予約を受け付けない設定にし、再開日から受付を開始する 予約システムの管理画面。再開日に予約が集中しても対応できる枠数かどうかの確認
営業を続ける場合に伝えること|媒体別の内容
媒体 伝える内容 更新の頻度と、確認すること
店頭の掲示 工事期間、営業していること、影響のある時間帯、影響のないサービス 工程が変わったら当日中に差し替える。閉店後も読める位置か、夜に見て確認する
予約時の案内 その日その時間帯に、どんな作業が入っているか。席の位置に選択肢があるか 日別の工程を予約担当が見られる場所に置く。前日に工程の変更がないか工事会社に確認する
ウェブサイトのお知らせ 期間、営業時間の変更、席数の制限、完了予定日 週1回は更新する。完了予定日が動いたら、その日のうちに直す
地図サービスのプロフィール 営業時間が変わる場合は必ず反映する。属性や説明文にも工事中である旨を書く 営業時間の変更が反映されているかを、自分で検索して確認する
SNS 工事の進み具合と、完成後の姿。今日はどこまで進んだかを写真で見せる 週2回程度。工程の節目(解体完了、下地完了、仕上げ着手)を投稿の区切りにする

営業を続ける3つの方法

分割施工、夜間施工、部分閉鎖。向いている場合と、注意点が違います。

どの方法でも、契約書に書いておくことがあります。作業時間帯、養生の範囲、工事が中断したときの扱い。

営業を続ける3つの方法|向いているケースと注意点
方法 向いているケース 注意点と、自分で確認すること
分割施工(区画を分けて順に) 面積に余裕がある。客席が複数のエリアに分かれている。工事範囲が仕上げ中心で、設備を止める作業が少ない 席数が減るぶん粗利も落ちる。仮設の間仕切りが必要で、粉じんを止めるには気密が要る。使える席数を日別に数え、判断材料3の落ち込み率に反映する
夜間・時間帯施工(営業時間外に) 短時間で区切れる工事。照明や什器の交換など、その日のうちに原状に戻せる作業 特定建設作業に当たると午後7時以降は作業できない。建物の管理規約でも時間制限があることが多い。名古屋市の規制基準と管理規約の両方を確認する
部分閉鎖(一部を閉じたまま営業) 厨房と客席、売場とバックヤードのように機能が分かれている。閉じる側が売上に直結しない 閉じた区画への出入りをどう遮断するか。防火区画や避難経路にかかる場合は、閉鎖の方法そのものに制約が出る
営業を続ける場合に契約書へ書いておくことと、根拠になる条文
書いておくこと 根拠と、書かないとどうなるか 具体的に確認する内容
工事を施工しない日又は時間帯 建設業法第19条第1項第4号。定めをするときは、その内容を書面に記載する。書かないと、営業時間中の作業を止める根拠がなくなる 曜日と時刻を具体的に書けているか。「営業時間中は作業しない」ではなく「毎日午前11時から午後3時までは作業しない」の形にする
着手と完成の時期 建設業法第19条第1項第3号。営業継続では工期が延びやすいため、完成時期の合意がとくに重要になる 完成予定日と、そこから逆算した各工程の日付。再開日の告知は、この日付に余裕日を足して決める
工期変更・代金変更の取り決め 建設業法第19条第1項第6号。設計変更や工事の中止があったときの工期・代金・損害の負担の定め 営業側の都合で作業を止めた場合の扱いが書かれているか。予約が入った日に作業を止めたときの費用負担はどちらか
工期に影響する事象の通知 建設業法第20条の2第1項・第2項。契約を締結するまでに、注文者と建設業者が相互に通知する 店側から伝えるべき予定(繁忙日、予約、イベント、棚卸)を洗い出して先に渡す。相手からの通知も書面で受け取る
養生・清掃の範囲と担当 法定事項ではないが、営業継続では毎日発生する作業。決めておかないと店側の負担になる 誰が、いつまでに、どこまでを行うか。清掃の水準(粉じんが残っていない状態とは何か)を具体的に書く
鍵の管理と無人作業の可否 法定事項ではないが、夜間施工では必須。責任の所在が曖昧だと事故時に揉める 鍵の受け渡し方法、無人で作業する場合の届出、貴重品とレジ現金の管理方法

