客数は落ちていないのに売上が伸びない。このとき内装で動かせるのは、値段ではなく 注文の点数のほうです。

客単価は「注文点数×1点あたりの単価」に分けられます。単価は仕入れと値付けの話ですが、 注文点数は席の型・スタッフの動線・見えるところに置く物で変わります。

そして内装にかけるお金は、お客様1人あたり何円まで回収すればよいかに 置き換えると判断できます。図面が固まる前に決めることは7つあります。

この記事でわかること

  • 客単価を2つに分けて考えると、内装で動かせる部分が見えること
  • 席の型(カウンター・テーブル・ボックス)で何が変わるか
  • スタッフが客席の脇を通る回数を、動線でどう作るか
  • 見えるところに置く物が、追加の注文にどう効くか
  • メニューを置く高さと、目に入る順番の決め方
  • 投資額を「1人あたり何円」に置き換える計算

照明の照度や色温度そのものは店舗の照明計画で決める7つのこと、 面積配分と寸法は店舗のレイアウト設計で決める8つのこと、 什器の選び方は店舗什器は造作か既製品かで扱っています。 この記事は客単価という指標から見た内装に絞ります。

内装への投資額をお客様1人あたりの客単価に翻訳する手順の図。投資300万円を36か月で回収する場合、月8.3万円の粗利増、粗利率60%なら売上で月14万円、月25日営業なら1日5,600円、1日のお客様が40人なら1人あたり140円になる。すべて仮の数値。
投資額は「1人あたり何円」まで下ろすと判断できます|すべて仮の数値(編集部の試算例)です。粗利率・営業日数・客数は自店の数字に置き換えてください。

決め1|客単価を「注文点数」と「単価」に分ける

客単価は、1人あたりの注文点数と、1点あたりの単価の掛け算です。値上げをせずに客単価を 上げるなら、動かすのは注文点数のほうになります。

まず自店の客単価を、この2つに分けて数字にしてください。分けないまま 内装に手を入れると、どこが効いたのかが分かりません。

客単価を分けて見る
要素計算のしかた内装で動かせるか
注文点数注文の総点数 ÷ 客数動かせる(席・動線・見せ方)
1点あたりの単価売上 ÷ 注文の総点数主に値付けと商品構成で決まる
客単価注文点数 × 1点あたりの単価上の2つの結果として決まる

決め2|席の型で、滞在時間と注文点数が変わる

カウンターは1人での来店を受けやすく、注文と会話の距離が近くなります。ボックス席は 滞在が長くなりやすく、その分だけ追加の注文が起きる時間が生まれます。

どの型を何席にするかは、客層と回転の速さを決めてからにしてください。 回転を重視する店に長居しやすい席を並べると、客単価は上がっても売上は落ちます。

席の型と、注文の起き方
席の型起きやすいこと決めるときに見ること
カウンター1人での来店を受けやすい/声をかけやすいスタッフが立つ側の通路幅
テーブル人数の変化に合わせやすい結合したときの通路の残り幅
ボックス滞在が長くなりやすい回転を重視する時間帯があるか

決め3|スタッフが客席の脇を通る回数を、動線で決める

追加の注文は、声をかけられる機会の数だけ起きます。スタッフが厨房と客席を往復する 経路が、どの席の脇を通るかは図面の段階で決まります。

厨房の出口から遠い席ほど、目が届かなくなります。配膳の経路を図面に 線で引き、どの席の前を何回通るかを数えてください。動線の分け方は 店舗の動線設計で決める7つのことで扱っています。

決め4|見えるところに何を置くか

席から見える位置に商品そのものがあると、注文の対象として意識されます。ショーケース、 ボトルの棚、本日のおすすめを書く場所が、これにあたります。

置く場所は、席に座ったときの目の高さから決めてください。立って見て 決めると、座ったお客様からは見えない位置になります。

見せる場所を決めるときの確認
見せるもの置く場所の決め方工事で必要になること
ショーケース入口からと、席からの両方で見える位置電源と、放熱のための隙間
ボトル・商品の棚座ったときの目の高さに合わせる壁の下地補強と、棚の耐荷重
おすすめの掲示注文を考える時間に目に入る位置照明を当てるなら配線を先に

