理容室を開業するとき、内装の基準を美容室の記事や施工事例だけで調べると、根拠に なる法律が違うことに気づいて不安になることがあります。実際には、構造設備 基準の中身はほぼ同一です。

理容室は理容師法、美容室は美容師法に基づいて、開設前に位置・構造設備を都道府県 知事に届け出て検査を受けます。作業場の面積基準、洗い場の設備、照度・換気の基準は、 両法の施行規則・施行条例でほぼ同じ内容が定められています。

違うのは資格と業務の範囲です。内装で決めることを6つに整理しました。

この記事でわかること

  • 理容師法と美容師法で、構造設備基準がどこまで共通か
  • 開設届出と内装の検査の順番
  • 作業場の面積基準を椅子の数から逆算する方法
  • 洗い場の設備と床・腰壁の材料基準
  • 照度100ルクス以上という基準の考え方
  • 理容室と美容室を1つの店舗で併設できるか

美容室の独立開業に関する全般的な内容は 美容室の独立開業で決める内装のポイントで 扱っています。この記事は理容室に固有の視点から整理します。

理容所・美容所の作業場面積基準を示した図。椅子1〜2脚は9.9平方メートル以上、椅子が1脚増えるごとに3.3平方メートルずつ加算される計算を示している。
椅子の数がそのまま必要面積を決めます|9.9㎡+(3脚目以降1脚につき3.3㎡)という式で、椅子の増設を見込んだ物件選びができます。

決め1|理容師法と美容師法、根拠は別でも構造設備基準はほぼ同じ

理容師法と美容師法は、資格制度としては別の法律です。ただし、理容所・美容所の 構造設備基準は、両法の施行規則・施行条例で、床・腰壁の材料、洗い場、照度、換気の 基準がほぼ同一に定められています。

内装の設計そのものは、理容室と美容室でほぼ共通のノウハウが使えます。 違うのは資格(理容師・美容師)と、パーマ・カットなど業務として扱える範囲です。

決め2|開設届出は、内装の検査に合格してから出す

理容師法第11条・美容師法第11条により、理容所・美容所を開設しようとする者は、 位置・構造設備等を都道府県知事に届け出て、検査を受ける必要があります。検査に 合格しないと開業できません。

内装の図面段階で保健所に事前相談し、検査の日程を内装の完成時期に合わせて工程を 組んでください。検査で指摘を受けると、開業日が後ろにずれます。

決め3|作業場の面積は「椅子の数」で決まる

理容師法施行条例・美容師法施行条例の別表では、作業場の面積は椅子1〜2脚で9.9平方 メートル以上、椅子が1脚増えるごとに3.3平方メートルずつ加算するという基準が定め られています。

物件を選ぶ前に、開業時と将来の椅子の台数を決めておくと、必要な面積が逆算 できます。下の表は基準どおりに計算した目安です。

椅子の台数と作業場の面積の目安(理容師法・美容師法施行条例別表)
椅子の台数作業場の面積の下限確認すること
1〜2脚9.9平方メートル以上最小構成での物件面積の目安
3脚13.2平方メートル以上1脚増えるごとに3.3平方メートルを加算
4脚16.5平方メートル以上同上

施行条例は都道府県ごとに定められています。数値はおおむね共通ですが、開業予定地の条例で最終確認してください。

決め4|洗い場の設備と、床・腰壁の材料基準

床及び腰壁は、コンクリート・タイル・リノリウムなど不浸透性の材料とすること、洗い場に 流水装置を設けること、汚物箱・毛髪箱にふたを付けることが、理容師法施行規則・美容師法 施行規則で共通に定められています。

意匠性の高い木質仕上げを使いたい場合も、床・腰壁は不浸透性材料が前提になります。 デザインの検討段階で、この制約を内装会社と共有してください。

決め5|照度100ルクス以上という基準を、什器の配置前に確認する

作業面の照度は100ルクス以上を保つことが求められています(理容師法施行規則・美容師法 施行規則)。あわせて、室内の炭酸ガス濃度を一定以下に保つ換気も求められます。