6つを1枚に落とす

絶対条件から順に確認します。営業できる作業日がゼロなら、そこで休業に決まります。残った場合だけ、金額の比較に進みます。

6つの判断材料を1枚に落とす|自店の答えを埋める表
判断材料 自店の答えとして書き込むこと その答えがどちらに傾くかの読み方
1|休業による粗利の逸失額 1日あたりの粗利(  円)/休業日数(  日)/正味の損失(  円)/休業1日あたりの価値(  円) 金額そのものは傾きを決めない。最後の「1日あたりの価値」が、工期短縮の提案を受けるかどうかの基準になる
2|工事の内容 3つの判定軸に当てはまる作業日(  日)/当てはまらない作業日(  日) 当てはまらない日がゼロなら、この時点で休業に決まる。3割以下なら休業寄り、7割以上なら営業継続を検討する価値がある
3|工期の差 休業案(  日・  円)/営業継続案(  日・  円)/見積の差額(  円) 差額を「休業1日あたりの価値」で割ると、営業継続が何日分の休業に相当するかが出る。この日数が休業日数を上回れば休業が有利
4|お客様への影響 5つの影響のうち許容できないもの(  個)/粗利の落ち込み率(  %)/常連のお客様を何人失うと休業と同じか(  人) 許容できない影響が1つでもあれば、その作業日は休業する。失える人数が2桁前半なら、営業継続のリスクは高いと判断する
5|スタッフと近隣への影響 作業可能な時間帯(  時から  時)/休業中の給与の方針(  )/建物側の制約(  ) 作業可能時間が1日4時間を下回るなら、営業継続の工期は大幅に延びる。判断材料3の日数を見直す
6|告知と、戻り方 再開日(  月  日)/告知開始日(  月  日)/予約の先行受付開始日(  月  日) 再開日が確定できないなら、まだ告知の段階ではない。工程表を確定させることが先になる
絶対条件から順に確認する手順
  1. 判断材料2で、営業できる作業日がゼロか。ゼロなら休業に決定。ここで終わります
  2. 判断材料5で、建物の管理規約が営業時間中の工事を禁じていないか。禁じているなら休業に決定
  3. 判断材料4で、許容できない影響が飲食店の臭い・粉じんに当たらないか。当たるなら、その作業日は休業に決定
  4. 判断材料1と3の金額を比べる。営業継続の見積差額と粗利の落ち込みの合計を、休業案の正味の損失と並べる
  5. 金額差が1割以内なら、判断材料4の常連のお客様のリスクで決める。失える人数が少ないほど休業を選ぶ
  6. 判断材料6で、再開日を確定させて告知の日程を決める。ここまで来たら、決定を書面にする

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よくある質問

この記事を読んだ方から寄せられやすい質問を4つ取り上げます。 いずれも、判断の途中で手が止まりやすい論点です。 数字と条文で答えられるものは、条文と出典を示して答えます。

なお、法令の適用と労働条件の取り扱いは、個別の事情によって結論が変わります。 一般的な考え方としてお読みいただき、最終的な判断は所轄の窓口や専門家にご確認ください。

また、この記事全体を通して、出典をたどれない数値は書かない方針を取っています。 質問の中にも「割増は何割か」「何%減るか」という形のものがありますが、 いずれも数値ではなく、自分で確かめる手順としてお答えします。

休業するか営業を続けるか、最初に出すべき数字は何ですか?