決め5|照明が、追加の一品の見え方を決める

卓上が暗いと、料理も商品も実物より地味に見えます。追加の一品を頼むかどうかを決める のは、目の前に置かれたものの見え方です。

卓上に落とす明るさと、店全体の明るさは分けて考えてください。詳しくは 店舗の照明計画で決める7つのことで扱っています。

メニューをどこに置くかで、目に入る順番が変わります。卓上に置くのか、壁に貼るのか、 レジの横に置くのかで、注文が決まる時点が違います。

追加の注文を狙うなら、料理が届いたあとにも目に入る場所が要ります。 卓上のメニューを下げてしまう運用だと、追加を頼む手がかりが席から消えます。

決め7|投資額を「1人あたり何円」に翻訳する

内装にいくらかけるかは、金額のままでは判断できません。回収の期間で割り、粗利率で 戻し、営業日数と客数で割ると、1人あたり何円かが出ます。

この数字が、いま売っているものの構成で現実的かどうかを見てください。 下の表はすべて仮の数値です。自店の粗利率・営業日数・客数に置き換えて使ってください。

投資額を1人あたりに翻訳する(編集部の試算例)
段階数値置いた前提
1 投資額300万円内装への投資
2 月の粗利増8.3万円36か月で回収する
3 月の売上増14万円粗利率60%
4 1日の売上増5,600円月25日営業
5 1人あたり140円1日のお客様40人

すべて編集部の試算例で、仮の数値です。回収期間・粗利率・営業日数・客数は店ごとに違います。自店の数字を入れて計算し直してください。

図面が固まる前に、内装会社に伝えること
  • いまの客単価と、注文点数・1点あたりの単価の内訳
  • 回転を重視する時間帯があるか
  • 席の型ごとの希望席数と、その理由
  • 配膳の経路で、必ず脇を通ってほしい席
  • ショーケースや棚に置く物と、その重さ・電源の要否
  • メニューを置く場所(卓上・壁・レジ横)
  • 回収したい期間と、投資額の上限

よくある質問

客単価を上げると、客数が減りませんか?

値上げで上げる場合はその心配があります。注文点数を増やす形なら、1品あたりの値段は変わりません。まず自店の客単価を注文点数と単価に分けてください。

席を減らして広くすると、売上は落ちませんか?

席数×回転×客単価で見ると、席を減らした分を客単価と回転で戻せるかが判断の材料になります。減らす前に、いまの席がすべて埋まる時間帯があるかを確かめてください。

試算の300万円という金額は、どこから来ていますか?

計算の手順を示すために置いた仮の数値です。実際の相場を示すものではありません。自店の見積もり金額に置き換えて計算してください。

物販店でも同じ考え方が使えますか?

使えます。注文点数を「買上点数」に読み替えてください。什器の高さと通路の取り方で、手に取ってもらえる商品の数が変わります。

いまの店を改装せずにできることはありますか?

メニューを置く場所と、卓上の照明の明るさは、工事をせずに試せます。効果があった配置を、次の改装のときに造作へ落とし込んでください。

まとめ|内装が効くのは、単価より注文点数

客単価を上げる内装|7つの決めごと
決めること何に効くか決めるタイミング
決め1 指標を分けるどこを動かすかが決まる相談の前
決め2 席の型滞在時間と注文の起き方基本の平面図
決め3 スタッフ動線声をかけられる回数基本の平面図
決め4 見せる物追加注文のきっかけ什器の発注前
決め5 照明目の前の物の見え方天井を閉じる前
決め6 メニューの位置注文を考える時点什器の発注前
決め7 投資額の翻訳いくらまでかけてよいか見積もりを見るとき

この7つのうち、工事が終わってからでは動かせないのが決め3のスタッフ動線と 決め5の照明です。どちらも配管と配線の位置で決まります。

試算はすべて仮の数値です。自店の粗利率と客数を入れて計算し、内装会社に伝える予算の 根拠にしてください。

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