照明計画は意匠のためだけでなく、基準を満たすための実務要件でもあります。間接 照明を多用する設計では、作業面での実測値を確認してください。

理容所・美容所の構造設備基準の要点
項目基準確認すること
床・腰壁不浸透性材料(コンクリート・タイル・リノリウム等)意匠と両立する仕上げ材を選ぶ
洗い場流水装置の設置給排水の配管ルートを先に決める
照度作業面100ルクス以上間接照明中心の設計では実測値を確認
換気室内の炭酸ガス濃度を一定以下に維持換気設備の能力を確認する

決め6|理容室と美容室を1つの店舗で併設できるか

理容師と美容師の両方の資格を持つスタッフがいる場合や、夫婦で理容室と美容室を それぞれ開業する場合など、1つの店舗で両方の届出を行うケースがあります。

この場合も、それぞれの構造設備基準を満たす必要があります。作業場を 共用できるかどうかは保健所の運用によるため、併設を検討する場合は着工前に相談して ください。

理容室の内装で内装会社に伝えること
  • 開業時と将来の椅子の台数
  • 床・腰壁に使う仕上げ材(不浸透性材料であること)
  • 洗い場の位置と給排水の配管ルート
  • 照明計画(作業面の照度確保)
  • 換気設備の能力
  • 美容室との併設を予定しているか

よくある質問

理容室と美容室で、内装の基準は本当に同じですか?

作業場の面積、洗い場、床・腰壁の材料、照度、換気といった構造設備基準は、理容師法・美容師法の施行規則・施行条例でほぼ同一に定められています。違うのは資格と業務の範囲です。

椅子を後から増やすことはできますか?

面積基準を満たせば増やせますが、椅子1脚につき3.3平方メートルの加算が必要なため、開業時の面積に余裕がないと増設できません。将来の台数を見込んで物件を選んでください。

開設届出はいつ出せばよいですか?

理容師法第11条・美容師法第11条に基づき、開設前に位置・構造設備等を届け出て検査を受ける必要があります。内装完成後に検査で不合格になると開業が遅れるため、事前相談を挟んでください。

床の仕上げに木材を使うことはできませんか?

床・腰壁は不浸透性材料とすることが求められているため、木材をそのまま仕上げに使うことは基準に適合しない可能性があります。木目調の不浸透性材料などで対応するのが一般的です。

理容室と美容室を同じ店舗で開業できますか?

それぞれの構造設備基準を満たせば可能ですが、作業場を共用できるかは保健所の運用によります。併設を検討する場合は、着工前に開設地を所管する保健所に相談してください。

まとめ|面積と洗い場の基準は、理容も美容も共通

理容室の内装|6つの確認のまとめ
決めること基準・根拠確認すること
決め1 法律の違い理容師法・美容師法(資格は別、構造設備基準はほぼ同一)内装のノウハウは共通と考えてよい
決め2 開設届出理容師法第11条・美容師法第11条(開設前の届出・検査)内装工程と検査日程を合わせる
決め3 面積基準椅子1〜2脚9.9㎡+1脚ごとに3.3㎡加算将来の椅子数から面積を逆算する
決め4 洗い場・床流水装置、床・腰壁は不浸透性材料意匠と両立する仕上げ材を選ぶ
決め5 照度作業面100ルクス以上間接照明中心の設計は実測値を確認
決め6 併設理容室と美容室の併設着工前に保健所へ相談する

理容室の内装は、美容室と共通する構造設備基準を土台にしながら、椅子の 台数から面積を逆算することが出発点になります。この記事の決め3を先に固めてから、 物件探しと内装会社への相談を進めてください。

施行条例の数値は都道府県ごとに定められています。着工前に、開業予定地を所管する 保健所への確認を必ず行ってください。

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