クリーニング店の内装を考えるとき、まず決めるべきは「洗うかどうか」 です。洗濯設備を持つクリーニング所にするか、受取・引渡しのみを行う取次店にするか で、必要な設備も届出の扱いも変わります。
クリーニング業法では、クリーニング所を開設しないで受取・引渡しのみを行う取次店も、 都道府県知事への届出の対象です。ただし、洗濯設備を持つクリーニング所と違い、 クリーニング師の配置義務はありません。
内装で決めておくことは5つあります。
この記事でわかること
- クリーニング所と取次店、どちらで開業するかの判断材料
- 取次店でも必要な届出と、不要な資格配置
- 受取・保管スペースを衣類の種類ごとに分ける考え方
- クリーニング工場との搬送動線の確保
- 受付カウンターとタグ・伝票の管理スペース
コインランドリー(無人洗濯)についてはコインランドリーの内装で確認する4つの設備領域 で扱っています。この記事は有人の取次店に絞ります。
決め1|クリーニング所と取次店、どちらで開業するかを先に決める
クリーニング業法上の「クリーニング所」は、洗濯物の処理(洗濯)または受取・引渡しの ための施設と定義されています。洗濯設備を自店に置いて洗うのか、洗濯は提携工場に 任せて自店では受取・引渡しのみを行うのかで、必要な内装設備が大きく変わります。
洗濯設備を持たない取次店であれば、大型の洗濯機・乾燥機・プレス機を置く スペースが不要になり、内装費を抑えやすくなります。開業の方針を、物件探しの 前に決めてください。
決め2|取次店でも届出は必要。クリーニング師の配置は不要
クリーニング業法第5条第2項では、クリーニング所を開設しないで洗濯物の受取及び 引渡しをすることを営業とする者も、都道府県知事への届出が必要と定められています。 「取次店だから届出は不要」ではありません。
一方で、同法第4条のクリーニング師配置義務は「洗たく物の受取及び引渡のみを行う ものを除く」とされており、取次店にはクリーニング師の配置義務がありません。 届出は必要だが資格者の常駐は不要、という組み合わせが取次店の特徴です。
| 項目 | クリーニング所(洗濯を行う) | 取次店(受取・引渡しのみ) |
|---|---|---|
| 洗濯設備 | 必要 | 不要 |
| 届出 | 必要 | 必要(第5条第2項) |
| クリーニング師の配置 | 必要(第4条) | 不要(第4条の除外規定) |
届出の様式・手続きは都道府県によって案内が異なる場合があります。開業予定地を所管する保健所に確認してください。
決め3|受取・保管スペースを、衣類の種類ごとに分ける
取次店では、預かった衣類を提携工場に送るまでの間、一時的に保管するスペースが 必要です。一般衣類、クリーニング事故のリスクが高い高級素材、しみ抜き対応が必要な ものなどを分けて管理できると、トラブル対応がしやすくなります。
保管スペースは、湿気がこもらない換気計画とあわせて検討してください。 仕上がった衣類の受取待ちスペースと、預かり中の衣類のスペースも分けるのが基本です。
決め4|クリーニング工場との搬送動線を確保する
取次店は、預かった衣類を提携工場に送り、仕上がった衣類を受け取るという搬送が 日常的に発生します。搬入・搬出の動線が、お客様の動線と交差しない配置にすると、 スムーズな運用ができます。
店舗の裏口や搬入経路の有無は、物件を選ぶ段階で確認してください。 表口からしか搬入できない物件では、営業時間中の作業がしづらくなります。
決め5|受付カウンターと、タグ・伝票の管理スペース
受付カウンターでは、衣類の受取・確認・タグ付け・伝票発行という一連の作業が 発生します。作業スペースが狭いと、混雑時に対応が滞りやすくなります。
伝票・タグの管理には、パソコンや発行機を置くスペースも必要です。 カウンターの奥行きと、周辺の作業スペースを、什器計画の段階で確保してください。
クリーニング取次店の内装で内装会社に伝えること
- クリーニング所と取次店、どちらで開業するか
- 届出の準備状況(クリーニング師配置は不要でも届出は必要)
- 衣類の種類ごとの保管スペースの分け方
- クリーニング工場との搬入・搬出経路
- 受付カウンターの作業スペースの広さ
よくある質問
取次店でも届出は必要ですか?
クリーニング業法第5条第2項に基づき、洗濯物の受取及び引渡しのみを行う取次店も、都道府県知事への届出が必要です。「取次店だから届出は不要」ではありません。
取次店にクリーニング師は必要ですか?
同法第4条のクリーニング師配置義務は「洗たく物の受取及び引渡のみを行うものを除く」とされているため、取次店には配置義務がありません。
取次店は洗濯設備を置かなくてよいのですか?
洗濯は提携工場が行う前提のため、取次店自体には大型の洗濯機・乾燥機・プレス機を置く必要がありません。その分、内装費を抑えやすくなります。
預かった衣類は、どのように保管すればよいですか?
一般衣類と、事故リスクの高い高級素材やしみ抜き対応品を分けて管理できるとトラブル対応がしやすくなります。湿気がこもらない換気計画もあわせて検討してください。
搬入・搬出の動線は、どう確保すればよいですか?
お客様の動線と交差しない裏口や搬入経路があると運用がスムーズです。表口からしか搬入できない物件では、営業時間中の作業がしづらくなるため、物件選びの段階で確認してください。
まとめ|「洗うかどうか」が、内装の設備を決める
| 決めること | 基準・根拠 | 確認すること |
|---|---|---|
| 決め1 業態の選択 | クリーニング所(洗濯設備あり)か取次店か | 物件探しの前に方針を決める |
| 決め2 届出 | 取次店も届出必要(第5条第2項)、クリーニング師配置は不要(第4条) | 開業予定地の保健所に確認する |
| 決め3 保管スペース | 衣類の種類ごとの分離保管 | 換気計画とあわせて検討する |
| 決め4 搬送動線 | 工場との搬入・搬出 | お客様の動線と交差しない経路を確保する |
| 決め5 受付カウンター | タグ・伝票管理の作業スペース | 什器計画の段階で広さを確保する |
クリーニング取次店の内装は、「洗うかどうか」という決め1が、必要な 設備と届出の扱いの両方を決めます。この記事の決め1・決め2を先に固めてから、内装 会社への相談を始めてください。
届出の様式・手続きは都道府県によって案内が異なる場合があります。着工前に、開業 予定地を所管する保健所への確認を必ず行ってください。