1日あたりの粗利です。 日商に粗利率を掛けるか、月商を月の営業日数で割って粗利率を掛けると出ます。 この1つの数字が出ていないと、休業日数を1日削る交渉にいくら払ってよいのかが決まりません。

次に、その1日あたりの粗利に休業日数を掛けて逸失額を出します。 ここで注意していただきたいのは、家賃や社会保険料といった固定費を逸失額に足し込まないことです。 固定費は休業しても営業しても同じように出ていくため、逸失粗利に加えると二重に数えることになります。

逸失粗利そのものが、本来なら固定費と利益に充てられていたはずの金額です。 営業継続と比べるときは、営業継続前提の見積と休業前提の見積の差額に、工事期間中の粗利の落ち込みを足した金額を、休業案の逸失粗利と並べてください。

粗利の落ち込みを何割と見るかで結論が反転することがあるため、その割合は業者ではなくご自身で決める必要があります。

名古屋市で、夜間や早朝に内装工事をしてもらうことはできますか?

工事の内容と建物の規約によります。 まず法令の面では、騒音規制法第2条第3項と同法施行令第2条・別表第二が定める特定建設作業に当たるかどうかが分かれ目です。

別表第二はくい打機・びょう打機・さく岩機・空気圧縮機・コンクリートプラント・バックホウ・トラクターショベル・ブルドーザーの8種類を挙げており、 店舗の内装改装で使う手持ちの電動工具の多くはこれに当たりません。

ただし名古屋市では、市民の健康と安全を確保する環境の保全に関する条例によって対象作業が上乗せされており、 名古屋市の手引きによればコンクリートカッターを使用する作業や、 鉄筋コンクリート造などの建造物を動力・火薬・鋼球を使用して解体または破壊する作業も対象に含まれます。

対象になると、名古屋市が公表している規制基準により、住居系・商業系を含む地域では午後7時から午前7時までの時間帯に作業ができず、 1日10時間を超えられず、連続6日を超えられず、日曜日その他の休日には行えません。

つまり、深夜の工事を前提に計画を立てても、作業の種類によっては法令と条例の側で成立しません。 あわせて、ビルやテナントの管理規約で作業時間と搬入時間が別に定められていることが多いため、着工前に管理会社へ書面で確認してください。

休業中、スタッフの給与はどうなりますか?

改装のための休業は、使用者の都合による休業に当たると考えられます。 労働基準法第26条は、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合に、 休業期間中の労働者へ平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならないと定めています。

平均賃金の計算方法は同法第12条にあり、 算定すべき事由の発生した日以前3か月間に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で割った金額です。

ここで大事なのは、60%が上限ではなく下限だという点です。 改装後にすぐ再開する店で、休業中に手当を最低限に絞った結果、再開日にスタッフが揃わないという事態は、 逸失粗利よりはるかに高くつきます。

実務では、休業を有給休暇の取得や研修、什器の入れ替え作業、清掃、告知物の制作に充てて、通常どおり給与を支払う店も少なくありません。 個別の労働条件については、契約内容や勤務実態によって取り扱いが変わるため、労働基準監督署または社会保険労務士へご確認ください。

休業の告知はいつ、何を伝えればよいですか?

再開日が確定してから告知するのが原則です。 日付を伴わない休業の告知は、お客様にとって「いつまで行けないか分からない店」という情報にしかならず、 来店の予定から外れる理由になります。

そのため、工程表で完成日が固まり、検査と什器の搬入の余裕日まで含めた再開日が言える状態になってから、 店頭・自店のウェブサイト・地図サービスのプロフィール・予約システム・SNSの順に出していきます。

伝える内容は、休業の期間、再開の日付、休業中の連絡先、そして再開後に何が変わるかの4点です。 予約を受けている業種では、休業期間に重なる予約を持つお客様への個別連絡が先で、一斉の告知はその後にしてください。

工事期間中も進捗を発信し続けると、再開日が近づいたときに思い出していただける確率が上がります。 なお「休業すると客足が何割減る」という数値は、出典をたどれる公的な調査が見つからなかったため、この記事では書いていません。

まとめ|休業するかどうかを決める6つの判断材料

答えは店によって違いますが、出し方は同じです。逸失額と増加工事費を並べ、絶対条件で足切りする。

業者に「2週間」と言われたら、「営業しながらだと何日で、いくら増えますか」と聞いてください。2つの数字が出れば、その場で判断できます。

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